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くるみは何歳から?管理栄養士が解説する注意点と与え方

2025.07.27
くるみは何歳から?管理栄養士が解説する注意点と与え方

栄養豊富なスーパーフードとして知られる「くるみ」。お子さんの成長のためにも、ぜひ食事に取り入れたいですよね。でも、「一体何歳から与えていいの?」「アレルギーが心配…」と悩んでいませんか?

この記事では、お子様にくるみを与え始めるのに最適な時期や、アレルギーのリスク、安全な与え方のポイントを分かりやすく解説します。初めてのくるみ、親子で安心してスタートしましょう。

1. くるみって何歳から食べさせていいの?

「栄養豊富なクルミ、いつから子どもに食べさせていいの?」という疑問に、早速お答えしますね!

結論から言うと、クルミを「粒のまま」で与えるのは、早くても5歳以降を目安にしてください。これは、消費者庁からも注意喚起が出ている非常に大切なポイントです。なぜなら、硬くて丸いクルミは、子どもの喉に詰まる「誤嚥(ごえん)」のリスクが非常に高い食品だからです。

ただ、「じゃあ5歳までクルミは一切ダメなの?」というと、そういうわけでもありません。アレルギーに十分注意する必要はありますが、細かくすり潰してペースト状やパウダー状にすれば、離乳食後期の9〜11ヶ月頃から試すことができます

大切なのは、「何歳になったらOK」と年齢だけで判断するのではなく、お子さんの「食べる力」、つまり咀嚼(そしゃく)と嚥下(えんげ)の発達段階に合わせて、適切な形状で与えることなんです。

消費者庁の公式な注意喚起

消費者庁では、子どもの食品による窒息・誤嚥事故を防ぐため、具体的な食品名を挙げて注意を呼びかけています。2021年3月に発表された資料「食品による子供の窒息・誤嚥事故に御注意ください!」の中でも、ナッツ類は「硬くて噛み砕く必要があり、気管に入りやすいもの」として明確に記載されています。

そして、特に注意が必要な年齢として「5歳頃までは、ナッツ類や豆類は食べさせないようにしましょう」とはっきりと述べられています。これは、多くの子どもが5歳くらいまでは、食べ物を上手に噛み砕き、飲み込む機能がまだ未熟だからです。

「うちの子は歯がしっかり生えているから大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、奥歯が生えそろって大人と同じように力強く噛めるようになるのは、もっと先のこと。また、噛むことと飲み込むことの連携プレーも、まだ練習中なのです。だからこそ、国が公式に「5歳」という具体的な年齢を示して、私たちに注意を促してくれているのですね。

小児科医や専門家の考え方

小児科のお医者さんや管理栄養士などの専門家の間でも、この「粒のままのナッツ類は5歳以降」という考え方は共通認識となっています。日本小児科学会のウェブサイト「JAPAN PEDIATRIC SOCIETY」でも、子どもの窒息予防に関する提言の中で、ピーナッツなどのナッツ類を危険な食品として挙げています。

なぜ専門家がこれほどまでに慎重な姿勢を示すのか。それは、子どもの気管の直径が非常に小さいことが関係しています。大人の気管の直径が約15〜20mmなのに対し、3歳児の気管の直径は約6〜7mmしかありません。これは、だいたいストローと同じくらいの太さです。小さく砕いたつもりのクルミのかけらでも、この細い気管にすっぽりとハマってしまう危険性があるのです。

一方で、栄養面から見ると、クルミは非常に優れた食材です。特に、赤ちゃんの脳の発達に良いとされるオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が豊富に含まれています。そのため、適切な方法でリスクを排除すれば、離乳食期から取り入れたいと考える専門家もいます。

その「適切な方法」というのが、「加熱して、なめらかなペースト状にすり潰すこと」です。この形状であれば、誤嚥のリスクはほぼなくなり、アレルギーにさえ注意すれば、離乳食後期(9〜11ヶ月頃)からでも安全に栄養を摂ることが可能になります。

