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ぼくがクロミ様より「クルミ・ヌイ」に沼ったワケ

2025.11.04
ぼくがクロミ様より「クルミ・ヌイ」に沼ったワケ

名作アニメ「おねがいマイメロディ」を語る上で欠かせない存在、クルミ・ヌイ。懐かしいと感じる方も、今初めてその名前を知ったという方もいるかもしれません。クルミ・ヌイとは一体何者なのか、なぜ今再び注目されているのか。そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、「おねがいマイメロディ」の物語におけるクルミ・ヌイの重要性や、ファンなら知っておきたい彼女にまつわる謎を深掘りします。彼女の真実を知れば、作品をもう一度見返したくなるかもしれません。

1. 『おねがいマイメロディ』の最強ライバル!「クルミ・ヌイ」ってどんなキャラ?

マイメロちゃんのライバルといえば、やっぱりクロミちゃんを思い浮かべる方が多いですよね! でも、皆さん、もう一人(一匹?)の重要なライバルを忘れていませんか? そう、あの真っ黒なウサギのぬいぐるみ…「クルミ・ヌイ」です!

『おねがいマイメロディ』シリーズ、特に第1期(無印)や第2期『くるくるシャッフル!』を語る上で、このクルミ・ヌイの存在は絶対に欠かせません。彼女が一体何者なのか、まずは基本の「キ」からしっかりとおさらいしちゃいましょう!

クルミ・ヌイの基本プロフィール

クルミ・ヌイは、見た目はマイメロディやクロミちゃんによく似た、黒いウサギのぬいぐるみ(のような姿)をしています。一番の特徴は、胸につけている大きなドクロのブローチ。これが彼女の力の源であり、ダークパワーの象徴でもあります。

性格は、一言でいえば「小生意気」そして「残忍」。見た目の可愛らしさとは裏腹に、その言動は非常に攻撃的で、他人を陥れることを何とも思っていません。口癖は「~だゾ!」。「お目覚めだゾ~!」と言いながら人々に悪夢を見せるシーンは、当時のちびっ子たち(そして私たち大人)を震撼させました。

彼女の役割は、ダークパワーの手下として「黒音符」を集めること。人々の夢や希望を悪夢に変え、そこから生まれる黒音符を収集し、ダークパワーの親玉である「ダーちゃん」(ダークパワーの精霊)を復活させようと暗躍します。クルミ・ヌイは、ダーちゃんの意思を代行する、まさにダークパワー軍団の現場監督のような存在なのです。

クロミちゃんとの決定的な違い

「黒いウサギのライバル」というとクロミちゃんとポジションが被るように見えますが、クルミ・ヌイとクロミちゃんは根本的に立ち位置が異なります。

クロミちゃんは、確かにダークパワーに協力し、マイメロちゃんにイタズラを仕掛けますが、その動機は「マイメロへの私怨」や「柊恵一様への恋心」といった、非常に人間的(?)なものです。彼女はあくまでダークパワーに「利用されている」側面が強く、根は優しく憎めないキャラクターですよね。

一方、クルミ・ヌイは違います。彼女はダークパワーそのものの「化身」であり、ダーちゃんの分身のような存在。クロミちゃんやバクくんのように、ダークパワーに魅入られた「元・普通の人(?)」ではなく、生まれながらにして純粋な悪意と目的(ダークパワーの復活)を持って行動しています。

劇中でも、クルミ・ヌイはクロミちゃんやバクくんの上司、あるいは「親玉」的な立ち位置で登場します。クロミちゃんに「メロディ・キー」(悪夢魔法をかけるためのアイテム)を授け、黒音符を集めるよう指示を出していたのは、何を隠そうこのクルミ・ヌイなのです。クロミちゃんが失敗すると「ダメダメだゾ~!」と厳しく叱責する姿は、まさに上司と部下。この二人の関係性の違いが、『おねがいマイメロディ』の物語に深みを与えています。クルミ・ヌイは、クロミちゃんとは比較にならないほど、純粋な「敵」として描かれているのです。

劇中での主なイタズラ騒動

クルミ・ヌイが劇中で行う主な悪事は、やはり「悪夢魔法」です。クロミちゃんがメロディ・キーを使って人間に魔法をかけると、その人の悩みやコンプレックスが増幅され、奇妙な姿に変身して騒動を引き起こしますよね。あの魔法の源となっているのが、クルミ・ヌイの持つダークパワーです。

