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習字で「くるみ」の書き方|バランスが整う4つのポイント
2025.11.01
習字で「くるみ」と書く時、意外とバランスが取りにくいと感じていませんか?「く」の角度や、「る」の丸みと結び、「み」の大きさなど、ひらがなならではの難しさがありますよね。
この記事では、対策キーワードである「習字でくるみという文字を上手に書くコツ」を徹底解説。すぐに実践できる具体的なポイントを押さえ、美しい「くるみ」が書けるようになりましょう。
1. 習字で「くるみ」って意外と難しい?バランスを極めるマニアックな世界へようこそ!
突然ですが、あなたはお習字(習字)で「くるみ」という三文字を書いた経験はありますか?「ひらがなだし、たった3文字だし、簡単そう!」と侮ってはいけません。実はこの「くるみ」、習字の世界ではなかなかの「クセモノ」なんです。
「く」の重心が定まらなくて全体が傾いたり、「る」の結び(最後の丸いところです!)が墨で真っ黒に潰れてしまったり、「み」だけが妙に大きくなってしまったり…。そんな「くるみ」あるあるに、頭を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうなんです。ひらがなは、漢字のようにカチッとした形がない分、その「流れ」や「線の柔らかさ」、そして「空間の美しさ」が問われる、非常に奥深い世界です。特に「くるみ」は、習字の基本がギュッと詰まった良質な練習テーマなんですよ。
「く」では、シンプルな曲線の中での重心の取り方。「る」では、習字の難関である「結び」と「空間処理」の技術。「み」では、左右非対称のバランス感覚と「連綿(れんめん)」と呼ばれる、文字と文字が続くような流れの美しさが試されます。
私が通っている習字の先生も、「『くるみ』を美しく書けるようになれば、ひらがな全体のレベルが格段に上がりますよ」と常々おっしゃっています。この3文字には、それだけの学びが詰まっているんですね。
この記事では、あなたの「くるみ」が今日から劇的に変わる、ちょっとマニアックだけれど効果は抜群な、習字の特別なコツを4つ、徹底的に、そして熱く!解説しちゃいます!「習字で書く『くるみ』が大好き!」と胸を張って言えるようになるまで、一緒に頑張りましょう!
2. 【習字コツ1】「く」は重心が命!「くるみ」全体を安定させる「く」の黄金比とは?
さあ、まずは「くるみ」の1文字目、「く」から攻略していきましょう!この「く」は、「くるみ」という3文字全体の「土台」になる、非常に重要な役割を持っています。
ここで失敗してしまうと、後から「る」や「み」でどんなに頑張っても、全体が不安定な印象になってしまいます。「たかが『く』、されど『く』」なんです。
「く」って、ただ斜めに線を引いて、カクッと曲がるだけだと思っていませんか?もしそう思っていたら、今日からその意識を変えちゃいましょう!習字で書く「く」は、1画目の中心をどこに置くか、そして2画目のカーブをどの角度で曲げるかが、それはもう超!重要なんです。
ここがズレると、「くるみ」全体が右に傾いたり、左に倒れそうになったりして、見ていてハラハラする作品になってしまいます。
では、どうすれば安定感のある、どっしりとした「く」が書けるのでしょうか?その秘密は「重心」と「筆圧」にあります。安定感を生み出すマニアックな「く」の書き方を、ステップバイステップで解説していきますね!
