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【5分でわかる】無添加とは?定義とメリット・デメリットを解説!

2025.05.30
【5分でわかる】無添加とは?定義とメリット・デメリットを解説!

お店で「無添加」と書かれた食品や化粧品など安心感からつい手に取っていませんか?しかし、「具体的に何が」無添加なのか実はよく知らないという方も多いのではないでしょうか。実は「無添加」という言葉には、国が定めた明確な定義がありません。

この記事ではそんな「無添加」表示の裏側と、本当に安全な商品を見極めるための具体的なチェックポイントを専門家が徹底解説します。この記事を読めば、もう無添加表示に惑わされることはありません。

1. 無添加とは何か?実は決まっていないってホント?

「無添加」という言葉、本当によく見かけますよね!スーパーマーケットやドラッグストアに行けば、食品から化粧品、日用品に至るまで、たくさんの商品にこの魅力的な言葉が記載されています。なんだか、それだけで「体に優しそう」「安全性が高い」「品質が良い」といったポジティブなイメージを抱いてしまうのではないでしょうか。私自身も、以前は「無添加」と書かれていると、ついつい安心して手を伸ばしていました。

しかし、ここで一つ、あなたに衝撃の事実をお伝えしなければなりません。実は、「無添加」という言葉には、法律で定められた明確で統一された定義が存在しないのです。「え、そうなの!?」と驚かれたかもしれませんね。そうなのです。これは、国が「これが無添加の基準です」と定めているわけではなく、各メーカーが「私たちの製品には、特定の成分を加えていませんよ」ということを自主的に宣言し、アピールしている表示なんです。だからこそ、「A社の無添加」と「B社の無添加」では、その意味する内容が全く違う、ということも十分にあり得るのですね。この事実を知ることが、賢い商品選びの第一歩になります。

法律では決まっていない「無添加」の正体

もう少し詳しくお話ししましょう。日本の食品表示は「食品表示法」、化粧品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」によってルールが定められています。しかし、これらの法律の中に「無添加とは、〇〇と△△を添加していないことである」といった具体的な定義規定はないのです。

消費者庁は「無添加」やそれに類する表示についてのガイドラインを公表しており、消費者に誤解を与えるような、著しく優良であると見せかける表示は景品表示法で規制される可能性があります。例えば、すべての食品に添加が禁止されている成分について「〇〇無添加」と表示すると、あたかもその商品だけが特別に安全であるかのような誤解を与えるため、不当表示とみなされることがあります。

しかし、基本的には「何をもって“無添加”とするか」は、製造・販売するメーカーの判断に委ねられているのが現状です。あるメーカーは「保存料と着色料」を加えていないことを「無添加」と呼び、別のメーカーは「国が定めた食品添加物すべて」を加えていない場合にのみ「無添加」と表示するなど、その基準は千差万別。だからこそ、私たちは「無添加」という言葉の表面的なイメージだけに頼るのではなく、「具体的に何が、なぜ無添加なのか」という本質を見抜く力が必要になるのです。

なぜ「無添加」の定義は曖昧なのか?

では、なぜ国は「無添加」の明確な定義を設けないのでしょうか。これにはいくつかの理由が考えられます。一つは、技術が日々進歩している中で、新しい成分や製法が次々と開発されているからです。もし国が厳格な定義を設けてしまうと、その基準が技術の進歩に追いつかず、かえって企業の自由な開発努力を妨げてしまう可能性があります。

また、「添加物」と一括りにしても、その種類や役割は非常に多岐にわたります。食品の風味を良くするもの、保存性を高めるもの、色を鮮やかにするもの、栄養を強化するものなど、様々です。消費者一人ひとりが「何を避けたいか」というニーズも多様化しています。ある人はアレルギーの観点から特定の保存料を避けたいかもしれませんし、またある人は自然な味わいを求めてうま味調味料を避けたいと考えるかもしれません。

