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カロリーは?1日の摂取量は?くるみ食べ過ぎの疑問に全回答

2025.07.21
カロリーは?1日の摂取量は?くるみ食べ過ぎの疑問に全回答

美容や健康維持に役立つオメガ3脂肪酸やビタミンが豊富な「くるみ」。毎日のおやつに取り入れている方も多いのではないでしょうか。しかし、その栄養価の高さゆえに「食べ過ぎ」には注意が必要です。

「一体何個までならOK?」「食べ過ぎるとどうなるの?」そんな疑問を解決するために、この記事では管理栄養士監修のもと、くるみの適量や食べ過ぎのリスクを徹底解説。くるみのパワーを賢く、そして美味しく取り入れる秘訣をお伝えします。

1. ヘルシーなのに太る?くるみの食べ過ぎとカロリーの関係

驚きのカロリー!ご飯お茶碗3杯分以上?

「くるみはヘルシーだから、いくら食べても大丈夫!」なんて思っていませんか?実は、その考えには大きな落とし穴があるんです。くるみが健康に良いとされる理由の一つは、その豊富な栄養価にありますが、同時に非常に高カロリーな食材でもあることを忘れてはいけません。

具体的な数字を見てみましょう。くるみは100gあたり、なんと約674kcalものカロリーがあります。これは、私たちが普段食べているご飯お茶碗1杯(約150g)が約234kcalですから、その3杯分弱に相当する計算になります。もし、おやつの時間にテレビを見ながら、ポリポリと一袋(100g)食べてしまったら…想像するだけで少し怖いですよね。

くるみのカロリーが高い主な理由は、その成分の約70%が脂質で構成されているからです。三大栄養素であるタンパク質や炭水化物が1gあたり4kcalなのに対して、脂質はその倍以上、1gあたり9kcalもあります。つまり、同じ重さでも脂質が多い食品ほどカロリーが高くなる、というわけです。この事実を知らずに「くるみは体に良いから」という理由だけで食べ過ぎてしまうと、知らないうちにカロリーオーバーを招いてしまうのです。

他のおやつとのカロリー比較

くるみのカロリーがいかに高いか、他のおやつと比較するとより分かりやすいかもしれません。例えば、ポテトチップスは100gあたり約554kcal、ミルクチョコレートも100gあたり約558kcalです。くるみは、これら一般的に「高カロリー」とされるお菓子よりもさらに100kcal以上高い数値を示しています。

もちろん、これは単純なカロリーだけの比較です。くるみに含まれる脂質の「質」は、ポテトチップスやチョコレートに含まれる脂質とは全く異なります。しかし、「摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余ったエネルギーは体脂肪として蓄積される」というダイエットの基本原則は、どんな食材にも当てはまります。くるみの食べ過ぎが、意図せず体重増加につながる可能性があることは、しっかりと覚えておく必要があります。

主役は良質な脂質「オメガ3」

では、なぜこれほど高カロリーなくるみが「ヘルシー」と言われるのでしょうか。その秘密は、先ほど触れた脂質の「質」にあります。くるみに含まれる脂質の主成分は「多価不飽和脂肪酸」という種類の油で、特に「オメガ3脂肪酸」の一種である「α-リノレン酸(ALA)」が非常に豊富なのです。

このα-リノレン酸は、私たちの体内では生成することができない「必須脂肪酸」の一つです。体内で青魚に含まれることで有名なEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換され、血液をサラサラにしたり、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らしたりする働きがあることが知られています。

心血管疾患リスク低減に関する研究

実際に、くるみの摂取が健康に良い影響を与えることを示した研究は数多く存在します。例えば、アメリカのペンシルベニア州立大学が行った研究では、飽和脂肪酸が多い食事の一部をくるみに置き換えることで、心血管疾患のリスク因子である血圧やコレステロール値に良い影響が見られたと報告されています。