まとめると、以下のようになります。

  • 粒のままのクルミ: 誤嚥・窒息のリスクが極めて高いため、5歳以降が目安。

  • ペーストやパウダー状のクルミ: アレルギーに注意しつつ、離乳食後期(9〜11ヶ月頃)から少量ずつ試せる。

この後の章で、なぜ5歳まで待つべきなのかという理由や、安全な与え方をさらに詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

2. 一番怖いのは誤嚥!何歳からくるみを与えるかよりも大事

「うちの子はもう3歳だし、奥歯もしっかり生えてるから、少しくらいなら大丈夫かな?」

「お友達はもう食べているみたいだし…」

そう思われる気持ち、とてもよく分かります。でも、クルミを粒のまま与えるのは、もう少しだけ待ってあげてほしいのです。ここでは、なぜ「5歳」という年齢が重要なのか、その具体的な理由と、万が一の時のための対処法について、詳しくお話ししますね。知っておくだけで、お子さんを危険から守ることができますよ。

なぜ5歳まで待つべき?子どもの「噛む力」と「飲み込む機能」の未熟さ

5歳という目安には、子どもの体の発達に基づいた、ちゃんとした理由があります。ポイントは「咀嚼(そしゃく)機能」「嚥下(えんげ)機能」、そして「気管の細さ」の3つです。

まだまだ発達途中!子どもの「咀嚼機能」

「歯が生えそろった」と言っても、大人のように自由自在に食べ物を噛み砕けるわけではありません。

  • 乳歯の完成時期: 子どもの歯、つまり乳歯20本が全て生えそろうのは、個人差はありますが、だいたい2歳半〜3歳頃です。しかし、これはあくまで「生えそろった」だけで、歯の根がしっかり安定し、噛む力が強くなるにはさらに時間が必要です。

  • 噛む力の弱さ: 大人の噛む力(咬合力)が自分の体重とほぼ同じくらいの約50〜70kgなのに対し、幼児の噛む力はその半分以下と言われています。硬いクルミを、喉に詰まらないくらい細かく、まんべんなく噛み砕くのは、子どもにとって至難の業なのです。

  • すり潰す動きの未熟さ: 私たち大人は、臼(うす)のような形をした奥歯で、食べ物を巧みにすり潰しています。しかし子どもは、まだこの「すり潰す」という動きが上手にできません。前歯でかじり取り、奥歯で数回ガチガチと噛むだけで飲み込もうとしがちです。そのため、思った以上に大きな塊のまま、喉の奥へと送られてしまうのです。

噛むことと飲み込むことの連携プレーが苦手

食べ物を飲み込む「嚥下機能」も、まだまだ発達の途中です。

  • 注意散漫になりがち: 子どもは、食事中に遊びたくなったり、テレビに気を取られたり、おしゃべりに夢中になったりすることがよくありますよね。このような「ながら食べ」は、噛むことや飲み込むことへの集中力を欠いてしまい、食べ物が誤って気管に入るリスクを高めます。

  • 咳で押し出す力が弱い: もし食べ物が気管に入りかけても、大人は強い咳をして異物を排出する力(咳反射)が備わっています。しかし、子どもはこの咳のパワーも弱いため、一度気管に入ってしまったものを自力で出すのが難しいのです。

東京大学大学院教育学研究科の発達保育実践政策学センター(Cedep)の研究でも、幼児期の咀嚼機能の発達には個人差が大きく、食べ物を適切に処理する能力が徐々に獲得されていく過程であることが示されています。焦らず、お子さん一人ひとりのペースを見守ることが大切ですね。

もしもの時のために!窒息の応急処置

万が一、お子さんが喉に何かを詰まらせてしまった時のために、正しい応急処置の方法を知っておくことは、親としてとても重要です。慌てず、冷静に対処できるように、頭の片隅に入れておいてください。

まず確認すること

  • 声が出せるか?咳をしているか?

