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プロが教える!くるみ佃煮の黄金比レシピ【保存版】

2025.09.09
プロが教える!くるみ佃煮の黄金比レシピ【保存版】

いつもの食卓に、もう一品。香ばしい風味と甘じょっぱい味わいが魅力の「くるみ佃煮」を加えてみませんか?ご飯のお供やお茶請けはもちろん、チーズと合わせておつまみにしたり、サラダのトッピングにしたりと、実はアレンジ無限大の万能常備菜なんです。 「でも、作るのは手間がかかりそう…」と感じる方もご安心ください。

この記事を読めば、フライパンひとつで初心者でも美味しく作れる簡単レシピが分かります。基本の作り方から意外な活用法まで、くるみ佃煮の新しい魅力を発見してみましょう。

1. お店の味を我が家で!本格くるみの佃煮作り

今回は、お茶請けにも、ごはんのお供にも、そしてお酒のアテにもなる、まさに万能常備菜の代表格「くるみの佃煮」の作り方を、あなたにご紹介したいと思います!

でも、ただのレシピ紹介記事だと思ったら大間違いですよ。せっかくご家庭で作るのですから、お店で「これ、美味しい!」と感動するような、本格的で深みのある味わいを目指してみませんか?この記事では、基本のレシピから、ちょっと意外な組み合わせが楽しいアレンジレシピまで、合計4つの本格的な「くるみの佃煮」レシピを、プロの視点で徹底的に深掘り解説していきます。「なるほど、だからこのひと手間が大切だったんだ!」「この調味料にはそんな役割があったのね!」なんて、科学的な根拠や料理のコツに触れながら、たくさんの発見を楽しんでいただけるはずです。

そもそも「くるみ」という食材は、美味しさだけでなく、私たちの体にとって嬉しい栄養素がぎっしり詰まったスーパーフードなんです。例えば、くるみにはオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が、ナッツ類の中でもトップクラスの含有量を誇ります。アメリカ合衆国農務省(USDA)の食品成分データベースによると、生のくるみ100gあたり約9gも含まれているんですよ。これは、健康維持に欠かせない必須脂肪酸で、体内で生成することができないため、食事から積極的に摂取したい栄養素です。さらに、抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンE、食物繊維、マグネシウム、亜鉛といったミネラルも豊富。まさに「食べるサプリメント」と言っても過言ではありません。

そんな栄養満点のくるみを、日本の伝統的な調理法である「佃煮」にするというのは、実は非常に理にかなった食べ方なんです。「佃煮」は、江戸時代に江戸の佃島(現在の中央区佃)の漁師たちが、売れ残った小魚を醤油や砂糖で煮詰めて保存食にしたのが始まりと言われています。甘辛い味付けは、食材の旨味を引き立てるだけでなく、保存性を高める先人の知恵の結晶。この素晴らしい調理法とくるみが融合することで、日持ちがして、毎日少しずつ美味しく栄養補給ができる、最高の常備菜「くるみの佃煮」が誕生するのです。

さあ、前置きが長くなりましたが、ここからが本番です。くるみのポテンシャルを最大限に引き出す、とっておきのレシピの世界へ、あなたをご案内します。一緒に絶品の「くるみの佃煮」作りを楽しみましょう!

2. 基本の王道!ツヤが美しい甘じょっぱいくるみの佃煮

何事もまずは基本をしっかりと押さえることが、上達への一番の近道ですよね。ここでは、誰からも愛される定番の味わい、甘じょっぱさが後を引く「基本のくるみの佃煮」のレシピを、これでもかというほど詳しく解説していきます。このレシピをマスターすれば、他のアレンジもきっと上手くいくはずです。美味しさの秘訣は、ズバリ「くるみの徹底した下処理」と「調味料の黄金比」。この二つを制する者が、くるみの佃煮を制すると言っても過言ではありません!