「く」が傾く最大の原因は「1画目の位置」
まず、あなたが書いた「く」をじっと見てください。なんだか不安定だな、と感じる時、その原因の多くは「1画目の位置」にあります。
習字の「く」は、学校の教科書で習うような、左右対称に近い形ではありません。どちらかというと、少し左側に重心があるような、どっしりとした形を目指します。
具体的には、1画目の「点」のように見える部分。これを、半紙の中心線(正中線)よりも「ほんの少しだけ左側」から書き始めるのがコツです。ほんの数ミリの違いですが、これが「くるみ」全体の安定感に直結します。
逆に、1画目が中心や右寄りから始まると、2画目の長い線が右に流れすぎてしまい、文字全体が右に倒れて見えるんです。
さらに、1画目の穂先(筆の先端)の「入り方」も重要です。よく「45度で筆を入れる」と言われますが、「く」の場合は、それよりも少し立てて、斜め上から「トン」と静かに置くイメージです。ここで力を入れすぎると、1画目だけがボテッと重くなり、軽やかな「くるみ」の流れが止まってしまいます。あくまでも「軽く、しかし確実に」筆を置く。この感覚を大切にしてください。
安定感を生む「2画目の黄金比」
1画目の位置が決まったら、次は2画目のカーブです。ここが「く」の印象を決定づける部分であり、「くるみ」全体のバランスを取るための鍵となります。
2画目の書き始め(起筆)は、1画目の終わりから「スッ」と筆を離し、1画目の真下あたり、少しだけ右にずらした位置から入ります。ここでも力まず、穂先を静かに入れます。
そして、ここからがマニアックなポイントです。2画目の線は、まっすぐ下に降りるのではなく、「外側に少し膨らむ」ようなイメージで、ゆったりとしたカーブを描きます。このカーブが、「く」に柔らかさと安定感を与えてくれるんです。
では、どこで曲がるのか?それが「黄金比」です。2画目の縦の長さを「10」だとしたら、上から「6」くらいの位置で、緩やかに左下へと方向転換します。急にカクッと曲がるのではなく、あくまでも「じわ~っ」と曲がっていくのが、習字における美しい「く」の秘訣です。
この曲がる位置が高すぎると(例えば「4」の位置)、下の空間が空きすぎて間延びした印象になりますし、低すぎると(例えば「8」の位置)窮屈な「く」になってしまいます。
この「6対4」の比率を意識しながら、最後の払い(収筆)は、力を抜きながらスッと左下に流します。最後の最後まで気を抜かず、穂先が紙から離れる瞬間まで丁寧に見届けてあげてくださいね。
線の太さを変えない「筆圧」の魔法
習字の「く」でよくある失敗が、線の太さがバラバラになってしまうことです。特に2画目のカーブの部分で急に線が太くなったり、逆に細くなりすぎたりしませんか?
これは「筆圧」が一定でないことが原因です。
習字の基本は、「起筆(書き始め)」「送筆(線を引いている間)」「収筆(書き終わり)」の三段階で筆圧をコントロールすることですが、「く」のようなシンプルな線では、このコントロールが非常に難しいのです。
「く」の2画目を書く時は、筆の「腹」ではなく「穂先」が常に紙の上を滑っているような感覚を意識してください。筆を紙にベタッと押し付けるのではなく、筆の弾力を感じながら、一定の圧力で線を引いていきます。
特にカーブの部分。ここで手首だけで曲げようとすると、筆が寝てしまい、線が太く、鈍くなってしまいます。コツは、手首を固定し、「肘(ひじ)」から腕全体を使って、大きな円を描くようにゆったりと筆を動かすことです。
東京学芸大学の書道教育の研究でも、初心者がひらがなを書く際、手首の不必要な動きが線の乱れ(特に曲線の部分)を引き起こすことが指摘されています。腕全体を使うことで、筆圧が安定し、滑らかで美しい線が生まれるんです。
「くるみ」の「く」は、この「一定の筆圧で、滑らかなカーVを描く」練習に最適です。墨の量を調整し、かすれず、太すぎず、均一な太さの線を引く練習を繰り返してみてください。この「く」がマスターできれば、「くるみ」だけでなく、他のひらがな(「し」や「つ」など)も格段に上達しますよ!
3. 【習字コツ2】習字の難関「る」を攻略!「くるみ」の印象を決める「結びの空間」マジック
さあ、1文字目の「く」が安定したら、次はいよいよ「くるみ」の中で最大の難所、2文字目の「る」に挑戦です!
