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糖尿病でも「くるみ」はOK?1日の適量と正しい食べ方

2025.10.31
糖尿病でも「くるみ」はOK?1日の適量と正しい食べ方

スーパーフードとして知られる「くるみ」。実は、そのくるみが「糖尿病」対策の鍵を握る食材として、今世界中で注目を集めています。なぜくるみが良いとされるのか?1日にどれくらい食べるべき?

この記事では、くるみが血糖値に与える影響など、糖尿病との関係性を徹底解説。あなたの食生活改善のヒントがここにあります。

1. くるみと糖尿病。4つの理由

こんにちは!血糖値、気になり始めていませんか?健康診断で「ちょっと高めですね」と言われたり、食後に猛烈な眠気に襲われたり……。最近、そんなお悩みを抱えている方が増えているように感じます。

日本の糖尿病事情は、実はかなり深刻です。厚生労働省が実施した令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる人」の数はなんと約1,150万人にも上ると推計されています。さらに、「糖尿病の可能性を否定できない人」、いわゆる”予備群”の方を含めると、その数は2,000万人を超えるとも言われているんです。これはもう、他人事ではありませんよね。

糖尿病の予防や対策というと、多くの方が「食事制限」や「甘いものを我慢する」といった、少し辛いイメージを持つかもしれません。でも、もし「美味しく食べながら対策できるスーパーフード」があるとしたら、知りたくありませんか?

それが、何を隠そう「くるみ」なんです!

「え?くるみって脂質が多くてカロリーも高いし、逆に太って糖尿病に悪いんじゃないの?」

そう思ったあなた、そのイメージ、今日でガラッと変えさせていただきます!確かにくるみは脂質が多いですが、その脂質こそが、実は糖尿病対策の強力な味方になってくれる「良質な脂質」なんですよ。

この記事では、なぜ「くるみ」が血糖値が気になる方や糖尿病の予防に関心がある方にぜひ食べてほしい食材なのか、その具体的な「4つの大きな理由」を、最新の研究結果や少しマニアックな視点も交えながら、分かりやすく徹底的に解説していきます!

この記事を読み終わる頃には、あなたもきっと「今すぐくるみを買いに行こう!」と思っているはずですよ。それでは、さっそく見ていきましょう!

2. 理由①:低GI値で血糖値対策

くるみが糖尿病対策の救世主とされる一つ目の理由、それは「驚きの低GI値」にあります!

血糖値スパイクは万病のもと

まず、糖尿病対策で最も避けたいのが「血糖値スパイク」です。これは、食事によって糖質を摂取した後に、血糖値がジェットコースターのように急上昇し、その後急降下する現象を指します。

私たちが食事をすると、食べ物に含まれる糖質がブドウ糖に分解され、血液中に入って血糖値が上がります。すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、ブドウ糖をエネルギーとして細胞に取り込ませることで、血糖値を下げてくれます。

しかし、血糖値が急上昇すると、すい臓は「大変だ!」と慌ててインスリンを大量に分泌します。この「インスリンの大量分泌」が何度も繰り返されると、すい臓は疲れ果ててしまいます。

さらに恐ろしいのは、インスリンが大量に出続けていると、細胞がインスリンの言うことを聞かなくなり、ブドウ糖を取り込みにくくなる「インスリン抵抗性」という状態に陥ることです。これが、日本人に最も多い「2型糖尿病」の始まりなんです。

また、血糖値スパイクによる血糖値の乱高下は、血管の内壁を直接傷つけ、動脈硬化を促進させます。これが心筋梗塞や脳梗塞につながるほか、糖尿病の恐ろしい合併症である「網膜症(失明の原因)」「腎症(透析の原因)」「神経障害(足の壊疽など)」のリスクを一気に高めてしまうのです。

驚異の「GI値15」が持つ意味

そこで重要になるのが「GI値(グリセミック・インデックス)」です。これは、食品を食べた後の血糖値の上がりやすさを、ブドウ糖を100として相対的に示した数値のこと。

一般的に、GI値が70以上の食品を「高GI食品」、56~69を「中GI食品」、55以下を「低GI食品」と分類します。

例えば、私たちが主食としてよく食べる食パンのGI値は約90、白米は約85と、非常に高い「高GI食品」です。これらを食べると、血糖値は一気に急上昇します。

では、気になる「くるみ」のGI値はどれくらいだと思いますか?

