ヘーゼルナッツ

話題の国産ヘーゼルナッツ! その特徴と魅力を徹底解説!

2024.07.03
話題の国産ヘーゼルナッツ! その特徴と魅力を徹底解説!

世界で生産されるヘーゼルナッツの99%はトルコ産ってご存知でしたか? 

それに対して日本でのヘーゼルナッツ栽培はまだ始まったばかりですが、この記事を読めば、その歴史や現状、そして未来への展望まで、日本のヘーゼルナッツのすべてが分かります。 国内での生産量増加を目指す取り組みや、新たな品種開発など、最新情報も満載です。


1. ヘーゼルナッツってどんなナッツ?

ヘーゼルナッツって、聞いたことはあるけれど、どんなナッツかよく知らない方もいるかもしれませんね。

ヘーゼルナッツは、カバノキ科ハシバミ属の落葉低木の果実です。見た目はドングリに似ていますが、実は全く違う種類なんですよ。ヘーゼルナッツの木は、高さ4~5メートルほどに成長し、春には可愛らしい花を咲かせます。そして秋になると、殻に包まれたヘーゼルナッツの実がなります。この実は、最初は緑色をしていますが、熟すと茶色くなります。ヘーゼルナッツの殻は硬くて丈夫なので、中の実を守る役割を果たしています。殻を割ると、中には薄い皮に包まれた、香ばしい実が入っています。この実は、生で食べることもできますが、焙煎するとさらに風味が良くなります。

ヘーゼルナッツの原産地と歴史

ヘーゼルナッツの原産地は、トルコやイタリアなど、地中海沿岸地域といわれています。これらの地域では、古くからヘーゼルナッツが栽培されており、食文化に深く根付いています。古代ローマ時代には、ヘーゼルナッツは豊穣の象徴とされ、結婚式などの祝いの席で振る舞われていました。また、ヘーゼルナッツの木は、魔除けの効果があると信じられており、家の周りに植えられることもありました。

中世ヨーロッパでは、ヘーゼルナッツは貴重な食料源として、人々の生活を支えていました。農民たちは、ヘーゼルナッツを収穫し、食料としてだけでなく、薬としても利用していました。ヘーゼルナッツオイルは、傷の治療や皮膚の炎症を抑える効果があると信じられていました。

大航海時代になると、ヘーゼルナッツはヨーロッパから世界各地に広まりました。アメリカ大陸に渡ったヨーロッパ人たちは、ヘーゼルナッツを故郷の味として大切に育て、食文化に広めていきました。

世界のヘーゼルナッツ生産地

現在、ヘーゼルナッツは世界中で栽培されていますが、主な生産国はトルコです。トルコは、世界で生産されているヘーゼルナッツの約70%を占めており、まさにヘーゼルナッツ王国といえるでしょう。トルコでは、黒海沿岸地域を中心に、ヘーゼルナッツの栽培が盛んに行われています。

イタリアも主要な生産国の一つで、質の高いヘーゼルナッツを生産しています。イタリアのピエモンテ州は、ヘーゼルナッツの生産地として特に有名です。ピエモンテ州で生産されるヘーゼルナッツは、香りが高く、風味が良いと評判です。

その他、アメリカ、アゼルバイジャン、ジョージアなどもヘーゼルナッツの主要な生産国です。これらの国々では、ヘーゼルナッツは重要な輸出品となっており、経済に大きく貢献しています。

ヘーゼルナッツの栄養価と健康効果

ヘーゼルナッツは、栄養価の高いナッツとしても知られています。ビタミンE、オレイン酸、食物繊維が豊富に含まれており、健康にも美容にも良い効果をもたらします。

ビタミンEは、強力な抗酸化作用を持つビタミンです。体の細胞を酸化から守り、老化を防ぐ効果が期待できます。また、血行を促進し、冷え性を改善する効果もあります。さらに、美肌効果や免疫力アップにも効果があるといわれています。

オレイン酸は、不飽和脂肪酸の一種で、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果があります。動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に役立ちます。また、オレイン酸は腸の働きを活発にし、便秘を解消する効果もあります。

食物繊維は、腸内環境を整えるために欠かせない栄養素です。便秘を予防するだけでなく、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす効果があります。また、食後の血糖値の上昇を抑え、糖尿病の予防にも役立ちます。

