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なぜ?糖質制限ダイエットで便秘に…原因と対策まとめ

2025.01.26
なぜ?糖質制限ダイエットで便秘に…原因と対策まとめ

「糖質制限を始めたら、お通じが悪くなった…」そんな悩みを抱えていませんか? 実は、糖質制限中の便秘は多くの方が経験します。しかし、原因を知り、正しい対策を行えばスッキリ解消できる可能性が高いです。

この記事では、なぜ便秘になりやすいのか、その原因と具体的な対策・解消法を分かりやすく解説します。

1. 糖質制限と便秘の関係とは?

こんにちは! あなたは今、美容や健康のために「糖質制限」に取り組んでいらっしゃるかもしれませんね。私もその効果に魅力を感じて実践した一人です。でも、糖質制限を始めてから「あれ?なんだかお通じが…」なんて経験はありませんか? 実は、糖質制限をしている多くの方が、便秘に悩まされることがあるんです。これは決してあなただけの悩みではありません。

「頑張って糖質を減らしているのに、どうして便秘になっちゃうの?」そんな風に疑問に思うのは当然ですよね。糖質制限は、体にとって大きな変化です。普段食べていたご飯やパン、麺類、甘いものなどを控えることで、体の中では様々な変化が起こります。その変化の一つが、便秘につながりやすい状況を生み出してしまうことがあるんです。

でも、安心してください! この記事を最後まで読んでいただければ、「なぜ糖質制限中に便秘が起こりやすいのか?」そのメカニズムを、ちょっとマニアックな視点も交えながら深く理解できます。そして、明日からすぐに実践できる具体的な対策方法もたっぷりご紹介します。「糖質制限もしたいけど、便秘はイヤ!」そんなあなたの悩みを解決するヒントが、きっと見つかるはずです。一緒に、糖質制限と上手に付き合いながら、スッキリ快適な毎日を目指しましょう!

2. 糖質制限で便秘になるメカニズム

糖質制限中に便秘が起こりやすくなるのには、いくつかの理由が複雑に絡み合っています。単に「食べなくなったから」という単純な話ではないんです。ここでは、そのメカニズムを少し詳しく、そしてマニアックな視点も加えて解き明かしていきましょう!

食物繊維が足りていないかも?

糖質制限を始めると、多くの方がまず何を減らすでしょうか? そう、ご飯やパン、麺類といった「主食」ですよね。そして、意外と糖質が多い根菜類(じゃがいも、さつまいも、かぼちゃなど)や果物も控える傾向にあります。実は、これらの食品は糖質だけでなく、「食物繊維」の重要な供給源でもあるんです。

食物繊維には、大きく分けて「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。

  • 不溶性食物繊維: 水に溶けにくく、便のカサを増やして腸を刺激し、排便を促す働きがあります。穀類や豆類、きのこ類、野菜などに多く含まれます。糖質制限で穀類を避けると、この不溶性食物繊維が不足しがちになります。便のカサが減ると、腸が十分に刺激されず、便を押し出す力が弱まってしまうのです。

  • 水溶性食物繊維: 水に溶けるとゲル状になり、便を柔らかくして排出しやすくする働きがあります。また、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える役割も担っています。海藻類や果物、一部の野菜(ごぼう、オクラなど)に多く含まれます。糖質制限で果物を控えたりすると、こちらも不足しやすくなります。

つまり、糖質制限によって、便のカサを増やす不溶性食物繊維と、便を柔らかくする水溶性食物繊維の両方が不足しやすくなり、これが便秘の大きな原因の一つとなるのです。特に、この2種類の食物繊維はバランス良く摂ることが大切で、どちらか一方に偏っても便秘を引き起こす可能性があります。例えば、不溶性ばかり摂りすぎると、水分が足りない場合に便が硬くなりすぎてしまうこともあります。

水分不足?グリコーゲンとの関係

「糖質制限を始めたら、最初の数日で体重がストンと落ちた!」という経験はありませんか? これは脂肪が燃えたというより、体内の「水分」が抜けた影響が大きいと言われています。実は、糖質は体内で「グリコーゲン」という形で筋肉や肝臓に蓄えられますが、このグリコーゲンは水分と結合して貯蔵される性質があります。具体的には、グリコーゲン1gあたり約3〜4gの水分と結びついているとされています。