国が画一的な基準を設けるよりも、メーカーがそれぞれの製品哲学に基づき「私たちは、消費者の皆様のこういうニーズに応えるために、この成分を添加していません」と自主的に表示し、最終的な選択を消費者に委ねる、という考え方が根底にあるのかもしれません。この自由度の高さが、私たち消費者にとっては少し分かりにくい状況を生んでいる一方で、多様な商品が生まれる土壌にもなっていると言えるでしょう。

「オーガニック」との決定的な違い

ここで、「無添加」とよく似たイメージで使われる「オーガニック(有機)」との違いについて触れておきましょう。この二つは、安心・安全といったイメージで混同されがちですが、その根拠となるルールは全く異なります。

先ほどお話しした通り、「無添加」には法的な定義がありません。一方で、「オーガニック」や「有機」という表示は、「有機JAS法(日本農林規格等に関する法律)」という法律に基づいて、非常に厳格な基準が定められています。農産物であれば、「原則として化学的に合成された農薬や肥料の使用を避ける」「遺伝子組換え技術を利用しない」といった基準を満たした農地で生産されたものでなければなりません。

この基準をクリアし、専門の登録認定機関から認証を受けた事業者だけが、製品に「有機JASマーク」を付けて「オーガニック」や「有機」と表示することができます。つまり、「オーガニック」は国が定めた明確なルールに則った表示であり、その信頼性は法的に担保されているのです。この違いを知っておくだけでも、商品を選ぶ際の大きなヒントになりますね。「無添加」はメーカーの自主宣言、「オーガanic」は国の認証制度、と覚えておくと分かりやすいですよ。

2. 【食品における無添加とは?】「保存料無添加」のからくりと「化学調味料無添加」の裏側

それでは、私たちの食生活に最も身近な「食品」における「無添加」表示について、少しマニアックに深掘りしていきましょう。特に、お弁当やお惣菜、加工食品などでよく目にする「保存料無添加」や「化学調味料無添加」といった表示。これらの言葉の裏側には、知っておくと面白い、そしてちょっぴり驚くような事実が隠されていることがあるんです。これを理解すれば、スーパーでの買い物がもっと楽しく、そして主体的になりますよ!

「保存料無添加」でも長持ちする秘密

「このお弁当、保存料無添加なのに、どうして長持ちするんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?その秘密は、多くの場合、「保存料」として指定されている成分以外の方法で、食品の保存性を高めているからなんです。

代表的なのが「pH調整剤」の使用です。pH(ペーハー)とは、酸性・アルカリ性の度合いを示す尺度のこと。多くの微生物は、特定のpHの範囲でしか増殖できません。そこで、クエン酸や乳酸ナトリウム、リンゴ酸といった「pH調整剤」を添加して、食品を微生物が繁殖しにくい弱酸性の状態に保つのです。これらの成分は、食品表示法では「酸味料」や「pH調整剤」として分類され、「保存料」(例えばソルビン酸や安息香酸など)とは区別されています。そのため、「保存料」は使っていなくても、これらのpH調整剤を使うことで、結果的に食品の日持ちを良くすることが可能になるわけです。

さらに、「日持ち向上剤」と呼ばれるものもあります。例えば、アミノ酸の一種である「グリシン」や、卵白から作られる酵素である「リゾチーム」などがこれにあたります。これらは静菌効果(菌の増殖を抑える効果)を持ちながらも、分類上は「保存料」ではないため、「保存料無添加」と表示しながら使用することができるのです。決して、これらの代替成分が危険だと言いたいわけではありません。国が安全性を認めた食品添加物ですし、食中毒のリスクを減らすためには非常に重要な役割を果たしています。ただ、「保存料無添加」という言葉が、「保存性を高めるための工夫が一切されていない」という意味ではない、という事実を知っておくことが大切なのです。

「化学調味料無添加」のうま味の正体

次に、「化学調味料(アミノ酸等)無添加」という表示を見ていきましょう。健康志向の高まりとともに、この表示も本当によく見かけるようになりました。化学調味料と聞くと、なんだか体に良くないイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。