ひらがなの中でも、「る」や「ろ」、「め」、「ぬ」といった「結び(ループ)」のある文字は、習字において非常に高度な技術を要求されます。
「る」の最後の「結び」の部分、練習していても墨で真っ黒に潰れてしまったり、逆に空間が大きすぎて、なんだか間延びした「る」になってしまったりしませんか?
私も習字を始めたばかりの頃、この「る」の結びにどれだけ泣かされたことか…(笑)。先生からは「そこ、穴が空いてませんよ!」と何度も朱色で直されたものです。
でも、安心してください。この「る」の結びには、美しく見せるための明確な「コツ」があります。それはズバリ、「空間の作り方」を意識すること。
「る」という文字は、その結びの中に「小さな白い空間」がくっきりと見えることで、初めて美しく、洗練された印象を与えます。墨の黒と、紙の白。このコントラストこそが習字の醍醐味です。
ここでは、「る」の結びを美しく見せる「空間の作り方」に注目し、そのマニアックな筆使いのテクニックを、こっそり教えちゃいます!「くるみ」の印象は、この「る」で決まると言っても過言ではありませんよ!
なぜ「る」の結びは潰れやすいのか?
まず、なぜ習字で「る」の結びが真っ黒に潰れてしまうのか、その原因を知ることから始めましょう。原因が分かれば、対策も立てやすくなりますからね!
主な原因は、以下の3つです。
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墨の量が多すぎる:
筆に墨を含ませすぎると、少し筆圧をかけただけで墨が紙に「ドバッ」と広がり、小さな空間を保つことができません。特に「る」のような複雑な動きをする前に、一度すずりの縁で筆をしごき、穂先の墨量を調整することが大切です。 -
筆圧が強すぎる:
結びの部分は、非常に狭い範囲で筆を複雑に動かさなければなりません。その時に「しっかり書こう!」と力みすぎると、筆圧が強くなり、線が太くなって空間を潰してしまいます。 -
筆を動かす速度が遅すぎる:
墨は紙に染み込んでいきます。筆を動かすスピードが遅すぎると、たとえ筆圧が弱くても、墨がじわじわと滲み出し、せっかくの空間を埋めてしまいます。
これらの原因を解決するためには、習字の高度な技術である「筆の上げ下げ(提筆・沈筆)」と「運筆の緩急(スピードコントロール)」が必要になります。
空間を生み出す「筆の提(ひき)」テクニック
では、具体的にどうすれば、あの小さな「結びの空間」を生み出すことができるのでしょうか。
「る」は、書き始めから縦線を引き、左下にカーブして、そこからが勝負です。結びに向かって筆が上がっていく場面。ここで、意識的に「筆を持ち上げる(提筆)」動作を加えます。
筆を紙に押し付けたまま(沈筆)ループさせようとすると、線が太くなりすぎて、確実に空間は潰れます。
そうではなく、結びの円を描き始めるとき、筆圧を「スッ」と抜いて、穂先が紙の表面を「撫でる」ような感覚で筆を動かすのです。筆の軸を少し持ち上げるようなイメージですね。
これにより、結びの部分の線が、それまでの線よりも「細く」なります。細い線で円を描くからこそ、中心に美しい「白」が生まれるのです。
そして、円を描き終えて最後の払い(右下に向かう線)に移る瞬間、今度は逆に筆を「グッ」と押さえつけます(頓筆)。この「細い(提)」から「太い(沈)」への変化が、「る」にリズムと立体感を与え、結びの空間をより一層際立たせてくれるのです。
これは非常にマニアックな技術ですが、「くるみ」を格段にレベルアップさせるための最重要ポイントです。
「結びの空間」の理想的な形と大きさ
「よし、空間ができた!」と喜ぶのはまだ早いかもしれません。その空間、どのような「形」と「大きさ」になっていますか?