糖質制限を行うと、体はまず蓄えていたグリコーゲンをエネルギー源として使い始めます。グリコーゲンが分解・消費されると、それに結合していた水分も一緒に体外へ排出されます。これが、糖質制限初期の急激な体重減少の正体の一つです。

しかし、この体水分量の減少は、便秘にとってはマイナスに働くことがあります。便の約70〜80%は水分で構成されており、体内の水分が不足すると、腸は便から水分を吸収しようとします。その結果、便が硬くなり、排出しにくい状態、つまり便秘になってしまうのです。糖質制限中は、意識的に水分を摂取しないと、知らないうちに水分不足に陥りやすいというわけですね。

腸内細菌のバランスが変化?

私たちの腸内には、約100兆個とも言われる多種多様な細菌が生息しており、「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」または「腸内フローラ」と呼ばれています。これらの細菌は、私たちの健康に様々な影響を与えており、大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん)に分けられます。

便秘と深く関わっているのが、この腸内細菌のバランスです。善玉菌は、腸の動きを活発にしたり、便の排出を助けたりする働きがあります。この善玉菌が元気でいるためには、エサとなるものが必要です。その代表的なエサが、先ほども登場した「水溶性食物繊維」や「オリゴ糖」なのです。

糖質制限によって、これらの善玉菌のエサとなる食品の摂取量が減ると、腸内で善玉菌が減少し、相対的に悪玉菌が優勢になりやすくなります。悪玉菌が増えると、腸内環境が悪化し、腸の動きが鈍くなったり、有害物質が発生したりして、便秘を引き起こす原因となります。糖質制限は、意図せず腸内細菌のバランスを崩してしまう可能性があるということを覚えておきましょう。

マニアック視点:ケトン体と電解質

さらに一歩踏み込んで、よりマニアックな視点からも見てみましょう。

  • ケトン体と腸の蠕動運動: 糖質制限、特に糖質を極端に制限する「ケトジェニックダイエット」では、体はエネルギー源として脂肪を分解し、「ケトン体」を作り出します。このケトン体が腸の蠕動(ぜんどう)運動、つまり便を押し出す動きに影響を与えるのではないか、という議論があります。一部では、ケトン体が腸の動きを抑制する可能性が指摘されていますが、まだ研究段階であり、明確な結論は出ていません。しかし、体がエネルギー代謝を大きく変える過程で、腸の働きにも何らかの影響が出る可能性は考えられます。

  • 電解質バランスの変化: 糖質制限、特に初期段階では、体内の水分と共にナトリウムやカリウムといった「電解質」も排出されやすくなります。電解質は、筋肉の収縮や神経伝達など、体の様々な機能に不可欠なミネラルです。特に、カリウムやマグネシウムは、腸の筋肉の正常な収縮(蠕動運動)に関わっています。これらのミネラルが不足すると、腸の動きが鈍くなり、便秘につながる可能性があります。糖質制限中は、水分だけでなく電解質の補給にも意識を向ける必要があるかもしれません。

このように、糖質制限中の便秘は、食物繊維不足、水分不足、腸内環境の変化といった主な原因に加え、ケトン体の影響や電解質バランスの変化といった、より複雑な要因も絡み合って起こると考えられます。

3. 糖質制限中でも食物繊維で便秘知らずに!

糖質制限中でも便秘知らずでいるためには、やっぱり「食物繊維」をしっかり摂ることが大切です! 「でも、糖質制限中って食べられるものが限られるんじゃ…?」と心配になりますよね。大丈夫! 糖質が少なく、かつ食物繊維が豊富な食材はたくさんあります。ここでは、あなたの糖質制限ライフをサポートしてくれる、食物繊維リッチな食材たちを具体的にご紹介しますね。

葉物野菜ときのこ類

まず頼りになるのが、葉物野菜ときのこ類です。これらは低糖質でありながら、食物繊維、特に便のカサを増やす「不溶性食物繊維」を多く含んでいます。

  • ほうれん草: 茹でたほうれん草100gあたり約2.8gの食物繊維が含まれます。おひたしやソテー、スープの具材など、活用法は無限大! 鉄分やビタミンも豊富なので、貧血予防にも嬉しいですね。