ヘーゼルナッツに含まれるこれらの栄養素は、様々な健康効果をもたらします。例えば、心臓病の予防、脳卒中の予防、がんの予防、糖尿病の予防、認知症の予防などです。また、ヘーゼルナッツは、ダイエットにも効果的です。食物繊維が豊富なので、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐことができます。

ヘーゼルナッツの様々な利用方法

ヘーゼルナッツは、そのまま食べるのはもちろん、お菓子やパン、料理などにも幅広く使われています。世界中で愛されているヘーゼルナッツの様々な利用方法をご紹介します。

お菓子では、チョコレートやクッキー、ケーキなどにヘーゼルナッツが使われています。ヘーゼルナッツの香ばしさは、お菓子の風味をより一層引き立てます。特に、ヘーゼルナッツチョコレートは、世界中で人気のお菓子です。有名なチョコレート菓子では、イタリアのフェレロ・ロシェや、フランスのジャン=ポール・エヴァンなどがヘーゼルナッツを贅沢に使用しています。

パンには、ヘーゼルナッツを練り込んだり、トッピングとして使ったりします。ヘーゼルナッツの食感がアクセントになり、パンの美味しさを引き立てます。フランスの伝統的なパン、パン・オ・ノアは、ヘーゼルナッツとクルミを練り込んだパンで、香ばしい風味が特徴です。

料理では、サラダやパスタ、肉料理などにヘーゼルナッツが使われています。ヘーゼルナッツの風味は、料理にコクと深みを与えます。特に、イタリア料理では、ヘーゼルナッツを使ったペーストがソースや調味料として使われています。

ヘーゼルナッツ製品

ヘーゼルナッツは、様々な製品に加工されています。中でも有名なのが、チョコレートスプレッドです。ヘーゼルナッツとチョコレートを混ぜ合わせたスプレッドは、パンやクラッカーに塗って食べると、とても美味しいです。イタリアのヌテラは、世界中で愛されているチョコレートスプレッドです。

また、ヘーゼルナッツを焙煎してペースト状にしたものは、お菓子の材料や、パンに塗るスプレッドとして使われています。ヘーゼルナッツオイルは、サラダのドレッシングや、パスタの仕上げに使うと、風味がアップします。

このように、ヘーゼルナッツは、世界中で様々な方法で楽しまれています。

2. ヘーゼルナッツと日本の歴史

実は、ヘーゼルナッツと日本の関わりは古く、縄文時代から食べられていたという記録が残っているんですよ!

縄文時代のヘーゼルナッツ

縄文時代の人々は、自然の恵みを最大限に活用して生活していました。狩猟採集によって食料を確保し、木の実や果物も重要な栄養源としていました。ヘーゼルナッツもその一つで、遺跡からヘーゼルナッツの殻や花粉が出土しています。これは、当時の人々がヘーゼルナッツを食用としていたことを示す証拠です。

縄文時代の遺跡から出土したヘーゼルナッツは、現在の品種とは異なる野生種であったと考えられています。当時の人々は、野生のヘーゼルナッツを採集し、そのまま食べたり、保存食として貯蔵したりしていたのでしょう。

古代・中世のヘーゼルナッツ

弥生時代に入ると、稲作が伝来し、人々の食生活は大きく変化しました。しかし、ヘーゼルナッツは依然として重要な食料源の一つであり続けました。

古代の文献には、ヘーゼルナッツに関する記述がいくつか見られます。例えば、『万葉集』には、ヘーゼルナッツを詠んだ歌が収録されています。また、『日本書紀』には、ヘーゼルナッツを献上したという記録が残っています。

中世になると、ヘーゼルナッツは、食用としてだけでなく、薬用としても利用されるようになりました。ヘーゼルナッツオイルは、皮膚病の治療や咳止めなどに効果があると信じられていました。

江戸時代のヘーゼルナッツ

江戸時代には、ヘーゼルナッツの栽培が盛んに行われるようになりました。特に、東北地方や北海道では、ヘーゼルナッツが広く栽培されていました。

当時の文献には、ヘーゼルナッツの栽培方法や利用方法に関する記述が数多く見られます。例えば、『農業全書』には、ヘーゼルナッツの栽培方法について詳しく解説されています。また、『本朝食鑑』には、ヘーゼルナッツの薬効について記されています。

