Magazine

■ 無添加の最新記事

無添加

梅農家がこっそり教える、本当に旨い無添加梅干しの特徴

2025.06.04
梅農家がこっそり教える、本当に旨い無添加梅干しの特徴

「体に良いから」と梅干しを食べているのに、裏の表示を見て「知らないカタカナばかり…」と不安になったことはありませんか? 実は市販品の多くは、甘味料や保存料で味付けされた「調味梅干」です。

この記事では、梅と塩だけで作られた昔ながらの「無添加梅干し」の魅力と、本当に安心して食べられるおすすめの逸品を厳選してご紹介。しょっぱいだけじゃない、梅本来の旨味が詰まった本物の梅干しを見つけましょう。

1. そもそも『無添加の梅干し』って何が違うの?

知られざる基本のキを解説します

こんにちは!梅干しが大好きすぎて、気づけば梅干しのことばかり考えている私です。スーパーに行くと、本当にたくさんの種類の梅干しが並んでいますよね。その中でも、ひときわ健康的な響きを持つのが「無添加」という言葉。あなたも「無添加って書いてあるから、なんとなく体に良さそう」と思って手に取った経験があるかもしれません。

でも、「じゃあ、具体的に何がどう無添加なの?」と聞かれると、意外と答えに詰まってしまうのではないでしょうか。実は、私たちが普段よく目にする梅干しの多くは、「調味梅干し」と呼ばれるものです。一方で、「無添加の梅干し」は、それとは全く異なる製法で作られた、昔ながらの梅干しなんです。この二つの決定的な違い、それはズバリ「原材料のシンプルさ」にあります。

「調味梅干し」と「無添加の梅干し」の決定的な違い

まず、一般的な「調味梅干し」についてお話ししますね。これは、一度塩漬けにして天日干しした梅(白干し梅)を、水やお湯で塩抜きし、その後に様々な調味液で味付けをしたものです。塩抜きをする理由は、塩分濃度を下げて食べやすくするため。しかし、塩分を抜くと保存性が著しく低下してしまうため、それを補うために保存料や、味を調えるための甘味料、酸味料、化学調味料といった食品添加物が使われることが多くなります。

一方、この記事の主役である「無添加の梅干し」は、全く異なるアプローチで作られます。ご存知の方もいるかもしれませんが、これは「白干し梅(しらぼしうめ)」とも呼ばれる、日本古来の伝統的な製法で作られた梅干しのこと。使う原材料は、なんと「梅」と「塩」だけ。以上です!本当にこれだけなんです。収穫した梅をたっぷりの塩で漬け込み、土用(夏の時期)に三日三晩天日干しをする。このシンプルな工程だけで作られるのが、本物の無添加梅干しなんですよ。

塩抜きをしないため、塩分濃度は18%~22%と非常に高いのが特徴です。この高い塩分濃度が天然の保存料の役割を果たし、他の添加物を一切使う必要がありません。つまり、無添加の梅干しとは、梅と塩の力だけで作られた、梅本来の味と栄養がぎゅっと凝縮された、まさに「本物」の梅干しと言えるのです。原材料のシンプルさこそが、その証なんですね。この違いを知るだけで、梅干し売り場を見る目がガラッと変わると思いませんか?

2. 【原材料をチェック!】本物の無添加梅干しを見分ける超簡単な方法

もう梅干し選びで迷わない!

「無添加の梅干しと調味梅干しの違いは分かったけど、じゃあどうやって見分ければいいの?」と思いますよね。ご安心ください。本物の無添加梅干しを見分ける方法は、驚くほど簡単なんです。それは、パッケージの裏側に必ず記載されている「原材料名」をチェックすること。たったこれだけです!

食品表示法という法律で、使用した原材料はすべて重量の割合が多い順に表示することが義務付けられています。だから、ここを見れば、その梅干しがどんな材料で作られているのかが一目瞭然なんです。これからは、梅干しを手に取ったら、くるっと裏返して原材料名を見るクセをつけてみてください。まるで食品探偵になったみたいで、ちょっと楽しくなりますよ。

これだけ!「無添加梅干し」の原材料名

本物の無添加梅干し、つまり「白干し梅」の原材料名は、信じられないほどシンプルです。

  • 梅、漬け原材料(食塩)

本当に、たったこれだけです。商品によっては「梅、食塩」としか書かれていない場合もあります。使われている梅の品種(例:和歌山県産南高梅)や、塩の種類(例:天日塩)が記載されていることもありますが、基本的には「梅」と「塩」以外のものが入っていなければ、それは昔ながらの製法で作られた無添加の梅干しである可能性が非常に高いです。シンプルイズベスト、とはまさにこのことですね。

