クルミ
【決定版】誰でもできるオーブンを使ったくるみローストの教科書
2025.10.01
ご家庭のオーブンでくるみをローストしたのに、「なんだか湿気っている」「部分的に焦げて苦い」なんて経験はありませんか?お店で買うようなカリッと香ばしいくるみを作るには、実はご家庭のオーブンでも簡単に実現できるコツがあるんです。
この記事では、失敗しないための「黄金の温度と時間」を徹底解説。さらに、ローストすることで得られる驚きの効果や、プロが実践する裏技までご紹介します。もう二度とくるみのローストで失敗したくない方は必見です。
1. 【永久保存版】くるみをオーブンで最高に美味しくローストする4つのマニアックなコツ
「お店で買うローストくるみって、どうしてあんなにカリッとしてて香ばしいんだろう?」と思ったことはありませんか?あの、一粒食べたら止まらなくなる魔法のような美味しさ。実は、ご家庭のオーブンでも、いくつかのコツを押さえるだけで、驚くほど美味しいプロ級のローストくるみが作れるんです!
こんにちは!ナッツをこよなく愛する私が、長年の探求の末にたどり着いた、くるみの風味を最大限に引き出すための、ちょっとマニアックだけど効果絶大な4つのローストのコツを、今回は余すことなくお伝えします。
くるみのローストは、ただオーブンに入れて焼くだけ、と思われがちですが、それは大きな誤解です。予熱の仕方から天板への並べ方、そしてオーブンから出した後の冷却方法に至るまで、一つ一つの工程に、美味しさを左右する重要な意味が隠されています。
この記事でご紹介するテクニックは、なぜそうするべきなのかという科学的な理由まで深掘りして解説していきますので、納得しながら実践していただけるはずです。これを読めば、あなたのくるみローストが劇的に変わること間違いなしですよ!もう、市販のローストくるみには戻れなくなるかもしれません。さあ、一緒に最高のオーブンローストくるみ作りを始めましょう!
2. くるみローストのコツ①:仕上がりを左右する!オーブン庫内を均一に温める「予熱」の重要性
くるみロースト成功の第一歩は、なんといってもオーブンの「予熱」です。この工程を「ただ温めるだけでしょ?」と侮ってはいけません。実は、この予熱こそが、あなたの作るくるみローストがプロ級になるか、残念な仕上がりになるかを分ける最初の関門なのです。
なぜ予熱が「命」なのか?焼きムラの科学
なぜ予熱がそれほどまでに大事かというと、熱が均一でないオーブンの庫内にくるみを入れると、深刻な「焼きムラ」ができてしまうからです。オーブンは設定温度に達するまで、ヒーターが全力で稼働します。この時、庫内は熱源の近くが極端に高温になり、場所によって温度が大きく異なる状態になっています。
そんな不安定な環境にくるみを入れたらどうなるでしょう?熱源に近い部分だけが急速に加熱されて先に焦げてしまい、中心部や隅の方にあるくるみはまだ生っぽい…なんて悲しい結果を招きます。これでは、せっかくのくるみが台無しですよね。
美味しいローストの決め手となるのが、「メイラード反応」と「カラメル化」です。メイラード反応は、くるみに含まれるアミノ酸と糖が熱によって結びつき、香ばしい香りや美味しそうな焼き色を生み出す反応のこと。これが約160℃あたりから活発になります。均一な予熱は、このメイラード反応を全てのくるみに平等に、そして最適に進めるための絶対条件なのです。
オーブンの種類を理解し、予熱を制する
ひとくちにオーブンと言っても、ご家庭によって様々な種類がありますよね。それぞれの特性を理解することも、上手な予熱のポイントです。
電気オーブンの場合
日本の家庭で最も一般的な電気オーブン。熱の立ち上がりが比較的緩やかで、庫内全体が温まるのに時間がかかる傾向があります。特に、ファンで熱風を循環させるコンベクション機能がないオーブンの場合、上下のヒーターからの熱伝導がメインになるため、庫内の上下で温度差が出やすいことも。予熱完了のサインが鳴ってからも、慌てずにじっくり待つことが大切です。
ガスオーブンの場合
パワフルな火力が魅力のガスオーブンは、熱の立ち上がりが早く、予熱時間も比較的短いのが特徴です。庫内の温度も均一になりやすいですが、その分、少し目を離した隙に焦げてしまうことも。設定温度に達するのが早いからこそ、油断せずにしっかりと庫内全体が安定するまで待つ意識を持ちましょう。
黄金の温度「160℃」とその科学的根拠
おすすめの予熱温度はズバリ「160℃」です。なぜこの温度なのでしょうか?