江戸時代の人々は、ヘーゼルナッツを炒って食べたり、菓子の材料にしたりしていました。また、ヘーゼルナッツオイルは、灯油や食用油として利用されていました。

明治時代以降のヘーゼルナッツ

明治時代に入ると、西洋文化が流入し、人々の食生活は再び大きく変化しました。コーヒーや紅茶などの嗜好品が普及し、砂糖の消費量も増加しました。

この頃になると、海外から様々な種類のナッツが輸入されるようになりました。アーモンドやクルミ、カシューナッツなど、これまで日本になかったナッツが人々の食卓を彩るようになりました。

輸入ナッツの増加に伴い、国内のヘーゼルナッツ栽培は徐々に衰退していきました。輸入ナッツは、国内産に比べて安価で、種類も豊富であったため、消費者の需要を満たすことができたのです。

また、ヘーゼルナッツの栽培には、手間と時間がかかるということも、国内栽培が衰退した一因と考えられます。ヘーゼルナッツの木は、実がなるまでに数年かかり、収穫量も安定しません。そのため、農家にとっては、他の作物に比べて収益性が低いと判断されたのでしょう。

現代のヘーゼルナッツ

現代では、ヘーゼルナッツは主に輸入に頼っており、国内での栽培は限られています。しかし、近年、健康志向の高まりや国産食材への関心の高まりから、ヘーゼルナッツの国内栽培が見直されつつあります。

長野県や北海道などでは、ヘーゼルナッツの栽培が盛んに行われており、高品質な国産ヘーゼルナッツが生産されています。また、ヘーゼルナッツを使った新たな商品開発も進んでおり、お菓子やパン、飲料など、様々な商品が登場しています。

ヘーゼルナッツは、古くから日本人に親しまれてきたナッツです。縄文時代から現代に至るまで、ヘーゼルナッツは日本の食文化に深く関わってきました。今後、国産ヘーゼルナッツの生産が拡大し、再び日本の食卓に欠かせない存在となることを期待しています。

3. 日本で栽培されているヘーゼルナッツ

日本で栽培されているヘーゼルナッツの品種は、「平榛(ひらばし)」という品種が有名です。平榛は、日本の在来種で、香りが強く、風味が良いのが特徴です。

平榛(ひらばし)

平榛は、日本で古くから栽培されているヘーゼルナッツの品種です。その起源は定かではありませんが、江戸時代にはすでに栽培されていたという記録が残っています。平榛は、主に東北地方や北海道で栽培されており、日本の風土に適した品種といえます。

平榛の特徴は、なんといってもその香り高さです。焙煎すると、ナッツ特有の香ばしい香りがさらに引き立ち、食欲をそそります。また、平榛は、甘みとコクが強く、風味も豊かです。海外の品種に比べて、小粒ですが、その分、味が凝縮されているといわれています。

平榛は、お菓子やパン、料理など、様々な用途に使われています。特に、和菓子の材料として人気があり、ヘーゼルナッツ餡やヘーゼルナッツ餅などに使われています。また、平榛を使ったチョコレートやクッキーなども販売されています。

つるばし

つるばしは、長野県で生まれたヘーゼルナッツの品種です。1980年代に、長野県林業試験場で、ヨーロッパの品種を交配して作られました。つるばしは、平榛に比べて大粒で、殻が薄く、実が取り出しやすいのが特徴です。

つるばしの実は、淡い褐色で、丸みを帯びています。味は、平榛ほど濃厚ではありませんが、まろやかで上品な甘みがあります。また、つるばしは、病気に強く、栽培しやすいというメリットもあります。

つるばしは、長野県を中心に栽培されており、近年、その生産量が増加しています。地元の農家や菓子メーカーが、つるばしを使った商品開発に取り組んでおり、チョコレートやクッキー、ケーキなどが販売されています。

その他の品種

その他にも、日本では、いくつかのヘーゼルナッツの品種が栽培されています。

  • 榛名(はるな): 群馬県で生まれた品種で、平榛よりも大粒で、収量が多いのが特徴です。

  • 信濃榛(しなのがらし): 長野県で生まれた品種で、つるばしよりもさらに大粒で、香りが強いのが特徴です。

  • 岩手1号: 岩手県で生まれた品種で、耐寒性に優れ、寒冷地での栽培に適しています。

これらの品種は、まだ生産量が少なく、市場に出回ることは少ないですが、それぞれの地域で、新たな特産品として期待されています。

海外の品種との比較

日本のヘーゼルナッツの品種は、海外の品種に比べて、香りが強く、風味が良いという特徴があります。これは、日本の風土がヘーゼルナッツの栽培に適しているためと考えられます。