  • 小松菜: 茹でた小松菜100gあたり約2.4gの食物繊維。アクが少ないので、炒め物やスムージーにも使いやすいです。カルシウムも豊富です。

  • ケール: "野菜の王様"とも呼ばれるケールは、生の状態100gあたり約3.7gもの食物繊維を含みます。サラダやスムージー、チップスにするのもおすすめです。少し苦味があるので、オリーブオイルやレモン汁と合わせると食べやすくなりますよ。

  • しめじ: 生のしめじ100gあたり約3.5gの食物繊維。特にβ-グルカンという食物繊維が豊富です。炒め物、汁物、炊き込みご飯(お米の代わりにカリフラワーライスなどを使うと◎)にぴったり。

  • 舞茸: 生の舞茸100gあたり約3.5gの食物繊維。独特の食感と香りが楽しめます。天ぷらも美味しいですが、糖質制限中はソテーやグリルがおすすめです。

  • エリンギ: 生のエリンギ100gあたり約4.3gと、きのこ類の中でも食物繊維が豊富! 縦に割いてバター醤油でソテーすると、ホタテのような食感が楽しめます。

これらの野菜やきのこは、毎日の食事に積極的に取り入れたいですね。加熱することでカサが減り、たくさん食べやすくなります。ただし、ドレッシングや調味料の糖質には注意しましょう。

海藻類とアボカド、ナッツ類

次に注目したいのが、海藻類、アボカド、そしてナッツ類です。これらは、便を柔らかくする「水溶性食物繊維」も比較的多く含んでいるのが特徴です。

  • わかめ: 乾燥わかめ(水戻し後)100gあたり約3.6gの食物繊維。味噌汁やスープ、酢の物、サラダに。手軽に使えるカットわかめは常備しておくと便利です。

  • ひじき: 乾燥ひじき(水戻し後)100gあたり約4.7gの食物繊維。煮物にするのが定番ですが、サラダや豆腐と和えるのも美味しいですよ。鉄分も豊富です。

  • もずく: 味付けされていない生もずく100gあたり約1.4gの食物繊維。フコイダンという水溶性食物繊維が豊富です。酢の物でさっぱりいただくのが一般的ですね。市販の味付きもずくは糖質が高い場合があるので、成分表示をチェックしましょう。

  • アボカド: 「森のバター」と呼ばれるアボカドは、1個(可食部約140g)あたり約7.4gもの食物繊維を含みます。不溶性・水溶性どちらもバランス良く含まれており、さらに良質な脂質も摂れる優れもの。サラダやディップ、スムージーにも。ただし、カロリーは高めなので食べ過ぎには注意です。

  • アーモンド: 素焼きアーモンド100gあたり約11.0gの食物繊維。間食にぴったりですが、こちらもカロリーが高いので、1日20〜25粒程度を目安にしましょう。マグネシウムも豊富です。

  • くるみ: くるみ100gあたり約7.0gの食物繊維。オメガ3脂肪酸も豊富に含まれています。サラダのトッピングや、そのままおやつにするのも良いですね。

海藻類は低カロリーでミネラルも豊富。アボカドやナッツ類は良質な脂質も摂れますが、カロリーを意識して適量を心がけましょう。

優秀!チアシードとおからパウダー

さらに、糖質制限中の強い味方になってくれるのが、チアシードとおからパウダーです。これらは特に水溶性食物繊維が豊富で、便秘解消に役立ちます。

  • チアシード: 小さな粒ですが、水を含むと約10倍に膨らみ、プルプルとしたゲル状になります。このゲル状の成分が水溶性食物繊維です。大さじ1杯(約10g)あたり約3.4gの食物繊維が含まれます。無糖ヨーグルトやスムージー、飲み物に混ぜてしばらく置いてから食べるのがおすすめです。水分を吸収して膨らむので、満腹感も得やすいですよ。

  • おからパウダー: 大豆から豆腐を作る過程で出る「おから」を乾燥させたもの。100gあたり約43.6gと、驚異的な食物繊維量! 不溶性・水溶性どちらも豊富です。糖質も非常に少ないため、糖質制限中の小麦粉代わりとして、お好み焼きや蒸しパン、クッキーなどの生地に使ったり、ヨーグルトやスープに混ぜたりして手軽に食物繊維を補給できます。粒子が細かい「超微粉タイプ」は、飲み物にも溶けやすいです。ただし、水分をよく吸収するので、おからパウダーを使った料理を食べる際は、いつもより多めに水分を摂るように意識してくださいね。