一般的に「化学調味料」として避けられる代表格は、「L-グルタミン酸ナトリウム」です。これは昆布のうま味成分を化学的に合成したもので、少量で強い「うま味」を付与することができます。この「化学調味料(アミノ酸等)無添加」と表示された商品で、その代わりによく使われているのが、「酵母エキス」や「たん白加水分解物」、「昆布エキス」といった成分です。

これらのエキス類は、食品表示法上では「食品」に分類されます。添加物ではなく、あくまで「食品」扱いなのです。しかし、その役割を見てみると、非常に興味深いことが分かります。例えば「たん白加水分解物」は、大豆やトウモロコシ、動物の肉などのタンパク質を、塩酸や酵素などを使って分解し、うま味成分であるアミノ酸を人工的に取り出したものです。「酵母エキス」も、ビール酵母やパン酵母を同じように分解・抽出して作られます。つまり、製造工程は異なりますが、食品に「うま味」を添加するという目的においては、化学調味料と非常によく似た役割を果たしているのです。

もちろん、エキス類にはグルタミン酸以外にも様々なアミノ酸や核酸、ペプチドなどが含まれているため、より複雑で自然に近い風味を持つ、というメリットがあります。しかし、「化学調味料は避けているけれど、酵母エキスやたん白加水分解物は気にしない」というのは、少し不思議な選択かもしれません。「人工的なうま味を避けたい」という本来の目的を考えるならば、これらのエキス類がどういうものなのかを知った上で、商品を選ぶ必要がありますね。

知っておきたい食品添加物の基礎知識

ここで少し、食品添加物そのものについての基礎知識をおさらいしておきましょう。日本の食品衛生法では、食品添加物は「指定添加物」と「既存添加物」、そして「天然香料」「一般飲食物添加物」の4つに分類されています。

「指定添加物」は、先ほど例に挙げたソルビン酸カリウム(保存料)やキシリトール(甘味料)など、国が安全性を評価し、使用を許可した化学合成品が中心です。その数は2025年時点で472品目あります。

「既存添加物」は、日本で古くから使われてきた実績があり、例外的に使用が認められているもので、クチナシ色素や柿タンニンなどが含まれます。こちらは357品目がリストに載っています。

そして、「天然香料」はバニラ香料やカニ香料など動植物から得られる香りの成分、「一般飲食物添加物」は、イチゴジュースや寒天など、それ自体が食品として食べられているものを、着色や増粘などの目的で使う場合を指します。先ほど出てきた「酵母エキス」なども、食品であるためこの考え方に近いと言えるでしょう。

私たちが「無添加」という言葉で避けようとしているのは、主にこの「指定添加物」であることが多いかもしれません。しかし、既存添加物や、うま味を添加する目的で使われる「食品」など、その境界線は意外と曖昧です。すべての添加物を悪者扱いするのではなく、それぞれの役割や成り立ちを理解することが、食への不安を解消し、より豊かな食生活を送るための鍵となります。

うま味調味料とエキス類の違いとは?

「化学調味料(うま味調味料)」と「酵母エキス」などのエキス類。結局、何が違うの?と疑問に思うかもしれませんね。最大の違いは、やはりその「純度」と「分類」です。

L-グルタミン酸ナトリウムのようなうま味調味料は、特定のうま味成分をほぼ100%に近い純度で精製したものです。そのため、非常にシャープで強い味を手軽に加えられます。これが「化学調味料」であり「食品添加物」に分類されます。

一方、酵母エキスやたん白加水分解物は、原料を分解して作られますが、その中にはグルタミン酸だけでなく、他の様々なアミノ酸や核酸、ミネラル、ペプチドなどが含まれています。そのため、味わいに複雑さやコク、深みが生まれます。これが「食品」に分類される理由です。

どちらが良い・悪いという話ではありません。切れ味の鋭いプロ用の包丁と、家庭用の万能包丁のような違い、と考えると分かりやすいかもしれません。どちらにも長所と短所があり、用途によって使い分けられています。ただ、私たち消費者が「人工的なうま味は避けたい」と考えたとき、「食品添加物」という分類名だけで判断するのではなく、その実質的な役割、つまり「うま味を強化するために加えられているかどうか」という視点を持つことが、より本質的な商品選びにつながるのではないでしょうか。

3. 【化粧品における無添加とは?】「パラベンフリー」は防腐剤フリーという意味じゃない!?

