無添加
プロが選ぶ無添加醤油おすすめ4選|料理の味が劇的に変わる
2025.06.06
いつもの料理が、醤油を変えるだけで驚くほど美味しくなることをご存知ですか?
本物の無添加醤油が持つ豊かな香りと深いコクは、素材の味を最大限に引き出し、あなたの食卓をより一層豊かにしてくれます。しかし、ただ「無添加」と書かれていれば良いわけではありません。
この記事では、料理のプロが本当に美味しい無添加醤油の選び方と、自信を持っておすすめする商品を厳選してご紹介します。最高の一本を見つけて、毎日の食事をもっと楽しんでみませんか?
1. いつもの醤油で満足してる?本当においしい「無添加醤油」の世界へようこそ!
「無添加」って、最近いろいろな食品で目にする言葉ですよね。健康に良さそうなイメージはあるけれど、じゃあ「無添加醤油」っていったい何が違うの?と疑問に思ったことはありませんか?実は、普段何気なく使っているお醤油を「無添加」のものに変えるだけで、あなたの食卓が劇的に変わるかもしれないんです。
いつものお刺身、卵かけご飯、冷奴。そんな定番メニューが、まるで高級料亭で出てくる一品のように、驚くほど美味しくなる。それが「無添加醤油」の持つ魔法です。スーパーの棚にはたくさんの醤油が並んでいますが、その違いを知って選ぶだけで、毎日の「いただきます」がもっと楽しく、もっと豊かになります。
この記事は、単なる醤油のおすすめ記事ではありません。醤油をこよなく愛する私だからこそ語れる、ちょっとマニアックな視点から、奥深く、そしてとてつもなく美味しい「無添加醤油」の魅力の核心に迫ります。そして、数ある無添加醤油の中から、「これぞ!」と私が本気で惚れ込んだ4つの商品を、その背景にある物語や製法まで含めて、余すところなく徹底的に解説していきます!この記事を読み終える頃には、きっとあなたも無添加醤油の虜になっているはず。さあ、醤油の世界がガラッと変わる、ディープな旅へ一緒に出かけましょう!
2. そもそも無添加醤油って何が違うの?選ぶべき理由は「本物の味」にあり
「無添加醤油」と、私たちが普段スーパーなどでよく見かける一般的な醤油。この二つには、実は明確な違いがあります。その違いを知ることが、美味しい醤油選びの第一歩なんです。ポイントは驚くほどシンプル。「原材料」と「製造方法」に、その秘密が隠されています。
醤油のラベル、見たことありますか?
まず、多くの醤油の裏ラベルを見てみましょう。そこには「しょうゆ(本醸造)」や「しょうゆ加工品」といった表示と共に、「アミノ酸液」「調味料(アミノ酸等)」「甘味料(ステビア、甘草)」「カラメル色素」「アルコール」「保存料(安息香酸Na)」といった表記が見られることがあります。
これらは、醤油の味を手軽に安定させたり、色を濃く見せたり、賞味期限を延ばしたりするために加えられる「添加物」です。例えば、「アミノ酸液」は大豆などを塩酸で分解して作る旨味成分で、これを加えることで短期間で醤油らしい風味を作り出すことができます。「カラメル色素」は醤油に付き物とされている”黒い色”を付けるための着色料です。また、発酵を止めて品質を安定させるために「アルコール(酒精)」が添加されることも非常に多いのです。
決してこれらの添加物が悪いというわけではありません。これらのおかげで、私たちは一年中、安価で安定した品質の醤油を手に入れることができます。しかし、それはあくまで「調整された味」であり、醤油が本来持つ、複雑で奥深い味わいとは少し違うものなのです。
無添加醤油の原材料は驚くほどシンプル
一方で、「無添加醤油」の原材料表示を見てみてください。そこには、おそらく「丸大豆、小麦、食塩」としか書かれていないはずです。(商品によっては、甘みを加えるために「米」が使われることもあります)。
そう、無添加醤油とは、この3つの原材料のみを使い、添加物に頼らず、微生物の力と長い時間だけをかけて作られた醤油のことなんです。ごまかしが一切効かない、素材の良さと職人の技術がすべてを物語る世界。それが無添加醤油の真髄です。