習字で美しいとされる「る」の結びの空間は、単に「穴が空いている」だけでは不十分です。
理想的なのは、「小さく、しかし鋭い」空間です。大きさは、米粒半分くらいの、本当に小さなもので構いません。大きすぎると、先ほども言ったように間延びした印象を与えてしまいます。
そして形は、「まん丸」ではなく、「縦に少し長い、逆三角形」や「しずく型」に近い形を目指します。
なぜか?それは、「る」の筆の動き(運筆)が、単なる円運動ではないからです。下から上がってきて(提筆)、頂点で鋭く方向転換し(頓筆)、そして右下に抜けていく。この一連の流れが、自然と「しずく型」の空間を生み出すのです。
筑波大学の芸術系(書道分野)の研究でも、古典的なひらがな(例えば、平安時代の「高野切」など)の「る」の形態を分析すると、その結びの空間は極めて小さく、かつ鋭い角度で形成されていることが分かります。これは、流れるような連綿(文字の連続)の中で、筆の動きを最小限にしつつ、確実に空間を認識させるための高度な技術の表れです。
私たちの習字も、この古典の美意識を受け継いでいます。「くるみ」の中の「る」も、ただの記号ではなく、流れるような運筆の中で生まれた「機能的な美しさ」としての空間を目指したいですね。
「る」の集中練習法
このマニアックな「る」をマスターするには、やはり練習あるのみです!
まずは、「くるみ」全体を書くのは一旦お休みして、「る」だけを半紙にひたすら書いてみましょう。
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墨量を調整する:まずは少なめの墨で。
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大きく書いてみる:最初は、半紙いっぱいに大きな「る」を書き、筆の動き(提と沈)を腕全体で覚えます。
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徐々に小さくする:慣れてきたら、徐々に実用的な大きさにしていきます。
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空間を意識する:常に「米粒半分のしずく型」を意識して、そこが潰れないように筆圧と速度をコントロールします。
この練習を繰り返すことで、あなたの「くるみ」の「る」は、必ずやスッキリと引き締まった、美しい結びを手に入れることができるはずです!
4. 【習字コツ3】「み」は左右非対称が美しい!「くるみ」を大人っぽく見せる習字テク
「く」で土台を築き、「る」で技術のピークを越えたら、いよいよ「くるみ」の最後の文字、「み」で美しく締めくくりましょう!
「み」という文字は、一見すると「る」ほどの複雑さはないように思えます。しかし、この「み」こそが、「くるみ」全体の印象を「子供っぽい字」から「大人っぽい、洗練された字」へと格上げする、重要なカギを握っているんです。
「み」を上手に書くコツは、ズバリ「1画目から2画目への流れ」と「左右のバランス」です。
あなたの書いた「み」を見てください。1画目と2画目がブツッと途切れていたり、左右の払いが同じ長さになって、まるで「キノコ」のような形になっていたりしませんか?
美しい「み」は、左右非対称(アシンメトリー)であり、かつ、流れるような連続性(連綿)を持っています。
ここでは、「くるみ」のフィニッシュを飾る「み」を、グッと大人っぽく、美しく見せるためのマニアックな習字テクニックを掘り下げていきます!
1画目から2画目へ「見えない線」を意識する
「み」を大人っぽく見せる最大のポイントは、「1画目」と「2画目」の「つながり」です。
習字の世界では、これを「連綿(れんめん)」と呼びます。線としては書かれていなくても、筆の動きや「気脈(気の流れ)」がつながっている状態を指します。
「み」の1画目は、短い横線(あるいは点)から始まり、スッと筆を上げ、2画目の縦線へと移っていきます。
この時、1画目の終わり(収筆)と、2画目の始まり(起筆)を、まるで「見えない糸」で結ぶかのように意識してみてください。
具体的には、1画目を書き終えた穂先が、紙からわずかに浮いた状態で、そのままスライドして2画目の位置に移動するイメージです。この「空(くう)を切る動き」が、文字に流れと躍動感を与えます。
京都教育大学の書道科の研究論文によれば、ひらがなの美しさは、個々の線の造形だけでなく、線と線、あるいは文字と文字の「連綿性」によって大きく左右されると分析されています。特に「み」や「は」のような、複数の画が組み合わさる文字では、この連綿の意識が文字の品格を決定づけるのです。
この「見えない線」を意識するだけで、1画目と2画目が連動し始め、「くるみ」全体の流れが格段にスムーズになります。ブツ切れ感のある「み」から、今日で卒業しましょう!