日本の気候は、四季がはっきりしており、夏は暑く、冬は寒いです。また、雨量も多く、湿度も高いです。このような環境で育ったヘーゼルナッツは、香りが強く、味が濃くなる傾向があります。

一方、海外の品種は、大粒で、収量が多いというメリットがあります。また、病気に強い品種や、殻が薄い品種など、様々な特徴を持った品種が開発されています。

国産品種の優位性と課題

国産ヘーゼルナッツの優位性は、なんといってもその品質の高さです。日本の風土で育ったヘーゼルナッツは、香りが強く、風味が豊かで、海外の品種にはない魅力があります。

また、国産ヘーゼルナッツは、輸送距離が短いため、鮮度が高いというメリットもあります。輸入ヘーゼルナッツは、長距離輸送されるため、鮮度が落ちることがあります。

しかし、国産ヘーゼルナッツは、生産量が少なく、価格が高いという課題もあります。これは、ヘーゼルナッツの栽培に手間がかかり、収穫量も安定しないためです。

また、国産ヘーゼルナッツの品種は、海外の品種に比べて、粒が小さく、殻が厚いというデメリットもあります。これは、日本のヘーゼルナッツの品種改良が遅れているためです。

今後、国産ヘーゼルナッツの生産量を増やし、価格を下げるためには、品種改良や栽培技術の向上に取り組む必要があります。また、国産ヘーゼルナッツの魅力を消費者にアピールし、需要を拡大していくことも重要です。

4. ヘーゼルナッツの栽培方法

ヘーゼルナッツは、比較的温暖な気候で、水はけの良い土壌を好みます。日本では、長野県や北海道などで栽培されています。

ヘーゼルナッツ栽培に必要な条件

ヘーゼルナッツを栽培するには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、気候ですが、ヘーゼルナッツは温暖な気候を好みます。生育適温は15~25℃で、寒さには比較的強いですが、夏の暑さには弱いです。そのため、日本の場合は、東北地方や北海道などの涼しい地域が栽培に適しています。

次に、土壌ですが、ヘーゼルナッツは水はけの良い土壌を好みます。粘土質の土壌は避け、砂質土壌や壌土が良いでしょう。また、土壌pHは6.0~7.0が適しています。

日当たりも重要です。ヘーゼルナッツは日当たりの良い場所を好みます。日陰では生育が悪くなるため、日当たりの良い場所を選びましょう。

日本の風土に適した栽培方法

日本の風土に適したヘーゼルナッツの栽培方法をご紹介します。

苗木の植え付け

ヘーゼルナッツの苗木は、11月~3月頃に植え付けます。植え付けの際は、根を傷つけないように注意しましょう。植え穴は、苗木の根鉢よりも大きく掘り、堆肥や腐葉土を混ぜて土壌改良を行います。

苗木を植え付けたら、たっぷりと水やりをします。その後も、土壌が乾燥しないように、定期的に水やりを行いましょう。

剪定

ヘーゼルナッツの木は、成長が早く、枝が伸びやすいです。そのため、定期的に剪定を行う必要があります。剪定は、冬に行います。枯れた枝や、重なり合った枝を剪定し、風通しを良くしましょう。

施肥

ヘーゼルナッツの木は、肥料をあまり必要としません。しかし、生育を促進するためには、年に1~2回、肥料を施すのが良いでしょう。肥料は、窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含んだ化成肥料を使用します。

病害虫対策

ヘーゼルナッツの木は、病害虫の被害を受けやすいです。特に、うどんこ病やカイガラムシの被害が多いです。病害虫が発生した場合は、早めに薬剤散布を行いましょう。

ヘーゼルナッツ栽培のポイント

ヘーゼルナッツを栽培する上で、いくつかのポイントがあります。

水やり

ヘーゼルナッツの木は、乾燥に弱いです。特に、夏場は土壌が乾燥しやすいため、こまめな水やりが必要です。ただし、水のやりすぎは、根腐れの原因となるため、注意しましょう。