くるみの下処理が美味しさの鍵

「くるみって、そのまま煮ちゃダメなの?」と思ったあなた。もちろん、それでも佃煮は作れます。でも、お店で食べるような、雑味のないクリアで上品な味わいを求めるなら、この下処理こそが最も重要な工程なんです。

くるみの薄皮には「タンニン」という成分が含まれています。タンニンはポリフェノールの一種で、ワインや緑茶にも含まれる渋みの元。これが、くるみの「えぐみ」や「渋み」の原因となります。このタンニンを丁寧に取り除くことで、くるみ本来のコクと甘みがぐっと引き立つのです。

具体的な手順は、まずくるみをたっぷりの水に一晩(8時間以上)浸けておくこと。こうすることで、水溶性であるタンニンの一部が水に溶け出してくれます。一晩経つと、水が茶色く濁っているのがわかるはず。これが、渋みが抜けている証拠です。

そして、ここからが本番。水に浸けておいたくるみの水を切り、鍋に移して新しい水をひたひたになるまで注ぎ、火にかけます。沸騰したら火を少し弱めて2〜3分茹で、ザルにあけてお湯を捨てます。これを「茹でこぼし」と言い、この作業を最低でも2回、できれば3回繰り返してください。加熱することで、水だけでは抜けきらないタンニンやアクが効率的に除去され、くるみの細胞も柔らかくなり、味が染み込みやすくなるという効果もあります。面倒に感じるかもしれませんが、このひと手間が、あなたの作る「くるみの佃煮」を劇的に美味しくする魔法の工程。ぜひ、騙されたと思って試してみてください。

黄金比率の調味料でプロの味

下処理で最高の状態になったくるみを、最高の味付けで仕上げていきましょう。私が長年の試行錯誤の末にたどり着いた、基本の調味料の黄金比率は**「醤油:みりん:砂糖=2:2:1」**です。

  • 醤油(割合:2): 味の土台となる塩味と、大豆由来の豊かな旨味(グルタミン酸)を加えます。製品によって塩分濃度が異なるので一概には言えませんが、一般的な濃口醤油を使うのがおすすめです。丸大豆醤油などを使うと、よりまろやかで深い味わいになります。

  • みりん(割合:2): 上品な甘みと、料理に美しい「照り」を与えてくれる重要な調味料です。みりんに含まれる糖分とアルコールが、食材の臭みを消し、コクを生み出します。ぜひ、米と米麹、焼酎だけで作られた「本みりん」を使ってください。みりん風調味料とは、仕上がりの風味と照りが格段に違います。

  • 砂糖(割合:1): しっかりとした甘みを加え、味の輪郭をはっきりとさせます。クセのない上白糖が、くるみの風味を邪魔しないので最適です。

  • 隠し味の日本酒(醤油と同量程度): 最後に、隠し味として日本酒を少しだけ加えます。日本酒の持つ豊富なアミノ酸が旨味をさらにプラスし、全体の風味を豊かにまとめ上げてくれます。もちろん、調理の過程でアルコールは飛ぶので、お子様でも安心して食べられます。

この比率をベースに、下処理したくるみ100gに対して、醤油大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、日本酒大さじ2、そして水100ml程度を鍋に入れ、中火で煮詰めていきます。

煮詰め加減の見極め方

最後の難関が、火を止めるタイミング、つまり「煮詰め加減」です。これを失敗すると、冷めた時に佃煮がカチカチの飴のようになってしまったり、逆に味がぼやけてしまったりします。

最高の状態で仕上げるコツは、「少し煮汁が残るくらいで火を止める」こと。具体的には、木べらで鍋底をなぞった時に、一瞬だけ鍋底が見えるくらいの濃度がベストです。鍋を傾けると、とろりとした煮汁がゆっくりと全体に流れるような状態、と言えばイメージしやすいでしょうか。

なぜ煮詰めすぎると固まるのかというと、調味料に含まれる砂糖やみりんの糖分が、加熱によって水分が飛ぶことで濃度を増し、冷えた時に再結晶化してしまうからです。特に、160℃を超えるとカラメル化が急激に進み、飴状に固まってしまいます。火を止めた後も、鍋の余熱で水分は少しずつ蒸発していきます。その余熱調理まで計算に入れて、少し早めに火から下ろす勇気が、プロの仕上がりを生むのです。