    • YESの場合: 咳をできるだけ続けさせてください。咳は、異物を排出しようとする体の自然な反応です。むやみに背中を叩くと、かえって異物を奥に押し込んでしまう可能性があるので、自力で咳をしている時は見守りましょう。

    • NOの場合(声が出せず、顔色が悪くなるなど): これは窒息のサインです。すぐに救急車(119番)を要請し、到着までの間、以下の応急処置を開始してください。

【1歳未満の乳児の場合】背部叩打法(はいぶこうだほう)

  1. 救助者(あなた)の腕の上に、赤ちゃんをうつ伏せに乗せます。この時、赤ちゃんの顔を支え、頭が体より低くなるように傾けます。

  2. もう片方の手のひらの付け根で、赤ちゃんの背中(肩甲骨の間)を、力強く5回連続で叩きます。

  3. 異物が出ない場合は、赤ちゃんを仰向けにして、胸の真ん中(乳首と乳首を結んだ線の少し下)を2本指で5回、力強く圧迫します(胸骨圧迫)。

  4. 異物が出るか、救急隊が到着するまで、この「背部叩打法5回」と「胸骨圧迫5回」を繰り返します。

【1歳以上の幼児の場合】背部叩打法と腹部突き上げ法(ハイムリック法)

  1. 背部叩打法: まずは乳児と同じように、背中の真ん中(肩甲骨の間)を、手のひらの付け根で力強く数回叩きます。

  2. 腹部突き上げ法(ハイムリック法):

    • 子どもの後ろに回り、両腕を子どもの胴体に回します。

    • 片方の手で握りこぶしを作り、親指側を子どものおへその少し上に当てます。

    • もう片方の手でその握りこぶしを掴み、素早く手前上方向(自分の体がある方向)に向かって、圧迫するように突き上げます。

    • これを数回繰り返します。

【重要】 腹部突き上げ法は、内臓を傷つけるリスクもあるため、1歳未満の乳児には絶対に行わないでください。また、処置によって異物が出た場合でも、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

これらの応急処置は、地域の消防署や日本赤十字社などが開催する救命講習で、実際に人形を使って学ぶことができます。一度体験しておくと、いざという時に自信を持って行動できますよ。

3. 知っておきたい「くるみアレルギー」の話。何歳からでも注意!

誤嚥のリスクと並んで、もう一つ知っておかなければならないのが「くるみアレルギー」です。クルミは、食物アレルギー表示制度において「特定原材料に準ずるもの」21品目の一つに含まれており、アレルギー症状を引き起こす可能性がある食品として定められています。

「アレルギーって、なんだかすごく怖そう…」と感じるかもしれませんが、大丈夫。正しい知識を持って、適切な手順で進めれば、過度に心配する必要はありません。何歳からクルミを始めるにしても、アレルギーの可能性は常に頭の片隅に置き、慎重に進めていきましょう。

どんな症状が出るの?くるみアレルギーのサイン

食物アレルギーの症状は、食べてからすぐに(多くは2時間以内に)現れる「即時型(そくじがた)アレルギー」が一般的です。もし、お子さんがクルミを初めて、あるいは久しぶりに食べた後に、以下のような症状が見られたら、アレルギーを疑ってみましょう。

  • 皮膚の症状(最も多い症状です)

    • じんましん(蚊に刺されたような、赤く盛り上がった発疹)

    • 皮膚の赤み

    • かゆみ

    • まぶたや唇の腫れ

  • 粘膜の症状

    • 目のかゆみ、充血

    • 口の中のかゆみ、イガイガする感じ(口腔アレルギー症候群)

    • 鼻水、くしゃみ

  • 呼吸器の症状

    • しつこい咳、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)

    • 声がかすれる

    • 息苦しさを訴える

  • 消化器の症状

    • 吐き気、嘔吐

    • 腹痛

    • 下痢

これらの症状が複数、同時に、そして急激に現れる状態を「アナフィラキシー」と呼びます。さらに、血圧が低下して意識がもうろうとするなど、命に関わる危険な状態になることを「アナフィラキシーショック」と言います。これは非常に緊急性の高い状態なので、ためらわずに救急車を呼んでください。

他のナッツや果物との関係は?