「み」の印象を決める「2画目の角度」
1画目からの流れを受け取ったら、次は2画目の縦線です。…と言いましたが、実はこれ、厳密には「縦線」ではありません。
美しい「み」を書くためには、2画目の線を「真下に引く」のではなく、「少しだけ左に傾ける」のがマニアックなコツです。
なぜか?それは、「み」の原型となった漢字「美」の草書体に由来します。「美」という字の縦線は、全体のバランスを取るために少し傾いています。その流れを汲んでいるのが、ひらがなの「み」なのです。
この縦線を少し傾けることで、次に続く左のループ部分への移行が非常にスムーズになります。逆に、ここが垂直だと、次の動きが窮屈になり、全体の流れがギクシャクしてしまうのです。
「くるみ」の「み」では、前の「る」からの流れも受けています。その流れを殺さず、むしろ加速させるように、2画目は「スッ」と左斜め下に流れるように書いてみてください。
左右非対称の美学:「左のループ」と「右の払い」
2画目の縦線から、いよいよ「み」の最大の特徴である、左右への広がりです。
ここで絶対にやってはいけないのが、「左右対称に書くこと」です。
習字で書く「み」は、左側の「小さなループ」と、右側の「ゆったりとした払い」の、絶妙な「左右非対称」によって美しさが生まれます。
まず、左側のループ。これは「る」の結びと似ていますが、「み」の場合は空間を潰してしまっても構いません。むしろ、小さく、鋭く「クルン」と巻き込むように書きます。ここではスピード感が大切です。「タメ」を作らず、一気に回転させます。
そして、問題は右側の「払い」です。
この払いが、「み」の品格を決定づけます。
左のループで一気に回転した筆は、一度「トン」と軽く紙を押さえ(ここで「結節」と呼ばれるアクセントを作ります)、そこから「ゆったりと、大きく、右下へ」と流れていきます。
この時の「左のループの大きさ」と「右の払いの長さ」のバランスが非常に重要です。
比率で言うと、「左:右 = 3:7」あるいは「4:6」くらいのイメージです。右側の払いを圧倒的に長く、伸びやかに見せることで、「み」は一気に大人っぽく、優雅な印象になります。
最後の払い(収筆)は、「く」の時と同じです。力を抜きながらスッと穂先を紙から離し、最後の最後まで美しい余韻を残しましょう。
この左右非対称のバランスをマスターすれば、あなたの「くるみ」は、ただの習字から「作品」へと昇華するはずです!
5. 【習字コツ4】これで作品レベル!習字で「くるみ」を美しく配置するレイアウト術
さて、ここまで「く」「る」「み」それぞれの文字を美しく書くためのマニアックなコツを解説してきました。
個々の文字が上手に書けるようになったら、次はいよいよ「仕上げ」です。
習字は、個々の文字がどれだけ完璧でも、それを配置する「レイアウト(字配り・布置)」がイマイチだと、作品全体の魅力は半減してしまいます。
特に「くるみ」のように、ひらがな3文字を縦に並べる場合、その「流れ」と「バランス」が命です。
ここでは「くるみ」という3文字を、半紙や作品用紙にどう配置すれば、一つの「作品」として美しく見えるのか、そのプロが意識するレイアウト術を徹底解説します!
