クルミ
くるみはフランス語で何?読み方・発音・例文を解説
2025.09.18
『くるみ』はフランス語で “noix”(ノワ)と言います。しかし、実はこの “noix” という単語、文脈によっては『くるみ』以外の意味にもなることをご存知でしたか?
この記事では、そんな “noix” の正しい使い方をスッキリ解説します。さらに、フランスのくるみ事情や、知っていると会話がもっと楽しくなることわざもご紹介。単語一つから広がる、奥深いフランス文化の世界を一緒に探検してみませんか?
1. 【くるみのフランス語】”noix”だけじゃない!知って得するマニアック表現6選
皆さん、こんにちは!秋の味覚の代表格「くるみ」。栄養満点で美味しいですよね。さて、この「くるみ」、フランス語で何と言うかご存知ですか?「”noix” (ノワ)でしょ?」と思ったあなた、大正解です!でも実は、フランス語のくるみの世界はもっと奥が深いんです。この記事では、基本的な言い方から、知っているとちょっと自慢できるマニアックな表現まで、くるみとフランス語にまつわる知識をたっぷりとご紹介していきますね。
「くるみ」という一つの単語にも、産地や状態によって様々なフランス語表現が存在します。さらに、日常会話で使える面白い慣用句まであるんですよ。フランスの食文化の豊かさを感じられる、興味深いテーマです。この記事を読み終える頃には、あなたの「くるみ」に関するフランス語の知識は、きっとプロ級になっているはず!それでは早速、奥深い「くるみ」とフランス語の世界へ、私と一緒に出発しましょう!
2. まずは基本から!フランス語でくるみは “noix” (ノワ)
“noix” は女性名詞
まずは全ての基本となる単語、”noix” (ノワ) からしっかりと押さえていきましょう。この “noix” こそが、フランス語で「くるみ」を意味する最も一般的な単語です。フランスのマルシェ(市場)やお菓子屋さんで「くるみ」と言いたい時は、まずこの単語を思い出してくださいね。
ここで大切な文法ポイント! “noix” は女性名詞です。フランス語の名詞には性別があるのが特徴ですが、”noix” は女性なんですね。そのため、冠詞(日本語の「一つの」や「その」にあたる言葉)を付ける時には、女性形のものを選ぶ必要があります。
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une noix (ユヌ ノワ): 一つのくるみ(不定冠詞)
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la noix (ラ ノワ): そのくるみ(定冠詞)
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des noix (デ ノワ): いくつかのくるみ(複数形の不定冠詞)
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les noix (レ ノワ): それらのくるみ(複数形の定冠詞)
単数形は “noix”、複数形も同じく “noix” と綴りは変わりませんが、発音は冠詞によって少し変わります。特に複数形の “les noix” はリエゾン(音の連結)が起こり、「レ・ノワ」と発音されます。
発音のコツは「鼻にかける」
発音も練習してみましょう!カタカナで「ノワ」と書きましたが、日本語の「ノワ」とそのまま発音するより、少し鼻に抜けるような音を意識すると、ぐっとフランス語らしくなります。フランス語特有の鼻母音というもので、”oi” の部分を「オア」と発音しながら、息を鼻から抜くイメージです。ちょっと難しいかもしれませんが、ぜひこの機会に声に出して「une noix, la noix」と練習してみてください。この小さなコツが、ネイティブのような自然なフランス語への第一歩ですよ。
“noix” を使った例文
それでは、実際に “noix” を使った例文を見てみましょう。どのように会話の中で使われるのか、イメージを膨らませてみてください。
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J’aime les gâteaux aux noix. (ジェム レ ガトー オ ノワ)
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意味:私はくるみのケーキが好きです。