さて、次は毎日のお手入れに欠かせない「化粧品」の世界における「無添加」表示をのぞいてみましょう。食品と同じように、化粧品売り場でも「パラベンフリー」「鉱物油フリー」「合成香料無添加」といった言葉が、まるで品質保証のマークかのように輝いて見えますよね。特に肌がデリケートな方にとっては、こうした表示は商品を選ぶ上でとても重要な指標になると思います。しかし、ここでも言葉のイメージだけを鵜呑みにしてしまうと、思わぬ誤解が生じる可能性があります。代表的な「パラベンフリー」を例に、その意味と背景をマニアックに解説していきます!

パラベンフリーは防腐剤フリーではない

化粧品における「無添加」表示の代表格といえば、何と言っても「パラベンフリー」でしょう。パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)は、非常に優れた防腐効果を持つ成分で、古くから世界中の多くの化粧品に配合されてきました。しかし、ごくまれにアレルギー反応を起こす人がいることや、過去に環境ホルモン(内分泌かく乱物質)としての影響が懸念された時期があったことなどから(現在では通常の化粧品使用量では安全であると結論付けられています)、消費者の間で避けられる傾向が生まれ、「パラベンフリー」を謳う商品が急増しました。

ここで最も重要なポイントは、「パラベンフリー」は「防腐剤フリー(防腐剤無添加)」とイコールではない、ということです。化粧品は、水分や油分、豊富な栄養成分を含んでいるため、微生物(細菌やカビなど)にとっては絶好の繁殖場所です。もし防腐剤が一切入っていなければ、開封した途端に雑菌が繁殖し、あっという間に腐敗してしまいます。腐敗した化粧品を使うことは、肌トラブルの直接的な原因となり、非常に危険です。

そのため、「パラベンフリー」の化粧品のほとんどには、パラベンの代わりとなる別の防腐剤が配合されています。代表的な代替成分が「フェノキシエタノール」です。これもパラベンと同様に、幅広い種類の菌に対して効果を発揮する優れた防腐剤です。他にも、BG(ブチレングリコール)やペンチレングリコールといった保湿成分としても知られる多価アルコール類は、それ自体に静菌性があるため、防腐効果を補助する目的で高濃度に配合されることがあります。パラベンが肌に合わない方にとって、「パラベンフリー」という表示は非常に有益な情報です。しかし、それはあくまで「パラベンという特定の防腐剤が入っていない」という意味であり、「防腐剤がゼロで、何もしなくても腐らない魔法の化粧品」ではない、ということをしっかりと理解しておく必要があります。

防腐剤なしで品質を保つ賢い工夫

では、ごく一部に存在する「本当に防腐剤フリー」を謳う化粧品は、どのようにして品質を保っているのでしょうか。これには、メーカーの血のにじむような(!)様々な工夫が凝らされているんです。

一つは、製品自体の処方を工夫する方法です。例えば、植物エキスの中には、それ自体が抗菌・防腐作用を持つものが存在します。ローズマリー葉エキスやグレープフルーツ種子エキス、タイムエキスなどがその代表例です。東京工科大学応用生物学部の研究などでも、特定の植物エキスが微生物の増殖を抑制する効果を持つことが示されています。これらの天然由来成分を組み合わせることで、防腐剤の役割を代替しようという試みです。

また、製品のpHを酸性やアルカリ性に傾けることで、菌が繁殖しにくい環境を作るという方法もあります。これは食品のpH調整剤と似た考え方ですね。

さらに、容器そのものを工夫するケースも増えています。中身が空気に触れないように設計された「エアレス容器」や、一度出したら中に戻らない構造のチューブ、あるいは一回使い切りの個包装(アンプルやパウチ)などがその例です。こうした容器を採用することで、開封後の雑菌混入リスクを最小限に抑え、防腐剤への依存度を下げることができるのです。ただし、こうした特殊な処方や容器はコストが高くなる傾向があり、製品価格にも反映されることが一般的です。