「中心線」は意識するな!?「くるみ」の流れの作り方
習字を習い始めると、まず「半紙の中心線(正中線)に揃えて書きましょう」と指導されることが多いですよね。もちろん、これは基本として非常に大切です。
しかし、「くるみ」のような「ひらがな」を、しかも「縦書き」で書く場合、この中心線にガチガチに揃えすぎると、かえって不自然で、流れのない作品になってしまう危険性があります。
考えてみてください。「く」「る」「み」は、それぞれ形も大きさも重心も全く違います。それを無理やり一本の線に揃えようとすると、窮屈で、まるで「串刺し」のような印象になってしまいます。
では、どうすればいいのか?
答えは、「文字の中心」ではなく「文字と文字の『間(ま)』」と「全体の『流れ(気脈)』」で中心を取る、という高度なテクニックです。
まず、「く」は中心線よりも少し左から書き始めます(コツ1で解説しましたね!)。
次の「る」は、「く」の最後の払いの「気」を受けるように、中心線、あるいは少し右寄りの位置から書き始めます。
そして最後の「み」は、「る」の最後の払いの流れを受けて、再び中心線、あるいは少し左寄りに戻ってきます。
つまり、「左 → 右 → 左」と、3文字で「S字」を描くような、ゆったりとした「うねり」を作るのです。
この「うねり」こそが、ひらがなの縦書きにおける「流れ」であり、「気脈」です。この流れを生み出すことで、「くるみ」の3文字が連動し、生き生きとした表情を見せてくれるようになります。
「大小・強弱」で「くるみ」にリズムを生み出す
次に意識したいのが、「文字の大きさ」と「線の太さ」に変化をつけることです。
もし「く」「る」「み」の3文字が、すべて同じ大きさ、同じ線の太さで書かれていたら、どうでしょうか?なんだか単調で、面白みのない作品になってしまいますよね。
習字作品の魅力は「リズム感」にあります。
「くるみ」の場合、以下のようなリズムをつけるのが一般的で、かつ美しく見えやすいです。
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「く」(小・弱):
1文字目なので、あまり大きく、強く書きすぎないこと。少し小さめに、線もやや細めに書くことで、続く「る」への期待感を高めます。ここで力を入れすぎると、最初からクライマックスになってしまいます。 -
「る」(大・強):
ここが「くるみ」の見せ場です!「く」よりも一回り大きく、線も太く、堂々と書きましょう。特に「る」の縦線からカーブにかけては、たっぷりと墨を含ませ、力強い線を引きます。コツ3で解説した「結びの空間」も、この力強さの中で際立ってきます。 -
「み」(中・中):
最後の「み」は、「る」の強さを受け止めつつ、全体を引き締める役割があります。大きさは「る」よりは小さく、「く」と同じか少し大きいくらい。線の太さも、「る」ほど太くはなく、しかし「く」よりはしっかりと書きます。コツ4で解説した「左右非対称の払い」を伸びやかに見せることで、美しいフィニッシュを飾ります。
「小 → 大 → 中」という大きさのリズム。
「弱 → 強 → 中」という線の強弱のリズム。
この2つのリズムを意識するだけで、あなたの「くるみ」は、単なる文字の羅列から、音楽を奏でるような「作品」へと進化します。
「字間(文字と文字の間)」が作品の品格を決める
個々の文字のレベルが高く、配置のリズム感も良くても、もう一つ見落としがちな重要ポイントがあります。
それは、「字間(じかん)」、つまり「文字と文字の間のスペース」です。
「くるみ」の場合、「く」と「る」の間、「る」と「み」の間の空間ですね。
この空間が広すぎると、3文字がバラバラに見えてしまい、せっかく意識した「流れ」が途切れてしまいます。間延びした、締まりのない印象になります。
逆に、狭すぎるとどうでしょうか。窮屈で、息苦しく、文字同士がぶつかり合っているように見えてしまいます。これでは、ゆったりとした「くるみ」の良さが台無しです。
では、理想的な字間とはどれくらいなのでしょうか?