なんと、「約15」なんです!

これは、全食品の中でもトップクラスの低さです。低GI食品の基準である55をはるかに下回っています。りんご(約40)や玄米(約55)と比べても、その低さは圧倒的ですよね。

GI値が15ということは、食べても血糖値が「ほとんど上がらない」と言っても過言ではありません。

なぜ、くるみはこんなにもGI値が低いのでしょうか?その秘密は、くるみの栄養成分にあります。くるみは成分の約7割が脂質で、さらに食物繊維も豊富です。

この「豊富な脂質」と「食物繊維」が、胃腸内での消化・吸収のスピードを物理的にゆっくりにしてくれるのです。糖質が非常に少ない上に、そのわずかな糖質の吸収さえも穏やかにしてくれるため、食後の血糖値スパイクを強力に防ぐことができます。

間食を「くるみ」に変える血糖値コントロール術

この低GIという特性を活かす絶好のタイミング、それは「間食(おやつ)」です。

例えば、午後3時。ちょっと小腹が空いて、仕事の集中力も切れてきた……。ここで、甘いクッキー(GI値 約70)やチョコレート(ミルクチョコのGI値 約90)を口にしたらどうなるでしょうか?

血糖値は急上昇し、すい臓はインスリンを大量分泌。一時的に元気が出たように感じますが、その直後、インスリンの効果で血糖値が急降下し、かえって強い眠気やだるさ、さらなる空腹感に襲われることになります。これはまさに「血糖値スパイク」の典型です。

では、この間食を「くるみ」に変えたらどうでしょう?

くるみ(GI値 約15)を食べても、血糖値はほとんど上がりません。インスリンの分泌もごく少量で済み、すい臓にまったく負担がかかりません。

さらに、くるみの良質な脂質と食物繊維、そして歯ごたえ(咀嚼)のおかげで、満腹感が長く持続します。血糖値が安定しているので、その後の空腹感や眠気に悩まされることも少なくなります。

1日の中で最も血糖値が乱れやすい「間食」を、高GIのお菓子から低GIの「くるみ」に置き換える。たったこれだけの習慣で、1日の血糖値の波は驚くほど穏やかになり、糖尿病予防に直結するのです。これが、くるみを選ぶべき一つ目の大きな理由です!

3. 理由②:α-リノレン酸とインスリン

くるみが糖尿病対策に優れている二つ目の理由は、その「脂質の質」にあります。

「脂質」のイメージを覆す、くるみの実力

「くるみは脂質の塊。カロリーが高いから糖尿病には良くない」――これは、非常によくある誤解です。

確かに、くるみは100gあたり約700kcalあり、その成分の約7割を脂質が占めています。カロリーだけ見れば高エネルギー食品であることは間違いありません。

しかし、糖尿病対策において重要なのは、カロリーの「量」だけではなく、栄養素の「質」です。特に脂質は、「どんな種類の脂質を摂るか」が健康を大きく左右します。

脂質には、大きく分けて「飽和脂肪酸」(主にお肉やバターなどの動物性脂肪)と、「不飽和脂肪酸」(主に魚や植物油)があります。

一般的に、摂りすぎると健康リスクになるとされるのは「飽和脂肪酸」や、人工的に作られる「トランス脂肪酸」です。

一方、くるみに含まれる脂質のほとんどは「不飽和脂肪酸」です。そして、その中でも特に注目すべき成分が、オメガ3脂肪酸の一種である「α-リノレン酸(アルファ-リノレン酸)」です。

このα-リノレン酸は、私たちの体内で作ることができない「必須脂肪酸」であり、食品から積極的に摂取する必要があります。くるみは、ナッツ類の中でもこのα-リノレン酸の含有量が群を抜いて多いことで知られています。

糖尿病の根本原因「インスリン抵抗性」とは?

