無添加
ラーメンマニアが厳選!一度は食べたい究極の無添加ラーメン4選
2025.06.22
「無添加ラーメン」と聞いて、どんなイメージをお持ちですか?もし「体に優しいけど、味は二の次」と思っているなら、その常識は今日で覆るかもしれません。 実は、ラーメン本来の“旨味”を最も純粋に味わえるのが、無添加ラーメンの真の魅力。ごまかしが効かないスープだからこそ、素材の力が試される奥深い世界がそこにはあります。
この記事では、食通たちが無添加ラーメンに注目する理由を解き明かし、あなたのラーメン観を変える感動の一杯を見つける旅へご案内します。
1. 罪悪感ゼロはもう古い?「旨いから選ぶ」無添加ラーメンの世界
最近、雑誌やSNSで頻繁に見かけるようになった「無添加ラーメン」。あなたは、この言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか?「健康には良さそうだけど、正直なところ味が少し物足りないんじゃないかな…」「意識が高い人向けの食べ物で、ジャンクな美味しさとは無縁そう…」なんて、もし心のどこかで思っていたとしたら、それは非常にもったいないことかもしれません。断言します、今の無添加ラーメンは、もはや単なる健康志向という枠組みの中には収まりきりません。素材の持つポテンシャルを極限まで引き出す調理技術の劇的な進化によって、「本気で美味しいからこそ選びたい一杯」へと、驚くべき変貌を遂げているのです。
そもそも「無添加」とは、一体何を指すのでしょうか。ラーメンの世界で「無添加」や「無化調」と謳われる場合、その多くは「うま味調味料(化学調味料)」を使用していないことを意味します。代表的なものとしては、昆布のうま味成分であるグルタミン酸を原料とする「グルタミン酸ナトリウム」などが挙げられます。これらは、少量で力強いうま味をスープに与えることができるため、多くのラーメン店で古くから活用されてきました。決して悪いものではありませんが、その画一的なうま味に頼るのではなく、鶏ガラや豚骨、煮干し、昆布、野菜といった自然の食材だけをじっくりと煮込み、その複雑で奥深い味わいを追求する。それが、現代における無添加ラーメンの基本的なスタイルです。
かつては、化学調味料を使わないことで、どうしてもスープの輪郭がぼやけてしまったり、パンチ力に欠ける一杯になってしまったりすることが少なくありませんでした。しかし、生産者の方々の努力による食材そのものの品質向上と、ラーメン職人たちの飽くなき探求心、そして調理技術の飛躍的な向上が、この課題を完全に過去のものとしました。厳選された地鶏の芳醇な香り、丁寧に下処理された豚骨のクリーミーな甘み、複数の煮干しや節を重ね合わせた魚介の豊かな風味。これらの素材が持つ本来の力を100%、いや120%引き出すことで、化学調味料では決して表現できない、体に優しく染み渡るような、それでいて記憶に強く刻まれるほどの感動的なうま味を生み出すことに成功したのです。
この記事では、そんな熱い想いが込められた無添加ラーメンの世界に、あなたをご案内します。数多く存在する無添加ラーメン店の中でも、私が特に「これは!」と心を鷲掴みにされた、個性的で本当に美味しい選りすぐりの名店を、一人のラーメン好きとしてのマニアックな視点から、その魅力の核心に迫りながらご紹介していきたいと思います。この記事を読み終える頃には、あなたの「無添加ラーメン」に対するイメージは180度変わり、その奥深い世界の虜になっているはずです。さあ、一緒に究極の一杯を探す旅に出かけましょう。
2. 【東京・三鷹】麺屋 さくら井|鶏と魚介の芸術的ハーモニーを奏でる無添加ラーメン
まず最初にご紹介させていただきたいのが、JR中央線・三鷹駅が最寄りの「麺屋 さくら井」さんです。東京の無添加・無化調ラーメンシーンを語る上で、このお店を外すことは絶対にできません。もはや「代表格」という言葉すら陳腐に聞こえるほどの圧倒的な存在感を放つ、現代無化調ラーメンの最高峰の一つと言える名店です。
行列必至!三鷹の人気店「麺屋 さくら井」の魅力