これが入っていたら「調味梅干し」のサイン

一方で、調味梅干しの原材料名は、とても賑やかです。もし原材料名に以下のようなものを見つけたら、それは塩抜きをしてから味付けをされた調味梅干しだと思って間違いありません。

  • 調味料(アミノ酸等):これは、うま味成分です。代表的なのはグルタミン酸ナトリウムで、味に深みやコクを出してくれます。

  • 甘味料(ステビア、スクラロース、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物など):はちみつ梅や、甘めの梅干しによく使われます。砂糖よりも少ない量で強い甘みを出すことができるのが特徴です。

  • 酸味料:クエン酸やリンゴ酸などが使われ、酸味を補強したり、味のバランスを整えたりします。

  • 酒精(アルコール):発酵を抑え、保存性を高めるために使われます。

  • 還元水飴、果糖ぶどう糖液糖:これらも甘みを加えるために使われる糖類です。

  • たん白加水分解物:大豆やトウモロコシなどのたんぱく質を分解して作られたうま味成分です。

  • ビタミンB1:栄養強化というよりは、風味付けや保存性の向上のために使われることがあります。

  • 野菜色素、赤色102号など:梅干しを鮮やかな赤色に見せるための着色料です。

もちろん、これらの添加物がすべて体に悪いというわけではありません。それぞれにきちんと役割があって使われています。ただ、「梅と塩だけで作られた、梅本来の味を楽しみたい」という目的で無添加の梅干しを探しているのであれば、原材料名にこれらの記載がないものを選ぶのが正解、ということになります。この知識さえあれば、もうあなたは梅干しマスター!自信を持って、自分のお目当ての梅干しを見つけ出すことができますよ。

3. なぜ添加物が?市販の梅干しに使われがちな添加物の役割をマニアックに解説

添加物にも存在する理由があるんです

「どうして多くの市販の梅干しには、そんなにたくさんの添加物が使われているの?」と、不思議に思いますよね。無添加の梅干しが梅と塩だけで作れるなら、全部そうすればいいのに!と感じるかもしれません。でも実は、添加物には添加物なりの、ちゃーんとした役割と理由があるんです。ここでは少しだけマニアックな視点で、その理由を深掘りしていきましょう。

最大の理由は、多くの人が梅干しに求める「食べやすさ」と、メーカー側の「大量生産における品質の安定」という、二つの大きな目的を達成するためです。

塩分濃度と保存性のジレンマ

昔ながらの無添加の梅干し(白干し梅)は、先ほどもお話しした通り、塩分濃度が18%以上と非常に高いのが特徴です。このしょっぱさこそが、雑菌の繁殖を防ぎ、長期保存を可能にする重要な要素。しかし、「健康のために減塩したい」「子どもにも食べさせたい」というニーズが高まる現代において、この強烈なしょっぱさは敬遠されがちです。

そこでメーカーは、多くの人に手に取ってもらえるように、塩抜きをして塩分濃度を5%~8%程度まで下げた「減塩タイプ」の梅干しを開発しました。これが現在主流の調味梅干しです。しかし、ここで大きな問題が発生します。塩分濃度を下げると、当然ながら保存性がガクンと落ちてしまうのです。常温で置いておけば、すぐにカビが生えたり腐敗したりしてしまいます。

この「食べやすさ(低塩分)」と「保存性」という、二律背反のジレンマを解決するために登場するのが、食品添加物なんです。塩の代わりに梅干しを守り、さらに多くの人が好む味へと調整するために、様々な添加物が大きな役割を果たしているというわけなんですね。

代表的な添加物の役割を徹底解説

それでは、具体的にどんな添加物がどんな目的で使われているのか、一つひとつ見ていきましょう。

味のベースを作る「調味料(アミノ酸等)」

塩抜きをすると、梅のうま味成分も一緒に流れ出てしまい、味がぼやけてしまいます。そこで活躍するのが「調味料(アミノ酸等)」です。これは、いわゆる「うま味調味料」のことで、代表格は昆布のうま味成分であるグルタミン酸から作られるグルタミン酸ナトリウム。これを加えることで、塩味だけではない、味の深みやコク、後を引く美味しさを人工的に作り出すことができます。原材料表示で「調味料(アミノ酸等)」と書かれていたら、「ああ、ここで味の土台をしっかり作っているんだな」と思ってみてください。