受粉

ヘーゼルナッツは、風媒花なので、風によって花粉が運ばれます。しかし、近くに他のヘーゼルナッツの木がない場合は、人工授粉を行う必要があります。人工授粉は、開花期に、雄花の花粉を雌花に付けることで行います。

収穫

ヘーゼルナッツの収穫は、9月~10月頃に行います。実が茶色くなったら、収穫のサインです。収穫したヘーゼルナッツは、乾燥させてから保存しましょう。

家庭菜園でのヘーゼルナッツ栽培

ヘーゼルナッツは、家庭菜園でも栽培することができます。ただし、ヘーゼルナッツの木は、成長すると大きくなるため、庭に十分なスペースがある場合に限りましょう。

家庭菜園でヘーゼルナッツを栽培する場合は、鉢植えでも可能です。鉢植えの場合は、水やりや施肥をこまめに行う必要があります。

また、ヘーゼルナッツは、自家不和合性があるので、異なる品種を2本以上植える必要があります。

ヘーゼルナッツ栽培の注意点

ヘーゼルナッツを栽培する際には、以下の点に注意しましょう。

  • ヘーゼルナッツの木は、成長すると大きくなるため、植え付け場所をよく検討しましょう。

  • ヘーゼルナッツは、乾燥に弱いため、こまめな水やりが必要です。

  • ヘーゼルナッツは、病害虫の被害を受けやすいです。病害虫対策をしっかり行いましょう。

  • ヘーゼルナッツは、自家不和合性があるので、異なる品種を2本以上植える必要があります。

ヘーゼルナッツの栽培は、手間がかかりますが、収穫した時の喜びは格別です。ぜひ、ヘーゼルナッツの栽培に挑戦してみて下さい。

5. 日本のヘーゼルナッツ生産地

日本のヘーゼルナッツの主な生産地は、長野県と北海道です。それぞれの地域の特徴や生産者の取り組みについて見ていきましょう。

長野県

長野県は、日本のヘーゼルナッツ生産の先駆け的な存在です。昼夜の寒暖差が大きい気候がヘーゼルナッツの栽培に適しており、高品質なヘーゼルナッツが生産されています。

長野県におけるヘーゼルナッツ栽培の歴史

長野県でのヘーゼルナッツ栽培の歴史は、1980年代にさかのぼります。当時、長野県林業試験場が、ヨーロッパからヘーゼルナッツの品種を導入し、試験栽培を開始しました。この時導入された品種は、主にイタリアの品種で、トンダ・ジェンティーレ・デッレ・ランゲやトンダ・ディ・ジヴォーナなどです。

試験栽培の結果、長野県の気候風土がヘーゼルナッツの栽培に適していることが判明し、本格的な栽培が始まりました。1990年代には、長野県内の複数の地域でヘーゼルナッツの栽培が始まり、現在では、長野県は日本最大のヘーゼルナッツ生産地となっています。

長野県の特徴

長野県は、標高が高く、昼夜の寒暖差が大きいという気候条件が、ヘーゼルナッツの栽培に適しています。寒暖差が大きいことで、ヘーゼルナッツの甘みが増し、香りが強くなるといわれています。

また、長野県は、水はけの良い土壌が広がっており、ヘーゼルナッツの栽培に適した環境です。特に、東御市や小諸市などの地域は、火山灰土壌が広がっており、ヘーゼルナッツの栽培に最適です。さらに、長野県は、森林が多く、自然豊かな環境であることも、ヘーゼルナッツの栽培に適しているといえます。

生産者の取り組み

長野県では、多くの農家がヘーゼルナッツの栽培に取り組んでいます。それぞれの農家が、独自の栽培方法で、高品質なヘーゼルナッツを生産しています。

例えば、東御市にある「信州ヘーゼルナッツファーム」は、有機栽培でヘーゼルナッツを生産しています。化学肥料や農薬を使用せず、自然の力だけでヘーゼルナッツを育てています。

また、小諸市にある「小諸ヘーゼルナッツ工房」は、減農薬栽培に取り組んでいます。農薬の使用量を最小限に抑え、環境に配慮した栽培を行っています。

さらに、長野県では、ヘーゼルナッツの生産者団体が設立され、情報交換や技術指導などを行っています。「長野県ヘーゼルナッツ協会」は、ヘーゼルナッツの品質向上やブランド化にも取り組んでおり、長野県産ヘーゼルナッツの認知度向上に貢献しています。