また、α-リノレン酸には、炎症を抑制する効果や、脳の機能をサポートする効果、さらにはアレルギー症状を緩和する効果なども期待されています。こうした素晴らしい健康効果があるからこそ、くるみは「森のバター」や「スーパーフード」と呼ばれ、世界中で愛されているのですね。

「良い油も油」という見過ごされがちな事実

しかし、ここで忘れてはいけないのが、「どんなに質の良い油でも、摂りすぎれば太る」という、シンプルながら非常に重要な事実です。オメガ3脂肪酸が体に良いからといって、くるみを無制限に食べていいわけではありません。

先ほども説明した通り、脂質は1gあたり9kcalという高いエネルギーを持っています。これは、くるみに含まれるオメガ3脂肪酸も例外ではありません。健康効果を期待してくるみを食べ過ぎた結果、1日の総摂取カロリーが消費カロリーを大幅に超えてしまえば、その余分なエネルギーは容赦なくお腹周りや太ももの脂肪に変わってしまいます。

「健康のためにくるみを食べていたのに、気づいたら体重が増えていた…」なんてことになったら、本末転倒ですよね。くるみの食べ過ぎは、まさにこうした事態を招きかねないのです。良質な脂質の恩恵を受けつつ、カロリーオーバーを防ぐ。この絶妙なバランス感覚こそが、くるみと上手に付き合うための最大のコツと言えるでしょう。

食べ過ぎないための1日の適量とは?

それでは、具体的に1日にどれくらいの量を食べるのが良いのでしょうか。多くの研究や専門機関が推奨しているくるみの1日の摂取目安量は、ずばり「約25g」です。

1日25gの具体的なイメージ

「25g」と言われても、なかなかピンとこないかもしれませんね。これは、くるみの大きさにもよりますが、だいたい「手のひらに軽く一杯分」、個数にすると「6〜8粒程度」に相当します。この量で、カロリーは約169kcal。これは、1日に必要とされる間食のカロリー(約200kcal)の範囲内に収まる、非常に理にかなった量なんです。

もしあなたが成人女性で、1日の目標摂取カロリーを1800kcalに設定している場合、25gのくるみはそのうちの約9.4%を占めることになります。おやつとしては決して低カロリーではありませんが、他の栄養素も豊富に含まれていることを考えれば、非常に質の高いカロリー摂取と言えるでしょう。

くるみの食べ過ぎを防ぐためには、この「1日25g」という基準をしっかりと意識することが何よりも大切です。大袋で買うとつい食べ過ぎてしまうという方は、個包装になっているタイプを選んだり、あらかじめ1食分ずつ小分けにしておいたりする工夫も効果的ですよ。

2. お腹の調子が…くるみの食べ過ぎが消化に与える意外な影響

元気な腸の味方、食物繊維

くるみが持つ健康効果の中で、脂質と並んで注目されるのが「食物繊維」の豊富さです。食物繊維が便通改善に役立つことは、あなたもきっとご存知ですよね。くるみ100gあたりには、約7.5gもの食物繊維が含まれています。これは、成人の1日の目標摂取量(男性21g以上、女性18g以上)の約3分の1から半分近くを補える量であり、非常に多いことが分かります。

食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類があります。くるみに特に多く含まれているのは、後者の「不溶性食物繊維」です。

不溶性食物繊維の働き

不溶性食物繊維は、その名の通り水に溶けず、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむ性質を持っています。この膨らんだ食物繊維が便のカサを増やし、腸の壁を優しく刺激することで、腸のぜん動運動(便を押し出そうとする動き)を活発にしてくれるのです。この働きによって、スムーズなお通じが促され、便秘の解消につながります。まさに、お腹の調子を整えてくれる頼もしい存在ですね。

食べ過ぎが招くお腹のトラブル

このように、適量であれば腸の健康に大きく貢献してくれる不溶性食物繊維ですが、くるみの食べ過ぎによって過剰に摂取してしまうと、事態は一変します。良かれと思ってやったことが、逆にお腹の不調を引き起こす原因になってしまうことがあるのです。