甘さを加える「甘味料」

「はちみつ梅」に代表されるような、甘い梅干しを作るのに欠かせないのが甘味料です。よく使われるのは「ステビア」や「スクラロース」といったもの。これらは「高甘味度甘味料」と呼ばれ、砂糖の何百倍もの甘さを持っているため、ごく少量で強い甘みをつけることができます。カロリーを抑えながら甘さをしっかり出せるので、ヘルシー志向の調味梅干しには欠かせない存在です。しょっぱい梅干しが苦手な方でも食べやすいように、というメーカーの優しさが詰まっているとも言えますね。

爽やかさをプラスする「酸味料」

梅干しの命とも言える「酸っぱさ」。これも塩抜きによって失われがちです。また、甘味料を加えると酸味がマスクされてしまうこともあります。そこで、爽やかな酸味を補強するために使われるのが「酸味料」です。梅干しにもともと含まれているクエン酸や、リンゴに含まれるリンゴ酸などがよく使われます。これにより、味全体のバランスが引き締まり、キレのある後味になります。

品質を守る「保存料」や「酒精」

塩分濃度を下げた梅干しの品質を守るために、保存料が使われることがあります。「ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)」などがその代表です。カビや酵母の発生を抑える効果があります。また、「酒精(しょせい)」、つまりアルコールを添加することでも、微生物の繁殖を抑えて保存性を高めることができます。これらの働きによって、低塩分でも梅干しが腐敗するのを防ぎ、私たちが安心して食べられる状態で店頭に並べることができるのです。

このように、調味梅干しに使われる添加物は、それぞれが明確な目的を持って配合されています。決して悪者というわけではなく、時代のニーズに合わせて梅干しを進化させてきた立役者とも言えるかもしれません。ただ、こうした事実を知った上で、「私はやっぱり、梅と塩だけで作られた、梅本来の力を信じたい!」と感じるのであれば、それこそが、あなたが無添加の梅干しを選ぶ素敵な理由になるのだと私は思います。

4. しょっぱいだけじゃない!無添加梅干しがもたらす嬉しい健康・美容効果

梅と塩だけの恵みを体に届けよう

「無添加の梅干しって、しょっぱいだけでしょ?」と思っているとしたら、それは本当にもったいない!梅と塩だけで作られているからこそ、添加物で味が調整された調味梅干しとは違い、梅が本来持っている素晴らしい栄養素が、一切損なわれることなくぎゅーっと凝縮されているんです。

日本の伝統的なスーパーフードである梅干し。そのパワーの源は、私たちの健康や美容にとって嬉しい効果をもたらしてくれる成分がたっぷり含まれていることにあります。ここでは、無添加の梅干しを食べることで期待できる、具体的なメリットをいくつかご紹介しますね。これを読んだら、きっと毎日一粒食べたくなっちゃいますよ!

疲労回復の王様「クエン酸」

梅干しの酸っぱさの主成分である「クエン酸」。このクエン酸こそが、梅干しの健康効果を語る上で欠かせないスター選手です。私たちの体は、エネルギーを生み出す過程で「乳酸」という疲労物質を作り出します。この乳酸が溜まると、「なんだか体がだるいな…」「疲れが抜けないな…」といった状態になってしまうんです。

クエン酸は、この乳酸を分解してエネルギーに変える働きを助けてくれる、非常に頼もしい存在。体内のエネルギー代謝サイクルである「クエン酸回路」を活性化させることで、疲労回復を強力にサポートしてくれるのです。実際に、運動後にクエン酸を摂取すると疲労感が軽減されるという研究結果は数多く報告されています。例えば、近畿大学の研究グループも、クエン酸の摂取が運動後の筋肉痛を和らげる可能性について言及しています。仕事や家事でクタクタになった一日の終わりに、無添加の梅干しを一粒食べる。それは、体への最高のご褒美になるかもしれませんね。

加熱で生まれる特有成分「ムメフラール」

生の梅や、ただ塩漬けにしただけの梅には含まれていない、梅干しならではの特別な成分があるのをご存知ですか?それが「ムメフラール」です。この成分は、梅に含まれる糖とクエン酸が、製造過程で加熱されることによって結合して生まれる、まさに梅干しだけの貴重な成分。

