無添加
人生が変わる究極の1本。無添加みりんがもたらす感動体験
2025.07.14
いつもの煮物に、お店のような照りと深いコクが生まれたら…。そんな感動を、ご家庭で手軽に実現できる方法があります。その鍵を握るのが、米と米麹だけで作られた「無添加の本みりん」です。
この記事では、なぜ無添加みりんが料理を格段に美味しくするのか、その秘密に迫ります。専門家が厳選したおすすめの無添加みりんもご紹介するので、今日からあなたの食卓をワンランクアップさせましょう。
1. そのみりん本物ですか?知っておきたい無添加みりんのすごい力
「いつも使っているそのみりん、本当に『みりん』ですか?」と聞かれたら、ドキッとする方もいらっしゃるかもしれませんね。実はスーパーの調味料売り場に並んでいる「みりん」と名のつく商品には、大きく分けて「本みりん」と「みりん風調味料」という2つのタイプがあり、これらは全くの別物なんです。今回は、あなたの料理を劇的に変える力を持つ、本物の「無添加みりん」の魅力について、たっぷりとお話しさせてください!
本みりんとみりん風調味料の決定的違い
まず、この二つの違いをはっきりさせておきましょう。これを知るだけで、あなたの調味料選びの基準が変わるはずです。
原材料と製法が全く違う!
一番大きな違いは、何から、そしてどうやって作られているか、という点です。
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本みりん: 主な原材料は「もち米」「米こうじ」、そして「焼酎」や「醸造アルコール」です。伝統的な製法では、まず蒸したもち米と米こうじを混ぜ、そこに焼酎を加えて「もろみ」を造ります。このもろみを、長い時間をかけて(中には2年以上も!)じっくりと糖化・熟成させることで、お米のうま味と自然で奥深い甘みを引き出していくのです。この熟成期間中に、アミノ酸や有機酸、糖類、香気成分などが複雑に絡み合い、あの美しい琥珀色と芳醇な味わいが生まれます。特に、昔ながらの製法を守り、余計なものを加えない「無添加みりん」は、このお米由来のパワーが最大限に活かされています。
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みりん風調味料: こちらの原材料表示を見てみると、「糖類(水あめ、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖など)」が最初に書かれていることが多いです。これに「米・米こうじの醸造調味料」や「うま味調味料(アミノ酸など)」「酸味料」「香料」などを加えて、みりん「風」の味を再現しています。本みりんのように時間をかけて熟成させる工程がないため、短期間で大量生産でき、価格も安価です。
アルコール度数と法律上の分類
本みりんは、製造過程で焼酎やアルコールを使うため、アルコール分を約14%含んでいます。これは日本の酒税法上「酒類」に分類されるため、販売するには酒類販売免許が必要です。一方、みりん風調味料はアルコール分を1%未満に抑えているため、酒類には該当せず、免許がないお店でも販売できます。また、お子様がいるご家庭でも加熱せずにそのまま使うことができますね。
ちなみに、「発酵調味料」や「加塩みりん」と呼ばれるタイプもあります。これは本みりんの製造工程中に塩を加えて、飲用できないように(不可飲処置)したものです。これにより酒税がかからなくなるため、本みりんより少し安価で手に入ります。後ほどご紹介する「味の母」もこのタイプに含まれますね。これも立派な選択肢の一つですが、今回はまず、王道である「無添加の本みりん」に焦点を当てていきましょう。
無添加本みりんが持つ驚きの調理効果
「じゃあ、無添加の本みりんを使うと、料理はどう変わるの?」という疑問にお答えします。その効果は、想像以上ですよ!