過剰摂取による下痢や腹痛の仕組み

不溶性食物繊維を一度に大量に摂取すると、腸への刺激が強くなりすぎてしまうことがあります。腸が過剰に活発になることで、食べたものが十分に消化・吸収される前に腸を通過してしまい、結果として下痢を引き起こすのです。また、腸が激しく動くことで、お腹に痛みや不快感を感じることもあります。

特に、普段あまり食物繊維を摂る習慣がない人が、急にくるみをたくさん食べ始めると、体がその変化に対応できず、下痢や腹痛といった症状が出やすくなる傾向があります。くるみの食べ過ぎは、デリケートな腸にとって、予想以上の負担となる可能性があるのです。

過敏性腸症候群(IBS)の人は特に注意

ストレスや生活習慣の乱れから、下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」の症状を持つ方は、くるみの食べ過ぎに特に注意が必要です。IBSの人は、健常な人に比べて腸が刺激に対して非常に敏感になっています。

そのため、不溶性食物繊維の過剰摂取が、症状を悪化させる引き金になることがあります。せっかくの健康食材であるくるみも、ご自身の体質やその日のコンディションに合わせて、量を調整することが大切です。「最近お腹の調子が不安定だな」と感じる時は、くるみを少しお休みするか、量をぐっと減らしてみるのが賢明です。

水分不足で便秘が悪化する可能性も?

「くるみを食べ過ぎると下痢になる」という話とは逆に、便秘を悪化させてしまうケースもあります。これには、「水分摂取量」が深く関わっています。

不溶性食物繊維と水分の関係

思い出してみてください。不溶性食物繊維は「水分を吸収して膨らむ」性質を持っていましたよね。この働きが便通改善の鍵なのですが、もし体内の水分が不足している状態で不溶性食物繊維を大量に摂取すると、どうなるでしょうか。

腸内にある限られた水分が食物繊維に吸収されてしまい、便が本来持つべき水分まで奪われてしまいます。その結果、便は硬く、そして出にくい状態になってしまうのです。良かれと思って食べたくるみが、かえって便秘をひどくしてしまうなんて、悲しいですよね。

くるみを食べる際には、意識してたっぷりの水分を一緒に摂ることが非常に重要です。特に、くるみの食べ過ぎを自覚している場合は、いつも以上に水分補給を心がけましょう。

適切な水分摂取量の目安

では、どれくらいの水分を摂れば良いのでしょうか。一般的に、成人が1日に必要とする水分量は1.5リットルから2リットル程度と言われています。食事に含まれる水分とは別に、水やお茶などでこまめに補給することが理想です。

朝起きた時、食事の時、おやつの時間、お風呂上がり、寝る前など、タイミングを決めてコップ1杯の水を飲む習慣をつけると、無理なく水分摂取量を確保できますよ。くるみを美味しく、そして安全に楽しむためにも、「くるみと水分はセット」と覚えておいてくださいね。くるみの食べ過ぎによるお腹のトラブルは、この一手間でかなり防げるはずです。

3. くるみの食べ過ぎで栄養吸収をブロック?知られざる「フィチン酸」の働き

少しマニアックな「フィチン酸」とは

さて、ここからは少し専門的なお話になりますが、くるみの食べ過ぎを語る上で欠かせない成分、「フィチン酸」についてご紹介します。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、実はくるみをはじめ、玄米や豆類、ゴマなどの種子類に多く含まれている天然の物質です。

フィチン酸とは?植物の知恵

フィチン酸は、植物が発芽するために必要な「リン」というミネラルを、種子の中に安全に貯蔵しておくための形態です。いわば、植物にとっての「栄養カプセル」のようなもの。また、フィチン酸自体が持つ強力な抗酸化作用によって、種子が酸化して腐敗するのを防ぐという、自己防衛の大切な役割も担っています。