これらは少量で効率よく食物繊維を摂取できるので、ぜひ活用してみてください。

不溶性・水溶性のバランス意識

ここまで様々な食材を紹介してきましたが、大切なのは「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」をバランス良く摂ることです。理想的なバランスは「不溶性2:水溶性1」と言われています。

  • 不溶性食物繊維が多い食材:きのこ類、豆類(糖質に注意)、ごぼう、ブロッコリー、おからパウダーなど

  • 水溶性食物繊維が多い食材:海藻類、こんにゃく、オクラ、アボカド、チアシードなど

どちらか一方に偏らず、色々な食材を組み合わせることを意識しましょう。例えば、きのこたっぷりのソテーにわかめスープを添えたり、サラダにアボカドやナッツ、チアシードをトッピングしたりするだけでも、バランスはぐっと良くなりますよ。自分の食事内容を振り返ってみて、足りていないタイプの食物繊維を意識的にプラスしてみてくださいね。

4. 糖質制限中の便秘は水分補給と腸内環境ケアで完璧!

食物繊維をしっかり摂ることに加えて、糖質制限中の便秘対策で欠かせないのが「水分補給」と「腸内環境の改善」です。この2つは、お互いに影響し合いながら、スムーズなお通じをサポートしてくれます。さあ、具体的な方法を見ていきましょう!

水分補給は意識的に!

先ほどもお話しした通り、糖質制限中は体内の水分が減少しがちです。便を柔らかく保ち、腸の動きをスムーズにするためには、意識的な水分補給が不可欠! では、どのくらい飲めば良いのでしょうか?

  • 目安量: 一般的には、1日に「体重(kg) × 30ml」程度の水分摂取が推奨されています。例えば、体重50kgの方なら、50kg × 30ml = 1500ml(1.5L)が目安となります。ただし、これはあくまで目安。運動量が多い日や汗をたくさんかいた日、また糖質制限を始めたばかりの頃は、もう少し多めに摂ることを意識すると良いでしょう。

  • こまめに飲む: 一度にガブ飲みするのではなく、コップ1杯程度の量を、1日の中でこまめに飲むのがポイントです。朝起きた時、食事の時、入浴前後、就寝前など、タイミングを決めて飲む習慣をつけると忘れにくいですよ。喉が渇いたと感じる前に飲むのが理想的です。

  • 水以外もOK?: 基本は「水」または「白湯」がベストです。でも、毎日水ばかりだと飽きてしまうこともありますよね。そんな時は、糖質の含まれていないお茶(緑茶、麦茶、ほうじ茶、ハーブティーなど)や、糖質の少ない野菜で作った温かいスープなども水分補給になります。ただし、カフェインの多い飲み物(コーヒー、紅茶、玉露など)には利尿作用があるため、飲み過ぎるとかえって水分不足になる可能性も。適量を心がけましょう。ジュースやスポーツドリンクは糖質が多いので、糖質制限中は避けるのが無難です。

「今日はあまり水分を摂れていないな」と感じたら、意識してコップ1杯の水をプラスするなど、日々の水分摂取量を気にかけてみてくださいね。

発酵食品で腸活しよう

腸内環境を整えることは、便秘解消の鍵となります。そのために積極的に取り入れたいのが「発酵食品」です。発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌といった「善玉菌」そのものが含まれており、腸内フローラのバランスを改善するのに役立ちます(これをプロバイオティクスと言います)。

  • 無糖ヨーグルト: 手軽に取り入れられる発酵食品の代表格。様々な種類の乳酸菌やビフィズス菌を含む商品があります。糖質制限中は、必ず「無糖」タイプを選びましょう。甘みが欲しい場合は、低糖質の甘味料(ラカントS、エリスリトールなど)を少量使うか、後述するオリゴ糖などを加えるのがおすすめです。商品によって含まれる菌の種類が異なるので、色々試してみて、自分に合うものを見つけるのも良いですね。

  • 納豆: 日本が誇るスーパーフード! 納豆菌は生きたまま腸に届きやすく、善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。食物繊維やタンパク質、ビタミンKなども豊富です。タレには糖質が含まれていることが多いので、少量にするか、醤油やポン酢などで代用するのも良いでしょう。