ヘーゼルナッツ農園の紹介

長野県には、いくつかのヘーゼルナッツ農園があり、観光客にヘーゼルナッツ狩りや農園見学などの体験を提供しています。

  • 信州ヘーゼルナッツファーム: 長野県東御市にあるヘーゼルナッツ農園。広大な敷地に、ヘーゼルナッツの木が植えられています。ここでは、ヘーゼルナッツ狩りを楽しむことができます。

  • 小諸ヘーゼルナッツ工房: 長野県小諸市にあるヘーゼルナッツ農園。ここでは、ヘーゼルナッツの収穫体験や、ヘーゼルナッツを使ったお菓子作り体験ができます。

北海道

北海道は、涼しい気候と肥沃な土壌を生かして、ヘーゼルナッツの栽培が行われています。近年、生産量が増加しており、注目を集めています。

北海道におけるヘーゼルナッツ栽培の歴史

北海道でのヘーゼルナッツ栽培の歴史は、比較的浅く、2000年代に入ってから本格的に始まりました。北海道の気候がヘーゼルナッツの栽培に適していることが判明し、栽培が広まりました。

北海道の特徴

北海道は、夏でも涼しく、湿度が低いという気候条件が、ヘーゼルナッツの栽培に適しています。涼しい気候は、ヘーゼルナッツの生育を促進し、病害虫の発生を抑える効果があります。

また、北海道は、火山灰土壌が広がっており、水はけが良く、ヘーゼルナッツの栽培に適した土壌です。特に、十勝地方や空知地方などの地域は、火山灰土壌が広がっており、ヘーゼルナッツの栽培に最適です。さらに、北海道は、広大な土地を有しており、大規模なヘーゼルナッツ栽培が可能です。

生産者の取り組み

北海道では、新規就農者を中心に、ヘーゼルナッツの栽培に取り組む人が増えています。それぞれの農家が、北海道の気候風土を生かした栽培方法で、高品質なヘーゼルナッツを生産しています。

例えば、帯広市にある「とかちヘーゼルナッツ園」は、露地栽培でヘーゼルナッツを栽培しています。ビニールハウスなどを使用せず、自然の状態でヘーゼルナッツを育てています。

また、岩見沢市にある「いわみざわヘーゼルナッツファーム」は、高畝栽培で排水性を高める工夫をしています。畝を高くすることで、水はけを良くし、ヘーゼルナッツの生育を促進しています。

さらに、北海道では、ヘーゼルナッツの研究会が設立され、栽培技術の向上や新品種の開発などに取り組んでいます。「北海道ヘーゼルナッツ研究会」は、ヘーゼルナッツの生産量増加や品質向上に貢献しています。

ヘーゼルナッツ農園の紹介

北海道には、いくつかのヘーゼルナッツ農園があり、観光客にヘーゼルナッツ狩りや農園見学などの体験を提供しています。

  • とかちヘーゼルナッツ園: 北海道帯広市にあるヘーゼルナッツ農園。ここでは、ヘーゼルナッツ狩りや、ヘーゼルナッツを使った加工品の販売を行っています。

  • いわみざわヘーゼルナッツファーム: 北海道岩見沢市にあるヘーゼルナッツ農園。ここでは、ヘーゼルナッツの栽培方法を学ぶことができます。

その他の生産地

長野県と北海道以外にも、ヘーゼルナッツの栽培が行われている地域があります。

  • 岩手県: 岩手県では、寒冷地に適した品種のヘーゼルナッツが栽培されています。特に、奥州市では、「岩手1号」という品種のヘーゼルナッツが栽培されています。

  • 青森県: 青森県では、リンゴ栽培の経験を生かしたヘーゼルナッツ栽培が行われています。弘前市では、リンゴ園の一角でヘーゼルナッツを栽培している農家があります。

  • 山形県: 山形県では、有機栽培でヘーゼルナッツを栽培する農家が増えています。鶴岡市では、「鶴岡ヘーゼルナッツ」というブランドで、有機栽培のヘーゼルナッツを販売しています。

これらの地域では、それぞれの気候風土を生かしたヘーゼルナッツ栽培が行われており、今後、生産量の増加が期待されています。

6. 日本のヘーゼルナッツの未来

日本のヘーゼルナッツは、まだまだ成長の余地があり、今後の発展が期待されます。国産ナッツへの関心の高まりや、需要増加を背景に、日本のヘーゼルナッツ産業は、新たなステージへと進もうとしています。