クルミ・ヌイは、単にクロミちゃんに指示を出すだけでなく、自らも積極的に騒動を引き起こします。特に『おねがいマイメロディ』(無印)の後半では、彼女自身が強力なダークパワーを放ち、夢ヶ丘の住人たちを次々と悪夢の世界に引きずり込みました。

彼女の目的は、マイメロちゃんを倒すこと以上に、「黒音符を効率よく集めること」。そのためなら手段を選ばず、時にはクロミちゃんさえも利用し、切り捨てようとする冷酷さを持っています。クルミ・ヌイが登場すると、物語の緊張感が一気に高まり、「ああ、本当にヤバイ奴が出てきた…」と感じさせた、最強のライバルキャラクター。それがクルミ・ヌイなのです。

2. クルミ・ヌイの衝撃的な正体!柊恵一とのマニアックすぎる関係性

さて、クルミ・ヌイがダークパワーの手下であることは分かりました。ですが、クルミ・ヌイって、一体どうやって生まれたか知っていますか? 「ダーちゃんの分身」と説明しましたが、実は彼女の誕生には、あの夢ヶ丘のイケメンヴァイオリニスト・柊恵一様が深~~~く関わっているんです…。

ここでは、物語の核心にも触れるクルミ・ヌイの衝撃的な正体と、切っても切れない柊恵一とのマニアックすぎる関係性について、徹底的に解説します! 当時リアルタイムで見ていた私は、この事実を知った時、本当に鳥肌が立ちました。

柊恵一のヴァイオリンから誕生

結論から言います。クルミ・ヌイは、「柊恵一が弾いていたヴァイオリン(ストラディバリウス)の弦から生まれたダークパワーの化身」なのです。

…え?どういうこと?って思いますよね。

『おねがいマイメロディ』(無印)の物語を思い出してください。柊恵一は、ダークパワーのメロディを奏でることで黒音符を集め、ダーちゃんの復活に協力していました。彼は、自らのヴァイオリン(かの有名な名器、ストラディバリウスです!)を使い、人々をダークパワーの影響下に置いていたのです。

その過程で、柊恵一のヴァイオリンは強大なダークパワーを浴び続けます。そしてある時、ついにそのダークパワーに耐えきれなくなったヴァイオリンの弦が、プツンと切れてしまいます。その切れた弦に、ダークパワーの親玉であるダーちゃんが命を吹き込み、具現化した存在…それが、クルミ・ヌイなのです。

つまり、クルミ・ヌイは柊恵一の「ダークパワーのメロディ」そのものから生まれた存在であり、ある意味、柊恵一の「分身」とも言える存在なんです。クロミちゃんが柊恵一に「利用されている」のとは訳が違います。クルミ・ヌイは、柊恵一の闇の部分と直結した、非常に危険なパートナーなのです。

なぜ「ウサギのぬいぐるみ」なのか?

ここで一つの疑問が浮かびます。なぜ、ヴァイオリンの弦から生まれたのに、その姿は「ウサギのぬいぐるみ」なのでしょうか?

これについては、劇中で明確な説明はありません。ですが、私なりに考察するに、これは「柊恵一の潜在意識」が大きく関わっているのではないでしょうか。

柊恵一は、表向きはクールな天才ヴァイオリニストですが、その実、マイメロディのライバルであるクロミちゃんを利用し、ダークパワーを集めるという裏の顔を持っていました。彼の心の奥底には、マイメロディ(マリーランドの住人=ウサギ)に対する強烈な対抗意識や、あるいは歪んだ興味があったのかもしれません。

また、彼が後に変身することになる「ウサミミ仮面」もウサギの姿ですよね。柊恵一の深層心理には、彼自身も気づいていない「ウサギ」というモチーフへの何らかのこだわりがあった可能性があります。

その潜在意識が、ダークパワーによって具現化する際、「マイメロディ」や「クロミ」といった既存のウサギたちに対抗する「第3のウサギ」として、クルミ・ヌイの姿を形成した…と考えるのは、マニアックすぎますでしょうか? クルミ・ヌイのあの可愛らしい姿は、柊恵一の冷徹な本心を隠すための、皮肉なカモフラージュだったのかもしれません。