特に重要なのが「丸大豆」という点。一般的な安価な醤油では、油を搾った後の「脱脂加工大豆」が使われることが多いのですが、無添加醤油の多くは、大豆の油分(旨味や香りのもとになる)を丸ごと含んだ「丸大豆」を使用します。これにより、大豆本来のふくよかな旨味と、豊かな香りが生まれるのです。
時間が育む「本物の味」
無添加醤油の製造方法は、日本の伝統的な「本醸造」方式の中でも、特に時間と手間をかけた製法です。
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蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ合わせ、「麹菌」を植え付け、「醤油麹」を作ります。
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この醤油麹を塩水(食塩水)と混ぜて、大きな桶(特に伝統的な木桶が使われることが多いです)に入れ、もろみを作ります。
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ここからが本番。このもろみを、数ヶ月から、長いものでは2年、3年と、じっくりと発酵・熟成させるのです。
この長い熟成期間に、もろみの中では麹菌だけでなく、「酵母菌」や「乳酸菌」といった多種多様な微生物たちが、まるでオーケストラのように複雑なハーモニーを奏でます。
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麹菌: 大豆のタンパク質をアミノ酸(旨味)に、小麦のデンプンを糖(甘み)に分解します。
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乳酸菌: 糖を消費して乳酸を作り出し、もろみのpHを下げて雑菌の繁殖を防ぎながら、味に爽やかな酸味とキレを与えます。
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酵母菌: 糖をアルコールに変え、醤油特有の芳醇な香りを生み出します。この過程で300種類以上もの香り成分が生まれると言われています。
東京農業大学の研究などでも、長期熟成された醤油には、バニラや花のような甘い香り成分が含まれることが明らかにされており、この複雑な香りの層こそが、添加物では決して再現できない「本物の醤油」の証なのです。
つまり、無添加醤油を選ぶということは、ただ「添加物が入っていないから安心」というだけでなく、日本の先人たちが築き上げてきた知恵と、微生物、そして時間が織りなす「本物の味」そのものをいただく、ということ。醤油本来の、深く、まろやかで、香り高い、五味を超えた味わいを体験することなんです。この違いを知れば、もうあなたは元の醤油には戻れなくなるかもしれませんよ。
3. 【おすすめ無添加醤油①】井上古式じょうゆ
さて、ここからはいよいよ、私が心からおすすめしたい無添加醤油を具体的にご紹介していきます!まず最初にご紹介するのは、「無添加醤油の世界への最高の入り口」とも言える、まさに王道の一本。島根県奥出雲町にある井上醤油店さんが造る「井上古式じょうゆ」です。
もしあなたが、「無添加醤油ってどれから試せばいいかわからない…」と迷っているなら、私は迷わずこのお醤油をおすすめします。なぜなら、この「井上古式じょうゆ」には、無添加醤油が持つべき美味しさの「基準」となるような、素晴らしいバランスと奥深さが詰まっているからです。
創業150余年、受け継がれる杉木桶の魂
井上醤油店さんの創業は、なんと慶応3年(1867年)。江戸時代末期から、この奥出雲の地で醤油造りを続けている、歴史ある蔵元です。その歴史の象徴とも言えるのが、創業当時から使い続けられているという「杉の木桶」。
現代の醤油造りの多くは、管理がしやすく効率的なホーローやステンレスのタンクで行われます。しかし、井上醤油店さんでは、あえてこの手間のかかる木桶での仕込みにこだわり続けています。なぜでしょうか?