効果①:うっとりするほどの「照り・ツヤ」
料理の見た目は、おいしさを左右する重要な要素ですよね。無添加みりんは、料理の仕上げに加えるだけで、表面に美しい「照り」と「ツヤ」を与えてくれます。これは、みりんに含まれる多種類の糖類が、食材の表面に付着して膜を作るためです。特に、加熱によって糖分がカラメル化することで、食欲をそそる見事な焼き色が生まれます。例えば、鶏の照り焼きやぶりの照り焼きを想像してみてください。あのおいしそうな輝きは、まさに本みりんの得意技なんです。
効果②:料理の格を上げる「コクと旨味」
無添加みりんの真骨頂は、なんといってもその深い「コク」と「旨味」です。もち米が米こうじの酵素(アミラーゼやプロテアーゼ)によって分解される過程で、ブドウ糖などの糖分だけでなく、なんと18種類ものアミノ酸や有機酸が生成されます。これらの成分が複雑に絡み合うことで、砂糖の単調な甘さでは決して出せない、奥行きのある味わいが生まれるのです。東京農業大学の研究によれば、本みりんの熟成中に生成されるアミノ酸やペプチドが、料理の旨味を格段に向上させることが報告されています。いつもの煮物が、まるで料亭で出てくるような、忘れられない味に変わりますよ。
効果③:プロの技「煮崩れ防止」
煮魚や肉じゃがを作っていると、具材が崩れて残念な見た目になってしまうことはありませんか?無添加みりんが持つ約14%のアルコールには、食材の組織を引き締める効果があります。アルコールが食材に浸透する際、ペクチンなどの細胞壁の成分を溶け出しにくくするため、じゃがいもやカボチャ、魚の身などを煮崩れさせずに、形を保ったまま美しく仕上げることができるのです。これは、料理酒にも共通する効果ですが、甘みと旨みを同時に加えられるのがみりんの強みですね。
効果④:気になる臭みを消す「マスキング効果」
お肉やお魚の独特の臭み、気になりますよね。無添加みりんのアルコール分には、この臭みを消してくれる「マスキング効果」があります。加熱すると、アルコールは食材の臭み成分と一緒に蒸発します(これを共沸効果と呼びます)。この働きによって、素材の生臭さだけを消し去り、本来の美味しさを引き立ててくれるのです。さらに、みりんに含まれる糖分やアミノ酸が臭み成分を包み込み、感じさせなくする効果も期待できます。このダブルの効果で、あなたの料理がワンランクアップすること間違いなしです。
なぜ無添加みりんは自然な甘さなの?
無添加みりんの甘さは、砂糖を後から加えたものではなく、お米そのものから生まれる、とても自然で優しい甘さです。その秘密は、日本の伝統的な発酵技術の結晶である「米こうじ」の力にあります。
米こうじには、「アミラーゼ」という強力な糖化酵素が含まれています。このアミラーゼが、もち米の主成分であるデンプンに働きかけ、ブドウ糖やオリゴ糖といった甘み成分に分解してくれるのです。これは、ちょうど私たちがご飯を口の中でよく噛んでいると甘く感じてくるのと同じ原理ですね。
伝統的な製法の無添加みりんでは、この糖化・熟成のプロセスに1年、2年という長い時間をかけます。時間をかけることで、酵素の力が隅々まで行き渡り、デンプンがゆっくりと分解されていきます。だからこそ、角の取れたまろやかで、何層にも重なった複雑な甘みが生まれるのです。それはまるで、お米が持つポテンシャルを最大限に引き出した、自然からの贈り物のような甘さだと言えるでしょう。この素晴らしい「無添加みりん」の世界、まずはその基本を知ることから始めてみませんか?