柊恵一に対するクルミ・ヌイの感情

クルミ・ヌイは、生みの親(?)である柊恵一のことを「恵一様」と呼び、非常に慕っています。基本的には主従関係であり、クルミ・ヌイは柊恵一がダークパワーの王(ダーちゃん)の「器」となることを望み、そのために暗躍します。

しかし、彼女の感情は単なる「手下」としての忠誠心だけではないように見えます。

クルミ・ヌイは、柊恵一がダークパワーから解放されそうになったり、マイメロちゃんたちと和解しそうになったりすると、激しく嫉妬し、妨害しようとします。彼女にとって柊恵一は、ダークパワーの世界に引きずり込むべき「獲物」であり、同時に自分を生み出した「親」でもある、非常に複雑な対象です。

『くるくるシャッフル!』で柊恵一がウサミミ仮面として活動を始めた際、クルミ・ヌイはウサミミ仮面に対して異常なほどの嫌悪感を示します。これも、自分の「恵一様」が、自分の理解できない「正義の味方」という姿になっていることへの苛立ちや、独占欲の表れだったのではないでしょうか。

クルミ・ヌイと柊恵一の関係は、『おねがいマイメロディ』シリーズにおける最もダークで、同時に最も魅力的な関係性の一つだと、私は断言します!

3. なぜマイメロが嫌い?クルミ・ヌイとメロディ・タクトの因縁

クルミ・ヌイは、劇中でとにかくマイメロちゃんを目の敵にしていますよね。マイメロちゃんを見つけるたびに「邪魔だゾ!」と攻撃を仕掛けます。

でも、その理由はクロミちゃんがマイメロを嫌う理由とは、ちょっと質が違います。クロミちゃんのように「昔、私にこんなヒドイことをした!」とノートにメモするような、個人的な恨みではないんです。

では、クルミ・ヌイがマイメロ(そして彼女が持つメロディ・タクト)を執拗に狙う理由とは何なのでしょうか? その答えは、二人の「力の相性」にありました。

メロディ・タクトは天敵!

クルミ・ヌイの力の源は「ダークパワー」であり、彼女の目的は「黒音符」を集めて世界をダークパワーで満たすことです。

一方、マイメロディが持つ「メロディ・タクト」。これは、クルミ・ヌイたちダークパワー軍団にとって、まさに天敵ともいえるアイテムです。

なぜなら、メロディ・タクトは、悪夢魔法にかかった人々を元に戻し、その際に出てくる「黒音符」を浄化して「ピンク音符」に変えてしまう、唯一の対抗手段だからです。

クルミ・ヌイがどれだけ頑張って黒音符を集めても、マイメロちゃんがメロディ・タクトを「おねがい♪」と一振りすれば、せっかくの黒音符がピンク音符に変わってしまいます。クルミ・ヌイからすれば、自分の仕事を根本から妨害し、集めた成果(黒音符)を横取りしていく、最も邪魔な存在。それがマイメロディとメロディ・タクトなのです。

クルミ・ヌイにとってマイメロは「最大の障害」

クルミ・ヌイの目的は、あくまでダークパワーの復活です。そのために、ダークパワーの王の「器」となる柊恵一を守り育て、黒音符を集めなければなりません。

しかし、マイメロちゃんはことごとくその邪魔をします。

柊恵一に近づき、彼の心の闇を晴らそうとする。

悪夢魔法を浄化し、黒音符を奪っていく。

クルミ・ヌイにとって、マイメロディは「個人的に嫌いな相手」というよりも、「自らの目的を達成するために排除しなければならない、最大の障害」なのです。だからこそ、彼女はマイメロディに対して容赦がなく、時には命を奪おうとするかのような、非常に危険な攻撃を仕掛けることもありました。クルミ・ヌイのマイメロへの敵意は、非常にシステマティックで、冷徹なものなのです。

(対比として)クロミとクルミ・ヌイの、マイメロに対する「ライバル意識」の違い

ここで、クロミちゃんとクルミ・ヌイの「マイメロへのライバル意識」の違いを整理してみましょう。この対比が、『おねがいマイメロディ』の面白さのキモでもあります。

クロミちゃんのライバル意識:

  • 動機: 個人的な私怨(過去の恨みつらみ)、恋敵(柊恵一を巡って)。

  • 目的: マイメロに勝ちたい、ギャフンと言わせたい、柊恵一様に振り向いてほしい。

  • 攻撃: イタズラ、嫌がらせがメイン。根は優しいため、本気で傷つけようとはしない(ことが多い)。

  • 関係性: 腐れ縁、ケンカするほど仲が良い(?)。

クルミ・ヌイのライバル意識:

  • 動機: ダークパワーの目的達成のための障害排除。

  • 目的: マイメロ(メロディ・タクト)の無力化、黒音符の収集。

  • 攻撃: 目的達成のためなら手段を選ばない。冷酷で容赦がない。

  • 関係性: 完全な「敵」。光と闇、浄化と汚染という、相容れないシステムの対立。

このように、同じ「マイメロのライバル」でありながら、その動機や目的は正反対です。クロミちゃんが「感情」で動くのに対し、クルミ・ヌイは「任務」で動く。この二重のライバル構造が、物語に緊張感とコメディの緩急を生み出していたんですね。クルミ・ヌイという存在が、クロミちゃんの魅力をより一層引き立てていたとも言えます。

4. 実は超絶美少女!?クルミ・ヌイの「人間体」が魅力的すぎる!

いつもは「~だゾ!」と甲高い声で騒ぐ、小生意気なぬいぐるみ姿のクルミ・ヌイ。憎たらしいけど、どこかマスコット的な可愛さもあって、それはそれで魅力的ですよね。

…ですが!

彼女が『おねがいマイメロディ』シリーズの中で見せた、「人間体」の姿を見たことはありますか?

もし「知らない」という方がいたら、それは本当にもったいない! あの姿は、まさに反則級のギャップ萌え…。ファンの間では今でも語り草になっている、クルミ・ヌイの貴重な「人間体」の登場回と、その底知れぬ魅力について徹底的にチェックしていきます!

黒音符の精霊としての姿

クルミ・ヌイの人間体は、正確には「黒音符の精霊」としての姿、あるいは「ダークパワーの化身」としての本来の姿、と呼ぶべきかもしれません。

そのビジュアルは、ぬいぐるみ姿からは想像もつかないほどの「超絶美少女」なんです!

長く美しい黒髪をなびかせ、黒を基調としたゴシック調のドレスを身にまとっています。表情はぬいぐるみ時のようにコロコロ変わることはなく、常にクールでミステリアス。どこか憂いを帯びた瞳で、冷ややかにマイメロたちを見下ろす姿は、まさに「闇の女王」といった風格です。

性格も、ぬいぐるみ姿の時のような「小生意気さ」や「騒がしさ」は影を潜め、非常に冷徹で威圧的になります。口調も「~だゾ!」ではなく、落ち着いた女性の話し方(CVはもちろん沢城みゆきさん!)に変わるため、そのギャップに驚かされます。クルミ・ヌイの真の恐ろしさと美しさが、この姿に凝縮されています。

人間体が登場する具体的なエピソード

この貴重なクルミ・ヌイの人間体(黒音符の精霊)が登場するのは、『おねがいマイメロディ くるくるシャッフル!』(第2期)のクライマックス、第48話「おうちに帰れたらイイナ!」です。

このエピソードは、ついにダークパワーの王(ダーちゃん)が柊恵一の身体を乗っ取り、夢ヶ丘がダークパワーに覆われてしまうという、シリーズ屈指のシリアス回です。

柊恵一が完全にダークパワーの王と化したその時、彼に仕えていたクルミ・ヌイも、その強大なダークパワーの影響を受けて変身します。

ストラディバリウスの弦から生まれたクルミ・ヌイは、ダークパワーの王となった恵一の傍らで、美しい精霊の姿となり、マイメロたちの前に立ちはだかります。この時のクルミ・ヌイは、まさに最強の敵。マイメロのメロディ・タクトさえも通用しないほどの圧倒的な力を見せつけました。