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これは本当に定番の表現ですね!フランスのお菓子屋さん(Pâtisserie - パティスリー)には、くるみを使った美味しいケーキやタルトがたくさんあります。”gâteaux aux noix”(くるみのケーキ)というフレーズは覚えておくと、注文の際にとても便利です。
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Ce fromage se marie bien avec les noix. (ス フロマージュ ス マリ ビヤン アヴェック レ ノワ)
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意味:このチーズはくるみとよく合います。
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フランスといえばチーズも欠かせませんよね。特に、ロックフォールのような青カビチーズや、コンテのようなハードタイプのチーズとくるみの相性は抜群です。「〜とよく合う」という意味の “se marie bien avec 〜” は、食に関する会話で非常によく使われる便利な表現です。
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Il y a un grand noyer dans notre jardin. (イリヤ アン グラン ノワイエ ダン ノートル ジャルダン)
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意味:私たちの庭には大きなくるみの木があります。
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「くるみ」そのものは “noix” ですが、「くるみの木」は “noyer” (ノワイエ) と言います。男性名詞なので “un noyer” となります。”noix” とセットで覚えておくと、表現の幅が広がりますね。フランスの田舎道を散歩していると、立派な “noyer” に出会えることもありますよ。
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このように、基本単語 “noix” を一つ知っているだけで、様々なおしゃべりが楽しめます。まずはこの「くるみ」のフランス語の基本をしっかりマスターしてくださいね。
3. 【フランス語上級編】産地や部位でこんなに違う!くるみの表現
基本の “noix” を覚えたら、次はもっとディープな世界へ進んでみましょう!フランス語の面白いところは、一つのものでも、その産地や部位によって細かく言葉を使い分ける点にあります。これは、フランス人がいかに食文化を大切にし、素材の個性を尊重しているかの表れとも言えます。ここでは、知っていると「おっ、この人詳しいな!」と思われること間違いなしの、マニアックな「くるみ」のフランス語表現をご紹介します。
AOP認定のブランドくるみ
フランスには、優れた農産物や食品を保護するためのAOP (Appellation d’Origine Protégée) という制度があります。これは「原産地呼称保護」と訳され、特定の地域で、定められた伝統的な製法で作られた産品にのみ与えられる、いわば品質保証のラベルです。ワインやチーズで有名ですが、実はくるみにもAOPに認定されているブランドがあるんですよ!
noix de Grenoble (グルノーブル産のくるみ)
フランスくるみの代名詞とも言えるのが、この “noix de Grenoble” (ノワ ドゥ グルノーブル) です。アルプス山脈の麓に位置するグルノーブル周辺の、イゼール、ドローム、サヴォワの3県にまたがる指定地域で生産されています。
この “noix de Grenoble” は、1938年にフランスで初めてAOC(AOPの前身)に認定された、歴史と格式のあるくるみなんです。その特徴は、殻が薄くて割りやすく、実が金色がかった白色で、繊細な苦味と甘みが織りなす上品な風味にあります。特に、フランケット(Franquette)、メイランヌ(Maylanne)、パリジェンヌ(Parisienne)という3つの品種のみが栽培を許可されているという徹底ぶり。まさに、選び抜かれたエリートくるみと言えるでしょう。
フランスのパティシエたちは、その繊細な風味を活かすために、タルトやケーキ、お菓子作りにこぞってこの “noix de Grenoble” を使います。もしあなたがフランスのマルシェでこの名前を見かけたら、それは最高品質の証。少しお値段は張るかもしれませんが、その価値は十分にありますよ!