くるみには、健康に良いとされるオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が非常に豊富に含まれています。この素晴らしい栄養素は、実は熱に弱いというデリケートな側面も持っています。アメリカのペンシルベニア州立大学の研究によると、高温で長時間加熱すると、これらの有益な脂肪酸が酸化し、風味が損なわれるだけでなく、体にとって好ましくない物質に変化してしまう可能性が示唆されています。
180℃や200℃といった高温で短時間でローストする方法もありますが、それでは表面だけが焦げてしまい、くるみが持つ繊細な甘みや風味が引き出される前に、油分が酸化してしまうリスクが高まります。
160℃という温度は、油分の酸化を最小限に抑えながら、くるみの水分を穏やかに飛ばし、内部までじっくりと火を通すことができる絶妙な温度帯なのです。この温度でローストすることで、くるみ本来の甘みを引き出し、えぐみを抑え、最高の香ばしさを生み出すことができます。
予熱完了サイン後「プラス5分」の魔法
多くのオーブンには予熱が完了すると「ピーッ」という音で知らせてくれる機能がついていますよね。しかし、プロはここでもう一手間加えます。それは「予熱完了サインが鳴ってから、さらに5分ほど待つ」こと。
実は、オーブンの庫内温度は、設定温度ぴったりで維持されているわけではありません。サーモスタットという装置が働き、「設定温度より少し下がる→ヒーターON→設定温度より少し上がる→ヒーターOFF」というサイクルを繰り返しています。予熱完了のサインは、あくまで「初めて設定温度に達しましたよ」という合図に過ぎません。
サイン直後の庫内は、まだ温度の波が大きく不安定な状態です。そこで5分間待つことで、この温度の波が落ち着き、庫内全体の温度がより安定し均一になります。この「プラス5分」が、焼きムラのない完璧なローストくるみへの最後のダメ押しとなるのです。ぜひ、この一手間をあなたのオーブン仕事の習慣にしてみてください。
3. くるみローストのコツ②:熱風の通り道を作れ!オーブン天板への「並べ方」で決まる
しっかりと予熱が完了したオーブン。次はいよいよ、くるみを天板に並べていきます。「ただ並べるだけでしょ?」と、袋から出したくるみをザラっと天板に広げてしまいがちですが、お待ちください!これが食感と風味の大きな分かれ道。最高のオーブンローストを目指すなら、この「並べ方」にこそ、マニアックなこだわりを持つべきなのです。
熱風が踊る!理想的な並べ方の極意
オーブンローストの鍵は、いかにして「熱風」を味方につけるか、という点にあります。オーブン庫内では、熱せられた空気が対流することで、食材に熱が伝わります。この熱風が、くるみの一つ一つにムラなく当たることで、効率的に水分が飛び、カリッとした食感が生まれるのです。
そのための絶対的なポイントは、「くるみ同士が重ならないように、一層で広げる」こと。
言葉にすると簡単ですが、意識すべきは「くるみの周りに熱風が通るためのスペースを確保する」というイメージです。くるみの半身と半身がくっついているだけでも、その接触面は熱の通りが悪くなります。理想は、くるみ一つ一つの間に5mm〜1cmほどの間隔を空けること。これにより、熱風がくるみの側面や下側にもスムーズに流れ込み、全方位から均一に加熱することができるのです。
クッキングシートは使うべき?
天板に直接くるみを並べるか、クッキングシートを敷くか、迷う方もいるかもしれません。結論から言うと、クッキングシートを敷くことを強くおすすめします。理由は2つあります。
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後片付けが圧倒的に楽になる: ローストすることで、くるみから微量の油分が出ることがあります。クッキングシートを敷いておけば、天板が汚れず、使用後はシートを捨てるだけなので非常に手軽です。
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熱当たりを和らげる効果: 金属製の天板に直接置くと、下からの熱が強すぎて底面だけが焦げ付きやすくなることがあります。クッキングシートを一枚挟むことで、この熱当たりがマイルドになり、より均一な焼き上がりに繋がります。
シルパン(メッシュ状のベーキングマット)をお持ちであれば、それを使うのも素晴らしい選択です。メッシュの隙間から余分な水分や油分が抜け、下からの熱風も通りやすくなるため、さらにカリッとした仕上がりになりますよ。
ぎゅうぎゅう詰めが招く悲劇とは?