保存方法と期間

完成したくるみの佃煮は、粗熱が取れたら、必ず煮沸消毒するなどして清潔にした密閉容器に入れて保存しましょう。冷蔵庫で保存すれば、2週間から1ヶ月程度は美味しくいただけます。さらに、小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れれば、冷凍保存も可能です。冷凍すれば2ヶ月以上持ちますし、食べる時は自然解凍するだけで、作りたてに近い食感と風味が蘇ります。たくさん作って、日々の食卓に役立ててくださいね。

3. 大人の風味!実山椒が香るくるみの佃煮レシピ

基本の甘じょっぱいくるみの佃煮をマスターしたら、次はいよいよ大人の階段を上る時です。甘いだけの佃煮では物足りない、というあなたにこそ試していただきたいのが、この「実山椒が香るくるみの佃煮」。くるみの濃厚なコクと甘じょっぱいタレに、実山椒の爽やかな香りと、舌の上でピリッと弾けるような刺激が加わると、それはもう、ため息が出るほどの絶品おつまみに変身するんです。日本酒や焼酎が好きな方なら、きっとこの魅力の虜になること間違いありません。

実山椒で風味をプラス

山椒のあの独特の風味は、日本のハーブ、あるいはスパイスとして古くから親しまれてきました。その主役となる成分が、辛味成分の「サンショオール」と、香り成分の「シトロネラール」などです。サンショオールがもたらす痺れるような辛さは、ただ辛いだけでなく、味覚を鋭敏にする効果があるとも言われ、料理の味わいをより深く感じさせてくれます。そして、柑橘類を思わせる爽やかな香りは、くるみの持つ油分をさっぱりとさせ、濃厚な佃煮の後味をキリッと引き締めてくれるのです。この甘さ、しょっぱさ、コク、香り、そして痺れという五味が見事に調和した複雑な味わいこそ、大人のための「くるみの佃煮」の真骨頂と言えるでしょう。

香りを操る!山椒投入のタイミング

このレシピで最もマニアックかつ重要なこだわりポイントが、「山椒を鍋に入れるタイミング」です。いつ加えるかによって、香りや辛みの立ち方が全く変わってくるので、あなたの好みに合わせて調整してみてください。

  • 香りを最大限に活かしたいなら「火を止める直前」に
    山椒の爽やかな香りの元となる精油成分は、非常に揮発性が高く、熱に弱い性質を持っています。そのため、フレッシュで鮮烈な香りを楽しみたい場合は、佃煮がほぼ完成し、火を止める直前に「追い山椒」のように加えるのがベストです。煮汁とさっと和える程度にすれば、食べる瞬間に口の中でプチっと弾け、華やかな香りが鼻へと抜けていきます。

  • 痺れる辛みをじっくり染み込ませたいなら「煮込みの途中」から
    逆に、山椒のピリリとした刺激的な辛みを、くるみの中までじっくりと染み込ませたい場合は、煮込みの初期段階、あるいは途中から加えるのがおすすめです。辛味成分であるサンショオールは、油に溶けやすい性質を持っています。くるみ自体が持つ良質な油分と、煮汁の熱によって、辛味成分がじっくりとくるみに移っていき、噛みしめるたびに奥から痺れが広がるような、深みのある味わいに仕上がります。

どちらが良いというわけではありません。香りを取るか、辛みを取るか。ぜひ両方試してみて、あなただけのベストなタイミングを見つけるのも、料理の醍醐味の一つですよ。

どの山椒を使う?種類別ガイド

「実山椒」と一言で言っても、実は様々な状態で市販されています。それぞれに特徴があるので、手に入りやすいものや、目指す味わいに合わせて選んでみましょう。

  • 生の実山椒: 5月〜6月頃の短い期間だけ出回る、旬の味覚です。その香りの鮮烈さは、他の加工品とは比べ物になりません。ただし、アクが強いので、使う前に下処理が必要です。塩を入れた熱湯で7〜8分ほど、指で潰れるくらいの柔らかさになるまで茹で、その後冷水に1時間ほどさらしてアクを抜きます。このひと手間をかける価値のある、最高の風味を約束してくれます。