2. 【無添加みりん①】愛知の伝統が生んだ逸品!「三州三河みりん」の奥深いコク
さて、ここからは私が愛してやまない、具体的な無添加みりんの銘柄を一つずつ、熱く語らせていただきます!最初にご紹介するのは、「みりん好きならこれを知らずして語れない」と言っても過言ではない、まさに王道中の王道。愛知県碧南市にある角谷文治郎商店さんが醸す、「三州三河みりん」です。
角谷文治郎商店のこだわり製法
「三州三河みりん」を造る角谷文治郎商店は、1910年(明治43年)創業の老舗です。蔵が位置する愛知県の三河地方は、温暖な気候と良質な水に恵まれ、古くから醸造業が盛んな土地。そんな醸造の聖地で、創業以来100年以上にわたって、ひたすらに伝統的なみりん造りを守り続けています。
彼らの哲学は、「米のおいしさを余すところなく引き出すこと」。そのために、原材料の選定から製造工程の隅々にまで、一切の妥協がありません。
厳選された国産の原材料
「三州三河みりん」の原材料は、驚くほどシンプルです。使われているのは、「国産のもち米」、「自家製の米こうじ」、そして「自家製の本格焼酎」の3つだけ。もちろん、添加物は一切使用しない「無添加みりん」です。
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もち米: 国内の契約農家が栽培した、選りすぐりのもち米を使用。みりんの甘みと旨味の源泉となる最も重要な原料です。
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米こうじ: こちらも国産のうるち米を使い、蔵に棲みつくこうじ菌で自家製麹を育てます。みりんの品質は麹の出来で決まると言われるほど、重要な工程です。
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本格焼酎: 一般的なみりんが醸造アルコール(廃糖蜜などを原料とする安価なアルコール)を使うのに対し、「三州三河みりん」では、もち米を原料にした自家製の本格焼酎(米焼酎)を贅沢に使用します。これにより、香り高く、まろやかな味わいが生まれるのです。この「自家製焼酎を使う」という点が、他の多くの本みりんとも一線を画す、大きなこだわりポイントです。
2年熟成が生む琥珀色と濃厚な旨味
角谷文治郎商店の最大の特徴は、なんといってもその長い熟成期間にあります。仕込んだもろみは、大きな杉の桶の中で、なんと2年以上もの歳月をかけてゆっくりと熟成されます。
この長い時間の間に、もち米のデンプンやタンパク質が、米こうじの酵素によって糖やアミノ酸へと分解されていきます。さらに、これらの成分が複雑に反応しあう「メイラード反応」が進むことで、美しい琥珀色と、カラメルのような香ばしい香り、そして何層にも重なった奥深いコクと旨味が生まれるのです。
熟成を終えたもろみを、丁寧に圧搾して搾った液体が、ようやく「三州三河みりん」の原液となります。一般的な本みりんの熟成期間が40日~60日程度と言われていることを考えると、2年以上という期間がいかに贅沢で、手間のかかるものかお分かりいただけるかと思います。この時間こそが、他の誰にも真似できない、唯一無二の味わいを生み出す秘密なんですね。この無添加みりんの色は、まさに「時間の宝石」と言えるでしょう。
三州三河みりんを使った絶品レシピ
では、この素晴らしい無添加みりんをどう使うのがおすすめか、私の実体験からご紹介しますね。
基本の「照り焼きのタレ」
「三州三河みりん」の真価が最も分かりやすく現れるのが、照り焼きです。このみりんを使うだけで、いつもの鶏肉やブリが、まるでお店の味に大変身します。
【黄金比の照り焼きタレ】
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三州三河みりん:大さじ2
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醤油:大さじ2
作り方はこれだけ。みりんの甘みがしっかりしているので、砂糖は必要ありません。フライパンで鶏肉を皮目からパリッと焼き、火が通ったら余分な油を拭き取ります。そこに、混ぜ合わせたタレをジュワっと回しかけ、少し煮詰めるだけ。あっという間に、表面はツヤツヤの琥珀色に輝き、食欲をそそる香ばしい香りが立ち上ります。みりんのコクと旨味が鶏肉の脂と絡み合い、ご飯が何杯でもいけてしまう危険なおいしさですよ!