「一度にたくさんローストしたいから」と、天板にくるみをぎゅうぎゅうに詰め込んでしまう…これは、オーブンローストにおける最も避けたい失敗の一つです。なぜなら、それは「ロースト(焙煎)」ではなく、「スチーム(蒸し焼き)」になってしまうからです。
くるみが密集していると、加熱によって出てきた水分(水蒸気)の逃げ場がなくなります。その結果、くるみ同士が互いの蒸気で蒸し合ってしまう状態に。これでは、いくらオーブンで加熱しても、あの軽やかでカリッとした食感は生まれません。「なんだか湿気っている」「グニャッとした歯ごたえ」といった残念な結果を招くだけでなく、水分が抜けきらないために日持ちも悪くなってしまいます。
私の失敗談をお話ししますと、以前、パーティーの準備で急いでいた時、大きな袋のくるみを2段のオーブンで一度にローストしようと、天板に山盛りにして焼いたことがありました。結果は惨憺たるもの。上段の表面は焦げているのに、中の方はふにゃふにゃで、全く美味しくありませんでした。この経験から、オーブンローストは「量」より「質」、そして「スペース」が何よりも重要だと痛感したのです。
もし大量のくるみをローストしたい場合は、面倒でも数回に分けるか、2段で焼く場合はそれぞれの天板に広々とスペースを取って並べ、途中で上下の天板を入れ替えるなどの工夫が必要です。
天板選びもプロのこだわりポイント
オーブンに付属している天板を何気なく使っている方がほとんどだと思いますが、実は天板の素材によっても、くるみローストの仕上がりに微妙な差が生まれます。
アルミ製の天板
熱伝導率が非常に高いのが特徴です。オーブンの熱を素早くくるみに伝えてくれるため、短時間でカリッと焼き上げたい場合に適しています。焼き色がつきやすいので、時間は少し短めに設定すると良いでしょう。
鉄製・ホーロー加工の天板
オーブンに付属している黒い天板の多くがこのタイプです。アルミに比べて熱伝導は穏やかですが、蓄熱性が高いという特徴があります。一度温まると冷めにくく、安定した温度でじっくりと火を通すことができます。くるみの内部まで均一に熱を入れたい場合に最適で、失敗が少ない素材と言えるでしょう。
どちらの天板を使うにしても、大切なのは「くるみが一層に広げられる十分な大きさがあるか」ということです。あなたのオーブンの実力とくるみのポテンシャルを最大限に引き出すために、ぜひ天板への並べ方からこだわってみてください。
4. くるみローストのコツ③:香りを逃さない!オーブンの「温度と時間」を見極めるプロの技
さあ、いよいよオーブンローストの心臓部、「温度と時間」の管理についてです。最高の予熱と完璧な並べ方が準備できたら、次はこの最も重要な工程で、くるみのポテンシャルを120%引き出してあげましょう。デジタルな温度と時間の管理に、あなただけのアナログな感覚をプラスすることが、プロの仕上がりへの近道です。
なぜ160℃で8分~10分なのか?
基本のレシピとして、まずは「160℃で8分〜10分」と覚えておきましょう。この温度と時間は、数々の試行錯誤の末にたどり着いた、くるみローストの黄金律とも言える組み合わせです。
コツ①でも触れましたが、160℃という温度は、くるみのデリケートな油分(オメガ3脂肪酸)が酸化して嫌な風味に変わるのを防ぎつつ、甘みと香ばしさを引き出す「メイラード反応」を穏やかに、しかし確実に進行させるのに最適な温度帯です。
そして「8分〜10分」という時間。これは、くるみの内部の水分を効果的に飛ばし、中心部まで均一に火を通すための時間です。これより短いと、表面は色付いていても中が生っぽく、カリッとした食感が得られません。逆に長すぎると、香りが飛んでしまったり、苦味が出てきたりします。
ただし、これはあくまで基本の目安。あなたの持っているオーブンの癖や、ローストするくるみの状態によって、ベストな時間は微妙に変わってきます。
焼き時間を左右する要因
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くるみの大きさ: 当然ながら、大粒のハーフサイズのくるみと、砕かれたクォーターサイズのものでは、火の通り方が異なります。小さいものほど早く焼けるので、時間を短めに調整しましょう。
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くるみの量: 天板に広げたくるみの量が多ければ多いほど、庫内の温度が下がりやすくなり、全体の水分を飛ばすのにも時間がかかります。いつもより多くローストする場合は、1〜2分長めに見ておくと良いでしょう。