noix du Périgord (ペリゴール産のくるみ)
もう一つの有名なAOP認定くるみが、“noix du Périgord” (ノワ デュ ペリゴール) です。ペリゴール地方は、フランス南西部に位置し、フォアグラやトリュフの産地としても名高い美食の地。この豊かな大地で育つくるみは、2002年にAOPに認定されました。
“noix du Périgord” の特徴は、”noix de Grenoble” に比べてややコクがあり、力強い味わいを持つことです。栽培が許可されているのは、コルヌ(Corne)、マルボ(Marbot)、グランジャン(Grandjean)、そしてグルノーブルと同じフランケットの4品種。こちらのくるみは、そのまま食べるのはもちろん、サラダのトッピングや料理のアクセント、そしてくるみオイル(huile de noix)の原料としても非常に人気があります。
ペリゴール地方を旅すると、街道沿いにくるみの木が延々と続く壮大な風景に出会えます。この地方の食文化に、くるみがいかに深く根付いているかが分かりますね。
知っておきたい部位の名称
フランス語では、くるみの「殻」と「実」もきちんと区別して呼びます。料理やお菓子作りのレシピを読む時にも役立つので、ぜひ覚えておきましょう。
cerneau(x) de noix (殻を割った後の「実」の部分)
殻を割って取り出した、私たちが普段食べている蝶のような形をした部分。これをフランス語では “cerneau de noix” (セルノ ドゥ ノワ) と呼びます。複数形は “cerneaux de noix” (セルノ ドゥ ノワ) となります(発音は同じです)。
スーパーマーケットや食料品店で、袋詰めにされて売られている「むきくるみ」は、まさにこの “cerneaux de noix” です。殻を割る手間が省けるので、お菓子作りや料理にすぐ使えてとても便利ですよね。フランスのレシピサイトで “Ajouter les cerneaux de noix.” と書かれていたら、「くるみの実を加えてください」という意味になります。
この “cerneau” という単語は、「(脳の)半球」という意味もあり、確かにくるみの実の形と脳の形は似ていますよね。面白い関連性です。
brou de noix (くるみの青い実の皮)
これはかなりマニアックな表現ですが、知っていると面白いのが “brou de noix” (ブル ドゥ ノワ) です。これは、まだ熟していない青いくるみの実を覆っている、緑色の外皮(果皮)のことを指します。
この “brou de noix” は食用ではありません。では何に使われるかというと、なんと染料として古くから利用されてきたんです。この皮を水に浸けておくと、非常に濃い茶色の液体が抽出できます。この液体は、木材や布地を染めるための天然の着色料として、また、セピア色のインク(encre de brou de noix)としても使われてきました。レオナルド・ダ・ヴィンチも、スケッチを描く際にこの “brou de noix” から作られたインクを使っていたと言われています。
現在でも、アンティーク家具の修復や、ナチュラルな風合いを出したい時の木工用ステインとして、”brou de noix” は専門の画材店やDIYストアで販売されています。食べ物の一部が、全く違う分野で活用されているなんて、本当に興味深いですよね。これが「くるみ」のフランス語の奥深さです。
4. 日常会話で使える!「くるみ」を使ったフランス語の面白い慣用句
食べ物の名前が、全く違う意味を持つ慣用句として使われるのは、世界中の言語に共通する面白い現象ですよね。日本語でも「胡麻をする」や「味噌をつける」なんて表現がありますが、もちろんフランス語にも存在します。そして、何を隠そう、私たちのテーマである「くるみ」も、とってもユニークな意味を持つ慣用句になっているんです!
“à la noix” は褒め言葉じゃない?
今回ご紹介するのは、“à la noix” (ア ラ ノワ) という表現です。文字通りに訳すと「くるみ(風)の」や「くるみを使った」となりそうですよね。例えば “tarte à la noix” なら「くるみのタルト」かな?なんて想像してしまいます。
ところがどっこい!この “à la noix” が慣用句として使われると、全く予想外のネガティブな意味に大変身するんです。
意味:くだらない、つまらない、質の悪い、いんちきな
そう、なんと「くるみ」は、フランス語のスラングでは「価値のないもの」の象徴として使われてしまうのです!信じられないですよね。あんなに美味しくて栄養価も高いのに…。では、実際の使い方を例文で見てみましょう。
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C’est un film à la noix ! (セタン フィルム ア ラ ノワ)
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意味:なんてくだらない映画なんだ!
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期待して観に行った映画が、本当につまらなかった時に使える一言です。感情を込めて言うと、よりニュアンスが伝わります。
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Il m’a donné des excuses à la noix. (イル マ ドネ デ ゼクスキューズ ア ラ ノワ)
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意味:彼は私に、くだらない言い訳をした。
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誰かがどう見てもバレバレの、中身のない言い訳をしてきた時にも使えます。「くるみみたいな言い訳」なんて、ちょっと面白い響きですよね。
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Ne me raconte pas d’histoires à la noix ! (ヌ ム ラコント パ ディストワール ア ラ ノワ)
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意味:くだらない作り話をするな!