ここで、2型糖尿病の根本的な原因である「インスリン抵抗性」について、もう少し詳しくお話しします。

先ほど、インスリンは細胞にブドウ糖を取り込ませるホルモンだと説明しました。これを「鍵」と「鍵穴」に例えてみましょう。インスリンが「鍵」で、細胞の表面にあるインスリンを受け取る場所(受容体)が「鍵穴」です。

健康な状態なら、すい臓から分泌された「鍵(インスリン)」が、スムーズに「鍵穴(受容体)」に差し込まれ、細胞のドアが開いてブドウ糖が取り込まれます。

しかし、肥満や運動不足、食生活の乱れなどが続くと、この「鍵穴」がサビついたり、ゴミが詰まったりして、「鍵」がうまく刺さらない状態になってしまいます。これが「インスリン抵抗性」です。

「鍵」が効かないため、すい臓は「もっと鍵が必要だ!」と勘違いし、さらに大量のインスリンを作り続けます。この無理がたたって、やがてすい臓は疲弊し、インスリンを十分に作れなくなってしまいます。これが糖尿病の発症メカニズムです。

救世主「α-リノレン酸」の働き(研究紹介)

この厄介な「インスリン抵抗性」、つまり「鍵穴のサビつき」を改善してくれるのではないかと期待されているのが、くるみに含まれる「α-リノレン酸」なんです!

名古屋大学大学院医学系研究科が行った「愛知職域コホート研究」など、国内外の多くの研究で、α-リノレン酸を含むオメガ3脂肪酸の摂取が、インスリンの効き目を良くする(インスリン感受性を改善する)可能性が示唆されています。(Source 2.2)

また、アメリカのオレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の報告でも、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸が体内で変換されてできるEPAやDHAも含む)の摂取が、2型糖尿病患者、特に血中のトリグリセライド(中性脂肪)が高い人々に有効である可能性が指摘されています。(Source 2.3)

つまり、くるみの「良質な脂質」は、太る原因になるどころか、糖尿病の根本原因である「インスリン抵抗性」の改善をサポートしてくれる、非常に重要な栄養素なのです。

マニアック解説:細胞膜を柔らかくする脂質

「なぜ、脂質がインスリンの効きを良くするの?」と不思議に思いますよね。ここで少しマニアックな話をします。

私たちの体は約37兆個の細胞からできていますが、その一つ一つの細胞を包んでいる「細胞膜」は、主に脂質でできています。

この細胞膜の「質」は、私たちが食べた脂質の「質」に直結します。

例えば、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸ばかりを食べていると、細胞膜は硬く、柔軟性を失っていきます。

逆に、くるみに含まれるα-リノレン酸のような良質なオメガ3脂肪酸をしっかり摂っていると、細胞膜はしなやかで柔らかい、流動性の高い状態に保たれます。

インスリンが働くための「鍵穴(受容体)」も、この細胞膜の上に存在しています。細胞膜がカチカチに硬くなっていると、鍵穴も正常に働くことができません。

α-リノレン酸は、細胞膜を健康でしなやかな状態に保つことで、「鍵穴」がスムーズに「鍵」を受け取れるように、細胞レベルでインスリンの働きを助けてくれる、というわけです。

くるみを食べることは、体の内側から細胞膜の質を高め、インスリンが効きやすい体質づくりをサポートすることにつながるのです。これが二つ目の理由です!

4. 理由③:食物繊維で糖の吸収を緩く

くるみが糖尿病対策に役立つ三つ目の理由は、豊富に含まれる「食物繊維」です。

くるみは「食物繊維」も優秀

くるみというと「脂質」のイメージが強いですが、実は食物繊維も非常に優秀な供給源です。

くるみ一掴み(適量とされる約28g)あたりには、約2gの食物繊維が含まれています。(Source 1.1)

「たった2g?」と思うかもしれませんが、これは同じ重さで比較すると、食物繊維が多いとされるキャベツ(100gあたり1.8g)やレタス(100gあたり1.1g)よりも効率的に摂取できることを意味します。おやつとして手軽につまむだけで、貴重な食物繊維を補給できるのは大きな魅力です。

食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類があり、どちらも健康維持に欠かせません。くるみには、この両方がバランスよく含まれています。

食物繊維が「血糖値スパイク」を抑える仕組み

では、この食物繊維が、どのようにして糖尿病対策に貢献してくれるのでしょうか?