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オーブンの個体差: 新品のオーブンと、長年愛用してきたオーブンでは、同じ160℃に設定しても、実際の庫内温度に数度の誤差があることは珍しくありません。「うちのオーブンは少し火力が強いかも」と感じるなら8分から、「少し弱いかな」と感じるなら10分を目安にするなど、あなたの相棒であるオーブンの性格を理解してあげることが大切です。
五感を研ぎ澄ませ!焼き上がりを見極めるサイン
タイマーの数字だけを信じるのは、まだアマチュアです。プロは五感をフル活用して、最高の瞬間を見極めます。8分を過ぎたら、オーブンの前から離れず、中の様子を注意深く観察しましょう。
サイン①:香り
最も信頼できるサインは「香り」です。オーブンの扉の隙間から、甘く、ナッツ特有の香ばしい香りが漂ってきたら、それが最高の焼き上がりが近い合図。バターやクッキーを焼いている時のような、幸せな香りがキッチンに満ち溢れてきます。この香りのピークを見逃さないでください。もし、少しでも焦げたような、ツンとくる匂いがしたら、それは加熱しすぎのサイン。すぐにオーブンから取り出しましょう。
サイン②:見た目(色)
オーブンのライトをつけて、くるみの色をチェックします。生のくるみの白っぽい色から、全体が均一な美しい「きつね色」または「ゴールデンブラウン」に変わっていたらOKです。一部だけが濃い茶色になっている場合は、焼きムラが起きている証拠。次回は予熱や並べ方を見直してみましょう。天板の手前と奥で焼き色に差がある場合は、一度天板の向きを180度回転させてあげると、均一に仕上がりますよ。
サイン③:音(おまけ)
これは少しマニアックですが、耳を澄ましていると、くるみが「パチッ」とか「ピチッ」とかすかにはぜる音が聞こえることがあります。これは、内部の水分が蒸発している証拠。この音が聞こえ始めたら、ローストが順調に進んでいるサインと捉えて良いでしょう。
プロが実践する「テストロースト」のススメ
もし、あなたが新しいオーブンを手に入れたり、いつもと違うお店のくるみを使ったりする場合には、「テストロースト」を行うことを強くおすすめします。これは、あなたの環境におけるベストなロースト時間を見つけ出すための、最も確実な方法です。
やり方は簡単です。
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少量のくるみ(10粒程度でOK)を、いつも通りに天板に並べます。
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160℃に予熱したオーブンで、まずは6分焼いて、2粒取り出します。
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さらに2分後(合計8分)に、また2粒取り出します。
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さらに2分後(合計10分)に、また2粒取り出します。
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最後に、さらに2分後(合計12分)に残りのくるみを取り出します。
取り出したくるみは、それぞれ完全に冷ましてから食べ比べてみてください。6分のものはまだ生っぽさが残っているかもしれません。8分のものはナッツ感があり、10分のものは香ばしさが際立ち、12分のものは少し苦味が出ているかもしれません。
この比較によって、「自分の好みは9分くらいだな」とか「このくるみなら11分がベストだな」といった、あなただけの黄金の時間を見つけ出すことができます。一度このデータが取れれば、今後のくるみローストで失敗することは格段に減るはずです。ぜひ、この一手間を楽しんでみてください。
5. くるみローストのコツ④:余熱は敵!オーブンから出した後の「冷却方法」で食感が完成する
タイマーが鳴り、オーブンから香ばしい香りと共に、きつね色に輝くくるみを取り出した瞬間。達成感で満たされますよね。しかし、「これで完成!」と安心してしまうのは、まだ早いのです。実は、ローストくるみを完璧に仕上げるための最後の、そして非常に重要な工程がこの「冷却」に隠されています。オーブンから出した後、いかに素早く、そして効果的に冷ますかで、あの誰もが求める「カリッ」とした最高の食感が生まれるかどうかが決まるのです。
余熱が引き起こす「過焙煎」の恐怖
オーブンから取り出したばかりの天板とくるみは、当然ながら非常に熱い状態です。この時、くるみを熱い天板の上に乗せたままで放置してしまうと、どうなるでしょうか?