この衝撃的な登場シーンは、リアルタイムで見ていたファンの度肝を抜きました。「あのクルミ・ヌイが、こんなに綺麗な姿だったなんて!」と。

ぬいぐるみ姿とのギャップ萌えポイント解説

クルミ・ヌイの人間体の魅力は、なんといってもその「ギャップ」に尽きます。

1. ビジュアルのギャップ

普段は二頭身の、どちらかといえばコミカルなデザインのぬいぐるみです。それが一転、八頭身(?)のクールビューティーな美少女になるのですから、その振り幅は計り知れません。可愛さ(Kawaii)から美しさ(Beauty)への究極の進化です。

2. 声と口調のギャップ

最大のギャップは「声」です。

ぬいぐるみ時は、沢城みゆきさんによる甲高く、特徴的な「~だゾ!」という幼い声色。

人間体では、同じく沢城みゆきさんですが、地声に近い(あるいは『ローゼンメイデン』の真紅のような)低めで落ち着いた、威厳のある声色に変わります。

この演じ分けが本当に素晴らしく、クルミ・ヌイというキャラクターの二面性(マスコットとしての顔と、ダークパワーの化身としての本性)を完璧に表現していました。

3. 態度のギャップ

ぬいぐるみ時は、柊恵一に対して「恵一様~!」とまとわりつく、どこか子供っぽい依存を見せていました。しかし人間体では、ダークパワーの王となった恵一の隣に、対等なパートナー(あるいは忠実な側近)として、毅然とした態度で控えています。

普段の憎まれ口を叩くクルミ・ヌイを知っているからこそ、このシリアスで美しいクルミ・ヌイの姿は、ファンの心に強く焼き付いています。「敵だけど、美しい…」そう思わせる、悪のカリスマ性が爆発した瞬間でした。

5. クルミ・ヌイの魅力は声優・沢城みゆきさんの演技にアリ!

クルミ・ヌイというキャラクターを語る上で、絶対に、絶対に外せない要素があります。

それは、彼女の「声」です。

「お目覚めだゾ~!」「ダメダメだゾ~!」

一度聴いたら忘れられない、あの独特のイントネーション。あの小憎たらしさ、小生意気さ、そして時折見せる可愛らしさ。

クルミ・ヌイのキャラクター性を何倍にも、いや何百倍にも魅力的にしているのは、担当声優である沢城みゆきさんの天才的な演技に他なりません!

沢城みゆきさんが演じるクルミ・ヌイの声の特徴

沢城みゆきさんといえば、今や日本を代表する大人気声優のお一人ですよね。少年からクールなヒロイン、妖艶な悪女まで、ありとあらゆる役柄を演じ分ける実力派ですが、この「クルミ・ヌイ」役は、沢城さんのキャリアの中でも特に異彩を放つ演技の一つだと私は思っています。

クルミ・ヌイの声の特徴は、まず「甲高い声色」と「独特の舌足らずなイントネーション」です。

「~だゾ!」という語尾を、ただ可愛く言うのではありません。どこか相手を小馬鹿にしたような、含みのある「小悪魔的」なニュアンスが込められています。

悪事を働くときの楽しそうな声、クロミちゃんを叱責するときのヒステリックな声、柊恵一に甘えるときのねっとりとした声、そしてマイメロに追い詰められたときの焦った声…。

同じ「~だゾ!」というセリフ一つとっても、その感情の乗せ方が尋常ではありません。沢城さんの演技によって、クルミ・ヌイは単なる「うるさい悪役マスコット」ではなく、「感情豊かな、生きたキャラクター」として確立されたのです。

驚異の演じ分け(リズムくん・バク母etc.)

『おねがいマイメロディ』シリーズにおける沢城みゆきさんの凄さは、クルミ・ヌイ役だけにとどまりません。

実は沢城さん、この作品でとんでもない数のキャラクターを「兼役」されています。

特に驚くべきは、マイメロちゃんの弟である「リズムくん」。あの無邪気で可愛らしい男の子の声も、沢城さんが演じているのです。クルミ・ヌイの甲高い悪魔のような声と、リズムくんの純真無垢な声を、同じ人物が演じているとは到底思えません。

それだけではありません。バクくんのお母さん(あの肝っ玉母ちゃんです!)、夢ヶ丘中学校のシマウマ先生、さらには脇役の女子生徒など、数えきれないほどの役を演じ分けられています。(※一部情報で「マイメロママ」も沢城さんと記載されることがありますが、マイメロママは佐久間レイさんです。沢城さんの兼役の幅広さだけでも十分に驚異的ですよね!)