答えは、木桶に棲みついている「蔵つき酵母」にあります。長年醤油を仕込み続けることで、木桶の壁や隙間には、その蔵元にしかいない多種多様な酵母菌や乳酸菌が棲みつきます。これが、井上醤油店さんだけの、他の誰にも真似できない、独特で複雑な風味を生み出す源泉となっているのです。まさに、蔵に棲みつく微生物たちと職人さんが、二人三脚でこの醤油を育てているんですね。
さらに、井上醤油店さんでは、原材料にも並々ならぬこだわりを持っています。醤油の主役である大豆と小麦は、契約農家さんが栽培した国産の丸大豆と小麦を100%使用。奥出雲の豊かな自然が育んだ、安全で美味しい素材を厳選しているのです。この厳選された原材料を、歴史ある杉木桶で、自然の寒暖に任せて二夏(2年以上!)もの時間をかけてじっくりと熟成させます。人の手で無理に温度管理をするのではなく、春夏秋冬、季節の移ろいとともに、微生物が最も心地よく活動できる環境で、ゆっくりと旨味を育んでいく。この「天然醸造」こそが、「井上古式じょうゆ」のまろやかで奥深い味わいの秘密なのです。
深い旨味とキレの良さ。感動的な味わいをレビュー
では、実際に「井上古式じょうゆ」を味わってみましょう。
まず、小皿に注いだ瞬間に、ふわっと立ち上る香ばしい香りに驚かされます。焦がしたキャラメルのような、少し甘くて深い、食欲をそそる香りです。一般的な醤油にあるような、ツンとしたアルコールの刺激臭は全くありません。
次に、色。光にかざすと、透き通った美しい赤褐色をしています。これは、カラメル色素などで人工的に着色された黒さではなく、長い熟成によってアミノ酸と糖が結びつく「メイラード反応」によって生まれた、自然な色合いです。
そして、いよいよ味です。指に少しつけて舐めてみると…まず感じるのは、しっかりとした大豆の旨味!ガツンと力強い、それでいてどこまでも優しい、ふくよかな旨味が口いっぱいに広がります。その後に、塩味のカドが全くない、驚くほどまろやかな塩味が追いかけてきます。しょっぱい、という感覚ではなく、「旨塩っぱい」とでも言うべき、味わい深い塩味です。そして最後は、すっと消えていくようなキレの良さ。後味にしつこさがなく、また次の一口を誘います。
この「深い旨味」「まろやかな塩味」「すっきりとした後味」という三拍子が、完璧なバランスで成り立っているのが、「井上古式じょうゆ」の最大の魅力だと私は思います。
この醤油を最高に楽しむためのおすすめの使い方
この王道の無添加醤油は、どんな料理にも合いますが、まずはぜひ「かけ醤油」として、そのものの味をダイレクトに楽しんでみてください。
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究極の卵かけご飯
炊き立ての熱々ご飯に、新鮮な卵を落とし、この醤油をたらり。もう、これだけでご馳走です。醤油の豊かな香りが卵のコクと混じり合い、いつものTKG(卵かけご飯)が、忘れられない一品に昇格します。 -
お刺身の真の味を引き出す
特に白身魚のお刺身との相性は抜群です。鯛やヒラメに少しだけつけて食べると、醤油の旨味が魚本来の繊細な甘みをぐっと引き立ててくれます。わさびを溶かすのがもったいないくらい、醤油そのものの味を楽しんでみてください。 -
焼き餅や冷奴も格上げ
こんがり焼いたお餅にジュッとかける。滑らかな絹ごし豆腐にかける。そんなシンプルな食べ方こそ、この醤油のポテンシャルが最大限に発揮されます。素材の味を邪魔せず、それでいて料理全体のレベルを一段も二段も引き上げてくれる、まさに名脇役です。
もちろん、煮物や炒め物などの「つけ・かけ」以外の調理に使うのもおすすめです。煮物に使えば、素材の色を黒くしすぎず、上品な照りと深いコクを与えてくれます。特に、野菜の煮物などに使うと、野菜の甘みが引き立って、とても美味しく仕上がりますよ。