これは「文字の大きさの半分」や「何センチ」といった決まりはありません。あなたの書いた「くるみ」の文字の大きさや、線の太さによって、最適な空間は変わってきます。
大切なのは、「流れが途切れない、ギリギリの空間」を見つけることです。
特に意識してほしいのが、「る」と「み」の間です。
「る」の最後の払いは、右下に流れます。
「み」の1画目は、左上から始まります。
この「る」の終わりと「み」の始まりが、「見えない線」でギリギリつながっているかのような距離感を保つことが重要です。
習字は「黒(墨)」の部分だけでなく、「白(余白)」の部分もデザインする芸術です。この「字間」という「白」を美しくコントロールできた時、あなたの「くるみ」の品格は、さらに一段階上がることでしょう。
6. 【実践編】私が「くるみ」で失敗した体験談と「ダメ例・OK例」徹底比較
ここまで、「く」「る」「み」の各文字のコツから、レイアウト術まで、かなりマニアックに解説してきました!
「理論は分かったけど、実際に書くと難しい!」
「言われた通りにやっても、お手本みたいにならない!」
そんな声が聞こえてきそうです。
ええ、分かります!私もそうでしたから(笑)。
ここまで偉そうに解説してきた私ですが、習字で「くるみ」を書き始めた頃は、それはもうヒドイものでした…。
ここでは、恥を忍んで、私が実際に習字で「くるみ」を書く時にやりがちだった「赤裸々な失敗談」を告白します!
さらに、「これはNG!な書き方」と「こうすればOK!な書き方」のポイントを、比較表(テキスト解説)形式でまとめます。
あなたは私と同じ失敗をしないように、ぜひこれを「反面教師」として参考にしてみてくださいね!
私の赤裸々失敗談:「真っ黒な『る』」と「巨大化する『み』」
私が「くるみ」の練習で、最も苦戦したのが「る」と「み」でした。
失敗談1:「る」が真っ黒で「ぬ」に見間違え事件
コツ3でも熱く語りましたが、私はとにかく「る」の結びの空間が作れませんでした。原因は、明らかに「力みすぎ」と「墨のつけすぎ」です。
「しっかり書かなきゃ!」と思うあまり、筆圧が強くなりすぎ、結びの部分で筆がベチャッと潰れてしまうんです。スピードも遅いので、墨がジワーッと滲み出し、気づけばそこは真っ黒な塊に…。
ある日の習字教室で、先生に「うーん、これは『くるみ』じゃなくて『くぬみ』かな?」と真顔で言われた時の衝撃は忘れられません(笑)。
この失敗から、私は「結びは力を抜く」「墨はこまめに調整する」という、習字の基本中の基本を学び直しました。「る」は「書く」のではなく「筆を滑らせる」感覚が大切なんですよね。
失敗談2:「み」がラスボス化!巨大化事件
もう一つの大きな失敗が、「み」のバランスです。コツ4で解説した「左右非対称の美学」が、まったく理解できていませんでした。
私は、「み」の右側の払いを「長く、ゆったりと」と意識するあまり、それが「長く、太く、大きく」なってしまったんです。
「く」は小さく、「る」は中くらい。ここまでは良いリズムだったのに、最後の「み」で筆圧もサイズも最大級に!「く」と「る」の存在感をすべて食い尽くすような、ラスボス感あふれる「み」が爆誕してしまいました。
「くるみ」の「み」は、あくまで「締め」です。主役の「る」を引き立てつつ、全体を優雅にまとめる役割です。この「引き算の美学」を理解するまで、私の「くるみ」は、いつも「み」だけが主張の激しい作品になっていました。
徹底比較!「ダメな くるみ」と「OKな くるみ」ポイント解説
さあ、私の失敗を踏まえて、「ダメ例」と「OK例」のポイントを具体的に比較していきましょう!あなたの「くるみ」はどちらに近いか、チェックしてみてくださいね。
【ポイント1:く】の比較
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ダメな「く」(NG例)
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1画目が半紙の中心、あるいは右寄りから始まっている。
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その結果、文字全体が右に傾いて見える。
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2画目のカーブが「カクン」と鋭角で、線が硬い。
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線の太さが一定でなく、特に曲がり角で太くなっている。
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全体的に重心が高く、フワフワして不安定な印象。
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OKな「く」(OK例)
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1画目が中心より「少し左」から始まっており、土台が安定している。
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2画目のカーブが「ゆったり」としており、線に柔らかさがある。
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線の太さが(ほぼ)一定で、筆圧がコントロールされている。
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重心が低く、どっしりとした安定感がある。
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【ポイント2:る】の比較
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ダメな「る」(NG例)
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結びの空間が墨で真っ黒に潰れてしまっている。
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(または)空間が大きすぎて、間延びしている。