「麺屋 さくら井」は、三鷹駅南口から徒歩で約7分ほどの、落ち着いた住宅街へと続く道沿いに静かに佇んでいます。白いのれんに黒文字で「麺屋 さくら井」と染め抜かれたシンプルな外観は、これから出会うラーメンへの期待感を高めてくれます。平日・休日を問わず、開店前から常に行列ができるほどの絶大な人気を誇っており、その列に並ぶ人々の期待に満ちた表情を見るだけでも、このお店の実力が窺い知れます。
店主の桜井氏は、TRY(東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー)の常連であり、数々の受賞歴を誇る名店「麺処 ほん田」で長年修行を積まれた実力者です。その確かな技術と、素材に対する真摯な姿勢が、提供される一杯一杯に余すところなく注ぎ込まれています。店内はカウンター席のみの、清潔感に溢れた洗練された空間。厨房での店主の無駄のない流れるような動きを眺めながら待つ時間は、最高のエンターテイメントと言えるでしょう。このライブ感もまた、ラーメンという料理の大きな魅力の一つですよね。
黄金色に輝く!鶏と魚介のWスープの秘密
「さくら井」の代名詞と言えば、何と言ってもその黄金色に輝くスープです。メニューの基本は「らぁ麺(醤油・塩)」ですが、初めて訪れるならまずは「醤油」をおすすめします。スープは、鶏の芳醇なうま味と、魚介の繊細な風味が織りなす、見事なバランスのWスープ。レンゲで一口すすると、まず最初に感じるのは、鶏油(チーユ)の豊かで甘い香り。そして、その後に続くのが、鶏本来のふくよかで優しいながらも、芯の通った力強いうま味です。
このスープの主役である鶏には、山梨県の銘柄鶏「信玄鶏」の丸鶏とガラを惜しげもなく使用しています。じっくりと丁寧に、アクを取りながら炊き出すことで、雑味のないクリアで上質なうま味だけを抽出しているのです。さらに、その鶏のスープに、煮干しや昆布、香味野菜などから取った魚介系の和風出汁を絶妙な比率でブレンド。これにより、鶏だけでは表現できない、味の奥行きと複雑な風味が生まれます。化学調味料に頼らないからこそ、一つ一つの素材の良し悪しがダイレクトに味に反映されるのが無添加ラーメンの難しさであり、面白さでもあります。このスープは、まさに厳選された最高級の素材と、職人の卓越した技術が見事に融合した「作品」と呼ぶにふさわしい完成度を誇ります。
喉越し抜群!こだわりの自家製麺
この芸術的な無添加スープに合わせる麺もまた、寸分の妥協もありません。店内の製麺室で毎日作られる自家製麺は、しなやかで、つるりとした啜り心地が特徴の中細ストレート麺です。使用する小麦粉は、北海道産の「春よ恋」などを中心に数種類を独自にブレンド。その日の気温や湿度に合わせて加水率を微調整するという、徹底したこだわりようです。
この麺がまた、スープとの相性が抜群なのです。適度な加水率で打たれた麺は、スープを過度に吸いすぎることなく、その表面で黄金色のスープを美しく纏います。口に運べば、小麦の豊かな風味が鼻を抜け、パツンと心地よい歯切れの良さと、シルクのような滑らかな喉越しを楽しむことができます。スープと麺、どちらか一方が突出するのではなく、互いを高め合い、一体となって口の中で完成する。この完璧な調和こそが、「さくら井」のラーメンが多くの人々を魅了してやまない理由なのでしょう。
訪れる前に知っておきたい!メニューと注文のコツ
基本メニューは「らぁ麺(醤油/塩)」ですが、ぜひ試していただきたいのが「特製らぁ麺」です。特製にすると、2種類のチャーシュー(豚肩ロースの低温調理と鶏むね肉の低温調理)、味玉、穂先メンマ、海苔、三つ葉が追加され、丼の上が一気に華やかになります。特に、低温でじっくりと火を通したチャーシューは、驚くほどしっとりと柔らかく、肉本来のうま味が凝縮されています。味玉の絶妙な半熟加減と、丁寧に戻された穂去メンマのシャキシャキとした食感も、最高のアクセントになっています。
また、もしお腹に余裕があれば、「チャーシューごはん」も必食です。角切りにされたチャーシューと甘辛いタレが白米に絡み、ラーメンのスープと一緒にいただけば、まさに至福の時間が訪れます。行列は必至ですが、その時間すらも期待感を高めるスパイスだと思えるほどの価値がある一杯です。東京で本物の無添加ラーメンを味わいたいなら、まずは「麺屋 さくら井」を訪れてみてください。きっと、あなたのラーメン観を揺さぶる体験が待っていますよ。