プロの味「煮魚」
煮魚に使うと、その消臭効果と煮崩れ防止効果、そして深いコクが見事に発揮されます。特にカレイや金目鯛など、繊細な白身魚におすすめです。
【ふっくらカレイの煮付け】
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鍋に、水100ml、三州三河みりん50ml、醤油50ml、酒50ml、生姜の薄切りを数枚入れて火にかけます。
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煮立ったら、切り込みを入れたカレイを重ならないように入れ、落し蓋をして中火で10分ほど煮ます。
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途中、煮汁をスプーンでカレイに何度かかけてあげると、味が均一に染み込み、ツヤも出ます。
この無添加みりんを使うと、魚の生臭さは全く感じられず、身はふっくらと仕上がるのに煮崩れません。甘すぎず、しょっぱすぎず、魚本来の旨味を最大限に引き立てる、上品で奥深い味わいの煮魚が完成します。家族から「今日のお魚、料亭の味だね!」なんて褒められること間違いなしです。
一度この「三州三河みりん」の濃厚な旨味とコクを体験してしまうと、もう他の調味料には戻れないかもしれません。それほどに、料理に与えるインパクトが大きい、まさに「主役級」の無添加みりんです。
3. 【無添加みりん②】お米の旨味がぎゅっ!岐阜の銘品「福来純 純米本みりん」
次にご紹介するのは、お米のポテンシャルを極限まで引き出した、まさに「飲む美容液」とも呼びたくなるような逸品です。岐阜県加茂郡川辺町にある白扇酒造さんが造る、「福来純 純米本みりん」です。こちらも、本物志向の方にぜひ試していただきたい、素晴らしい無添加みりんなんですよ。
白扇酒造が守る伝統の技
白扇酒造は、江戸時代後期の1868年(慶応4年)に創業した、こちらも非常に歴史のある酒蔵です。もともとは日本酒を専門に造っていましたが、その長年培ってきた醸造技術を活かして、昭和30年代から本みりんの製造を始めました。
彼らのモットーは「昔のままの製法で、良いものを正直に造る」。その言葉通り、効率や生産性を追い求めるのではなく、ひたすらに品質を追求する姿勢を貫いています。特に「福来純 純米本みりん」は、そのこだわりが詰まったフラッグシップ商品と言えるでしょう。
「米と米麹のみ」という潔さ
この無添加みりんの最大の特徴は、その原材料にあります。通常の本みりんが「もち米・米こうじ・焼酎(アルコール)」で造られるのに対し、「福来純 純米本みりん」は、なんと焼酎や醸造アルコールを一切使わずに、「国産の米(もち米・うるち米)と米こうじ」だけで造られているのです。
「え、アルコールを入れなくてみりんになるの?」と不思議に思いますよね。これは「並行複発酵」という、日本酒造りと同じ高度な技術を応用したものです。つまり、米こうじがもち米のデンプンを糖に変える「糖化」と、その糖を酵母がアルコールに変える「アルコール発酵」を、一つのタンクの中で同時に進行させるのです。これにより、人工的にアルコールを添加することなく、お米由来の自然なアルコール分(約14%)と、濃厚な甘み・旨味を両立させています。これは非常に高い技術力を要するため、この製法でみりんを造っている蔵は全国でも数えるほどしかありません。
3年熟成によるふくよかな甘みの秘密
そして、白扇酒造のもう一つの驚くべきこだわりが、その熟成期間です。先ほどご紹介した「三州三河みりん」の2年熟成も相当なものですが、この「福来純 純米本みりん」は、その上をいく、なんと3年間もの時間をかけてじっくりと熟成させます。
アルコールを添加しない分、発酵・熟成が非常にゆっくりと進みます。この長い長い時間の中で、お米の成分は極限まで分解され、アミノ酸や有機酸、そしてブドウ糖などの甘み成分がたっぷりと蓄積されていきます。その結果、口に含んだ瞬間に広がる、ふくよかで、とろりとした、蜜のような凝縮感のある甘みが生まれるのです。
その味わいは、まさに「飲む点…いえ、舐める点滴」とでも言うべきでしょうか。ブドウ糖は脳のエネルギー源ですし、アミノ酸は私たちの体を作る大切な栄養素。疲れた時にスプーンで一杯なめるだけで、じんわりと体に染み渡るような、滋味深いおいしさを感じられます。この無添加みりんは、単なる調味料の域を超えた、発酵食品の完成形の一つと言えるかもしれません。
お菓子作りにも最適な上品さ
この濃厚で上品な甘さは、もちろん和食全般で大活躍しますが、私が特におすすめしたい使い方が「お菓子作り」です。
上品な甘さの「みりんプリン」
砂糖の代わりにこの無添加みりんを使うと、驚くほど上品でコクのあるプリンが作れます。
【材料(プリンカップ3〜4個分)】
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卵:2個
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牛乳:200ml
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福来純 純米本みりん:大さじ4〜5(お好みで調整)
【作り方】
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鍋に牛乳と「福来純 純米本みりん」を入れて火にかけ、沸騰直前まで温めます。みりんのアルコールをしっかり飛ばすのがポイントです。
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ボウルに卵を溶きほぐし、温めた1を少しずつ加えながらよく混ぜ合わせます。
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茶こしなどで一度こしながら、プリンカップに注ぎ分けます。
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天板にお湯を張り、150℃に予熱したオーブンで25分〜30分ほど湯せん焼きします。
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粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして完成!