抗酸化作用というメリットも

このフィチン酸が持つ抗酸化作用は、私たちの体にとってもメリットがあります。体内の過剰な活性酸素を除去し、細胞の老化や生活習慣病の予防に役立つ可能性が指摘されています。しかし、このフィチン酸の持つもう一つの性質が、くるみの食べ過ぎによって問題を引き起こすことがあるのです。

ミネラル吸収を邪魔する「キレート作用」

その性質とは、非常に強力な「キレート作用」です。「キレート」とは、ギリシャ語で「カニのはさみ」を意味する言葉で、カニがハサミで物をがっちり掴むように、金属イオンを強く結合して封鎖する作用のことを指します。

強力な「キレート作用」の正体

フィチン酸は、このキレート作用によって、体内で重要な働きをするミネラル(金属イオン)と強く結びついてしまいます。フィチン酸と結合したミネラルは、水に溶けにくい「フィチン酸塩」という物質に変わり、腸から吸収されにくくなって、そのまま体外に排出されてしまうのです。

つまり、くるみを食べ過ぎてフィチン酸を過剰に摂取すると、一緒に食べた他の食品に含まれる貴重なミネラルの吸収まで阻害してしまう可能性がある、というわけです。

亜鉛、鉄、カルシウムがターゲットに

フィチン酸が特に結合しやすいミネラルとして知られているのが、「亜鉛」「鉄」「カルシウム」「マグネシウム」などです。これらは、私たちの体の機能を維持するために、なくてはならない重要な栄養素ばかりです。健康のためにくるみを食べているのに、他の栄養素の吸収を妨げてしまっては、元も子もありませんよね。くるみの食べ過ぎは、こうした栄養バランスの乱れという、目に見えにくいリスクもはらんでいるのです。

ミネラル不足が招く体の不調

では、これらのミネラルが不足すると、私たちの体には具体的にどのような影響が現れるのでしょうか。

鉄不足と貧血、カルシウム不足と骨

「鉄」が不足すると、血液中のヘモグロビンが作られなくなり、全身に酸素を運ぶ能力が低下します。これが「鉄欠乏性貧血」で、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、倦怠感といった症状を引き起こします。特に女性は月経によって鉄を失いやすいため、意識的な摂取が必要です。

また、「カルシウム」は、骨や歯の主要な構成成分であることはよく知られていますよね。カルシウム不足が慢性的に続くと、骨がもろくなる「骨粗しょう症」のリスクが高まり、将来的な骨折につながる可能性があります。

亜鉛不足と味覚障害や肌荒れ

「亜鉛」は、細胞の生まれ変わりやタンパク質の合成に不可欠なミネラルです。不足すると、味を感じる細胞(味蕾)の新陳代謝が滞り、「何を食べても味がしない」といった味覚障害を引き起こすことがあります。また、皮膚や髪の健康維持にも深く関わっているため、亜鉛不足は肌荒れや抜け毛の原因にもなります。

くるみの食べ過ぎが、こうした様々な体の不調の間接的な原因になるかもしれない、と考えると、やはり適量を守ることの重要性がよく分かります。

フィチン酸と上手に付き合うには

「フィチン酸がミネラルの吸収を阻害するなら、くるみは食べない方がいいの?」と不安に思った方もいるかもしれません。でも、大丈夫です。結論から言うと、常識的な範囲で食べている分には、過度に心配する必要はありません。

食べ過ぎなければ問題ない

フィチン酸によるミネラル吸収の阻害が問題になるのは、あくまで「極端に偏った食事」をしている場合です。例えば、菜食主義者の方が、主食を玄米にし、おかずも豆類やナッツ類ばかり…というような食生活を続けていると、フィチン酸の総摂取量が多くなり、ミネラル不足に陥るリスクが高まる可能性があります。

しかし、様々な食品をバランス良く食べている一般的な食生活の中で、おやつとして適量のくるみを食べる程度であれば、その影響はごくわずかです。くるみの食べ過ぎさえしなければ、フィチン酸のデメリットよりも、くるみが持つ栄養価のメリットの方がはるかに上回ると考えられています。