  • キムチ: 乳酸菌が豊富な韓国の漬物。ただし、市販のキムチの中には、発酵させていない「浅漬けタイプ」や、糖分が多く使われているものもあるので注意が必要です。「発酵」と表示されているものや、酸味のあるものを選ぶのがおすすめです。食べ過ぎは塩分過多にもつながるので、適量を心がけましょう。

  • ザワークラウト: キャベツを乳酸発酵させたドイツの伝統食。植物性乳酸菌が豊富です。自家製も意外と簡単に作れますよ。ソーセージの付け合わせだけでなく、サラダ感覚で食べるのも美味しいです。

これらの発酵食品は、一度にたくさん食べるよりも、毎日少しずつ継続して食べることが大切です。色々な種類をローテーションで取り入れることで、多様な善玉菌を腸に届けることができます。

善玉菌のエサをプラス

善玉菌そのものを摂る(プロバイオティクス)と同時に、腸内にすで にいる善玉菌を育てる「エサ」を与える(プレバイオティクス)ことも非常に重要です。善玉菌のエサとなる代表的な成分は、「水溶性食物繊維」と「オリゴ糖」です。

  • オリゴ糖: 糖質の一種ですが、消化・吸収されにくく、大腸まで届いて善玉菌(特にビフィズス菌)のエサとなります。玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、にんにく、バナナ(糖質制限中は量に注意)などに含まれています。また、市販のオリゴ糖シロップなどもありますが、商品によっては砂糖などが添加されている場合もあるので、成分表示を確認しましょう。「フラクトオリゴ糖」や「ガラクトオリゴ糖」などが代表的です。無糖ヨーグルトに少量加えるのも良い方法です。

  • 水溶性食物繊維: 先ほどの食事対策①でも触れましたが、海藻類、こんにゃく、オクラ、アボカド、チアシード、おからパウダーなどに豊富です。これらを積極的に摂ることで、善玉菌を元気にすることができます。

  • サプリメントの活用: 食事だけで十分な量を摂るのが難しい場合は、水溶性食物繊維のサプリメントを活用するのも一つの方法です。「イヌリン」や「難消化性デキストリン」といった成分がよく知られています。これらはパウダー状で、飲み物や料理に混ぜて手軽に摂取できます。ただし、摂りすぎるとお腹が緩くなることもあるので、少量から試すようにしましょう。

プロバイオティクス(善玉菌そのもの)とプレバイオティクス(善玉菌のエサ)を両方一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼び、より効果的に腸内環境を改善できると考えられています。例えば、「無糖ヨーグルト(プロバイオティクス)にオリゴ糖(プレバイオティクス)をかける」といった組み合わせは、まさにシンバイオティクスですね!

水分補給と腸内環境ケアは、車の両輪のようなもの。どちらか一方だけでなく、両方を意識することで、糖質制限中の便秘リスクをぐっと減らすことができますよ。

5. 糖質制限中の頑固な便秘への対処法

食物繊維や水分、発酵食品を意識しても、「なかなか便秘が改善しない…」そんな頑固な便秘に悩む方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、さらに一歩踏み込んだ、ちょっとマニアックな対処法と注意点についてお話しします。

マグネシウム不足を疑ってみる

意外と見落としがちなのが「マグネシウム」不足です。マグネシウムは、体内で300種類以上の酵素の働きを助ける重要なミネラルですが、便秘解消にも役立つことが知られています。

  • マグネシウムの働き: マグネシウムには、腸管内で水分を集めて便を柔らかくする効果(浸透圧性下剤と同様の作用)と、腸の筋肉の収縮を助けて蠕動運動を促す効果があります。これにより、排便がスムーズになるのです。

  • マグネシウム豊富な食品: 糖質制限中でも摂りやすいマグネシウム豊富な食品には、以下のようなものがあります。

    • ナッツ類: アーモンド、カシューナッツ、くるみなど(食べ過ぎに注意)

    • 種子類: かぼちゃの種、ごま、チアシードなど

    • 海藻類: あおさ、わかめ、ひじきなど

    • 大豆製品: 豆腐、納豆など(糖質制限の度合いによる)