無添加醤油の世界は広大ですが、まずはこの「井上古式じょうゆ」という名の羅針盤を手に入れて、本物の醤油が持つ美味しさの基準を、あなたの舌で確かめてみてください。きっと、醤油選びの旅が、ここから始まるはずです。
4. 【おすすめ無添加醤油②】ヤマロク醤油 鶴醤
次にご紹介する無添加醤油は、一度味わったら脳裏に焼き付いて離れない、唯一無二の存在感を放つ逸品です。香川県・小豆島にあるヤマロク醤油さんが造る、その名も「鶴醤(つるびしお)」。これは、もはや「醤油」という調味料のカテゴリーを超えた、「旨味のエッセンス」と呼ぶべき、驚異的な無添加醤油です。
小豆島は、醤油の五大名産地の一つに数えられる醤油の島。その中でもヤマロク醤油さんは、特に伝統的な木桶仕込みにこだわり続ける、情熱あふれる蔵元として知られています。この「鶴醤」には、そんなヤマロク醤油さんの醤油への愛と狂気(良い意味で!)が、これでもかと凝縮されているんです。
「再仕込み製法」という超贅沢な選択
この「鶴醤」を語る上で、絶対に外せないのが「再仕込み製法」という、非常に特殊で贅沢な造り方です。
通常、醤油は「大豆・小麦で作った麹」を「塩水」に仕込んで発酵・熟成させます。これが一般的な醤油の造り方。しかし、この「鶴醤」は違います。なんと、塩水の代わりに、一度完成した生醤油(火入れをしていない醤油)を使って、もう一度、麹を仕込むのです。
つまり、こういうことです。
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まず、国産の丸大豆と小麦を使い、約2年の歳月をかけて「生醤油」を造ります。
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そして、その出来上がった生醤油を、塩水の代わりとして仕込み水に使い、もう一度、新しい麹を投入します。
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そこからさらに約2年、再び木桶でじっくりと熟成させるのです。
お分かりでしょうか?原材料も、熟成にかかる時間も、通常の醤油の2倍。まさに、醤油で醤油を仕込む、という前代未聞の贅沢さ。こんな手間とコストのかかる製法を、今もなお続けている蔵は、全国でもほんのわずかです。ヤマロク醤油の5代目当主である山本康夫さんの「とにかく旨い醤油を造りたい」という、ひたむきな情熱がなければ、決して生まれることのなかった奇跡の醤油だと言えるでしょう。
言葉を失うほどの「旨味の塊」
では、この常識破りの製法で生まれた「鶴醤」は、一体どんな味がするのでしょうか。
まず、その見た目に圧倒されます。小皿に注ぐと、黒蜜かエスプレッソのように、とろりとしていて、色が非常に濃い。粘性が高く、皿を傾けてもゆっくりと流れるほどです。
そして、香り。熟成された味噌やバルサミコ酢を思わせるような、深く、複雑で、甘美な香りが立ち上ります。醤油というより、もはや高級な熟成調味料の風格です。
そして、いよいよ味見。ほんの数滴を口に含んだ瞬間、衝撃が走ります。これは…しょっぱくない!いや、塩味はもちろんあるのですが、それ以上に、圧倒的な「旨味」の津波が押し寄せてくるんです。濃厚で、ふくよかで、まろやかで、甘みさえ感じる、凝縮された大豆の旨味。まさに「旨味の塊」。塩味のカドは全く感じられず、舌の上でとろけるように広がっていきます。後味も非常に長く、口の中に芳醇な余韻がいつまでも残ります。