  • 塩漬けの実山椒: 生の山椒を塩で漬け込んだもので、通年手に入りやすいのが魅力です。使う際は、水に30分〜1時間ほど浸して塩抜きをする必要があります。時々味見をして、好みの塩加減になったら水気を切って使います。程よい塩気と山椒の風味が両方楽しめる、バランスの取れた選択肢です。

  • 山椒の佃煮: すでに調理済みの「山椒の佃煮」や「葉山椒の佃煮」を、くるみの佃煮に加えるという、最も手軽な方法です。これ自体に味がついているので、くるみの佃煮を作る際の醤油や砂糖の量を少し控えるのが美味しく作るコツ。失敗が少なく、安定した美味しさが得られます。

おすすめのペアリング

この実山椒のくるみの佃煮には、やはりキリッとした日本酒が最高の相棒です。特に、米の旨味を感じさせつつも後味はスッキリと切れる、辛口の純米酒や特別純米酒などがおすすめ。山椒の爽やかな香りが、日本酒の持つ吟醸香と重なり合い、くるみのコクが酒の旨味を増幅させてくれます。まさに、お互いを高め合う最高のマリアージュ。今夜の晩酌が待ちきれなくなりますね。

4. コクと深み!黒糖と生姜で仕上げるくるみの佃煮

いつもの「くるみの佃煮」に、マンネリを感じていませんか?そんなあなたに、ぜひ一度挑戦していただきたいのが、この「黒糖と生姜で仕上げるくるみの佃煮」です。いつもの調味料である上白糖を「黒糖」に変えるだけ。たったそれだけで、いつもの佃煮が、まるで老舗和菓子屋の逸品のような、驚くほどコクと深みのある味わいに生まれ変わるんです。こっくりとした濃厚な甘さは、一度食べたら忘れられない、クセになる美味しさですよ。

黒糖がもたらす奥深い甘み

「砂糖なんて、どれも同じじゃないの?」と思われがちですが、上白糖と黒糖は全くの別物です。精製されてショ糖の純度が99%以上である上白糖に対し、黒糖はサトウキビの搾り汁を、ろ過してそのまま煮詰めて固めたものです。そのため、精製の過程で取り除かれてしまうカルシウム、カリウム、鉄分、マグネシウムといったミネラル分が豊富に含まれています。この豊富なミネラル分こそが、黒糖独特の複雑で豊かな風味、そして「コク」の正体なのです。

この黒糖をくるみの佃煮に使うと、単に甘いだけでなく、キャラメルのような香ばしさや、ほんのりとした苦味、そして滋味深い旨味が加わります。特に、くるみが持つ油分と黒糖のコクは相性抜群で、お互いの良さを引き立て合い、なんとも奥深い味わいのハーモニーを奏でます。もし手に入るなら、沖縄県産や鹿児島県産の、サトウキビだけで作られた「純黒糖」と呼ばれる塊のものを使ってみてください。粉末タイプよりも風味が強く、より本格的な仕上がりになりますよ。塊の黒糖は、包丁の背などで叩くと簡単に砕くことができます。

生姜で後味スッキリ

黒糖を使った佃煮は、その濃厚さが魅力である一方、ともすると味がくどくなりがちです。そこで登場するのが、名脇役の「生姜」。生姜の持つ、あの爽やかでキリッとした香りと辛みが、黒糖の濃厚な甘さを絶妙に引き締め、後味を驚くほどすっきりとさせてくれるのです。