クルミ・ヌイとして登場していた同じ回に、全く別人のリズムくんやバク母として登場し、完璧に演じ分けていた沢城さんの技術。クルミ・ヌイのあの個性的な声は、沢城さんの圧倒的な演技力の基盤があってこそ生まれた、奇跡の産物だったのです。

ファンが選ぶ「クルミ・ヌイの名(迷)セリフ」と演技のマッチング

クルミ・ヌイには、沢城さんの演技が光る名(迷)セリフがたくさんあります。

  • 「お目覚めだゾ~!」
    これが無ければ始まりません。人々を悪夢に陥れる、クルミ・ヌイの決めゼリフ。楽しそうに、そして少しねっとりと発音されるこのセリフは、まさに悪夢の始まりを告げるファンファーレでした。

  • 「ダメダメだゾ~! この役立たず!」
    主にクロミちゃんやバクくんが失敗した時に浴びせられる罵声です。ヒステリックで甲高いながらも、妙に耳に残るリズム感。沢城さんの「怒り」の演技が炸裂しています。

  • 「恵一様~!」
    柊恵一に呼びかける時の、甘ったるく、依存的な声色。他のキャラクターに向ける声とは明らかにトーンが違い、クルミ・ヌイの柊恵一への歪んだ執着が伝わってきます。

  • 「おのれマイメロディ! 邪魔するなだゾ!」
    マイメロに妨害された時の、憎悪に満ちた声。普段の小生意気さを超えた、本気の「敵意」が込められた演技は、聞いているこちらがゾクッとするほどでした。

クルミ・ヌイというキャラクターの魅力は、沢城みゆきさんの「声」の魅力とイコールであると言っても過言ではありません。

6. ファンなら頷く!クルミ・ヌイのマニアック・トリビア&名言集

ここまで、クルミ・ヌイという稀代の悪役キャラクターについて、その正体から魅力まで深掘りしてきました。いやー、語り出すと止まりませんね!

最後は、私(筆者)が当時リアルタイムで視聴して「うわっ!」と震えた、クルミ・ヌイのあんなシーンやこんなセリフを、マニアックなトリビアとして厳選してお届けします! 「これ知ってたら、あなたも立派なクルミ・ヌイマニア!」と胸を張って言える小ネタ集です!

筆者が選ぶ!クルミ・ヌイ名言・迷言集

上記でもいくつか紹介しましたが、まだまだクルミ・ヌイには印象的なセリフがあります。私が特に好きな(?)セリフはこちらです。

  • 「黒音符ゲットだゾ!」
    悪夢魔法が成功し、黒音符が飛び出してきた時の歓喜のセリフ。まさにクルミ・ヌイの目的そのものを表す一言です。このセリフが聞こえると「ああ、またマイメロちゃんが浄化しなきゃ…」とハラハラしたものです。

  • 「(クロミに対して)お前はもう用済みだゾ!」
    『おねがいマイメロディ』(無印)の終盤、クロミちゃんがダークパワーの支配から逃れようとした(?)際に、クルミ・ヌイが言い放った冷酷な一言。今まで散々利用してきた相手を、あっさり切り捨てる。クルミ・ヌイの本質的な恐ろしさが凝縮されています。

  • 「恵一様は、ダークパワーの王になるんだゾ…!」
    柊恵一をダークパワーの世界に引きずり込もうとするときの、ある種うっとりとした、狂信的なセリフ。彼女の行動原理のすべてが、この一言に詰まっているようにも聞こえました。

マニアック・トリビア深掘り

クルミ・ヌイの行動には、よく見ると「?」と思うような、マニアックなポイントが隠されています。

トリビア1:ウサミミ仮面(柊恵一)への異常な拒否反応

『くるくるシャッフル!』で、柊恵一は記憶を失い(ダークパワーから解放され)、正義の味方「ウサミミ仮面」としてマイメロに協力することになります。

このウサミミ仮面に対して、クルミ・ヌイはなぜか異常なほどの嫌悪感と拒否反応を示します。

もちろん、ウサミミ仮面がマイメロの味方だから、というのは理由の一つでしょう。

しかし、私の考察はこうです。クルミ・ヌイは「柊恵一の闇(ダークパワー)」から生まれた存在。対してウサミミ仮面は、皮肉にも恵一の「正義(あるいは恥ずかしい部分?)」の象徴です。