ローストで影響を軽減

ちなみに、フィチン酸の影響を少しでも減らしたい場合は、「ロースト(加熱)」されたくるみを選ぶのがおすすめです。フィチン酸は熱に弱いため、加熱処理によってその働きが多少弱まることが知られています。また、くるみを一晩水に浸けてから乾燥させる「浸水処理」もフィチン酸を減らす効果があるとされていますが、少し手間がかかるので、手軽なのはローストタイプを選ぶことでしょう。

何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。フィチン酸の存在を知った上で、くるみの食べ過ぎには注意し、バランスの取れた食事を心がけることが大切ですね。

4. 口内炎ができやすい?くるみの食べ過ぎとアミノ酸バランス

厄介な口内炎、その原因とは?

疲れた時やストレスが溜まった時に、口の中にチクッとした痛みが…気づくと、厄介な「口内炎」ができていた、という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。口内炎ができる原因は様々ですが、その一つに体内の「アミノ酸バランスの乱れ」が関係していると言われています。

くるみは、私たちの体を作る上で欠かせないタンパク質の構成要素であるアミノ酸を豊富に含んでいます。しかし、くるみの食べ過ぎが、このアミノ酸のバランスを崩し、口内炎を引き起こす一因になる可能性があるのです。

「アルギニン」と「リジン」のシーソーゲーム

ここで注目したいのが、「アルギニン」と「リジン」という2種類のアミノ酸です。この二つは、体内で互いに影響し合う「拮抗(きっこう)作用」という関係にあります。まるでシーソーのように、一方の摂取量が増えると、もう一方の働きが抑制されたり、必要量が増えたりするのです。

くるみに豊富なアルギニン

実は、くるみはナッツ類の中でも特に「アルギニン」を豊富に含む食品として知られています。アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促したり、血管を拡張して血流を改善したり、免疫機能を高めたりと、私たちの体にとって多くの有益な働きを持つアミノ酸です。トレーニングをする人が、パフォーマンス向上のためにアルギニンのサプリメントを摂取することもあります。

一方で、「リジン」は、体の組織の修復や、カルシウムの吸収促進、そしてヘルペスウイルスの増殖を抑制する働きなどを持っています。

くるみの食べ過ぎでバランス崩壊?

問題となるのは、くるみの食べ過ぎによって、体内のアミノ酸バランスが「アルギニン優位」に大きく傾いてしまうことです。くるみには、リジンよりもアルギニンの方が圧倒的に多く含まれています(その比率は約4〜5倍とも言われます)。

そのため、毎日大量にくるみを食べ続けると、体内のアルギニン濃度が常に高い状態になり、相対的にリジンの働きが弱まってしまうのです。

アルギニン優位とヘルペスウイルス

口内炎の中でも、特に「単純ヘルペスウイルス」が原因でできる口唇ヘルペスや口内炎は、このアルギニンとリジンのバランスと深く関係しています。ヘルペスウイルスは、増殖する際にアミノ酸のアルギニンを栄養源として利用します。

つまり、体内のアルギニンが多い状態は、ヘルペスウイルスにとって絶好の活動環境となってしまうのです。逆に、リジンにはこのウイルスの増殖を抑制する働きがあるため、リジンが不足すると、ウイルスの活動を抑えきれなくなり、口内炎や口角炎といった症状が現れやすくなります。

「くるみをたくさん食べた後に、決まって口内炎ができる」という方は、もしかしたらこのアミノ酸バランスの乱れが原因かもしれません。くるみの食べ過ぎは、口周りのトラブルの引き金になる可能性があることを覚えておきましょう。

バランスを取り戻す食事の工夫

では、くるみを楽しみつつ、アミノ酸のバランスを良好に保つにはどうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルで、「リジンを多く含む食品も一緒にバランス良く食べること」、そして何より「くるみを食べ過ぎないこと」です。