3. 【京都・北大路】らぁ麺 とうひち|究極の引き算が生んだ無添加ラーメンの傑作
次にご紹介するのは、日本の古都・京都から。数々の名店がひしめくこの地で、独自の哲学を貫き、ラーメンファンのみならず、多くの食通たちを唸らせているお店「らぁ麺 とうひち」さんです。こちらもまた、無添加ラーメンを語る上では欠かせない、西日本を代表する名店の一つです。
ミシュランも認めた京都の名店
「らぁ麺 とうひち」は、京都市北区、北大路駅から少し歩いた閑静な住宅街にあります。その実力は折り紙付きで、世界的なグルメガイドである「ミシュランガイド京都・大阪」のビブグルマン部門に、2016年から7年連続で掲載され続けているという輝かしい実績を誇ります。(ビブグルマンとは、価格以上の満足感が得られる、コストパフォーマンスの高いおすすめの店に与えられる評価です)。
ミシュランに認められたラーメン店と聞くと、少し敷居が高いように感じてしまうかもしれませんが、ご安心ください。お店は、和の趣を感じさせるモダンで洗練されたデザインでありながら、どこか温かみのある雰囲気。店主をはじめとするスタッフの方々の丁寧で心のこもった接客も、このお店が愛される理由の一つです。一杯のラーメンを、最高の状態で味わってもらいたいという情熱が、お店の隅々にまで満ち溢れています。もちろん、こちらもその人気ゆえに行列は当たり前。しかし、その先に待っている感動を思えば、並ぶ時間もまた楽しいものです。
「鶏と水」のみ!究極のミニマリズムスープ
「とうひち」のラーメンの神髄は、そのスープにあります。驚くべきことに、ここの鶏醤油らぁ麺のスープの原材料は、基本的に「鶏と水」のみ。その他、香味野菜なども一切使わず、ただひたすらに鶏のうま味を突き詰めるという、まさに究極のミニマリズムを体現したスープなのです。この「引き算の美学」とも言えるアプローチは、素材そのものへの絶対的な自信と、それを最大限に活かすための卓越した技術がなければ成り立ちません。
使用する鶏は、京都のブランド地鶏である「丹波黒どり」や、うま味が濃いことで知られる「京赤地どり」など、複数の地鶏を惜しみなく使用。これらの丸鶏を、厳選された水と共に、火加減を徹底的に管理しながら長時間じっくりと炊き上げていきます。そうして完成したスープは、一切の雑味がなく、どこまでも透明で澄み切っているにもかかわらず、一口飲めば、鶏の持つ豊潤で力強いうま味とコクが、口いっぱいに、そして深く静かに広がっていきます。派手さはありませんが、一度味わうと脳裏に焼き付いて離れない、圧倒的な存在感を放つスープ。これぞ、無添加だからこそ到達できた、一つの極致と言えるでしょう。
旨味を支える自家製醤油ダレの妙
このストイックなまでに研ぎ澄まされた鶏清湯(チンタン)スープのうま味を、最大限に引き立てる名脇役が、特製の「かえし」、つまり醤油ダレです。生揚げ(きあげ)醤油という、火入れをしていないフレッシュな醤油をベースに、全国各地から厳選した5種類以上もの醤油を独自にブレンド。それぞれの醤油が持つ香り、コク、塩味、甘みの個性を巧みに組み合わせることで、単一の醤油では決して表現できない、立体的で深みのある味わいを生み出しています。
この複雑で香り高い醤油ダレが、ピュアな鶏のうま味と出会った時、奇跡的な化学反応が起こります。醤油の芳醇な香りが鶏の風味をより一層引き立て、スープ全体の輪郭をくっきりとさせながら、さらなる高みへと昇華させるのです。スープ、そして醤油ダレ。どちらも主役であり、どちらも名脇役。この完璧な相互作用こそが、「とうひち」のラーメンが持つ、人を惹きつけてやまない魅力の源泉なのです。
選び抜かれたトッピングと麺の相性
もちろん、麺やトッピングにも一切の妥協はありません。麺は、スープとの一体感を重視し、国産小麦100%で作られる自家製の中細ストレート麺。なめらかでつるりとした麺肌は、澄んだスープを優しく持ち上げ、啜るたびに小麦本来の甘い香りが口の中に広がります。