一般的な「こいくち醤油」の旨味成分(全窒素分)が1.5%程度なのに対し、この「鶴醤」はなんと2.0%を超える値を誇ります。この数字が、その旨味の濃さを客観的に物語っています。しかし、データだけでは語り尽くせない、官能的な美味しさがこの無添加醤油にはあります。
鶴醤のポテンシャルを解放する、禁断のペアリング
この「鶴醤」は、あまりに個性的で濃厚なため、いつもの醤油と同じように使うと、その主張の強さに驚くかもしれません。だからこそ、この醤油でしか体験できない、特別な使い方をおすすめします。
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赤身の刺身や馬刺しに
マグロの赤身やカツオ、馬刺しといった、味の濃い素材との相性は最高です。鶴醤の濃厚な旨味が、素材の持つ鉄分や血の味と一体化し、味わいを何倍にも増幅させてくれます。ごま油と混ぜてユッケのタレにするのも絶品です。 -
禁断の「バニラアイスかけ」
これが、鶴醤を語る上で最も有名な食べ方かもしれません。「え、アイスに醤油?」と思うかもしれませんが、騙されたと思って試してみてください。上質なバニラアイスに鶴醤を数滴たらすと…あら不思議!まるで高級な塩キャラメルソースや、みたらし団子のタレのような、甘じょっぱくて香ばしい、極上の和風スイーツに大変身します。鶴醤の持つ深いコクと香りが、アイスの乳脂肪分と見事にマリアージュするのです。これは、来客時のおもてなしに出せば、驚かれること間違いなしの裏技ですよ。 -
アボカドやチーズと共に
森のバターと呼ばれるアボカドや、クリームチーズとの相性も抜群です。スライスしたアボカドに鶴醤とわさびを少し。クリームチーズに鶴醤を垂らして、クラッカーに乗せる。それだけで、ワインや日本酒が止まらなくなる、最高のおつまみが完成します。発酵食品同士であるチーズと醤油が合わないわけがありませんよね。
この「鶴醤」は、日常使いの万能醤油というよりは、「秘密兵器」のような存在かもしれません。料理に数滴加えるだけで、劇的な変化をもたらす魔法の液体。あなたの料理の世界を、そして醤油という概念そのものを、根底から覆してくれる可能性を秘めた、偉大な無添加醤油です。
5. 【おすすめ無添加醤油③】海の精 国産有機こいくちしょうゆ
「どうせ選ぶなら、原材料にはとことんこだわりたい」「毎日口にするものだから、何よりも安心・安全が第一」そんなあなたに、自信を持っておすすめしたいのが、海の精株式会社さんが造る「国産有機こいくちしょうゆ」です。
この無添加醤油の最大の特徴は、なんと言っても、醤油の味を決定づける重要な要素である「塩」にまで、究極のこだわりを貫いている点にあります。大豆や小麦が有機なのはもちろんのこと、その先にある、生命の源とも言える「塩」の世界にまで踏み込んだ、まさにプレミアムな無添加醤油なのです。
有機JAS認定と、伝統海塩「海の精」という選択
この醤油は、まず「有機JAS認定」を受けているという点が大きな特徴です。有機JASマークは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに生産された食品であることを、農林水産省が認証した証。原材料となる大豆と小麦は、秋田県や山形県などで、厳しい基準をクリアした有機農家さんによって大切に育てられた国産有機丸大豆・有機小麦を100%使用しています。
しかし、海の精さんのこだわりはそれだけでは終わりません。特筆すべきは、仕込みに使う「塩」。多くの醤油が、海外から輸入した天日塩を溶解・再結晶化させた「食塩(精製塩)」や「再生自然塩」を使っているのに対し、この醤油は、自社製品でもある伝統海塩「海の精」を贅生しています。
この「海の精」とは、一体どんな塩なのでしょうか?