リジンが豊富な食品を知っておこう

リジンは、主に動物性タンパク質に多く含まれています。具体的な食品としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 肉類:鶏肉(特に胸肉)、豚肉、牛肉など

  • 魚介類:カツオ、マグロ、サケなどの魚全般

  • 乳製品:チーズ、ヨーグルト、牛乳など

  • 大豆製品:豆腐、納豆、豆乳など

これらの食品を日々の食事にしっかりと取り入れることで、くるみから摂取したアルギニンとのバランスを取ることができます。例えば、ヨーグルトにくるみをトッピングして食べるのは、味の相性も良く、栄養バランスの観点からも非常に理にかなった組み合わせと言えますね。

結局のところ、ここでも「くるみの食べ過ぎ」が問題の根源となります。どんなに体に良い栄養素も、そればかりを偏って摂取するのは禁物です。多様な食材からバランス良く栄養を摂る、という食生活の基本に立ち返ることが、口内炎の予防にも繋がるのです。

5. 【体験談】くるみ食べ過ぎ失敗談と、美味しく続けるためのコツ

私のリアルなくるみ食べ過ぎ失敗談

ここまで、くるみの食べ過ぎがもたらす様々なリスクについて、少し専門的な内容も含めてお話ししてきました。実は、何を隠そうこの私自身が、過去にくるみの食べ過ぎで手痛い失敗をした経験があるんです…!今日は、その恥ずかしい体験談を赤裸々にお話ししたいと思います。

健康診断前に起きた悲劇

それは数年前、会社の健康診断を数ヶ月後に控えていた時のことでした。「よし、今年は絶対にオールAを目指すぞ!」と意気込んでいた私は、体に良いとされる様々な健康法に手を出していました。その中の一つが、「毎日くるみを食べる」ことだったのです。

当時の私は、「くるみはオメガ3が豊富で血液サラサラ効果があるらしい。食べれば食べるほど健康になるに違いない!」と、完全に思い込んでいました。スーパーで売っている徳用の大袋(500g入りとかの、あれです!)を購入し、デスクの引き出しに常備。仕事の合間や、小腹が空いた時に、文字通り「ひとつかみ」をポリポリ…。でも、私の「ひとつかみ」が大きかったんでしょうね。気づけば1日に100g近く食べている日も少なくありませんでした。

LDLコレステロール値がまさかの上昇…!

そして迎えた運命の健康診断。結果表を見て、私は自分の目を疑いました。他の数値はそこそこ良好だったのですが、なんと「LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)」の値が、基準値をわずかにオーバーしていたのです!前年まではずっと基準値内だったのに…。

血液サラサラを目指して食べていたはずのくるみで、まさかコレステロール値が上がるなんて、まさに青天の霹靂でした。後日、結果を持ってかかりつけ医に相談したところ、先生は私の食生活をヒアリングし、あっさりとこう言いました。「ああ、くるみの食べ過ぎですね」。

先生曰く、くるみに含まれる脂質は良質ですが、それでも脂質は脂質。過剰に摂取すれば、体内で使いきれなかった分がコレステロールや中性脂肪の材料になり得るとのこと。特に、私の場合は摂取カロリーそのものが大幅に増えていたことが、一番の原因だろうと指摘されました。体に良いという思い込みからくる「くるみの食べ過ぎ」が、皮肉にも健康診断の数値を悪化させるという、本当に笑えない結果になってしまったのです。

失敗から学んだ!適量キープ術

この苦い経験から、私は「何事も適量が大事」という教訓を骨の髄まで学びました。今では、くるみと上手に付き合い、その恩恵だけをしっかり受け取れています。私が実践している、くるみの食べ過ぎを防ぐための具体的な工夫をいくつかご紹介しますね!

面倒でも「小分け」が最強!