和歌山県立医科大学などの研究によると、このムメフラールには血流を改善する効果が期待できるとされています。血液がドロドロになるのを防ぎ、サラサラの状態に保つ手助けをしてくれるというのです。血流がスムーズになれば、冷え性の改善や、新陳代謝のアップにも繋がります。お肌のターンオーバーも促進されるので、美容面でも嬉しい効果が期待できそうですよね。このムメフラールは、調味梅干しを作る過程での塩抜きで失われやすいとも言われていますから、無添加の梅干しだからこそ、その恩恵をしっかりと受け取ることができるんです。

アンチエイジングの味方「梅リグナン」

最近、美容や健康の分野で注目されている「ポリフェノール」。植物が紫外線や外敵から自身を守るために作り出す抗酸化物質で、私たちの体のサビつき(酸化)を防いでくれる働きがあります。実は、梅干しにも「梅リグナン」という強力なポリフェノールが含まれているんです。

私たちの体は、呼吸をするだけでも活性酸素を生み出し、それが細胞を傷つけ、老化や生活習慣病の原因になると言われています。梅リグナンは、この活性酸素の働きを抑制する強い抗酸化作用を持つことが、食品総合研究所などの研究で分かってきています。アンチエイジングを目指すあなたにとって、まさに救世主のような成分だと言えるでしょう。毎日コツコツと無添加の梅干しを食べることで、体の内側から若々しさをサポートできるなんて、素敵だと思いませんか?

女性に嬉しい「ミネラル」も豊富

無添加の梅干しは、ミネラルの宝庫でもあります。特に注目したいのが「カリウム」と「カルシウム」です。

むくみスッキリ「カリウム」

カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出してくれる働きがあります。外食が続いたり、味の濃いものを食べ過ぎたりすると、翌朝顔がパンパンに…なんて経験はありませんか?それは、体内の塩分濃度を薄めようと、体が水分を溜め込んでいるのが原因。カリウムは、このバランスを整えて、むくみの解消を助けてくれます。塩分の多い無添加梅干しですが、同時にカリウムも豊富なため、うまくバランスが取れているんですね。

骨や歯を丈夫にする「カルシウム」

カルシウムが骨や歯の健康に欠かせないことは、よく知られていますよね。でも、実はカルシウムは吸収率があまり高くないという弱点があります。しかし、梅干しに含まれるクエン酸と一緒に摂ることで、カルシウムの吸収率がアップすることが分かっています。これを「キレート作用」と言います。無添加の梅干しは、カルシウムとクエン酸を同時に効率よく摂取できる、非常に合理的な食品なんです。

このように、無添加の梅干しは、ただしょっぱいだけではなく、私たちの体を健やかに、そして美しく保つための栄養素がぎっしり詰まった、まさに日本の誇るべきスーパーフード。自然の恵みをそのままいただくことの素晴らしさを、ぜひあなたの体で実感してみてください。

5. 産地や塩分濃度で選ぶ!自分好みの『無添加梅干し』を見つける応用編

奥深き無添加梅干しの世界へようこそ

さて、無添加梅干しの基本と魅力が分かってきたところで、次はいよいよ「自分史上最高の逸品」を見つけるための、少しマニアックな応用編に進みたいと思います。一言で「無添加の梅干し」と言っても、その個性は千差万別。まるでワインやコーヒーのように、産地や品種、作り手によって味わいが全く異なる、とっても奥が深い世界なんです。

「しょっぱいのはちょっと苦手…」「果肉がとろりとしたものが好き」など、あなたの好みにピッタリ合う無添加の梅干しは、必ず存在します。ここでは、運命の一粒に出会うための、3つのチェックポイントをご紹介しますね。

1. 梅の「品種」で選んでみよう

梅干しの味や食感を決める最も大きな要素が、原料となる梅の「品種」です。日本にはたくさんの梅の品種がありますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

梅の王様、とろける食感の「南高梅(なんこうばい)」

梅のトップブランドとして、あまりにも有名なのが和歌山県を代表する「南高梅」です。その最大の特徴は、皮が薄くて、種が小さく、そして何よりも果肉が厚くて柔らかいこと。口に含むと、とろけるような食感がたまりません。繊維質が少ないので、本当に滑らかな舌触りです。酸味と塩味のバランスも絶妙で、まさに梅干しの王様と呼ぶにふさわしい風格があります。初めて無添加の梅干しに挑戦する方や、果肉感のあるジューシーな梅干しが好きな方には、まず南高梅をおすすめします。価格は他の品種に比べて少し高めですが、その価値は十分にありますよ。