一つは、理由①の「低GI」の秘密とも重なりますが、「糖の吸収スピードを遅らせる」働きです。

特に「水溶性食物繊維」は、胃腸の中で水分を吸うと、ネバネバとしたゲル状に変化します。このゲルが、一緒に食べた食事(特に糖質)を物理的に包み込みます。

糖質が包み込まれると、小腸の壁から血液中へ吸収されるスピードが非常にゆっくりになります。

糖質がゆっくり吸収されれば、食後の血糖値の上昇も緩やかになりますよね?そうです、これにより「血糖値スパイク」が強力に抑制され、インスリンの過剰な分泌を防ぎ、すい臓への負担を大幅に減らすことができるのです。

また、「不溶性食物繊維」は、胃腸で水分を吸って大きく膨らみます。これにより、少量でも満腹感が得られやすくなり、食事全体の「食べ過ぎ」を防ぐ効果も期待できます。糖尿病対策の基本である「カロリーコントロール」にも一役買ってくれるわけです。

腸内環境と糖尿病の意外な関係

そして、食物繊維のもう一つの重要な働きが「腸内環境の改善」、いわゆる「腸活」です。

「腸活と糖尿病って、何か関係があるの?」――実は、大ありなんです!

食物繊維(特に水溶性食物繊維)は、腸内に住むビフィズス菌や酪酸菌といった「善玉菌」の大好物なエサ(プレバイオティクス)になります。

善玉菌は、このエサを食べて発酵し、「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質を作り出します。この「短鎖脂肪酸」(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)が、近年の研究で、私たちの健康、特に血糖値コントロールにおいて驚くべき働きをすることが分かってきました。

短鎖脂肪酸は、腸から吸収されて全身を巡るのですが、その過程で「GLP-1(ジーエルピーワン)」というホルモンの分泌を促すことが知られています。

このGLP-1は、通称「痩せホルモン」とも呼ばれており、医療現場では糖尿病の治療薬としても使われているほど、血糖値コントロールの鍵を握るホルモンです。

GLP-1には、以下のような素晴らしい働きがあります。

  1. 血糖値の上昇に応じて、すい臓に働きかけ、インスリンの分泌を促す。

  2. 胃の動きをゆっくりにし、食べ物の消化・吸収を遅らせる(満腹感を持続させる)。

  3. 食欲を抑える働きがある。

つまり、「くるみの食物繊維を摂る」→「腸内の善玉菌が元気になる」→「短鎖脂肪酸が作られる」→「GLP-1(痩せホルモン)の分泌が促される」→「インスリンの働きが助けられ、血糖値が安定しやすくなる」という、まさに理想的なサイクルが生まれるのです!

くるみの食物繊維は、単に糖の吸収を物理的に遅らせるだけでなく、腸内環境を介して、私たちの体が本来持っている「血糖値を下げる力」まで高めてくれる。これが三つ目の強力な理由です。

5. 理由④:マグネシウム不足と糖尿病

くるみが糖尿病対策に貢献する四つ目の理由。それは、見落とされがちですが非常に重要なミネラル、「マグネシウム」が豊富に含まれている点です。

見落としがちなミネラル「マグネシウム」

マグネシウムと聞いても、カルシウムや鉄分に比べて、いまいちピンとこないかもしれません。しかし、マグネシウムは私たちの体内で、なんと300種類以上(一説には600種類以上)もの酵素の働きを助ける「補酵素」として機能する、まさに「縁の下の力持ち」的な必須ミネラルです。

その働きは多岐にわたりますが、特に重要なのが「エネルギー代謝」と「糖代謝」への関与です。

私たちが食事から摂ったブドウ糖を、細胞がエネルギー(ATP)として利用する過程には、多くの酵素が関わっています。マグネシウムは、これらの酵素が正常に働くために不可欠です。

さらに、すい臓からインスリンが「分泌」される瞬間や、そのインスリンが細胞の「鍵穴(受容体)」に結合して「作用」する瞬間など、血糖値コントロールに関わるほぼ全てのステップで、マグネシウムが潤滑油のように働いているのです。

現代日本人の「隠れマグネシウム不足」

こんなにも重要なマグネシウムですが、残念ながら、現代の日本人の多くは「不足しがち」であると指摘されています。

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日のマグネシウム推奨量は、30代~40代の女性で290mg、同年代の男性で370mgとされています。

しかし、令和元年の「国民健康・栄養調査」の結果を見ると、20歳以上の日本人のマグネシウム平均摂取量は、1日あたり247mg。男女ともに、ほとんどの世代で推奨量に達していないのが現状です。

特に、東京慈恵会医科大学の横田邦信教授らの研究によると、現代日本人は1日に平均して120mg以上ものマグネシウムが不足している可能性がある、とも推定されています。(Source 2.3)

なぜ、こんなにも不足してしまうのでしょうか?