トッピングのチャーシューは、豚肩ロースと鶏むね肉の2種類。どちらも低温で丁寧に調理されており、驚くほどしっとりとしていて柔らか。肉のうま味がぎゅっと閉じ込められており、スープの繊細な味わいを邪魔することなく、むしろ豊かな満足感を加えてくれます。シャキシャキとした食感が楽しい九条ネギも、京都のラーメンには欠かせない存在ですね。
シンプルだからこそ、ごまかしが一切効かない。素材と真摯に向き合い、そのポテンシャルを信じ抜くことで生み出された、「らぁ麺 とうひち」の一杯。それは、無添加ラーメンというジャンルが持つ奥深さと、無限の可能性を私たちに教えてくれます。京都を訪れた際には、ぜひこの引き算の美学が生んだ傑作を味わってみてください。
4. 【東京・麹町】ソラノイロ|常識を覆す!カラフルでヘルシーな無添加ラーメン
「無添加ラーメンって、結局のところ、醤油か塩の、茶色っぽい見た目のラーメンばかりでしょう?」もし、あなたがそんな固定観念をお持ちだとしたら、その常識を心地よく、そして鮮やかに覆してくれるお店があります。それが、東京の麹町や京橋などに店舗を構える「ソラノイロ」さんです。ここは、ラーメンという料理の既成概念を打ち破る、革新的な一杯を提供してくれるお店です。
ラーメン界の革命児「ソラノイロ」
「ソラノイロ」は、2011年に麹町で創業して以来、ラーメン業界に次々と新しい風を吹き込んできた、まさに革命児と呼ぶにふさわしい存在です。店主の宮﨑千尋氏は、フレンチのシェフからラーメン職人へと転身した異色の経歴の持ち主。その自由な発想から生まれるラーメンは、従来の枠にとらわれない、独創的でアーティスティックなものばかりです。
「ソラノイロ」のコンセプトは、「女性が一人でも気軽にラーメン屋に入れるように」。そのコンセプトを体現するように、店内はカフェのようにおしゃれで明るく、清潔感に満ち溢れています。そして、このお店の最大の特徴は、動物性の食材を一切使わない「ヴィーガン」メニューや、小麦粉を使わない「グルテンフリー」メニューなど、多様な食のスタイルに寄り添うメニューをいち早く開発し、提供してきたこと。その先見性と革新性は高く評価され、世界で初めてヴィーガンラーメンでミシュランガイドのビブグルマンを獲得するという快挙も成し遂げています。もちろん、提供されるラーメンはすべて化学調味料不使用。体への優しさと、純粋な美味しさを両立させているのです。
罪悪感なし!野菜の旨味凝縮「ベジソバ」
「ソラノイロ」の代名詞であり、その名を世界に轟かせた看板メニューが「ベジソバ」です。この一杯は、あなたのラーメンに対するイメージを根底から覆すほどのインパクトを持っています。なんと、スープも、麺も、トッピングも、その大部分が野菜から作られているのです。
まず驚かされるのが、そのスープ。一見するとポタージュのようですが、これはニンジンやキャベツなどの野菜をじっくりと煮込んで作ったペーストに、野菜だけで取った出汁(ベジブロス)を合わせたもの。口に含むと、動物性の油脂や魚介の風味は一切ないにもかかわらず、野菜本来の優しい甘みと凝縮されたうま味が、じんわりと体に染み渡ります。塩カドの立った刺激的な味ではなく、どこまでもまろやかで、滋味深い味わい。ラーメンを食べているはずなのに、まるで上質な野菜のポタージュを飲んでいるかのような、不思議な感覚に陥ります。
見た目も楽しいカラフルな麺の秘密
そして、この優しいベジスープに合わせる麺が、さらに驚きを与えてくれます。丼の中に収まっているのは、鮮やかなオレンジ色をした平打ちの麺。この美しい色の正体は、なんと生地に練り込まれた「パプリカ」なんです。ビタミンなどの栄養が豊富なパプリカを麺に練り込むことで、見た目の華やかさだけでなく、栄養価もプラスするという、まさに一石二鳥のアイデア。
このパプリカ麺は、もちもちとした独特の食感を持っており、野菜のうま味が溶け込んだポタージュ状のスープと実によく絡みます。トッピングもまた、野菜が主役。キャベツの千切りをベースに、トマト、ブロッコリー、パプリカ、レンコンチップスなど、季節によって変わる彩り豊かな野菜たちが丼を飾ります。シャキシャキ、ホクホク、カリカリといった、様々な食感のコントラストが楽しく、最後まで飽きさせません。途中で、添えられた柚子胡椒をスープに溶かせば、爽やかな香りとピリッとした辛味が加わり、また違った表情を見せてくれます。