クルミ・ヌイは、自分の生みの親である恵一の「闇」の部分を肯定し、愛しています。だからこそ、恵一の「光」の部分であるウサミミ仮面を本能的に拒絶したのではないでしょうか。

あるいは、単純に「私の恵一様が、あんな恥ずかしい格好を…!」という、パートナー(?)としての怒りだったのかもしれませんね。クルミ・ヌイのこの反応は、彼女と恵一の関係性を読み解く上で非常に興味深いポイントです。

トリビア2:バクくんとの微妙すぎる力関係

クルミ・ヌイは、クロミちゃんだけでなく、その手下であるバクくんに対しても非常に高圧的です。バクくんはクルミ・ヌイのことを「ヌイちゃん」と呼びつつも、本心ではめちゃくちゃ恐れています。

クルミ・ヌイは、バクくんの「悪夢を食べる(そして黒音符を出す)」能力を利用するため、彼を重宝しているフシがあります。しかし、ひとたびバクくんが失敗したり、反抗的な態度を取ったりすると、容赦ない攻撃(電撃など)を加えます。

この「恐怖」と「利用」で成り立つアンバランスな関係性は、まさにダークパワー軍団のブラック企業っぷりを象徴しています。バクくんがクルミ・ヌイに怯える姿は、本作のコメディリリーフでありながら、クルミ・ヌイの冷酷さを際立たせる重要な役割も担っていました。

シリーズ全作におけるクルミ・ヌイの扱いの変遷(比較表風)

最後に、クルミ・ヌイが『おねがいマイメロディ』シリーズ全4作で、どのように扱われてきたのかを振り返ってみましょう。

シリーズ名 クルミ・ヌイの立ち位置・活躍
第1期 『おねがいマイメロディ』 (全盛期) ・ダークパワーの化身として登場。 ・クロミの上司、柊恵一のパートナー。 ・ラスボス(ダーちゃん)の手下として、最大の敵として君臨。
第2期 『~くるくるシャッフル!~』 (全盛期・第2形態) ・引き続き、最大の敵として暗躍。 ・柊恵一がダークパワーの王となった際、**人間体(黒音符の精霊)**の姿を披露。 ・最終的にマイメロたちによって浄化され、柊恵一のストラディバリウスの弦に戻った(かに見えた)。
第3期 『~すっきり♪~』 (出番激減) ・ダークパワーの親玉「ダーちゃん」が自ら表舞台に登場。 ・クルミ・ヌイはダーちゃんに吸収された(あるいは一体化した)とされ、ぬいぐるみ姿での出番はほぼ消滅。 ・ダーちゃんの「分身」として、稀にそれらしき姿が見える程度に。
第4期 『~きららっ☆~』 (登場せず) ・物語の世界線がマリーランド中心となり、人間界(夢ヶ丘)が舞台ではなくなったため、柊恵一らと共に登場せず。

このように見ると、クルミ・ヌイが「クルミ・ヌイ」として最も輝き、その恐ろしさと魅力を存分に発揮していたのは、第1期(無印)と第2期(くるくるシャッフル!)だったことがよく分かります。

『すっきり♪』でダーちゃん本体が出てきたことで、クルミ・ヌイの役割が終わってしまったのは、ファンとしては少し寂しい気もします。しかし、それだけクルミ・ヌイという存在が、柊恵一というダークパワーの「器」と密接に結びついていた証拠とも言えますね。

いかがでしたでしょうか?

マイメロのライバル、クルミ・ヌイ。彼女はただの憎まれ役ではなく、物語の核となる「柊恵一の闇」と「ダークパワーの脅威」を象徴する、非常に重要で魅力的なキャラクターだったのです。

この記事を読んで、「久しぶりにクルミ・ヌイの『お目覚めだゾ~!』が聞きたくなった!」と思っていただけたら、私もとっても嬉しいです!

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。