これは、美しい自然が残る伊豆大島の海水のみを原料とし、他の塩やにがりを一切加えず、日本の伝統的な塩田と平釜を用いた製法で、じっくりと時間をかけて作られた純国産の自然海塩です。太陽と風の力で海水を濃縮し、それを平釜で丁寧に炊き上げることで、ナトリウムだけでなく、マグネシウム、カルシウム、カリウムといった、海水に含まれる様々なミネラル(いわゆる「にがり」成分)が、バランス良く含まれています。
塩化ナトリウム純度が99%以上にもなる精製塩が、ただ「しょっぱい」だけの味なのに対し、この「海の精」は、多様なミネラル分のおかげで、塩味の中にほのかな甘みや旨味、そしてコクを感じる、複雑でまろやかな味わいを持っています。醤油の味の骨格となる塩に、これほどまでにこだわっている。これが、他の有機醤油と一線を画す、海の精さんならではの凄みなんです。
キレとコクの絶妙なバランスが生む万能性
では、最高の有機原料と、最高の塩から生まれた「海の精 国産有機こいくちしょうゆ」は、どんな味わいなのでしょうか。
この醤油は、これまでに紹介した「井上古式じょうゆ」の王道の味わいと、「鶴醤」の濃厚な個性との、ちょうど中間くらいに位置するような、非常にバランスの取れた味わいが魅力です。
口に含むと、まず伝統海塩「海の精」由来の、キリッとした塩味が心地よく感じられます。しかし、それは決して塩辛いわけではなく、味の輪郭をはっきりとさせてくれるような、シャープなキレ味です。そしてその直後に、杉の木桶で1年以上熟成された、国産有機丸大豆のふくよかで奥深いコクと旨味が、じわーっと広がってきます。
まさに「キレ」と「コク」の二重奏。どちらかが突出することなく、お互いを高め合うような絶妙なバランスです。香りは、華やかさがありながらも穏やかで、どんな食材にもすっと寄り添ってくれるような、品の良さを感じさせます。この完成されたバランスこそが、この無添加醤油を「究極の万能選手」たらしめている理由なのです。
シンプルな料理でこそ、その真価は輝く
この醤油は、その優れたバランスゆえに、どんな料理にも高いレベルで対応してくれますが、私が特におすすめしたいのは、素材の味を活かすシンプルな料理に使うことです。
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旬の野菜のおひたし
ほうれん草や小松菜、菜の花など、旬の青菜をさっと茹でて、この醤油をかけるだけ。余計なだしは要りません。醤油のキレのある塩味と深い旨味が、野菜本来の甘みやほろ苦さを、これ以上ないほどに引き立ててくれます。「ああ、野菜ってこんなに美味しかったんだ」と、きっと再発見があるはずです。 -
香ばしい焼き魚に
塩焼きにした秋刀魚や鯵に、大根おろしを添えて、この醤油をたらり。醤油の香ばしい香りが、魚を焼いた香りと相まって、最高の食欲をそそります。醤油のキレが、魚の脂をさっぱりとさせてくれるので、いくらでも食べられてしまいそうになりますよ。 -
ドレッシングのベースとして
この醤油と、上質なオリーブオイル(または、えごま油や亜麻仁油)、そして少しの酢(米酢やリンゴ酢)を混ぜるだけで、絶品の和風ドレッシングが完成します。醤油の味がしっかりしているので、余計なものを加えなくても、サラダがご馳走になります。健康を気遣うあなたにこそ、ぜひ試していただきたい使い方です。
もちろん、肉じゃがのような煮物や、炒め物、炊き込みご飯の味付けなど、日々のあらゆる料理のベースとしても大活躍してくれます。主張しすぎず、しかし確実に料理のレベルを底上げしてくれる。それでいて、原材料はすべて有機で、塩にまでこだわり抜かれているという、絶対的な安心感。
「美味しさ」と「安心・安全」を、一切の妥協なく両立させたい。そんなあなたの理想に、完璧に応えてくれるのが、この「海の精 国産有機こいくちしょうゆ」なのです。日々の食卓の「基本の醤油」として、これほど頼りになる一本は、そうそうありません。
6. 【おすすめ無添加醤油④】足立醸造 国産有機醤油
さて、いよいよ最後のマニアック解説となりました。これまで、王道の「井上古式じょうゆ」、濃厚な「鶴醤」、素材にこだわる「海の精」と、個性豊かな実力派たちをご紹介してきましたが、最後にご紹介するのは、家族みんなで安心して使える、優しさとまろやかさが魅力の無添加醤油です。兵庫県多可町にある足立醸造さんが造る「国産有機醤油」。この醤油には、日々の食卓にそっと寄り添ってくれるような、温かい魅力が詰まっています。
杉蔵木桶で育む、優しい甘みとまろやかさ
足立醸造さんは、明治20年(1887年)創業の老舗。こちらもまた、昔ながらの製法を頑なに守り続けている蔵元です。この「国産有機醤油」も、もちろん有機JAS認定を受けた国産の有機丸大豆と有機小麦を100%使用。そして、仕込みには創業以来の杉蔵(杉でできた蔵)に置かれた、大きな杉の木桶が使われています。