主な原因は、食生活の変化にあります。

かつての日本食は、マグネシウムが豊富な玄米や雑穀、海藻類、豆類、ごまなどを多く使っていました。

しかし、食の欧米化が進み、主食が精製された「白米」や「精製小麦粉(パンや麺類)」に偏ってしまったことが大きな原因です。穀物は精製される過程で、栄養豊富な胚芽や表皮が取り除かれますが、マグネシウムの約80%以上がこの部分に含まれているため、ごっそりと失われてしまうのです。(Source 2.2)

加えて、加工食品やファストフードの多用、ストレス社会もマグネシウム不足に拍車をかけています。ストレスを感じると、体は防御反応としてマグネシウムを尿から余計に排出してしまうことも分かっています。(Source 2.5)

マグネシウム不足が「糖尿病」を招く

この「隠れマグネシウム不足」が、糖尿病リスクを高める一因になっているのではないかと、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。

体内のマグネシウムが不足すると、一体どうなるでしょうか?

  • 糖をエネルギーに変える代謝がスムーズに進まなくなる。

  • すい臓からのインスリン分泌が滞りやすくなる。

  • 細胞の「鍵穴(受容体)」がインスリンに反応しにくくなる(=インスリン抵抗性が高まる)。

つまり、マグネシウムが足りないだけで、血糖値が下がりいくい体質になってしまうのです。

実際に、福岡県で行われている有名な疫学調査である「久山町研究」(九州大学医学部)でも、マグネシウムの摂取量が少ないグループは、糖尿病の発症リスクが高まる傾向にあることが報告されています。(Source 3.2)

また、国立がん研究センターなどが行った多目的コホート研究(JPHC Study)や、海外の複数の研究を統合したメタアナリシス(統計解析)においても、「マグネシウムの摂取量が多いほど、2型糖尿病の発症リスクは有意に低い」という結果が一貫して示されています。(Source 3.1, 3.3)

「くるみ」は手軽なマグネシウム補給源

糖尿病対策のために、マグネシウムがいかに重要か、お分かりいただけたかと思います。

ここで「くるみ」の登場です!くるみは、この不足しがちなマグネシウムを手軽に補給できる、非常に優れた食品なのです。

くるみには、100gあたり150mgのマグネシウムが含まれています。(Source 1.1)

1日の適量である一掴み(約28g)を食べると、約42mgのマグネシウムを摂取できます。

これは、1日の推奨量に対して大きな割合ではありませんが、不足しがちな現代の食生活において、「おやつ」や「間食」という形で、毎日手軽に貴重なミネラルをプラスできる点は、計り知れないメリットです。

日々の食事で不足しがちなマグネシウムを、「くるみ」で賢く補給する。これも、くるみが糖尿病対策に選ばれる、四つ目の確かな理由なのです。

6. まとめ:私のくるみ糖尿病対策

さて、これまで「くるみ」が糖尿病対策や血糖値コントロールになぜこれほど優れているのか、4つの具体的な理由を詳しく解説してきました!

「くるみ」が糖尿病対策の最強タッグである理由

最後におさらいしましょう。

  1. 理由①:驚きの低GI値(約15)
    食べても血糖値がほとんど上がらず、「血糖値スパイク」を強力に防ぎます。

  2. 理由②:良質な脂質(α-リノレン酸)
    糖尿病の根本原因である「インスリン抵抗性」を改善し、インスリンが効きやすい体質づくりをサポートします。

  3. 理由③:豊富な食物繊維
    糖の吸収を物理的に遅らせると同時に、「腸活」を通じてインスリンの働きを助ける「GLP-1(痩せホルモン)」の分泌も促します。

  4. 理由④:豊富なマグネシウム
    不足しがちな必須ミネラルを補い、糖の代謝やインスリンの分泌・作用を細胞レベルでサポートします。

くるみの凄いところは、これらの栄養素が「すべて一緒に摂れる」ことです。低GIで血糖値スパイクを防ぎながら、同時にインスリンの効き目を良くし、腸内環境まで整えてくれる。これらが複合的に、そして相乗効果を生み出しながら働くからこそ、くるみは糖尿病対策の「スーパーフード」と呼ばれるのです。

約束!「適量」を守る勇気

ここまで、くるみの素晴らしい点ばかりをお話ししてきましたが、最後に一つだけ、絶対に守っていただきたい「大切なお約束」があります。

それは、「食べ過ぎないこと」です!