生姜の香り成分である「シネオール」や「シトラール」は、料理に爽快感を与え、辛味成分である「ジンゲロール」や「ショウガオール」は、味覚に心地よい刺激を与えてくれます。この生姜の働きによって、こっくりと甘いのに、いくらでも食べられてしまう。そんな魔法のような「くるみの佃煮」が完成します。

ここでのマニアックポイントは「生姜の使い方」。皮をむき、細い千切りにした生姜を、くるみと一緒に最初から煮込むのがおすすめです。こうすることで、生姜の風味が煮汁全体に行き渡り、くるみの中までしっかりと染み込みます。生姜の食感も楽しみたい場合は少し太めの千切りに、風味だけをつけたい場合はすりおろして加えるなど、切り方によっても仕上がりが変わるので、色々試してみてくださいね。高知県産の新生姜などを使うと、繊維が柔らかく、香りもマイルドで特におすすめです。

ほうじ茶と共に楽しむ

この黒糖と生姜のくるみの佃煮は、緑茶やコーヒーよりも、実は「ほうじ茶」や「番茶」との相性が抜群なんです。その理由は、お茶の「焙煎香」にあります。ほうじ茶や番茶は、茶葉を高温で焙煎(ほうじる)して作られます。この過程で生まれる「ピラジン」という香ばしい香りの成分が、黒糖の持つカラメルのような香ばしい風味と見事に調和するのです。さらに、ほうじ茶や番茶は、カフェインが少なくタンニンも穏やかなので、黒糖と生姜のしっかりとした味わいを邪魔することなく、優しく包み込んでくれます。温かいほうじ茶を淹れて、この佃煮を一口。そんなほっこりとしたお茶の時間が、日々の疲れを癒してくれることでしょう。

さらなるアレンジ

このレシピは、アレンジの幅が広いのも魅力の一つです。例えば、細かく刻んだレーズンやドライいちじくを一緒に煮込むと、洋風のニュアンスが加わり、ワインにも合うおつまみに変身します。また、最後にシナモンパウダーをほんの少し振りかけると、さらにエキゾチックで深みのある香りを楽しむことができますよ。あなたのアイデアで、さらに美味しい「くるみの佃煮」を完成させてみてください。

5. 旨味の掛け算!ちりめんじゃことくるみの佃煮

さあ、いよいよ最後のレシピのご紹介です!これはもう、反則級の美味しさ。白いごはんが無限に食べられてしまう、危険な創作レシピ「ちりめんじゃことくるみの佃煮」です。香ばしいくるみのカリッとした食感と、噛むほどに旨味が溢れ出すちりめんじゃこ。この二つが甘辛いタレの中で出会ってしまったら…想像するだけで、お腹が空いてきませんか?旨味と旨味の掛け算が生み出す、最高のハーモニーをぜひ体験してください。おにぎりの具にすれば、ご家族から歓声が上がること間違いなしです!

じゃこの下処理で香ばしさアップ

このレシピの成否を分けると言っても過言ではないのが、「ちりめんじゃこの下処理」です。スーパーで買ってきたじゃこを、そのまま煮汁に投入していませんか?それでは、じゃこが持つ独特の生臭さが煮汁に移ってしまい、せっかくの佃煮が台無しになってしまう可能性があります。

プロの技は、じゃこを「乾煎り」すること。油を引いていないフライパンにちりめんじゃこを入れ、弱火でじっくりと、木べらなどで絶えず混ぜながら煎っていきます。目的は、じゃこが持つ余分な水分を飛ばし、生臭さを消し去ると同時に、香ばしい風味を最大限に引き出すことです。この香ばしさの正体は、じゃこに含まれるアミノ酸と、ごく微量に含まれる糖分が、加熱によって反応して起こる「メイラード反応」という化学変化によるもの。ステーキを焼いた時や、パンをトーストした時の、あの食欲をそそる香ばしい香りと色づきと同じ原理です。

じゃこがフライパンの上でサラサラと音を立て始め、少し色づいてカリッとした手触りになったら乾煎りは完了の合図。このひと手間を加えるだけで、じゃこの旨味が凝縮され、香ばしさが格段にアップします。まるで高級なふりかけのような、風味豊かなじゃこに変身するのです。