まず、徳用の大袋を買うのはやめました!代わりに、1食分(25g〜30g)ずつ個包装になっているタイプを購入するようにしています。これなら、「今日はここまで」と物理的に制限がかかるので、食べ過ぎを防ぐのに絶大な効果があります。

もし大袋で買う場合は、家に帰ったらすぐに、小さなジップ付きの袋や容器に1食分ずつ計って分けてしまいます。この一手間をかけるだけで、無意識に食べ過ぎるのを劇的に防げます。まさに「急がば回れ」ですね。

「ちょい足し」ルールで食べ過ぎ防止

くるみを「それ単体でおやつとして食べる」のをやめ、「何かに加える」というルールを自分に課しました。私のお気に入りは、無糖ヨーグルトへのトッピングです。ヨーグルトの酸味とくるみの香ばしさが絶妙にマッチしますし、タンパク質やカルシウムも一緒に摂れます。

他にも、サラダのアクセントに加えたり、細かく砕いて和え物に入れたりするのもおすすめです。こうすることで、くるみはあくまで「脇役」となり、自然と摂取量をコントロールしやすくなります。食べ過ぎを防ぎつつ、食事全体の満足度や栄養価をアップさせられる、一石二鳥の方法ですよ。

【保存版】人気ナッツ徹底比較表

くるみの話をしてきましたが、ナッツには他にも魅力的な仲間がたくさんいますよね。そこで、人気トップ3の「くるみ・アーモンド・カシューナッツ」について、それぞれの特徴を比較できる表を作成してみました。あなたの目的や体質に合わせて、ナッツを選んでみるのも楽しいですよ♪

栄養素(25gあたり) くるみ アーモンド カシューナッツ
カロリー 約169 kcal 約155 kcal 約145 kcal
脂質 約17.2 g 約13.6 g 約11.1 g
糖質 約1.8 g 約2.5 g 約5.0 g
食物繊維 約1.9 g 約2.8 g 約1.7 g
特筆すべき栄養素 オメガ3脂肪酸 (α-リノレン酸) ビタミンE 鉄、亜鉛、ビタミンB1
こんな人におすすめ! 生活習慣が気になる脳を元気にしたい 美容と若々しさを保ちたいエイジングケアをしたい 疲れやすい、夏バテ気味貧血が気になる

※数値は目安であり、製品によって多少異なります。

あなたに合うナッツはどれ?目的別選び方ガイド

この表を見ると、同じナッツでもそれぞれに個性があることがよく分かりますね。

生活習慣病予防なら「くるみ」

やはり、くるみ最大の魅力は「オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)」です。血圧やコレステロール値が気になる方、生活習慣の改善を意識している方には、くるみが第一選択となるでしょう。脳の健康維持にも役立つと言われているので、物忘れが気になる方にもおすすめです。

美容と若々しさなら「アーモンド」

アーモンドの特筆すべき点は、なんといっても「ビタミンE」の含有量!ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、強力な抗酸化作用で細胞の酸化を防ぎ、シミやシワなどの肌老化から守ってくれます。美容を意識するなら、アーモンドは欠かせない存在ですね。食物繊維も豊富なので、腸活にもぴったりです。

貧血や疲労回復には「カシューナッツ」

カシューナッツは、他の2つに比べて脂質がやや少なく、糖質が多いのが特徴です。また、貧血予防に欠かせない「鉄」や、細胞の生まれ変わりに必要な「亜鉛」、そして糖質をエネルギーに変えるのに必要な「ビタミンB1」が豊富です。疲れやすい方や、夏バテ気味の方のエネルギー補給に適しています。

このように、それぞれのナッツの特徴を知ることで、日によって食べ分けたり、自分の体調に合わせてミックスしたりと、より賢くナッツライフを楽しむことができます。もちろん、どのナッツを選ぶにしても、「食べ過ぎは禁物」で「1日手のひら一杯程度」が適量であることは共通のルールですよ!私の失敗談を、ぜひあなたの健康維持に役立ててくださいね。

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。