小さくて食べやすい「小梅(こうめ)」

お弁当などでお馴染みの、可愛らしいサイズの「小梅」。小さいからといって侮ってはいけません。カリッとした食感が特徴的な品種が多く、南高梅とはまた違った魅力があります。代表的な品種には「竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)」や「甲州小梅(こうしゅうこうめ)」などがあります。種離れが良く、パクっと気軽に食べられるのが嬉しいポイント。果肉は少なめですが、その分、梅のエキスが凝縮されたような、キリッとした酸味と塩味を楽しめます。お茶請けやおにぎりの具にピッタリですね。

その他の個性豊かな品種たち

南高梅や小梅以外にも、日本には魅力的な梅がたくさんあります。

  • 古城(ごじろ): 「青いダイヤ」とも呼ばれる、美しい緑色が特徴の品種。果肉が硬く、カリカリ梅の原料として有名ですが、熟したもので作った梅干しは、しっかりとした歯ごたえと爽やかな香りが楽しめます。

  • 白加賀(しらかが): 関東地方で多く栽培されている品種です。果肉が厚く、繊維質が多いため、しっかりとした肉質をしています。梅酒や梅シロップにもよく使われますが、梅干しにすると、昔ながらの素朴で力強い味わいになります。

このように、品種ごとの特徴を知ることで、あなたの好みの食感や味わいを想像しながら選ぶことができます。

2. 梅の「産地」による特徴を知る

次に注目したいのが「産地」です。その土地の気候や土壌が、梅の味わいに大きな影響を与えます。

日本一の梅の里「紀州(和歌山)」

日本の梅の収穫量の約6割以上を占める、まさに「梅の聖地」が和歌山県、通称「紀州」です。温暖で日照時間が長く、水はけの良い山の斜面が多いという、梅の栽培に最適な環境が揃っています。特に有名なのが、先ほどご紹介した「南高梅」。紀州の豊かな自然の中で育った南高梅は、品質、味ともに最高級とされています。「本場の無添加梅干しを試したい!」という方は、迷わず「紀州産」や「和歌山県産」と書かれたものを選んでみてください。間違いのない、王道の美味しさを堪能できます。

歴史ある関東の名産地「小田原(神奈川)」

関東で梅の産地として古くから有名なのが、神奈川県の小田原市です。戦国時代、小田原城の北条氏が兵糧として梅の栽培を奨励したのが始まりとされ、長い歴史を持っています。小田原では「十郎(じゅうろう)」や「白加賀」といった品種が多く栽培されています。特に十郎梅は、種が小さく果肉が厚くて柔らかいのが特徴で、梅干しに最適な品種として地元で愛されています。紀州の南高梅とはまた一味違った、歴史と伝統が育んだ関東の梅干しの味を試してみるのも面白いですよ。

3. 「塩分濃度」で好みのしょっぱさを探す

最後のポイントは「塩分濃度」です。無添加の梅干しは塩分が高いのが特徴ですが、その中でも実は幅があります。

一般的に、昔ながらの製法で作られた白干し梅の塩分濃度は18%~22%程度です。

  • 塩分20%以上: ガツンとくる、強烈なしょっぱさと酸っぱさが特徴です。これぞ日本の梅干し!という、伝統的な味わいを求める方におすすめ。お米の甘さを最大限に引き出してくれますし、ほんの少しちぎって食べるだけで満足感があります。

  • 塩分18%前後: 20%以上のものに比べると、少しだけしょっぱさがマイルドに感じられます。それでも十分にしょっぱいですが、梅本来の甘みやうま味をより感じやすいかもしれません。初めて白干し梅に挑戦する方は、このあたりの塩分濃度のものから試してみるのが良いでしょう。

最近では、生産者の工夫により、添加物を使わずに塩分濃度を15%程度まで抑えた「減塩タイプの無添加梅干し」も登場しています。これは、独自の製法で塩分を調整しつつ、梅が持つ力で保存性を保っているものです。どうしても高い塩分が気になるという方は、そういった商品を探してみるのも一つの手ですね。

品種、産地、そして塩分濃度。この3つの軸で探求してみると、無添加梅干し選びは一気に楽しく、そして奥深いものになります。ぜひ、色々な種類を試してみて、あなたの舌を唸らせる「運命の無添加梅干し」を見つけてくださいね。

6. まとめ:無添加梅干しのある暮らし。知っておきたい保存方法と美味しい食べ方

手に入れた後の楽しみ方、教えます

さて、ここまで無添加梅干しの魅力や選び方について、熱く語ってきました。きっと、あなたのお気に入りの一品を見つけられたことと思います。最後に、その大切な無添加梅干しを、最後の最後まで美味しく楽しむための「保存方法」と、毎日の食卓がもっと豊かになる「美味しい食べ方」をご紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。

無添加梅干しは「常温保存」が基本って本当?