くるみアレルギーを持つ人は、他のナッツ類にもアレルギー反応を示すことがあるので注意が必要です。特に、ペカンナッツ(ピーカンナッツ)は、クルミとタンパク質の構造が非常に似ているため、高い確率で交差抗原性(こうさこうげんせい)を示すことが知られています。クルミにアレルギーがある場合は、ペカンナッツも避けるのが賢明です。

また、カバノキ科の植物(シラカンバ、ハンノキなど)の花粉症がある場合、果物や野菜を食べた時に口の中がかゆくなる「口腔アレルギー症候群(OAS)」を起こすことがあります。クルミは、このカバノキ科花粉症と関連する食物の一つとしても知られています。春先に鼻水や目のかゆみがあるお子さんの場合は、少し注意が必要かもしれません。

初めてのくるみ、安全に進めるための4ステップ

では、実際に初めてクルミ(ペースト状のもの)を試す時、どうすれば安全に進められるのでしょうか。以下の4つのステップを守るようにしてください。これは、クルミに限らず、初めての食材に挑戦する時の基本の「き」です。

ステップ1:ごくごく少量からスタートする

初めて口にする量は、本当に「ごく少量」にしましょう。具体的には、清潔なスプーンの先にほんの少し、または耳かき1さじ程度で十分です。これで問題がなければ、次は小さじ1/8、その次は小さじ1/4…というように、数日かけて少しずつ量を増やしていきます。焦りは禁物です!

ステップ2:平日の午前中に試す

万が一アレルギー症状が出てしまった場合に、すぐに病院に行けるように、かかりつけの小児科が開いている平日の午前中に試すのがベストです。夕方や夜間、土日祝日は、救急外来を探すことになり、時間もかかって親子の負担が大きくなってしまいます。スケジュールに余裕のある日を選んで、落ち着いて挑戦しましょう。

ステップ3:お子さんの体調が良い日を選ぶ

風邪気味だったり、お腹の調子が悪かったり、機嫌が良くなかったり…。そんな時は、新しい食材への挑戦はお休みにしましょう。体調が万全でないと、体の免疫システムが過敏になっている可能性があり、アレルギー反応が出やすくなったり、症状が普段より重く出たりすることがあります。また、それがアレルギー症状なのか、体調不良によるものなのか、判断がつきにくくなってしまいます。

ステップ4:他の新しい食材と混ぜない

初めてクルミを試す日は、クルミ単体で与えるようにしましょう。例えば、初めてのクルミと初めてのキウイを混ぜたヨーグルトを与えてしまうと、もしアレルギー症状が出た時に、どちらが原因なのか分からなくなってしまいます。原因を特定しやすくするためにも、「初めて」は一つずつ、が鉄則です。

これらのステップを踏むことで、アレルギーのリスクを最小限に抑えることができます。お子さんの様子をしっかり観察しながら、安全なくるみデビューをサポートしてあげてくださいね。

4. 【年齢別】安全なくるみの与え方ガイド!何歳からか丸わかり

「誤嚥とアレルギーのリスクは分かったけど、じゃあ具体的にどうやって調理して食べさせればいいの?」

そんなあなたのための、具体的な実践ガイドです!ここでは、お子さんの成長段階に合わせたクルミの与え方を、3つのステップに分けて詳しくご紹介します。簡単なアレンジレシピも載せているので、ぜひ今日から試してみてくださいね。

【9ヶ月〜1歳半頃】ペーストやパウダーで離乳食に挑戦

この時期は、咀嚼機能がまだほとんど発達していないため、誤嚥のリスクが全くない、なめらかなペースト状やパウダー状にすることが絶対条件です。

自家製くるみペースト&パウダーの作り方

市販のペーストも便利ですが、ご家庭でも意外と簡単に作れますよ。

【用意するもの】

  • 食塩・油不使用の生のクルミ

  • フライパン

  • すり鉢とすりこ木(またはフードプロセッサー)