みりんの風味で卵の臭みが消え、口当たりは非常になめらか。キャラメルソースなしでも、みりん自体が持つ奥深い甘みと香ばしさで、十分満足できるおいしさです。お米由来の優しい甘さは、お子様のおやつにもぴったりですよ。
しっとりふわふわ「パウンドケーキ」
いつものパウンドケーキのレシピの、砂糖の分量の3分の1から半分ほどをこのみりんに置き換えてみてください。みりんの保水効果で生地がパサつかず、驚くほどしっとりとした仕上がりになります。また、メイラード反応によって焼き色も美しく、香ばしい風味がプラスされます。バターや卵との相性も抜群で、ワンランク上の焼き菓子が手軽に作れます。
「福来純 純米本みりん」は、お米の力を信じ、時間と手間を惜しまずに造られた、まさに職人魂の結晶です。その濃厚な甘みと旨味は、あなたの料理やお菓子作りを、より豊かで、より優しい味わいへと導いてくれるはずです。少し贅沢なこの無添加みりん、ぜひ一度その実力を確かめてみてください。
4. 【おすすめ無添加みりん③】1本で味が決まる万能選手!「味の母」という選択肢
「無添加みりんには興味があるけど、本みりんと料理酒、両方をキッチンに置くのは場所を取るし、使い分けるのも少し面倒…」そんな風に感じているあなたに、ぜひ知っていただきたいのが、まさに救世主のような存在!味の一醸造さんが造る「味の母」です。これは厳密には「本みりん」とは少し違うのですが、無添加で、かつ非常に便利な発酵調味料なんですよ。
みりんと料理酒のいいとこ取り!
「味の母」の最大の魅力は、その名の通り「みりん」と「料理酒」の二つの役割を、これ1本でこなしてくれる点にあります。まさにキッチンの名サポーター!なぜそんなことが可能なのでしょうか。その秘密は、独自の原材料と製法に隠されています。
「塩」を加えるユニークな製法
「味の母」の主な原材料は、「米」「米こうじ」、そして「食塩」です。まず、日本酒を造る時と同じように、米と米こうじを主原料に「もろみ」を造り、発酵させます。ここまでは、先ほどご紹介した「福来純 純米本みりん」の製法と似ていますね。
しかし、「味の母」がユニークなのは、この発酵・熟成させたもろみに「食塩」を加えて、さらに熟成させるという点です。塩を加えることで、これは飲用のお酒ではないですよ、という「不可飲処置」がなされ、酒税法の対象外となります。そのため、酒類販売免許のないお店でも広く販売されており、私たち消費者も手に入れやすいというメリットがあります。
このプロセスによって、「味の母」は、みりんが持つ「自然な甘み・旨み・コク・照り」といった特長と、料理酒が持つ「肉や魚の臭みを消す・素材を柔らかくする・味の浸透を良くする」といった特長を、バランス良く併せ持つことになるのです。
「味の母」独自の製造プロセス
味の一醸造は、1925年(大正14年)に日本酒の蔵元として創業しました。その長年の醸造技術を活かし、「家庭で手軽に、しかも本格的な味が出せる調味料を」という想いから、この「味の母」は開発されました。
長期熟成による深い味わい
安価なみりん風調味料や料理酒タイプの発酵調味料とは一線を画し、「味の母」は発酵・熟成にしっかりと時間をかけています。もろみを搾った後、さらに熟成させることで、味をまろやかにし、色合いと香りを深めていきます。これにより、ただ塩辛いだけでなく、米由来の豊かなアミノ酸や有機酸が溶け込んだ、複雑で奥行きのある味わいが生まれるのです。アルコール分は約10%と本みりんよりは少し低めですが、調理効果を発揮するには十分な量を含んでいます。
忙しい日の時短を叶える使い方
調味料を何本も使い分ける必要がない「味の母」は、特に忙しい平日の料理で大活躍してくれます。これ1本で味がバシッと決まりやすいのが、何より嬉しいポイントです。
これだけで味が決まる「きんぴらごぼう」
「味の母」と醤油さえあれば、他には何もいらないのでは?と思うほど、簡単に美味しいきんぴらごぼうが作れます。
【簡単きんぴらごぼう】
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ごま油を熱したフライパンで、千切りにしたごぼうと人参を炒めます。
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野菜がしんなりしてきたら、「味の母」を大さじ2、醤油を大さじ1.5加えて、汁気がなくなるまで炒りつけます。
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仕上げに白ごまを振ったら完成!