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“histoires” は「物語」や「話」という意味。信じがたい話や、ばかげた話を聞かされた時に使えるフレーズです。
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このように、”à la noix” は人以外の、物事や話に対して「質の低さ」や「くだらなさ」を表現するのにピッタリのスラングです。とても口語的な表現なので、友達同士の会話などで使うと、こなれたフランス語の印象を与えられますよ。ただし、少し品のない響きも持つので、目上の人やフォーマルな場での使用は避けた方が賢明です。
なぜ「くるみ」はネガティブな意味に?
では、一体なぜ、栄養満点で美味しい「くるみ」が、こんな不名誉な意味で使われるようになってしまったのでしょうか。その語源にはいくつかの説があり、はっきりとは分かっていませんが、有力な説をいくつかご紹介しますね。
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説1:価値の低いものの代名詞だった?
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昔のフランスでは、くるみはどこにでも生えていて、簡単に手に入るものだったため、「価値が低いもの」「ありふれたもの」の象徴と見なされていた、という説です。お金の代わりにくるみで支払いをしようとした、ということから来ている、なんて話もあります。今でこそ健康食品として重宝されていますが、当時は違ったのかもしれませんね。
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説2:「空っぽのくるみ」から来ている?
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固い殻を一生懸命割ったのに、中身が空っぽだったり、腐っていたりした時のガッカリ感。この「見かけ倒し」で「中身がない」というイメージから、「くだらない」「価値がない」という意味に繋がったのではないか、という説です。これはなんとなく納得できる気がします。
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説3:他の表現との混同?
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19世紀頃に使われていた “noix de galle”(没食子:ブナやナラなどの木にできる虫こぶ)という言葉があり、これが「価値のないもの」を意味していたそうです。この “galle” がいつの間にか取れて “noix” だけが残り、”à la noix” という表現になったのではないか、という説もあります。
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どの説が本当かは定かではありませんが、こうした背景を想像しながら慣用句を覚えると、より記憶に残りやすくなりますよね。「くるみ」という一つの単語が持つ、意外な二面性。これもフランス語の面白さの一つです。
5. 【要注意】これってくるみ?”noix” が付く他のナッツのフランス語
ここまで、「くるみ」そのものを指すフランス語 “noix” の世界を深掘りしてきましたが、ここで一つ注意点があります。”noix” という単語は非常に便利で、実は「くるみ」以外の様々なナッツや木の実の名前にも登場するんです。
これは、フランス語において “noix” が、もともと「殻に覆われた固い木の実」全般を指す、より広い意味合いを持っていたことに由来します。そのため、新しいナッツ類が海外からフランスに入ってきた際に、ベースとなる “noix” という単語を使って名前が作られることが多かったのです。
これを整理しておかないと、「”noix” だから、くるみの仲間かな?」と混同してしまう可能性があります。ここでは、”noix” という単語が使われているけれど、「くるみ」とは違うナッツたちのフランス語名を見ていきましょう!