パラベン以外の「〇〇フリー」も要チェック

「無添加化粧品」の世界はパラベンフリーだけではありません。他にも様々な「〇〇フリー」表示が存在します。いくつか代表的なものを見ていきましょう。

  • シリコンフリー: シャンプーやコンディショナーでよく見かけますね。シリコン(ジメチコン、シクロメチコンなど)は髪の表面をコーティングし、指通りを滑らかにしたり、艶を出したりする効果があります。しかし、「毛穴に詰まる」「髪や頭皮に良くない」といったイメージから避けられることがあります。シリコンフリーの製品では、植物性オイルや天然由来のポリマーなどで、その感触を代替しようと試みています。ただし、シリコンはアレルギー性も低く安定した成分であり、髪を摩擦から守るという重要な役割も担っています。一概に悪い成分とは言えません。

  • 鉱物油(ミネラルオイル)フリー: 鉱物油は、石油を精製して得られる非常に純度の高い油です。皮膚への刺激が少なく、肌の表面に膜を作って水分の蒸発を防ぐ保護効果に優れています。ワセリンなどがその代表ですね。しかし、「石油由来」というイメージや、「肌呼吸を妨げる」といった誤解から、フリー表示が好まれる傾向にあります。代替としては、ホホバオイルやオリーブオイルといった植物性のオイルが使われることが多いです。

  • 合成香料・合成着色料フリー: これらは、製品に香りや色をつけるための成分です。アレルギーの原因となったり、肌への刺激となったりする可能性があるため、特に敏感肌向けの製品では「無添加」とされることが多い項目です。天然の精油(エッセンシャルオイル)や植物由来の色素で代替されることもありますが、天然成分だからといって誰にでもアレルギーが起きないわけではない、という点も覚えておく必要があります。

これらの「フリー表示」は、特定の成分を避けたい人にとっては重要な情報ですが、その成分が絶対的な悪であるというわけではない、というバランス感覚を持つことが大切です。

本当に肌に優しい化粧品とは?

ここまで読んで、「じゃあ、一体どんな化粧品を選べばいいの?」と混乱してしまったかもしれませんね。私が考える「本当に肌に優しい化粧品」とは、「無添加」という言葉の数で決まるものではなく、「自分の肌質や肌の状態に合っているかどうか」で決まるものだと思います。

例えば、パラベンにアレルギーがある方にとっては、「パラベンフリー」は絶対条件でしょう。しかし、パラベンもフェノキシエタノールも問題なく使える方にとっては、どちらが優れているということではなく、製品全体の処方や使用感で選ぶ方が合理的です。乾燥に悩む方にとっては、高い保護力を持つ鉱物油(ミネラルオイル)が、高価な植物オイルよりも効果的な救世主になることだってあります。

大切なのは、「〇〇フリー」という言葉に安心しきってしまうのではなく、「なぜフリーなのか」「その代わりには何が使われているのか」「それは自分の肌にとって必要なのか、不要なのか」を考える視点です。広告のイメージや流行に流されるのではなく、あなた自身の肌と対話し、成分表示という客観的な事実に基づいて判断すること。それこそが、無数にある化粧品の中から、あなたにとっての「ベストな一品」を見つけ出すための、最も確実な方法なのです。

4. じゃあ、どう選べばいいの?「無添加」と上手に付き合うための賢いステップ

「無添加の定義は曖昧で、食品や化粧品には色々なからくりがあるのは分かったけれど、じゃあ結局、私たちは毎日のお買い物で何を基準に商品を選べばいいの…?」きっと、あなたは今そう感じているのではないでしょうか。なんだかすごく難しくて、面倒なことに思えるかもしれませんね。でも、大丈夫です!ほんの少しのコツと習慣で、あなたの「無添加」との付き合い方は劇的に変わります。ここでは、誰でも今日から実践できる、賢い商品選びのための具体的なステップをご紹介しますね!