    • その他: アボカド、ほうれん草、にがりなど 毎日の食事にこれらの食品を意識的に取り入れてみましょう。特に「にがり」は、飲み水や味噌汁に数滴加えるだけで手軽にマグネシウムを補給できますが、入れすぎると苦味が強くなるので注意が必要です。

  • サプリメントの活用: 食事だけでは不足しがちな場合は、マグネシウムのサプリメントを利用する方法もあります。酸化マグネシウムは便秘薬としても使われることがありますが、自己判断での過剰摂取は下痢や高マグネシウム血症のリスクも伴います。特に腎機能に問題がある方は注意が必要です。サプリメントを利用する場合は、必ず医師や薬剤師、管理栄養士などの専門家に相談し、適切な種類と量を確認するようにしましょう。

もし頑固な便秘が続くなら、マグネシウム不足の可能性も考えてみてくださいね。

良質な脂質は味方になる?

糖質制限では、エネルギー源として「脂質」の摂取が重要になりますが、この脂質が便秘解消の味方になる可能性もあります。

  • 脂質の役割: 適度な脂質は、腸内で潤滑油のような働きをして、便の滑りを良くし、排便をスムーズにする効果が期待できます。また、脂質の一種である「胆汁酸」は、腸の蠕動運動を刺激する作用もあります。

  • どんな脂質が良い?: ポイントは「良質な脂質」を選ぶことです。

    • MCTオイル(中鎖脂肪酸油): ココナッツオイルやパーム核油に含まれる天然成分で、消化吸収が早く、エネルギーになりやすいのが特徴です。腸を刺激して排便を促す効果も期待されています。コーヒーやサラダ、スープなどに少量加えてみましょう。ただし、一度にたくさん摂るとお腹が緩くなったり、腹痛を起こしたりすることがあるので、小さじ1杯程度から試すのがおすすめです。

    • オリーブオイル: 特にエキストラバージンオリーブオイルは、オレイン酸が豊富で、腸の働きを助けると言われています。サラダにかけたり、加熱料理に使ったりするのも良いでしょう。

    • その他: アボカド、ナッツ類、青魚(サバ、イワシなど)に含まれる脂質も良質です。

糖質制限中は脂質の摂取量が増えやすいですが、その「質」にもこだわってみると、便秘改善につながるかもしれません。ただし、脂質の摂りすぎはカロリーオーバーにつながるので、バランスを考えることが大切です。

生活習慣も見直そう

食事以外にも、生活習慣が便秘に影響していることがあります。

  • ストレス管理: ストレスは自律神経のバランスを乱し、腸の働きを低下させる大きな原因となります。「脳腸相関」という言葉があるように、脳と腸は密接に関係しています。強いストレスを感じると、交感神経が優位になり、腸の蠕動運動が抑制されてしまうのです。リラックスできる時間を作る(入浴、趣味、瞑想など)、十分な睡眠をとるなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。ストレスが溜まっているなと感じたら、意識的に休息を取りましょう。

  • 適度な運動: 運動不足も便秘の原因の一つです。特に、腹筋周りの筋肉が弱いと、便を押し出す力が弱くなってしまいます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、全身の血行を良くし、腸の動きを活発にする効果があります。また、腹筋運動や軽いストレッチ、ヨガなども、お腹周りの筋肉を刺激し、排便を助けるのに役立ちます。毎日少しずつでも良いので、体を動かす習慣を取り入れましょう。食後に軽い散歩をするだけでも効果的ですよ。

食事内容だけでなく、心と体の両面からアプローチすることが、頑固な便秘を解消するヒントになるかもしれません。

糖質制限のやり方、大丈夫?

もしかしたら、あなたの行っている「糖質制限のやり方」そのものが、便秘の原因になっている可能性もあります。

  • PFCバランスの見直し: 糖質制限中は、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランス、いわゆるPFCバランスが通常とは異なります。特に脂質の割合が高くなりがちですが、タンパク質の摂取量が極端に少なかったり、逆に多すぎたりしても、腸内環境に影響を与えることがあります。また、炭水化物(糖質+食物繊維)を極端にカットしすぎている場合、必然的に食物繊維の摂取量も減ってしまいます。一度、自分の食事内容を見直し、PFCバランスが極端に偏っていないか確認してみましょう。