何度もお伝えした通り、くるみは脂質が豊富で、100gあたり約700kcal(Source 1.1)と、食品の中でもトップクラスの高カロリー食材です。

いくら体に良いからといって、テレビを見ながら一袋まるごと食べてしまっては、あっという間にカロリーオーバー。体重増加につながり、糖尿病対策としては完全に逆効果になってしまいます。

では、「適量」とはどれくらいでしょうか?

一般的に推奨されているのは、1日に「一掴み(手のひらに軽く一杯)」程度です。

具体的には、重さにして約25g~30g。カロリーは約200kcal前後。

くるみの粒の大きさ(半割りか丸ごとか)にもよりますが、半割りのくるみ(ハワード)で6~8個程度が目安となります。

「美味しいから、つい手が伸びてしまう…」という方は、あらかじめ1日分を小皿に出しておいたり、小分けのパック製品を選んだりする工夫が大切ですよ。

私が実践!「くるみファースト」体験談

ここで、筆者である私が実際に毎日実践している、おすすめの「くるみ」の食べ方をご紹介しますね。

それは、食事の最初に「3粒」だけ食べる、その名も「くるみファースト」です!

「ベジファースト(野菜を先に食べる)」は有名ですが、その応用編です。

食事の最初に、よく噛んでくるみを3粒(約10g弱)ほど食べます。

なぜ最初かというと、理由②(脂質)と理由③(食物繊維)の効果を最大化するためです。

先に脂質と食物繊維を胃腸に入れておくことで、後から入ってくるご飯やパンなどの糖質の吸収を穏やかにし、血糖値スパイクの「防波堤」になってもらうイメージです。

食前に3粒程度なら、食事全体のカロリーにもさほど響きませんし、よく噛むことで満腹中枢も刺激され、その後の食事のドカ食い防止にもなりますよ。

選ぶなら「無塩・素焼き」一択!

スーパーやコンビニでくるみを選ぶ際にも、ぜひチェックしてほしいポイントがあります。

それは、「無塩」そして「素焼き(ロースト)」を選ぶことです。

おつまみ用として売られているものには、塩(ナトリウム)で味付けされているものが多いです。塩分の摂りすぎは、高血圧はもちろん、糖尿病のリスクも高めることが知られていますので、必ず「食塩不使用」や「無塩」タイプを選びましょう。

また、製造工程で油で揚げた(フライ)ものではなく、油を使わずに焙煎した「素焼き」タイプを選んでください。余計な脂質(特に酸化した油)を摂取するのを避けるためです。

簡単!毎日の「ちょい足し」アレンジ

そのまま食べるのに飽きてしまったら、こんなアレンジはいかがですか?

  1. 砕いてサラダにかける
    いつものサラダに、砕いたくるみをトッピングするだけ。カリカリとした食感が加わって満足感がアップしますし、くるみの良質な脂質(オメガ3)が、野菜に含まれる脂溶性ビタミン(ビタミンA, E, Kなど)の吸収率を高めてくれます。

  2. 無糖ヨーグルトにトッピング
    無糖のヨーグルトに、くるみと(お好みで)少量のブルーベリーなどを加えます。くるみの食物繊維(プレバイオティクス)と、ヨーグルトの乳酸菌(プロバイオティクス)が合わさり、最強の「腸活」メニューになりますよ!

  3. 和え物にする
    茹でたほうれん草や小松菜、インゲンなどと和えるのもおすすめです。すり鉢で軽くすり潰したくるみと、お醤油、そしてお砂糖の代わりにラカントなどの低糖質甘味料で和えれば、立派な副菜「くるみ和え」の完成です。

あなたも今日から「くるみ」で賢く対策

糖尿病対策や血糖値コントロールは、「我慢」や「禁止」ばかりでは長続きしません。大切なのは、「賢く選ぶ」こと。

美味しくて、栄養満点で、満足感も高い「くるみ」は、あなたの食生活の強力な味方になってくれます。

あなたも今日から、毎日の生活に「くるみ」を上手に取り入れて、楽しみながら賢く糖尿病対策を始めてみませんか?

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。