まずは裏面の「表示」を見る習慣を

賢い消費者になるための、最も重要で、最も簡単な第一歩。それは、商品の裏側にある「原材料名表示(食品の場合)」や「全成分表示(化粧品の場合)」をとにかく一度、見てみるクセをつけることです。

私たちは普段、商品のパッケージの表側、つまり広告スペースに書かれたキャッチーな言葉(「無添加」もその一つです!)に注目しがちです。でも、本当に大切な情報は、たいてい裏側の小さな文字で書かれています。

最初は、見慣れないカタカナや漢字の羅列に戸惑うかもしれません。「うわ、何だかよく分からない…」と感じても全く問題ありません。まずは、ただ「見る」だけでいいのです。いつも買っているお醤油、お気に入りのお菓子、毎日使っている化粧水。その裏側には一体何が書かれているんだろう?と、宝探しのような感覚で眺めてみてください。

例えば、「保存料無添加」と書かれたお惣菜の裏を見て、「あ、pH調整剤って書いてあるな」と見つける。「化学調味料無添加」のドレッシングに「酵母エキス」の文字を発見する。「パラベンフリー」のシャンプーの成分表示の上の方に「フェノキシエタノール」という単語を見つける。ただそれだけで、この記事でお話ししたことが「本当だったんだ!」と実感できるはずです。この小さな「気づき」の積み重ねが、あなたの商品を見る目を確実に養っていきます。

食品と化粧品、表示ルールの違い

裏面表示を見る習慣がついてきたら、次のステップとして、食品と化粧品の表示ルールの基本的な違いを知っておくと、さらに理解が深まります。

まず【食品】の「原材料名表示」ですが、これは原則として、使用した原材料を「重量の割合の高い順」に記載することが義務付けられています。そして、食品添加物については、原材料とは明確に区別して表示する必要があります。多くの商品では、原材料と添加物の間に「/(スラッシュ)」を引いたり、表示欄を分けたりして、消費者が一目で分かるように工夫されています。つまり、スラッシュ以降に書かれているものが、いわゆる「添加物」だと判断できるわけです。このルールを知っているだけで、何が多く使われているのか、どんな添加物が使われているのかがグッと分かりやすくなりますね。

次に【化粧品】の「全成分表示」です。こちらも原則として「配合量の多い順」に記載されます。ただし、配合量が1%以下の成分については、順不同で記載してよい、というルールがあります。つまり、成分表示の最後の方に書かれている成分は、ごく微量しか配合されていない、と考えることができます。また、化粧品の場合は、食品のような添加物との明確な区切りはありません。防腐剤も、保湿成分も、植物エキスも、すべてが「成分」として同列に記載されます。だからこそ、「パラベンフリー」と書かれていても、成分表示の中に「フェノキシエタノール」のような代替防腐成分の名前を見つけることができるのです。

この二つのルールの違いを頭の片隅に置いておくだけで、表示から得られる情報の解像度が格段に上がりますよ。

「何を避けるか」自分だけの基準作り

さて、表示を読めるようになってくると、今度は「じゃあ、この中のどれを避ければいいの?」という新たな疑問が湧いてくるかもしれません。ここで大切なのは、「すべての添加物や特定の成分を悪者にして、完璧に避けようとしない」ということです。

現代の食生活やライフスタイルにおいて、加工食品や化粧品を一切使わずに生活するのは、非常に困難ですし、大きなストレスになってしまいます。それに、国が安全性を認めて使用を許可している成分に対して、過度に不安を抱く必要もありません。

そこで提案したいのが、「あなただけの“無添加”基準」を作ることです。あなた自身や、あなたの大切な家族の体質、健康状態、そしてライフスタイルや価値観に合わせて、「これだけは避けたいな」という成分の優先順位を決めるのです。