旨味を逃さないタレの絡め方

この佃煮は、主役が「くるみ」と「ちりめんじゃこ」の二人。両方にしっかりと美味しいタレをまとわせ、味の一体感を生み出すことが重要です。そのため、基本のレシピよりも少しだけ調味料を多めに用意するのがポイントです。

下処理済みのくるみを先にタレで煮込み、基本のレシピと同様に、煮汁が少しとろりとするまで煮詰めます。そして、火を止める直前に、乾煎りしておいたちりめんじゃこを投入し、全体を大きく混ぜ合わせてタレを絡めます。なぜ最後に入れるのかというと、カリカリに仕上げたじゃこの食感を残したいからです。長時間煮込んでしまうと、じゃこが水分を吸ってしまい、ふにゃっとした食感になってしまいます。くるみのカリッと感と、じゃこのカリカリ感。この二つの異なる食感のコントラストが、この佃煮の大きな魅力なのです。

アレンジ自在!お弁当にも最適

この「ちりめんじゃことくるみの佃煮」は、ごはんのお供として最強なのはもちろん、その活用法の幅広さも自慢です。

  • 混ぜご飯: 温かいごはんに混ぜ込むだけで、絶品の混ぜご飯が完成。大葉の千切りや白ごまを加えれば、彩りも香りもさらにアップします。

  • お茶漬け: ごはんの上にこの佃煮を乗せ、熱々のお茶や出汁をかけるだけ。じゃこの塩気と旨味がだしに溶け出し、サラサラとかきこめる最高の締めの一杯になります。

  • 冷奴のトッピング: いつもの冷奴に乗せれば、立派な一品料理に。ごま油を少し垂らすと、風味が増しておすすめです。

  • サラダのアクセント: グリーンサラダにトッピングすれば、食感と塩味、旨味のアクセントになります。和風ドレッシングとの相性は言うまでもありません。

  • パスタの具材: ペペロンチーノの具材として使うのも面白いですよ。ニンニクと唐辛子の風味に、和風の旨味が意外なほどマッチします。

さらに、ちりめんじゃこはカルシウムが非常に豊富な食材。文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、しらす干し(半乾燥品)100gあたり520mgものカルシウムが含まれています。美味しく食べながら、骨の健康にも役立つなんて、嬉しいこと尽くめですよね。日持ちもするので、お弁当のおかずの隙間を埋めるのにもぴったり。お子様からご年配の方まで、家族みんなに喜ばれること請け合いの、我が家の定番「くるみの佃煮」になるはずです。

6. 【あなた好みはどれ?】4種のくるみの佃煮食べ比べ

ここまで4つの本格的な「くるみの佃煮」レシピをご紹介してきましたが、「どれも美味しそうで、どれから作ろうか迷っちゃう!」と思っていませんか?その気持ち、よーく分かります!そこで、食いしん坊ライターである私が、この4種類のくるみの佃煮を実際にすべて作り、家族と一緒に食べ比べてみました。それぞれの味わいの違いや、家族のリアルな反応を、実食レポートとしてお届けします。ぜひ、あなたの「くるみの佃煮」選びの参考にしてくださいね。

4種のくるみの佃煮 徹底比較

まずは、それぞれの佃煮の特徴を分かりやすく比較表にまとめてみました。甘さやしょっぱさのバランス、そしてどんなシーンで食べるのがおすすめか、一目でチェックできますよ。