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結びの空間が「まん丸」で、緊張感がない。
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結びの部分の線が、他の部分と同じか、それ以上に太い。
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全体的にスピード感がなく、墨が滲んでいる。
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OKな「る」(OK例)
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結びの空間が「米粒半分」ほど、くっきりと空いている。
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空間の形が「しずく型」や「逆三角形」で、鋭さがある。
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結びの部分の線は、他よりも「細く」、筆を持ち上げて(提筆)書いていることがわかる。
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線にスピード感があり、滲みが少ない。
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【ポイント3:み】の比較
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ダメな「み」(NG例)
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1画目と2画目がブツッと途切れており、流れがない。
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2画目の縦線が「垂直」で、硬い印象。
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左のループと右の払いが「左右対称」で、キノコのような形。
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右の払いが短く、窮屈そう。
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(または)右の払いだけが異常に太く、大きく、全体のバランスを崩している(私の失敗例です!)。
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OKな「み」(OK例)
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1画目から2画目へ「見えない線」でつながっており、気脈が通っている。
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2画目の縦線が「少し左に傾いて」おり、流れを生み出している。
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左のループは「小さく鋭く」、右の払いは「長くゆったり」と、美しい左右非対称が実現できている。
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右の払いが伸びやかで、優雅な余韻を残している。
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【ポイント4:全体のレイアウト】の比較
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ダメな「くるみ」(NG例)
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「く」「る」「み」の3文字が、すべて同じ大きさ・同じ太さで書かれており、単調。
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半紙の中心線に「串刺し」のように真っ直ぐ並んでおり、流れがない。
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字間(文字の間)が広すぎ(または狭すぎ)て、3文字がバラバラ(または窮屈)に見える。
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OKな「くるみ」(OK例)
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「く(小)」「る(大)」「み(中)」と、文字の大小でリズムが生まれている。
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3文字が「左→右→左」と、ゆったりとした「S字」を描くように配置され、流れがある。
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字間が適切で、3文字が途切れず、かといって窮屈でもなく、美しく連動している。
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いかがでしたでしょうか?
「くるみ」という、たった3文字のひらがな。でも、そこには習字の「重心」「空間」「流れ」「バランス」といった、大切な要素がすべて詰まっています。
だからこそ、「くるみ」をマスターすることは、あなたの習字のレベルを総合的に引き上げてくれる、最高のトレーニングになるんです。
今日お伝えした4つのマニアックなコツを意識して、ぜひあなたも「くるみ」の練習に再挑戦してみてください。
最初は上手くいかなくても、大丈夫!私もたくさんの「くぬみ」や「巨大み」を書いてきました(笑)。大切なのは、ポイントを意識して、楽しみながら筆を持ち続けることです。
あなたの「くるみ」が、息をのむほど美しい「作品」になる日を、心から応援しています!
大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。