  • (ペーストにする場合)少量のお湯または白湯

【作り方】

  1. 加熱処理をする: クルミには、リステリア菌などが付着している可能性がゼロではありません。また、加熱することでアレルゲン性(アレルギーを引き起こす性質)が少し低下するとも言われています。フライパンで軽く、焦げ付かないように弱火で5分ほど乾煎りするか、160℃に予熱したオーブンで8〜10分ほどローストします。香ばしい香りがしてきたらOKです。

  2. 薄皮をむく: 加熱したクルミは、キッチンペーパーなどで軽くこすると、渋みの原因となる薄皮がある程度むけます。完全にむかなくても大丈夫ですが、むいた方がより滑らかな仕上がりになります。

  3. 粉砕する:

    • パウダーの場合: 冷ましたクルミをすり鉢に入れ、ゴリゴリと根気よくすり潰します。だんだん油分が出てきてしっとりしてきますが、気にせず続けて、サラサラのパウダー状を目指しましょう。

    • ペーストの場合: フードプロセッサーがあれば一番簡単です。冷ましたクルミを入れて、なめらかになるまで撹拌します。途中、側面に張り付いたものをゴムベラで落としながら、根気よく回し続けるのがポイントです。硬すぎる場合は、少量のお湯や白湯を加えて、好みの滑らかさに調整してください。

離乳食アレンジレシピ

作ったペーストやパウダーは、いつもの離乳食に少し加えるだけで、風味と栄養がぐんとアップします!

  • くるみがゆ: 10倍がゆや7倍がゆに、ごく少量のくるみペーストを混ぜるだけ。ほんのり甘く香ばしい風味になります。

  • かぼちゃのくるみ和え: マッシュしたかぼちゃやさつまいもに、くるみペーストを少量混ぜます。野菜の甘みとクルミのコクが相性抜群です。

  • くるみ入りパン粥: 食パンとミルクで作るパン粥に、くるみパウダーをパラリ。タンパク質も一緒に摂れます。

  • ヨーグルトにミックス: プレーンヨーグルトに混ぜれば、手軽な朝食やおやつになります。

【1歳半〜3歳頃】細かく刻んで食感に慣れる第一歩

奥歯が生え始め、少しずつカミカミが上手になってくるこの時期。でも、まだまだ油断は禁物です。ペースト状からステップアップして、「細かく刻んだ」クルミに挑戦してみましょう。

「細かく刻む」の目安と注意点

  • 大きさの目安: 包丁で、ゴマ粒くらいか、それよりも細かくなるまで、しっかりと刻んでください。フードプロセッサーで数秒だけ軽く撹拌するのも良い方法です。

  • 与える時の注意: 必ず大人がそばで見守り、しっかりカミカミできているか、口の動きを確認しながら与えてください。食べることに集中できるよう、テレビは消して、座って食べる習慣をつけましょう。

アレンジレシピ

  • ヨーグルトのトッピング: プレーンヨーグルトに、きな粉やバナナと一緒にパラパラと振りかけて。

  • パンケーキや蒸しパンの生地にIN: ホットケーキミックスの生地に、細かく刻んだクルミを混ぜ込んで焼きます。熱が加わることで、さらに香ばしさが増しますよ。

  • ひき肉料理のかさ増しに: ハンバーグやミートボールのタネに少量混ぜ込むと、食感のアクセントと栄養価アップになります。

  • おにぎりに混ぜて: ご飯に、しらすや青のりと一緒に刻みクルミを混ぜて握れば、いつもと違った風味のおにぎりが楽しめます。

【3歳〜5歳頃】粗く刻んで咀嚼のトレーニング

噛む力がさらに強くなり、上手に食べ物を口の中で移動させられるようになってくる時期です。少しだけクルミの存在感が感じられる「粗く刻んだ」状態で、咀嚼のトレーニングをしていきましょう。

「粗く刻む」の目安

包丁で、2〜3mm角くらいを目安に刻みます。この時期も、まだ粒のまま与えるのは危険です。必ず「刻む」という一手間を忘れないでください。お子さんの食べる様子をよく観察し、上手に噛み砕けているか確認しながら、少しずつ粒の大きさを調整していくのがポイントです。