ヘーゼルナッツ需要の増加

近年、世界的にヘーゼルナッツの需要は増加傾向にあります。健康志向の高まりや、食の多様化がその背景にあります。

ヘーゼルナッツは、ビタミンEやオレイン酸、食物繊維など、栄養価の高いナッツとして知られています。これらの栄養素は、生活習慣病の予防や美容効果などが期待できることから、健康を意識する人々の間で人気が高まっています。

また、ヘーゼルナッツは、チョコレートやスプレッド、菓子、パン、料理など、様々な用途に使用できることから、食の多様化にも貢献しています。

国産ナッツへの関心の高まり

日本では、近年、国産ナッツへの関心が高まっています。これは、食の安全に対する意識の高まりや、地産地消の推進などが背景にあります。

消費者は、国産ナッツの方が、輸入ナッツに比べて鮮度が高く、安心安全であるというイメージを持っています。また、国産ナッツを消費することで、地域の農業を支援することにもつながるという意識も高まっています。

国産ヘーゼルナッツのブランド化

国産ヘーゼルナッツの価値を高めるためには、ブランド化が重要です。ブランド化によって、消費者に国産ヘーゼルナッツの品質や特徴をアピールし、差別化を図ることができます。

長野県では、「信州ヘーゼルナッツ」というブランドを立ち上げ、国産ヘーゼルナッツのブランド化を推進しています。信州ヘーゼルナッツは、長野県産のヘーゼルナッツのみを使用し、厳しい品質基準をクリアしたものです。

また、北海道では、「北海道ヘーゼルナッツ」というブランドを立ち上げ、国産ヘーゼルナッツのブランド化を推進しています。北海道ヘーゼルナッツは、北海道産のヘーゼルナッツのみを使用し、独自の栽培方法で育てられたものです。

これらのブランドは、消費者に高く評価されており、国産ヘーゼルナッツの価値向上に貢献しています。

地域活性化への貢献

ヘーゼルナッツの栽培は、地域の活性化にも貢献することができます。

ヘーゼルナッツの栽培は、農村地域の雇用創出や所得向上につながります。また、ヘーゼルナッツ農園は、観光資源としても活用することができます。

さらに、ヘーゼルナッツを使った加工品の開発や販売は、地域の産業振興にもつながります。

ヘーゼルナッツを使った新たな商品開発

ヘーゼルナッツを使った新たな商品開発も、日本のヘーゼルナッツ産業の発展に欠かせない要素です。

近年、ヘーゼルナッツを使った様々な商品が開発されています。例えば、ヘーゼルナッツペースト、ヘーゼルナッツオイル、ヘーゼルナッツミルク、ヘーゼルナッツバターなどです。

これらの商品は、ヘーゼルナッツの新たな魅力を引き出し、消費者の需要を喚起しています。

加工品の可能性

ヘーゼルナッツは、加工品としても大きな可能性を秘めています。

ヘーゼルナッツペーストは、パンやクラッカーに塗ったり、お菓子の材料にしたりすることができます。ヘーゼルナッツオイルは、サラダのドレッシングやパスタの仕上げに使うことができます。

また、ヘーゼルナッツミルクは、牛乳の代替品として、コーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたりすることができます。

これらの加工品は、ヘーゼルナッツの消費拡大に貢献するとともに、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。

消費者に国産ヘーゼルナッツの魅力を伝える

消費者に国産ヘーゼルナッツの魅力を伝えるためには、積極的な情報発信が重要です。

インターネットやSNSなどを活用し、国産ヘーゼルナッツの特徴や魅力、生産者の取り組みなどを発信することで、消費者の関心を高めることができます。

また、試食会やイベントなどを開催し、消費者に国産ヘーゼルナッツを実際に味わってもらうことも効果的です。

今後の展望

日本のヘーゼルナッツ産業は、今後、さらなる発展が期待されます。

生産量の増加、品質の向上、ブランド化、商品開発、情報発信など、様々な取り組みを通じて、日本のヘーゼルナッツ産業は、新たなステージへと進んでいくでしょう。

そして、日本のヘーゼルナッツは、世界に誇る高品質なナッツとして、世界中の人々に愛されるようになるでしょう。

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。