「味の母」に含まれる塩分(製品100mlあたり食塩相当量2g程度)があるので、醤油はいつもより少し控えめにするのがコツです。みりんの甘みと料理酒の風味、そして程よい塩気が一体となっているので、あれこれ加えなくても、深みのある本格的な味わいに仕上がります。ごぼうのアクも和らぎ、シャキシャキとした食感も楽しめますよ。
煮崩れ知らずの「肉じゃが」
「味の母」は、煮物の味付けでもその真価を発揮します。
【味の母でつくる絶品肉じゃが】
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鍋で牛肉と玉ねぎを炒め、色が変わったらじゃがいもと人参を加えます。
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全体に油が回ったら、ひたひたの水を加え、沸騰したらアクを取ります。
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「味の母」を大さじ4、醤油を大さじ3加えて落し蓋をし、野菜が柔らかくなるまで煮ます。
「味の母」のアルコール分がじゃがいもの煮崩れを防ぎ、きれいな形を保ってくれます。また、甘みと塩気がバランス良く含まれているため、味の調整が非常に楽です。素材の味をしっかりと引き出しながら、ホッとするような優しい味わいの肉じゃがが、誰でも失敗なく作れます。
「味の母」は、伝統的な製法にこだわりながらも、現代のライフスタイルに寄り添ってくれる、非常に賢い無添加調味料です。調味料をシンプルにしたい方、毎日の料理を手軽に美味しくしたい方にとって、これほど頼りになる味方はいないかもしれませんね。
5. 【おすすめ無添加みりん④】素材の味を引き立てる上品な甘さ「甘強本みりん」
ここまで、濃厚でコク深いタイプのみりんや、便利な万能調味料をご紹介してきましたが、「もっとスッキリとした、素材の味を主役にしてくれるようなみりんはないの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたにぴったりなのが、今回最後にご紹介する、愛知県の甘強酒造さんが造る「甘強本みりん」です。これもまた、素晴らしい無添加みりんなんですよ。
甘強酒造の贅沢な原料へのこだわり
甘強酒造(かんきょうしゅぞう)は、江戸時代後期の1862年(文久2年)創業という、160年以上の歴史を誇る老舗中の老舗です。その名の由来は「甘みが強く、日本一うまくなるように」という願いが込められているそう。なんとも頼もしい名前ですよね。
この蔵の最大の特徴は、なんといっても原料である「もち米」への並々ならぬこだわりにあります。
600mlに1kgのもち米という贅沢
一般的な本みりんでは、もち米1升(約1.4kg)から、みりん1升(1.8L)を造るのが標準的です。しかし、この「甘強本みりん」は、なんと600mlの瓶1本あたりに、国内産のもち米を1kgも使用しているのです。単純計算すると、同じ量のみりんを造るのに、実に2倍以上のもち米を贅沢に使っていることになります。
この豊富なもち米を、自社で培養した活きの良いこうじ菌と、自社製造の粕取り焼酎(酒粕を蒸留して造る、香り高い焼酎)を使って仕込みます。そして、昔ながらの製法を守り、じっくりと時間をかけて醸造していくのです。もちろん、醸造用糖類や食品添加物は一切使用しない、純粋な無添加みりん。この惜しみない原料の使用が、「甘強本みりん」の上品な味わいの土台となっています。
キレのある甘さを生み出す伝統製法
「甘みが強い」という名前から、とても濃厚で甘ったるい味を想像するかもしれませんが、実際に味わってみると、そのイメージは良い意味で裏切られます。「甘強本みりん」の味わいは、濃厚でどっしりとしたタイプというよりは、むしろ「スッキリとしてキレがあり、後味がべたつかない上品な甘さ」が特徴です。