アレンジレシピ

  • サラダのトッピング: グリーンサラダやポテトサラダの上に、食感のアクセントとして散らします。

  • 和え物にプラス: ほうれん草のごま和えならぬ「くるみ和え」に挑戦!すりごまの代わりに、少し粗めに刻んだクルミと醤油、砂糖で和えるだけ。

  • 手作りクッキーやマフィンに: お子さんと一緒に作るおやつの定番、クッキーやマフィンの生地に混ぜ込んでみましょう。「これは〇〇ちゃんが混ぜたクルミだね!」と話しながら食べると、食への興味も深まります。

  • 鶏肉のくるみ焼き: 叩いて薄く伸ばした鶏むね肉に、細かく刻んだパン粉と粗く刻んだクルミを混ぜたものを衣としてつけて、フライパンでソテーします。香ばしくて満足感のある一品になります。

このように、年齢と発達に合わせて形状を変化させていくことで、安全にクルミの美味しさと栄養を取り入れることができます。「くるみは何歳から?」という問いの答えは、お子さんの「今」をしっかり見つめることにあるのかもしれませんね。

5. 【体験談】我が家のくるみデビュー!4歳で挑戦したリアルな感想

こんにちは!管理栄養士で、一児の母でもある私です。これまで、くるみを与える際の注意点や方法について、少し専門的なお話も交えながら解説してきました。でも、「理屈は分かったけど、実際どうなの?」と感じる方もいらっしゃいますよね。

そこで、この章では、私が実際に4歳になったばかりの娘に初めて「刻みくるみ」をあげてみた時の、リアルな体験談をお話ししたいと思います!ドキドキの準備から、娘の意外な反応まで、包み隠さずお届けしますね。

デビューの舞台は「手作りくるみパン」!

娘はもともとパンが大好き。特に、レーズンやチーズが入ったパンに目がありません。そこで、「これなら警戒せずに食べてくれるかも?」と考え、デビューの舞台は「手作りくるみパン」に決定しました!

【作戦会議:安全第一で進めるために】

  1. クルミの形状: 4歳とはいえ、まだまだ油断は禁物。粒のままは絶対にNGです。買ってきた生のクルミをオーブンで160℃で10分ローストし、香ばしさを引き出してから、包丁で3mm角くらいに、かなり細かく刻みました。

  2. 実行日: もちろん平日の午前中です。その日はたまたま夫も在宅ワークの日だったので、万が一何かあってもすぐに対応できる、という安心感もありました。娘の体調も機嫌もバッチリ!

  3. 伝えること: 「今日は、パンの中に新しいお友達が入っているんだよ。カリカリしてて美味しいんだ。よーくカミカミして食べてみてね」と、事前にポジティブな言葉で伝えました。ただ「クルミ」という単語は、先入観を持たせないように、あえて使いませんでした。

【いざ、実食!娘の反応は…?】

焼き立てのパンのいい香りに、娘は「わー!いいにおい!」と大喜び。早速ちぎって、小さな口に運びます。

私:「どう?何か入ってるの、分かる?」

娘:「んー?(もぐもぐ)…なんかね、カリってする!」

私:「おっ、いいね!美味しい?」

娘:「うん、おいしい!このカリカリ、すき!」

結果は、大成功!心配していたような、口から出してしまうとか、嫌がるそぶりは全くありませんでした。むしろ、パンの中から「カリカリ(クルミ)」を探して、宝物のように見せてくれるほど(笑)。

その後、アレルギー症状が出ないか、食後2時間はドキドキしながら様子を観察していましたが、皮膚の赤みや痒み、咳なども一切なく、無事にデビューを飾ることができました。

この体験を通して感じたのは、「楽しい雰囲気」と「安心できる形状」が、子どもの新しい食材への挑戦を後押ししてくれるんだな、ということです。もし私が不安そうな顔をしていたら、娘も警戒して食べてくれなかったかもしれません。