答えは、天板が持つ「余熱」で、くるみに火が通り続けてしまう、です。これを専門的には「過焙煎(かばいせん)」と呼びます。オーブンの中では完璧な焼き加減だったとしても、天板の上でじわじわと加熱が続くことで、理想のローストポイントを通り越し、焦げに近い状態になってしまうのです。
過焙煎は、せっかく引き出したくるみの繊細な風味や甘みを飛ばしてしまい、代わりに不快な苦味やえぐみを生み出す原因となります。「オーブンから出した時は良い色だったのに、冷めたらなんだか色が濃くなって苦い…」という経験がある方は、まさにこの余熱が原因です。覚えておいてください、オーブンローストにおいて、焼き上がった後の「余熱は敵」なのです。
最高の食感を生む「急冷」のテクニック
では、どうすればこの余熱の魔の手から、美味しいるみを守ることができるのでしょうか。答えはシンプル。「熱い天板から、できるだけ早く引き離し、通気性の良い場所で急冷する」ことです。
ケーキクーラーをフル活用しよう
最も理想的な道具は、お菓子作りで使う「網」、いわゆるケーキクーラーです。ローストが終わったら、火傷に注意しながら、すぐにクッキングシートごと、あるいはフライ返しなどを使ってくるみをケーキクーラーの上に移し、広げましょう。
なぜ網の上が良いのでしょうか?それは、くるみの下面にも空気が触れることで、熱が全方向から効率的に逃げていくからです。お皿やバットの上で冷ますと、接地面に熱がこもり、水蒸気が発生して結露し、せっかく飛ばした水分が再びくるみに戻ってしまい、カリッと仕上がらない原因になります。ケーキクーラーの上で広げることで、くるみに残ったわずかな水分も効率的に蒸発させることができるのです。これが、あの軽快な歯ごたえを生むための最後の仕上げです。
ケーキクーラーがない場合の代替案
「うちにケーキクーラーなんてない!」という方もご安心ください。以下のようなもので代用できます。
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魚焼きグリルの網(きれいに洗って使いましょう)
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脚付きの天ぷら用アミ
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脚付きのザルやカゴ
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オーブンの角皿に付属している網
要は、「くるみの下に空気が通る隙間を作れるもの」であれば何でもOKです。
急冷の裏ワザ
さらにカリカリ感を追求したいマニアックなあなたには、うちわやミニ扇風機で風を送ってあげるという裏ワザもおすすめです。風を当てることで、気化熱が奪われ、よりスピーディーに冷却が進みます。表面の水分も強制的に飛ばされるため、驚くほどカリッとした食感に仕上がりますよ。
完全に冷めてからが本番!究極の保存方法
くるみが完全に冷めるまで、焦ってはいけません。まだ温かい状態で容器に入れてしまうと、中で蒸気がこもり、湿気の原因になります。手で触ってみて、ほんのりとした温かさも感じなくなるまで、じっくりと待ちましょう。室温にもよりますが、30分〜1時間ほどが目安です。
カリッと仕上がったローストくるみの美味しさを長持ちさせるためには、保存方法が重要です。大敵は「湿気」と「酸化」。これらから守るために、以下のポイントを徹底しましょう。
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密閉容器に入れる: 空気に触れると酸化が進み、湿気を吸ってしまいます。ガラス製の瓶や、ジップ付きの厚手の保存袋など、しっかりと密閉できる容器を選びましょう。
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乾燥剤(シリカゲル)を同封する: お煎餅や海苔の袋に入っている、あの小さな乾燥剤。これを一緒に入れておくだけで、容器の中の湿度を低く保ち、カリカリ感を驚くほど長持ちさせてくれます。製菓材料店や100円ショップなどで手に入ります。
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冷暗所で保存する: 直射日光や高温は、酸化を促進させます。光を通さないキャビネットの中や、夏場は冷蔵庫の野菜室などがおすすめです。
適切に保存すれば、手作りのオーブンローストくるみは、冷蔵で約1ヶ月、冷凍すれば約3ヶ月はその美味しさを保つことができます。冷凍した場合は、食べる分だけ取り出して自然解凍すればOK。少し湿気を感じるようであれば、再度オーブンの低温(120℃程度)で軽く数分ローストし直すと、香ばしさが蘇りますよ。
6. 【体験談】オーブンvsフライパン!くるみローストの風味と手間を徹底比較
ここまで、オーブンを使った最高に美味しいるみのロースト方法を熱く語ってきましたが、「もっと手軽に、フライパンじゃダメなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、フライパンでのローストも一つの方法です。
そこで、ナッツ好きの私が実際に両方の方法で何度もくるみをローストしてみて感じたこと、その風味や手間、仕上がりの違いを、正直な体験談として徹底的に比較してみたいと思います!あなたのライフスタイルに合った、ベストなくるみロースト方法を見つける手助けになれば嬉しいです。