  • 制限の度合いは適切?: 糖質制限には、1日の糖質量を20〜50g程度に抑える厳格な「ケトジェニック」から、70〜130g程度に抑える緩やかな「ローカーボ(低糖質)」まで、様々なレベルがあります。あまりに厳しい糖質制限は、食物繊維や水分の不足、腸内環境の変化を招きやすく、便秘のリスクを高める可能性があります。もし厳格な糖質制限で便秘が続く場合は、少し糖質の制限を緩めて、野菜や海藻、少量の果物などから食物繊維を摂る量を増やしてみるのも一つの方法です。自分にとって無理なく続けられ、かつ体調が良いと感じる制限レベルを見つけることが重要です。

  • 安易な下剤使用のリスク: 便秘が辛いと、つい市販の下剤に頼りたくなりますよね。しかし、下剤の常用は、腸本来の排便機能を低下させたり、依存性を生じさせたりするリスクがあります。特に、腸を直接刺激するタイプの下剤(刺激性下剤)の長期連用は注意が必要です。下剤を使う場合は、一時的な使用にとどめ、根本的な原因解決(食事や生活習慣の見直し)に取り組むことが大切です。

  • 医療機関への相談タイミング: 色々な対策を試しても便秘が改善しない場合や、便秘に伴って激しい腹痛、吐き気、発熱などがある場合は、自己判断せずに必ず医療機関(消化器内科など)を受診しましょう。便秘の背景に、何か他の病気が隠れている可能性も考えられます。医師に相談すれば、適切な検査や治療、薬の処方(酸化マグネシウムなど、依存性の少ないタイプの下剤もあります)を受けることができます。

頑固な便秘には、様々な要因が考えられます。一つ一つ原因を探り、自分に合った対処法を見つけていくことが大切です。そして、困ったときは専門家の力を借りることをためらわないでくださいね。

6. まとめ:これで糖質制限中の便秘とサヨナラ!

ここまで、糖質制限中に起こりやすい便秘の原因と、その対策について、ちょっとマニアックな視点も交えながら詳しくお話ししてきました。いかがでしたか?

糖質制限と便秘は、確かに切っても切れない関係にあるように思えるかもしれません。でも、決して「糖質制限=便秘は仕方ない」わけではないんです! なぜ便秘になるのか、そのメカニズムを正しく理解し、適切な対策をとれば、糖質制限のメリットを享受しながら、お腹の悩みとはサヨナラできる可能性は十分にあります。

今回ご紹介した対策を、もう一度おさらいしましょう。

  • 食事: 糖質の少ない葉物野菜、きのこ類、海藻類、アボカド、ナッツ類、チアシード、おからパウダーなどを活用して、「不溶性」と「水溶性」の食物繊維をバランス良く摂る。

  • 水分: 体重×30mlを目安に、こまめな水分補給を心がける。

  • 腸内環境: 無糖ヨーグルトや納豆などの発酵食品(プロバイオティクス)と、オリゴ糖や水溶性食物繊維(プレバイオティクス)を積極的に摂る。

  • 生活習慣: マグネシウムや良質な脂質を意識し、ストレスを溜めず、適度な運動を取り入れる。

  • 糖質制限の見直し: 自分のPFCバランスや糖質制限のレベルが適切か見直す。

大切なのは、これらの対策を「継続すること」です。一度試してすぐに効果が出なくても、諦めずに続けてみてください。私たちの体は、日々の小さな積み重ねで少しずつ変わっていきます。

そして何より、ご自身の体としっかり向き合うことが重要です。「今日はちょっとお腹が張るな」「この食材を食べると調子がいいな」など、体の声に耳を傾け、無理のない範囲で糖質制限を調整していく柔軟さも持ちましょう。完璧を目指しすぎず、心地よく続けられる方法を見つけることが、成功の秘訣です。

もし、色々試しても便秘が改善しない、あるいは悪化するような場合は、決して自己判断で無理をしたり、安易に下剤に頼ったりせず、早めに専門家(医師や管理栄養士)に相談してくださいね。あなたの体質や状況に合わせた、より的確なアドバイスをもらえます。

糖質制限は、正しく行えば健康や美容に多くのメリットをもたらしてくれます。便秘というハードルを上手に乗り越えて、あなたが目指す理想の体と快適な毎日を手に入れられるよう、心から応援しています! 一緒に、便秘知らずの快適な糖質制限ライフを送りましょう!

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。