大変なママ・パパへ!市販くるみペースト3選&徹底比較

「体験談は参考になったけど、正直、毎回ペーストやすり潰しを作るのは大変…」

その気持ち、痛いほど分かります!私も、時間と心に余裕がある時しか、なかなか手作りはできません。

そんな忙しいあなたのために、ここでは私が実際に試したり、原材料を厳しくチェックしたりして選び抜いた、ベビー・キッズ向けの市販くるみペーストを3つ、ご紹介します。これなら、フタを開けるだけで、いつでも安全にクルミの栄養をプラスできますよ。

市販くるみペースト比較表

商品名 原材料のシンプルさ 甘さ 使いやすさ(テクスチャ) 特徴
manma naturals はじめてのナッツペースト(くるみ) ★★★★★ (クルミのみ) 無糖 なめらかで混ぜやすい オーガニックのクルミ100%。乳幼児用に開発されており、安心感が非常に高い。少量から試せるパウチタイプ。
千葉豆乃華 やさしいくるみペースト ★★★★☆ (くるみ, てんさい糖) ほんのり甘い 少し硬めだが、パンには塗りやすい 国産のてんさい糖を使用した、優しい甘さが特徴。パン好きの子どもにぴったり。無添加・無着色。
Tradalist 有機くるみペースト ★★★★★ (有機クルミのみ) 無糖 とろりとしていて、ソース状に近い オーガニック(有機JAS認証)のクルミを100%使用。ヨーグルトや料理に混ぜ込みやすい、なめらかなテクスチャ。

各商品の詳細レビュー

1. manma naturals はじめてのナッツペースト(くるみ)

  • 原材料のシンプルさ(★★★★★): 原材料は「有機くるみ(アメリカ産)」のみ!食塩、砂糖、油など、余計なものは一切入っていません。初めてのひとさじに、これ以上ないくらい安心できる原材料です。

  • 甘さ(無糖): クルミ本来の、ほんのりとした自然な甘みだけ。甘さをつけたい場合は、バナナやさつまいもなど、他の食材で調整できるのが良いですね。

  • 使いやすさ(★★★★★): とにかく、なめらか!離乳食初期のおかゆにも、スッと溶けて混ざります。少量ずつ使えるパウチタイプなので、衛生的なのも嬉しいポイント。「まずはひとさじだけ」を叶えてくれる、まさにデビューにぴったりの商品です。

2. 千葉豆乃華 やさしいくるみペースト

  • 原材料のシンプルさ(★★★★☆): 原材料は「くるみ、てんさい糖」。てんさい糖は、ミネラルを含み、血糖値の上昇が緩やかだとされるお砂糖です。白砂糖を使っていない点に、メーカーの優しさを感じます。

  • 甘さ(ほんのり甘い): しっかり甘いわけではなく、クルミの風味を邪魔しない、ごくごく優しい甘さです。少し味にアクセントが欲しい時や、パンに塗る時には、この甘さがちょうど良いと感じました。

  • 使いやすさ(★★★★☆): 少しだけテクスチャは硬めですが、その分パンには塗りやすいです。トーストしたパンにこれを塗るだけで、立派な朝食メニューが完成します。少し温めると、なめらかになって扱いやすくなりますよ。

3. Tradalist 有機くるみペースト

  • 原材料のシンプルさ(★★★★★): こちらも原材料は「有機クルミ」のみ。有機JAS認証を取得しているという点で、品質へのこだわりが感じられます。

  • 甘さ(無糖): manma naturals同様、クルミそのものの風味を味わえます。ローストされたクルミの香ばしさがしっかりと感じられ、大人も一緒に美味しくいただけます。

  • 使いやすさ(★★★★★): 3つの中では、比較的とろりとしていて、ソースのような感覚で使えます。ヨーグルトやアイスクリームにかけるのはもちろん、ドレッシングや和え物のベースにするなど、お料理へのアレンジの幅が広いのが魅力です。瓶タイプなので、家族みんなで使うご家庭におすすめです。

これらの市販品を上手に活用すれば、「くるみ、あげてみたいけどハードルが高いな…」という気持ちが、ぐっと軽くなるはずです。手作りと市販品、あなたのライフスタイルに合わせて使い分けながら、楽しく安全に、お子さんの食の世界を広げていってあげてくださいね。

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。