noix de cajou (カシューナッツ)
まずはお馴染みの “noix de cajou” (ノワ ドゥ カジュー)。そう、カシューナッツのことです。”cajou” (カジュー) は、カシューの木を意味する “acajou” (アカジュー) から来ています。あの独特の勾玉のような形と、クリーミーな食感が美味しいですよね。フランスでは、アペリティフ(食前酒)のお供の定番として、塩味やスパイスで味付けされた “noix de cajou” がよく食べられています。アジア料理やインド料理にも欠かせない食材として、フランスの家庭でも広く親しまれています。
noix de coco (ココナッツ)
続いては、南国のイメージが強い “noix de coco” (ノワ ドゥ ココ)。これはココナッツ(ヤシの実)のことです。”coco” という響きが可愛らしいですよね。フランス語では、ココナッツミルクは “lait de coco”、ココナッツウォーターは “eau de coco” と言います。お菓子作りにも非常によく使われ、マカロンやフィナンシェ、チョコレートなどにココナッツ風味(à la noix de coco)のものがたくさんあります。特に、ココナッツの粉末をメレンゲと焼いた「コングレ」というお菓子は、フランスの伝統的な焼き菓子の一つです。
noix de muscade (ナツメグ)
これはナッツというよりスパイスですが、“noix de muscade” (ノワ ドゥ ミュスカード) も “noix” が付く仲間です。正体は、スパイスの王様とも呼ばれるナツメグ。ハンバーグの臭み消しや、ホワイトソース(ベシャメルソース)の香りづけに欠かせない、あのスパイスです。フランス料理、特に冬の煮込み料理やグラタンには必須の存在。”muscade” は「ムスク(麝香)のような香りがする」という言葉に由来しており、その名の通り、甘くエキゾチックでスパイシーな香りが特徴です。スーパーでは、ナツメグの実(種子)そのものと、それ専用のおろし金がセットで売られていることも多いんですよ。
noix de pécan (ピーカンナッツ)
アメリカ南西部原産のピーカンナッツも、フランス語では “noix de pécan” (ノワ ドゥ ペカン) と呼ばれます。くるみと形や食感が似ていますが、くるみよりも渋みが少なく、より濃厚でバターのようなコクと甘みがあるのが特徴です。そのリッチな味わいから、アメリカンスタイルの「ピーカンパイ (tarte aux noix de pécan)」はフランスでも大人気。他にもブラウニーやクッキーに入れたり、サラダに散らしたりと、様々な楽しみ方がされています。健康志向の高まりから、近年フランスでも注目度が上がっているナッツの一つです。
なぜ “noix” が使われるのか?
このように見ていくと、”noix de…” の後ろに、それぞれのナッツを特定する単語が付くことで、種類を区別していることがわかりますね。”noix” が「固い殻を持つ実」という広いカテゴリーの代表選手のような役割を果たしているわけです。
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noix de cajou: カシューの木の実
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noix de coco: ココの木の実
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noix de pécan: ピーカンの木の実
このように考えると、構造は意外とシンプルです。日本語でも「甘栗」「天津甘栗」のように、ベースとなる言葉に何かを付け加えて種類を表現することがありますが、それと似たような感覚かもしれません。
この知識があれば、フランスのスーパーで知らないナッツを見かけても、「あ、これは “noix” の仲間なんだな」と推測できるようになります。フランス語で「くるみ」と言う時は “noix” だけでOKですが、「カシューナッツ」や「ココナッツ」と言いたい時は、必ず後ろに “de cajou” や “de coco” を付けるのを忘れないようにしてくださいね!
6. 【体験談】フランスのマルシェで実践!色々なくるみを買って比べてみた
先日、念願のフランス旅行へ行ってきました!もちろん、今回の旅の目的の一つは、この記事でご紹介している様々な「くるみ」のフランス語を実際に使ってみること。特に、活気あふれるマルシェ(市場)で、お店の人とコミュニケーションを取りながら買い物をするのは、私の大きな楽しみでした。
私が訪れたのは、パリのバスティーユ広場で開かれる大きなマルシェ。色とりどりの野菜や果物、焼きたてのパン、そしてたくさんの種類のチーズやハムが並び、歩いているだけでワクワクしてきます。その一角に、ナッツやドライフルーツを専門に扱うお店を発見!山のよう積まれたナッツの中に、キラキラと輝く「くるみ」たちを見つけました。
お店のマダムに、覚えたてのフランス語で話しかけてみます。
「Bonjour Madame! (こんにちは、マダム!)」
にこやかに「Bonjour!」と返してくれたマダム。よし、勇気を出して言ってみよう!