例えば、こんな基準が考えられます。

  • 「小さな子どもに食べさせるお菓子だけは、合成着色料が使われていないものを選ぼう」

  • 「私はアレルギー体質だから、過去に反応が出たことがある特定の防腐剤(例:パラベン)が入っている化粧品は避けよう」

  • 「なるべく自然な味わいの食事が好きだから、うま味調味料やエキス類が原材料表示の最初の方に来ている商品は、たまにのご褒美にしよう」

  • 「毎日使うクレンジングは、肌への負担を考えて合成香料フリーのものにこだわりたい」

このように、すべてを100点満点でクリアしようとするのではなく、自分の中で「これだけは譲れない」というポイントをいくつか持つだけで、商品選びはとても楽になります。この「自分軸」を持つことが、情報に振り回されずに、無添加表示と上手に付き合っていくための最大の秘訣です。

信頼できる情報の見つけ方

世の中には、「この成分は危険だ!」と不安を煽る情報もあれば、「これは絶対に安全だ!」と断言する情報も溢れています。そんな情報過多の時代だからこそ、信頼できる情報源を知っておくことが非常に重要です。

まず基本となるのは、公的機関が発信する情報です。

  • 消費者庁: 食品表示のルールや、注意喚起などの情報を公開しています。「食品表示基準」などで検索すると、詳しい資料を読むことができます。

  • 厚生労働省: 食品添加物や化粧品成分の安全性評価に関する情報を提供しています。

  • 国立健康・栄養研究所: 「『健康食品』の安全性・有効性情報」というデータベースを公開しており、様々な成分について科学的根拠に基づいた情報を調べることができます。

また、メーカーの公式サイトのお客様相談室(Q\&A)なども、自社製品の成分について詳しく説明していることが多く、参考になります。特定の成分について深く知りたい場合は、大学の研究室が発表している論文や、信頼できる専門家(医師、薬剤師、大学教授、科学ジャーナリストなど)が執筆した書籍やウェブサイトを参照するのがおすすめです。一つの情報だけを鵜呑みにせず、複数の情報源を照らし合わせ、多角的な視点を持つことを心がけましょう。

5. まとめ:無添加とは何かという本質を知って、賢い消費者になろう!

さて、今回は「無添加」という、身近でありながら実は奥深い言葉の世界を、一緒に探検してきました。もしかしたら、今まであなたが抱いていた「無添加」へのイメージが、ガラッと変わったかもしれませんね。

今回お伝えしたかった、最も大切なメッセージ。それは、「無添加という言葉を思考停止のサインにしない」ということです。「無添加」と書かれているから安心、とすぐに手を伸ばすのではなく、「おや、これは何が“無添加”なのかな?」と一歩立ち止まって考える。その好奇心こそが、賢い消費者への扉を開く鍵なのです。

法律で定められた明確な定義がないからこそ、「無添加」という言葉は、メーカーの様々な想いや戦略を乗せて、多様な使われ方をしています。食品では、「保存料無添加」の裏側でpH調整剤が活躍していたり、「化学調味料無添加」のうま味を酵母エキスが支えていたりしました。化粧品では、「パラベンフリー」が決して「防腐剤フリー」を意味するわけではない、という事実がありましたね。

これらの事実は、決してメーカーを責めるためのものではありません。むしろ、限られたルールの中で、消費者のニーズに応えようと工夫を凝らした結果なのです。だからこそ、私たち消費者に求められるのは、そうした背景を理解した上で、商品の裏側にある成分表示を自分の目で確かめ、自分自身の基準で判断する力です。

最初は面倒に感じるかもしれません。でも、今日スーパーに行った時に、いつものお醤油の裏側をチラッと見てみる。ドラッグストアで、シャンプーの全成分表示を眺めてみる。そんな小さな一歩からで構いません。続けていくうちに、必ず点と点がつながり、商品の本質を見抜く力が身についていきます。

この知識と視点があれば、あなたはもう、広告やパッケージの華やかなイメージに流されることはありません。「私にとって、家族にとって、本当に必要なものは何か」を、自信を持って選べるようになります。それは、誰かに与えられた「安全」ではなく、あなた自身が知識で勝ち取った「安心」です。

さあ、今日から始まるあなたのお買い物が、もっと自由に、もっと楽しく、もっと主体的になることを、心から応援しています!

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。