女性に大人気!ヘルシー志向のあなたへ
この「ベジソバ」は、一杯あたりのカロリーが一般的なラーメンの約半分ほどと言われており、罪悪感なく楽しめるのが最大の魅力。ラーメンが大好きだけど、カロリーや塩分が気になってしまう…という方にこそ、ぜひ試していただきたい一杯です。実際に、「ソラノイロ」の客層は女性が非常に多く、お一人様で訪れる方も少なくありません。
「ラーメンは不健康な食べ物」というイメージは、もはや過去のものです。「ソラノイロ」の「ベジソバ」は、ラーメンが、美味しくて、楽しくて、そして体に優しい料理にもなり得るということを、見事に証明してくれました。見た目の華やかさだけでなく、もちろん化学調味料は一切不使用。心も体も喜ぶ、新感覚の無添加ラーメン。常識にとらわれず、新しい美味しさを体験してみたいあなたは、ぜひ「ソラノイロ」の扉を開けてみてください。きっと、ラーメンの新たな可能性に心を躍らせることでしょう。
5. 【奈良・大和郡山】無鉄砲 がむしゃら|濃厚なのに無添加!豚骨ラーメンの新たな可能性
ここまで、鶏や魚介、野菜をベースにした、比較的あっさりとしたタイプの無添加ラーメンをご紹介してきました。「やっぱり、無添加だと、ガツンとくるような濃厚な豚骨ラーメンは難しいんじゃないの?」そんな声が聞こえてきそうです。いいえ、そんなことは決してありません。最後に、その固定観念を豪快に打ち砕く、パワフルな一杯をご紹介します。奈良県大和郡山市に本店を置き、全国に熱狂的なファンを持つ超濃厚豚骨ラーメンの雄「無鉄砲」グループ。その中で、「無化調」をコンセプトに掲げる挑戦的な一軒が「無鉄砲 がむしゃら」さんです。
超濃厚!でも後味スッキリの秘密
「無鉄砲」と聞いて、ラーメン好きなら誰もが思い浮かべるのが、レンゲが立つとまで言われるほどの、圧倒的な粘度を誇る超濃厚豚骨スープでしょう。「がむしゃら」で提供されるラーメンも、そのDNAを色濃く受け継いでいます。しかし、その最大の特徴は、この超濃厚なスープを、化学調味料を一切使用せずに作り上げているという点にあります。
通常、濃厚な豚骨ラーメンには、味の補強や輪郭をはっきりさせるために、うま味調味料が使われることが少なくありません。しかし、「がむしゃら」は、その常識に敢然と立ち向かいます。大量の良質な国産豚骨と、きれいな水だけ。使う材料は、驚くほどシンプルです。これを、業務用の巨大な寸胴の中で、骨が溶けてバラバラになるまで、ひたすら強火で炊き続ける。職人さんが、絶えず寸胴の底からかき混ぜ、骨の髄からうま味のすべてを絞り出すのです。
そうして生まれたスープは、ザラリとした骨粉の舌触りを感じるほどの、圧倒的な濃度と豚のうま味の塊。しかし、不思議なことに、その見た目や濃度から想像するような、しつこさや胃にもたれるような重さはありません。むしろ、後味は意外なほどスッキリとしていて、豚骨本来の持つ、まろやかでクリーミーな甘みだけが口の中に残ります。これこそが、余計なものに頼らず、素材の力だけで作り上げた「本物の豚骨スープ」であることの何よりの証拠。無添加だからこそ実現できた、濃厚でありながらもキレのある味わいなのです。
自分好みにカスタマイズ!「こってり度」
「がむしゃら」のもう一つの楽しみが、注文時に麺の硬さ、ネギの量、そしてスープの「こってり度」を自分好みにカスタマイズできる点です。こってり度は、「あっさり」「ふつう」「こってり」「できるだけこってり」の4段階から選ぶことができます。「こってり」や「できるだけこってり」を注文すると、スープの上に、豚の背脂の塊がこれでもかと追加されます。この背脂が、スープにさらなるコクと甘みを加え、こってり好きにはたまらない、ジャンクで背徳的な美味しさを演出してくれます。
初めての方は、まずは「ふつう」から試してみて、ご自身の好みのバランスを見つけるのがおすすめです。この自由度の高さも、「無鉄砲」グループが長年にわたってファンを魅了し続ける理由の一つですね。