「Je voudrais des noix de Grenoble, s’il vous plaît. Et aussi des cerneaux de noix. Quelle est la différence? (グルノーブル産のくるみをくださいな。それと、くるみの実も。違いは何ですか?)」
私の拙いフランス語を、マダムは一生懸命聞いてくれて、身振り手振りを交えながら説明してくれました。
「Ah, les noix de Grenoble AOP, elles sont excellentes! Très parfumées. (ああ、AOPのグルノーブル産くるみね、最高よ!とても香りがいいの。)」
と言いながら、殻付きのくるみを一つ、コンコンと割って「Goûtez! (味見してみて!)」と差し出してくれました。口に入れると、本当にフレッシュで、豊かな香りが鼻に抜けます!これが本場の味か…と感動。
「Les cerneaux, c’est pratique pour la cuisine, pour faire une bonne tarte aux noix! (こっちの実は、料理に便利よ。美味し〜いくるみのタルトを作るのにね!)」
とウインクするマダム。
このやり取りが楽しくて、結局、AOP認定の殻付き noix de Grenoble と、すぐに食べられる cerneaux de noix の両方を購入してしまいました。マダムとの会話を通して、言葉の意味だけでなく、その背景にある文化や人々の温かさに触れられた気がして、とても素敵な経験になりました。やっぱり、言葉は使ってみてこそ、本当に自分のものになりますね!
さて、今回私が学んだこと、そしてマルシェで体験したことを元に、「くるみ」に関するフランス語を比較表にまとめてみました。あなたのフランス語学習の参考に、そしていつかフランスを訪れる日のために、ぜひ役立ててください!
「くるみ」関連フランス語 表現比較表
フランス語 | 日本語訳 | 特徴 | 筆者の一言コメント |
noix | くるみ(総称) | 最も一般的で基本的な単語。女性名詞。冠詞は “une” や “la” を使う。マルシェやお店で単に「くるみ」と言いたい時に使う。 | まずはこの単語から覚えましょう!これが全ての基本です。発音の練習も忘れずに! |
noix de Grenoble | グルノーブル産くるみ | フランス南東部、アルプス山脈の麓が産地のAOP認定ブランド。殻が薄く、繊細で上品な風味が特徴。 | さすがブランド品!香りと風味が格別でした。お土産にも喜ばれること間違いなしです。 |
noix du Périgord | ペリゴール産くるみ | フランス南西部の美食の里、ペリゴール地方が産地のAOP認定ブランド。グルノーブル産よりコクがあり、力強い味わい。 | フォアグラやチーズと一緒に、ワインのお供にしたら最高だろうなと妄想が膨らみます! |
cerneau(x) de noix | くるみの実(殻なし) | 殻を割って取り出した食べられる部分のこと。「むきくるみ」。料理やお菓子作りにそのまま使える。 | 殻を割る手間が省けるので、ズボラな私にはありがたい存在。サラダのトッピングに大活躍! |
brou de noix | くるみの青い実の皮 | 未熟な緑色の果皮。食用ではなく、古くから茶色の天然染料やインクとして利用されてきた。 | 食べ物が染料になるなんて驚きですよね。ダ・ヴィンチも使ったかも?と思うとロマンがあります。 |
à la noix | くだらない、質の悪い | 「くるみ風の」という意味ではない慣用句(スラング)。会話で使えるとこなれた感じが出るが、使う相手や場面には注意が必要。 | まさかのネガティブな意味!このギャップが面白いですよね。親しい友人との会話で使ってみたい表現です(笑)。 |
こうして見ると、「くるみ」という一つのテーマだけで、本当にたくさんのフランス語表現があることがわかりますね。基本的な “noix” から、産地を表す “noix de Grenoble”、部位を示す “cerneau de noix”、そして意外な意味を持つ慣用句 “à la noix” まで。これらを使いこなせれば、あなたのフランス語の世界は、ぐっと豊かでカラフルになるはずです。
あなたもぜひ、次にくるみを食べる時には、そのフランス語での呼び方に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?Bon appétit! (ボナペティ!召し上がれ!)

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。