この醤油の最大の特徴は、なんと言ってもその「口当たりのまろやかさ」と「優しい甘み」にあります。木桶の中で1年以上、自然の力でゆっくりと熟成させることで、塩味のカドが完全にとれ、驚くほどまろやかな味わいが生まれます。
この優しい甘みは、砂糖などを加えた人工的な甘さではありません。有機栽培で元気に育った小麦が持つ、本来の甘みが、発酵・熟成の過程でじっくりと引き出された、自然で上品な甘みなのです。醤油を口に含んだ時に、ツンとした刺激が全くなく、ふんわりとした旨味と甘みが穏やかに広がる感覚は、この醤油ならではの魅力と言えるでしょう。
クセが全くなく、非常にバランスの取れた味わいなので、醤油の強い香りが少し苦手…という方や、小さなお子様からご年配の方まで、文字通り家族みんなが「おいしいね」と言ってくれるような、そんな安心感のある無添加醤油です。
毎日の食卓で大活躍!家族のための万能醤油
この「足立醸造 国産有機醤油」は、そのクセのない優しい味わいから、毎日のあらゆる料理で大活躍してくれます。
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お子様も喜ぶ定番料理に
鶏の唐揚げの下味や、チャーハンの味付け、きんぴらごぼうなど、お子様にも人気のメニューにぴったりです。醤油の味が前に出すぎず、素材の味を優しく包み込んで、全体の味をまろやかにまとめてくれます。 -
素材の色を活かしたい煮物に
色が比較的淡く、上品な仕上がりになるので、里芋の煮っころがしや、高野豆腐の含め煮など、素材の色を美しく見せたい煮物にも最適です。出汁の風味を邪魔することなく、優しいコクをプラスしてくれます。 -
かけ醤油としてももちろん優秀
もちろん、冷奴やおひたし、卵かけご飯など、かけ醤油としても文句なしの美味しさです。特に、甘みのあるお醤油が好きな方には、たまらない味わいだと思います。
「毎日使うものだから、奇をてらったものではなく、飽きのこない定番の味が良い」「家族の健康を考えて、安心できる有機のものが良い」そんなニーズに、完璧に応えてくれるのがこの無添加醤油です。キッチンの定位置に一本置いておけば、間違いなく日々の料理の頼もしい相棒になってくれますよ。
まとめ:あなたの「マイ醤油」を見つける旅へ
さて、ここまで4つの個性豊かな無添加醤油をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
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無添加醤油の「基準」を知るための王道の一本、島根県の「井上古式じょうゆ」
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醤油の概念を覆す、唯一無二の濃厚な旨味を持つ香川県・小豆島の「ヤマロク醤油 鶴醤」
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塩にまでこだわり抜いた、安心と美味しさを両立する「海の精 国産有機こいくちしょうゆ」
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家族みんなで使える、優しくまろやかな味わいの兵庫県の「足立醸造 国産有機醤油」
どれも、原材料と製法にとことんこだわり、添加物を一切使わずに、時間と微生物の力だけで造られた、素晴らしい無添加醤油です。それぞれに、蔵元の熱い情熱と、長い歴史の中で育まれた物語が詰まっています。
この記事を読んで、「この醤油、試してみたい!」と思っていただける一本が見つかったなら、これほど嬉しいことはありません。
もしかしたら、あなたはキレのあるシャープな味が好きかもしれませんし、あるいは、とろりとした濃厚な旨味の虜になるかもしれません。まずは気になる一本を手に取って、いつもの料理に使ってみてください。その瞬間に、あなたの醤油に対するイメージは、きっと180度変わるはずです。
醤油は、私たちの食生活に欠かすことのできない、最も身近な調味料です。だからこそ、そこに少しだけこだわってみることで、日々の食卓は驚くほど豊かになります。
さあ、あなたも今日から、自分だけのお気に入り、「マイ醤油」を見つける、奥深い無添加醤油の世界への旅を始めてみませんか?その一本が、あなたの「いただきます」を、もっと幸せな時間に変えてくれることを、心から願っています。

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。