濃厚スープに負けない中太ちぢれ麺
このパワフルで唯一無二の無添加豚骨スープに合わせるのは、存在感のある中太のちぢれ麺です。自家製麺にこだわっており、濃厚なスープに決して負けることのない、強いコシと小麦の風味が特徴です。ちぢれた麺が、ポタージュのように粘度の高いスープをたっぷりと持ち上げ、口の中へと運んできます。麺を啜るというよりも、「食べる」という表現がしっくりくるほどの重量感。この麺とスープの相性は、まさに最強のタッグと言えるでしょう。
トッピングは、大ぶりのチャーシュー、メンマ、ネギ、海苔とシンプルですが、それぞれのクオリティも非常に高いです。特に、柔らかく煮込まれたチャーシューは、濃厚なスープの中で、ほっと一息つけるような優しい味わいです。卓上には、紅生姜、辛子高菜、ニンニク醤油、すりごまといった、味変アイテムが豊富に用意されているのも嬉しいポイント。途中で辛子高菜を投入すれば、ピリッとした辛味がアクセントになり、食欲がさらに加速します。
「無添加ラーメンは、あっさりしていて物足りない」というイメージを、根底から覆してくれる「無鉄砲 がむしゃら」の一杯。素材の力を信じ抜き、手間暇を惜しまないことで、濃厚さと無添加という、一見すると相容れない二つの要素を、見事に両立させています。濃厚なラーメンが好きなあなたにこそ、ぜひ体験してほしい、無添加ラーメンが切り拓いた新たな可能性が、ここにあります。
6. あなたも無添加ラーメンの虜に!お気に入りの一杯を見つけに行こう
いかがでしたでしょうか?今回は、数ある無添加ラーメン店の中から、特に個性が際立ち、私が心の底から「美味しい!」と感動した、マニアックな名店を4つ、厳選してご紹介させていただきました。
東京・三鷹「麺屋 さくら井」の鶏と魚介のうま味が幾重にも重なる、芸術品のような淡麗系ラーメン。
京都・北大路「らぁ麺 とうひち」の「鶏と水」だけで作り上げる、引き算の美学が生んだ究極のミニマルラーメン。
東京・麹町「ソラノイロ」の野菜の力だけで作り上げた、カラフルでヘルシーな革命的ラーメン「ベジソバ」。
そして、奈良・大和郡山「無鉄砲 がむしゃら」の常識を覆す、超濃厚なのに後味すっきりの無添加豚骨ラーメン。
どのお店も、「体に良いから」という、ただそれだけの言葉では到底語り尽くすことのできない、作り手の確固たる哲学と、一杯のラーメンに注がれる情熱、そして何よりも「うまさ」への飽くなき探求心が詰まった、最高に美味しい一杯を提供してくれます。澄み切ったスープから、素材の繊細な風味を感じ取るのも良し。野菜だけで作られた、罪悪感のない一杯に心躍らせるのも良し。豚骨のうま味の限界に挑戦した、パワフルな一杯に舌鼓を打つのもまた良し。「無添加ラーメン」と一括りに言っても、その表現方法は実に多様で、自由で、そして奥深い世界が広がっていることを、少しでも感じていただけたなら嬉しいです。
かつては一部の健康志向の人たちのためのもの、というイメージがあったかもしれませんが、無添加ラーメンは、もはや特別なものではなく、美味しいラーメンを食べたいと思った時の、当たり前の「選択肢の一つ」になっています。化学調味料に頼らないからこそ、職人の腕とセンス、そして素材の良し悪しがダイレクトに現れる。だからこそ、そこには作り手の顔が見えるような、個性豊かで魅力的なラーメンが生まれるのです。
ぜひ、この記事をきっかけに、あなただけのお気に入りの無添加ラーメンを見つける旅に出かけてみてください。まずは今回ご紹介したお店を訪れてみるのも素晴らしいですし、あなたの家の近くにも、ひっそりと情熱を燃やす、こだわりの無添加ラーメン店が隠れているかもしれません。SNSで「#無添加ラーメン」や「#無化調ラーメン」と検索してみるのも、新たな出会いへの第一歩になるでしょう。
その優しくも力強い味わいの虜になった時、あなたはきっと、ラーメンという料理の持つ、さらなる魅力と無限の可能性に気づくはずです。さあ、今度の週末は、心と体が本当に喜ぶ一杯を味わいに出かけませんか

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。