【くるみの佃煮レシピ比較表】

レシピ 甘さ しょっぱさ 特徴 おすすめシーン
基本の甘じょっぱい ★★★☆☆ ★★★☆☆ まさに王道の味。美しい照りと、誰もが好きな甘辛バランスが魅力。 毎日の食卓に。お茶請け、白いごはんのお供に。
実山椒が香る ★★☆☆☆ ★★★☆☆ 爽やかな山椒の香りとピリッとした刺激がクセになる、キレのある大人の味。 日本酒や焼酎のおつまみに。気分をリフレッシュしたい時に。
黒糖と生姜 ★★★★☆ ★★☆☆☆ 黒糖ならではの濃厚なコクと深い甘み。生姜が後味を爽やかに引き締める。 ほうじ茶や番茶と一緒に。疲れた時のご褒美おやつとして。
ちりめんじゃこ入り ★★☆☆☆ ★★★★☆ くるみのコクに、じゃこの強い旨味と塩気が加わった、ごはんが主役の佃煮。 おにぎりの具、お弁当のおかず、お茶漬けに。

この表からも分かるように、同じ「くるみの佃煮」という名前でも、使う材料によって味わいの方向性が全く異なるのが面白いですよね。「基本」は甘さと塩味のバランスが取れた中心的な存在。「実山椒」は甘さを抑えてキレを出し、「黒糖と生姜」は甘さとコクを深め、「ちりめんじゃこ」は塩気と旨味を前面に押し出した味わいです。

我が家の実食レポート

さて、いよいよ我が家の食卓での実食レポートです。メンバーは、お酒好きな夫と、小学生の息子、そして何を隠そうこの私。小皿に4種類の佃煮を並べて、いざ、食べ比べスタートです!

真っ先にすべての味を試した息子の手が、意外にも一番に伸びたのは「実山椒が香るくるみの佃煮」でした!「お母さん、これ、なんだかピリピリするけど美味しい!このピリピリがなんか好き!」と大好評。小学生にはまだ山椒の刺激は早いかな?なんて思っていたのは、私の勝手な思い込みでした。子供の味覚の可能性に驚かされた瞬間です。くるみの甘みが、山椒の辛さをマイルドに感じさせてくれたのかもしれません。

一方、夫は一口食べるなり「うーん、これは…間違いなく日本酒だな」とニヤリ。やはり彼のお気に入りは「実山椒」のようでした。「この爽やかな香りと痺れが、辛口の冷酒に絶対合う。ちびちびやりながら、永遠に飲んでいられる最高の肴だ」と絶賛し、その日の晩酌のアテに早速採用されていました。また、「ちりめんじゃこ入り」については、「これは反則だろ!明日の朝、絶対にごはんに乗せて食べる!」と、朝ごはんへの期待に胸を膨らませていました。

そして、個人的に一番心を掴まれたのは、「黒糖と生姜のくるみの佃煮」でした。口に入れた瞬間に広がる、黒糖の優しくて、でもどっしりと深みのある甘み。それを追いかけるように、生姜の爽やかな香りが鼻に抜け、後味をすっきりとまとめてくれる…。この味わいのコントラストがたまりませんでした。なんだか、一日頑張った心と体に、じんわりと染み渡るような滋味深さがあるんです。温かいほうじ茶を淹れて、この佃煮を2、3粒つまむ時間が、最高の癒やしのひとときになりました。

あなただけの「くるみの佃煮」を見つけよう

今回の食べ比べでは、家族それぞれにお気に入りが分かれるという、面白い結果になりました。やはり味の好みは人それぞれ。だからこそ、料理は面白いんですよね。

この記事を読んでくださったあなたも、ぜひ「これだ!」と思うレシピから挑戦してみてください。そして、もし基本の味に慣れてきたら、今回ご紹介したレシピをベースに、あなただけのアレンジを加えてみるのも楽しいですよ。例えば、基本のレシピに七味唐辛子を加えてピリ辛にしてみたり、黒糖のレシピにシナモンやクローブなどのスパイスを加えてチャイ風にしてみたり。あなたのアイデア次第で、「くるみの佃煮」の世界は無限に広がっていきます。

心を込めて丁寧に作った「くるみの佃煮」が、あなたの毎日の食卓を、ほんの少し豊かで楽しいものにしてくれることを、心から願っています。ぜひ、あなただけのお気に入りの「くるみの佃煮」を見つけてくださいね!

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。