「梅干しって、冷蔵庫で保存しなきゃダメなんじゃないの?」と思っている方が多いかもしれませんが、実は、塩分濃度が18%以上あるような昔ながらの無添加梅干し(白干し梅)は、常温での長期保存が可能な、非常に優れた保存食なんです。

その理由は、もうお分かりですよね。高い塩分濃度による「浸透圧」の力です。梅の実に含まれる水分が塩の方に引き出され、代わりに塩分が実に浸透します。これにより、カビや腐敗菌などの微生物は、活動に必要な水分を奪われてしまい、繁殖することができなくなるのです。これこそが、冷蔵庫がなかった時代から受け継がれてきた、先人の知恵の結晶。化学的な保存料に頼らずとも、自然の力だけで品質を保つことができる、まさに天然の保存システムなんです。

美味しさを長持ちさせる保存のコツ

常温保存が可能とは言え、より良い状態で美味しさをキープするためには、いくつかのコツがあります。

  1. 直射日光と高温多湿を避ける: 保存場所としては、キッチンの戸棚の中や、パントリーなどの、光が当たらず風通しの良い涼しい場所(冷暗所)が最適です。

  2. 清潔な箸を使う: 梅干しを取り出す際は、必ず乾いた清潔な箸を使いましょう。濡れた箸や、一度口をつけた箸を使うと、そこから雑菌が繁殖する原因になってしまいます。

  3. 密閉容器で保存する: 購入した時の容器のままでも大丈夫ですが、乾燥を防ぎ、風味を保つためには、蓋がしっかりと閉まる陶器の甕(かめ)や、ガラス製の密閉容器に移し替えるのがおすすめです。プラスチック容器は、梅干しの酸によって劣化してしまう可能性があるので、長期間の保存にはあまり向きません。

適切に保存すれば、無添加の梅干しは時間が経つにつれて塩の角が取れ、味がまろやかに熟成していく変化を楽しむこともできます。数年、あるいは10年以上も持つと言われているんですよ。

料理の幅が無限に広がる!美味しい活用レシピ

無添加の梅干しは、ほかほかの白ご飯に乗せて食べるのが最高の贅沢ですが、その使い道はそれだけにとどまりません。その強い塩味と豊かな酸味は、実は最強の「天然調味料」として、様々な料理を格上げしてくれるんです。

万能調味料「たたき梅(梅肉)」

まず試していただきたいのが、種を取り除いて包丁で細かくたたいた「たたき梅」を作っておくこと。これさえあれば、アレンジは自由自在です。

  • きゅうりや大根の梅肉和え: 切った野菜と和えるだけで、箸休めにぴったりの一品が完成。鰹節やごまを加えると、さらに風味がアップします。

  • 鶏ささみや豚しゃぶのソースとして: ポン酢の代わりに、たたき梅を少し乗せるだけで、味がキリッと引き締まり、料亭のような上品な味わいになります。

煮魚の臭み消し&風味アップ

サバやイワシなどの青魚を煮る際に、無添加の梅干しを一粒か二粒、一緒に鍋に入れてみてください。梅干しに含まれるクエン酸などの有機酸が、魚特有の生臭さを分解して、驚くほどさっぱりと仕上げてくれます。さらに、梅のうま味が煮汁に溶け出して、深みのある味わいになりますよ。

自家製「無添加・梅ドレッシング」

たたき梅、お酢(またはレモン汁)、お好みの油(オリーブオイルやごま油がおすすめ)、そして少しの醤油かだしを混ぜ合わせるだけで、絶品の自家製ドレッシングが完成します。市販のドレッシングはもう必要なくなるかもしれません。大根サラダや豆腐サラダにたっぷりかけて召し上がれ。

意外な組み合わせ「梅パスタ」

ペペロンチーノを作る要領で、ニンニクと唐辛子をオリーブオイルで炒めたところに、たたき梅と茹で汁を加えてソースを作ります。茹で上がったパスタと和え、大葉の千切りを散らせば、和風梅ペペロンチーノの完成です。梅の酸味と塩気が、パスタに驚くほどマッチします。

無添加の梅干しが一つあるだけで、あなたの食生活はもっと豊かで、健やかなものになるはずです。昔ながらの製法で作られた本物の梅干しを、ぜひ日々の暮らしに取り入れて、その計り知れないパワーと美味しさを、心ゆくまで楽しんでくださいね。

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。