これは、贅沢に使ったもち米の旨味や甘みを、キレの良い粕取り焼酎が下支えし、全体のバランスを絶妙に整えているからだと考えられます。甘いことは甘いのですが、その甘さがしつこくなく、スッと消えていく。だからこそ、他の食材の風味をマスキングすることなく、むしろその持ち味をそっと引き立てるような働きをしてくれるのです。
濃厚なコクや強い照りを前面に出す「主役級」のみりんとは一線を画す、まさに料理の名脇役。主役である素材の魅力を最大限に輝かせる、そんな奥ゆかしさを持った無添加みりんだと言えるでしょう。
繊細な和食と最高の相性
この「甘強本みりん」の上品な甘さとキレの良さは、特に繊細な味付けが求められる和食で、その真価を発揮します。
ふわふわジューシー「だし巻き卵」
だし巻き卵は、お店によって甘かったり、だしが効いていたりと様々ですが、「甘強本みりん」を使うと、料亭で出てくるような上品な味わいに仕上がります。
【上品なだし巻き卵】
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卵:3個
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だし汁:50ml
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甘強本みりん:小さじ2
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薄口醤油:小さじ1
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塩:ひとつまみ
これらの材料をよく混ぜ合わせ、あとはいつも通りに焼くだけです。みりんの甘みが卵の甘みを自然に引き立て、だしの風味を邪魔しません。焼き上がりはふっくらと、そして驚くほどジューシー。冷めても美味しく、お弁当のおかずにも最適です。この無添加みりんを使うだけで、いつものだし巻き卵が、ちょっとしたごちそうに感じられますよ。
味が染みる「おひたし・和え物」
ほうれん草のおひたしや、きのこと水菜の和え物など、ちょっとした副菜の味付けにも大活躍します。
【基本の和え衣】
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だし汁:大さじ2
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甘強本みりん:大さじ1
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薄口醤油:大さじ1
これを混ぜ合わせたものに、茹でた野菜を和えるだけ。みりんのアルコール分が野菜の青臭さを抑え、上品な甘みと旨みが素材にスッと染み渡ります。「甘強本みりん」のキレの良さが、野菜本来の味や食感を活かし、さっぱりとしながらも味わい深い一品にしてくれます。
お吸い物や茶碗蒸しなど、だしの風味が命とも言える料理に、ほんの少し加えるだけで、全体の味にまとまりと深みが生まれます。料理の味をグッと下支えしてくれる、縁の下の力持ち。そんな頼れる無添加みりんが、この「甘強本みりん」なのです。
6. 【徹底比較】無添加みりん4選!私のおすすめ
さて、ここまで個性豊かな4つの素晴らしい無添加みりんをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。「どれも魅力的で、結局どれを選んだらいいのか迷ってしまう…!」そんな声が聞こえてきそうです。ご安心ください!ここでは、私が実際に全部使ってみて感じたことを、忖度なしの正直なレビューと、分かりやすい比較表で徹底解説します!