私が両方を試して感じたリアルな感想
ある週末、私は思い立って同じ種類のくるみを使い、オーブンとフライパンで同時にローストしてみることにしました。
まずフライパン。思い立ったらすぐ始められる手軽さは魅力的です。弱火にかけたフライパンにくるみを入れ、木べらで絶えず混ぜ続けます。5分ほどすると、パチパチという音と共に香ばしい香りが立ってきました。しかし、ここで問題が発生。少しでも混ぜる手を止めると、フライパンに接している面だけがすぐに焦げ付いてしまうのです。均一に火を通すためには、文字通り「付きっきり」で作業する必要があり、これが意外と腕が疲れるし、他の作業が一切できません。
一方のオーブン。予熱に時間はかかりますが、一度天板に並べてオーブンに入れてしまえば、あとはタイマーをセットして待つだけ。その間に洗い物をしたり、コーヒーを淹れたりと、他のことができる「放置できる」時間は非常にありがたいと感じました。そして焼き上がりの瞬間。オーブンの扉を開けた途端に広がる、部屋中を包み込むような甘く芳醇な香り!これはフライパンの時には感じられなかった、圧倒的な香りの豊かさでした。仕上がりも、どこを食べても均一なきつね色で、見た目からして美味しさが伝わってきます。
この体験を通して、私は「クオリティと一度に作る量を求めるなら断然オーブン、スピードと手軽さを求めるならフライパン」という結論に至りました。
比較表で一目瞭然!それぞれの長所と短所
私の体験談を元に、それぞれの方法を項目別に比較した表を作成しました。これを見れば、その違いがより明確になるはずです。
比較項目 | オーブンロースト | フライパンロースト |
仕上がりの均一さ | ◎(ムラなく仕上がる) | △(焦げ付きやすい) |
風味・香り | ◎(香ばしさが際立つ) | 〇(手軽だが香りはやや劣る) |
食感 | ◎(中までカリッと) | 〇(表面はカリッとする) |
手間 | 〇(一度に入れれば放置できる) | △(常に混ぜ続ける必要あり) |
手軽さ | △(予熱に時間がかかる) | ◎(思い立ったらすぐできる) |
<まとめ>
ご覧の通り、仕上がりのクオリティ、特に「均一さ」「風味」「食感」という美味しさの根幹をなす部分においては、断然オーブンに軍配が上がります。オーブンは庫内の熱風で全方位からじっくり加熱するため、くるみの内部までしっかりと火が通り、本来の甘みと香ばしさを最大限に引き出すことができるのです。
一方、フライパンは直火で下面から急速に加熱するため、どうしても焼きムラが出やすく、中まで火が通る前に表面が焦げてしまいがち。香ばしさは出ますが、オーブンのような奥深い風味は得られにくい、というのが私の正直な感想です。
しかし、フライパンの手軽さは何物にも代えがたい魅力です。オーブンの予熱を待つ時間がない時や、サラダやヨーグルトに少しだけ使いたい、という時には非常に便利。洗い物もフライパン一つで済むのは嬉しいポイントですよね。
ライフスタイル別・おすすめのロースト方法
最終的にどちらの方法を選ぶかは、あなたの目的やライフスタイルによって決まります。
こんなあなたには「オーブンロースト」がおすすめ!
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お菓子作りやパン作りが好きで、一度にたくさんのローストくるみを使いたいあなた。
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ホームパーティーで、ゲストを「あっ」と言わせるような本格的なおつまみを出したいあなた。
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どうせ作るなら、最高の味と香りを追求したい、こだわりのあなた。
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週末にまとめて作り置きして、平日のナッツ生活を充実させたいあなた。
手間なく均一に、そして大量に最高のクオリティで仕上げられるオーブンは、あなたの強力な味方になってくれるでしょう。
こんなあなたには「フライパンロースト」がおすすめ!
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毎朝のシリアルやヨーグルトに、少しだけ香ばしさをプラスしたいあなた。
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「今すぐ食べたい!」という衝動に駆られることが多い、せっかちなあなた。
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とにかく洗い物を減らしたい、効率重視のあなた。
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一人暮らしで、オーブンを持っていない、あるいは使うのが少し面倒だと感じているあなた。
少量だけサッとローストしたい時には、フライパンのスピードと手軽さが光ります。
どちらの方法にも良い点があります。ぜひ、あなたのライフスタイルに合わせて、美味しいるみローストを日々の生活に取り入れてみてくださいね!自分で丁寧にローストしたくるみの味は、格別ですよ。

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。