一目でわかる!無添加みりん比較表
まずは、今回ご紹介した4つの無添加みりんの特徴を一覧表にまとめてみました。あなたの料理スタイルや好みに合わせて、ぴったりの一本を見つける参考にしてくださいね。
商品名 | 甘みの強さ | コクの深さ | おすすめの料理 | こんな人におすすめ! |
三州三河みりん | ★★★★☆ | ★★★★★ | 照り焼き、煮魚、すき焼き、豚の角煮 | とにかく味にこだわりたい!プロの味を目指す本格派の人。料理の主役になるほどの存在感を求める人。 |
福来純 純米本みりん | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 煮物全般、お菓子作り、鶏そぼろ、みりん粕漬け | 濃厚で自然な甘みが好きな人。調味料を「食べる」感覚で楽しみたい人。お菓子作りが好きな人。 |
味の母 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | 煮物全般、炒め物、きんぴらごぼう、肉じゃが | 調味料をシンプルにしたい!時短・手軽さを重視する人。みりんと料理酒を1本で済ませたい合理的な人。 |
甘強本みりん | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | だし巻き卵、お吸い物、和え物、茶碗蒸し | 素材本来の味を活かしたい!上品で繊細な仕上がりが好きな人。和食中心で、だしの風味を大切にする人。 |
この表を見ると、同じ「無添加みりん」というカテゴリーでも、それぞれに得意なことや個性が全く違うことがお分かりいただけるかと思います。甘みとコクがガツンとくるパワフルなタイプから、素材にそっと寄り添う繊細なタイプまで、本当に様々。これこそが、伝統的な製法で作られた調味料の面白さですよね。
私のイチオシは「三州三河みりん」
ちなみに、私が最近の料理で最も出番が多く、すっかり虜になってしまっているのが、最初にご紹介した「三州三河みりん」です。先日、この無添加みりんの実力を試したくて、少し気合を入れて豚の角煮を作ってみたんです。
いつもなら下茹でした豚バラ肉を、砂糖、醤油、酒、みりんでコトコト煮込むのですが、今回は砂糖を一切使わず、「三州三河みりん」と醤油、そして少量の酒だけで味付けをしてみました。1時間半ほど煮込んだでしょうか。蓋を開けた瞬間に立ち上る、甘く香ばしい香りがまず、いつもと全く違いました。キャラメルと醤油が合わさったような、食欲を最高に刺激する香りです。
そして、お皿に盛り付けてみてびっくり!お肉は箸でスッと切れるほどトロトロなのに、全く煮崩れていないんです。表面は、まるで職人さんが刷毛で何度もタレを塗ったかのような、深く、輝くような照りでコーティングされていました。一口食べてみると、濃厚な旨味とコクが口いっぱいに広がって…。家族からも「今日のは何が違うの!?お店みたい!」と大絶賛の嵐。改めて、本物の調味料が持つ力の大きさを実感した瞬間でした。この感動を、ぜひあなたにも味わっていただきたいです!
あなたの料理に合う無添加みりんの選び方
最後に、あなたが「運命の無添加みりん」に出会うための、選び方のポイントをまとめておきますね。
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「とにかく料理のレベルを上げたい!本格的な味を目指したい!」というあなたには…
迷わず「三州三河みりん」をおすすめします。その濃厚なコクと旨味、美しい照りは、あなたの料理を間違いなく別次元へと引き上げてくれます。特に、味の濃い煮物や照り焼きで、その真価を最大限に発揮します。 -
「お米由来の自然で優しい甘みが好き!お菓子作りにも使いたい!」というあなたには…
「福来純 純米本みりん」がぴったりです。その凝縮されたお米の甘みは、煮物をまろやかに仕上げるだけでなく、プリンやパウンドケーキなどのお菓子を、驚くほど上品な味わいにしてくれます。 -
「毎日の料理は、手軽でおいしいのが一番!キッチンはシンプルにしたい!」というあなたには…
「味の母」が最高のパートナーになるでしょう。みりんと料理酒の役割を1本でこなし、味が決まりやすいので、忙しい日の調理時間をぐっと短縮してくれます。まさに、現代のライフスタイルに寄り添う賢い選択です。 -
「素材の味を大切にしたい!繊細な和食を極めたい!」というあなたには…
「甘強本みりん」を選んでみてください。そのスッキリとキレのある上品な甘さは、だしや食材本来の風味を邪魔することなく、料理全体の完成度を静かに高めてくれます。名脇役として、あなたの和食を支えてくれるはずです。
いかがでしたでしょうか。たかが「みりん」、されど「みりん」。一本の無添加みりんを選ぶことで、あなたの食生活は、もっと豊かで、もっと美味しく、もっと楽しいものに変わる可能性を秘めています。ぜひこの比較とレビューを参考に、あなたの料理を格上げしてくれる「運命の無添加みりん」を見つけて、新しい美味しさの世界への扉を開いてみてくださいね!

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。