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無添加パンの人気店4選!一度は食べたい絶品パンの秘密とは!?

2025.05.31
無添加パンの人気店4選!一度は食べたい絶品パンの秘密とは!?

毎日食べるパンだからこそ、「本当に安心して美味しいものを子どもにも食べさせたい」と思いますよね。しかし、「無添加」と一口に言っても種類が多く、近所では見つからなかったり、どれを選べばいいか分からなかったりするものです。

この記事では、そんなあなたの悩みを解決!パン好きが本気でおすすめする無添加パンの名店を厳選しました。耳より情報も満載なので、あなたにとって最高のパンがきっと見つかります。

1. 毎日のパン、何で選ぶ?「無添加パン」という美味しい選択肢

そもそも「無添加パン」ってどんなパン?

こんにちは!パンをこよなく愛するあなたに、今日はとっておきのお話をさせてください。毎日の食卓に欠かせない「パン」。そのパンを選ぶとき、あなたは何を基準にしていますか?価格、食感、それともお店の雰囲気でしょうか。どれも大切な要素ですが、今回私が強くおすすめしたいのは、「無添加パン」という選択肢です。

では、そもそも「無添加パン」とは一体どのようなパンを指すのでしょうか。実は、「無添加」という言葉には法律で定められた明確な定義はありません。一般的には、食品添加物を使っていない食品を指す言葉として使われています。私たちが普段スーパーマーケットなどで手にする多くのパンには、パンを柔らかく保つための乳化剤、風味を良くするためのイーストフード、保存性を高めるための保存料などが使われていることがあります。もちろん、これらは国が定めた安全基準をクリアしたものですが、毎日食べるものだからこそ、できるだけシンプルな原材料で作られたパンを選びたい、と考える方も増えています。

無添加パンは、基本的に小麦粉、酵母、塩、水といった、パン作りの基本となる最小限の材料で作られています。お店によっては、風味を豊かにするためにフルーツやナッツ、油脂などを加えることもありますが、いわゆる化学的に合成された添加物は使用しないのが大きな特徴です。この「引き算の製法」こそが、無添加パンの最大の魅力であり、美味しさの秘密でもあるのです。まさに、素材そのものの力が試されるパン、それが無添加パンなんですね。

無添加パンがもたらす体への優しさ

無添加パンを選ぶことのメリットは、何と言ってもその「体への優しさ」にあります。私たちは毎日、様々な食品を通して多くのものを体内に取り入れています。その一つ一つはごく微量でも、長い目で見ると体に影響を与える可能性もゼロではありません。特に、小さなお子様がいるご家庭や、ご自身の健康に気を遣っている方にとって、無添加パンは非常に安心できる選択肢と言えるでしょう。

例えば、パンに含まれることが多い「トランス脂肪酸」。マーガリンやショートニングなどに含まれる成分で、過剰摂取は健康への影響が懸念されています。東京大学大学院医学系研究科の研究でも、トランス脂肪酸の摂取量が多いと心血管疾患のリスクが高まる可能性が示唆されています。無添加パン、特に昔ながらの製法で作られたパンの多くは、こうしたマーガリンやショートニングの代わりに、バターや良質な植物油を使用しているか、あるいは全く油脂を使っていないものも少なくありません。

また、アレルギーをお持ちの方にとっても、無添加パンは嬉しい存在です。卵や乳製品を使わずに作られた無添加パンも多く、原材料表示が非常にシンプルなため、アレルゲンを避けたい方でも安心してパンを選ぶことができます。何が入っているか分からない、という不安がなく、作り手の顔が見えるような安心感。これも、無添加パンが多くの人に選ばれる大きな理由の一つなのです。

美味しさの秘密は「引き算の美学」

「でも、無添加パンって素朴すぎて物足りない味なのでは?」なんて思っていませんか?それは大きな誤解です!実は、無添加パンこそ、パン本来の「本当の美味しさ」を味わうことができる、究極に贅沢なパンなのです。

添加物を使わないということは、ごまかしが一切効かないということ。パン職人は、小麦粉の種類や状態、その日の気温や湿度、酵母の機嫌を敏感に感じ取り、最高のパンを焼き上げるために全ての技術と愛情を注ぎ込みます。主役はあくまで「小麦」。その小麦が持つ本来の甘み、香り、そして力強い風味を最大限に引き出すこと、それが無添加パン作りの真髄です。

発酵の過程も、無添加パンの味わいを左右する重要な要素。天然酵母や自家製酵母を使い、じっくりと時間をかけて低温で発酵させる製法(低温長時間発酵)は、酵母の活動がゆっくりと進むことで、アミノ酸などの旨み成分が豊富に生成されます。これにより、なんとも複雑で奥深い、滋味豊かな風味が生まれるのです。噛みしめるたびに、じゅわっと広がる小麦の甘み。それは、余計なものを加えない「引き算の美学」によってのみ到達できる、格別の味わいと言えるでしょう。これからご紹介するパンを食べれば、きっとあなたも無添加パンの虜になるはずです!

2. 【わざわざ/長野】究極の無添加パン「わざわざの食パン」

「パンと日用品の店 わざわざ」の哲学

まず最初にご紹介するのは、パン好きなら一度は訪れたいと願う名店、長野県東御市に本店を構える「パンと日用品の店 わざわざ」です。標高700メートルの山の上にひっそりと佇むこのお店は、ただのパン屋ではありません。「すべては誰かのためになる」という経営理念のもと、パンだけでなく、長く使える日用品や衣類などをセレクトし、丁寧な暮らしを提案しています。

代表の平田はる香さんがこのお店を始めたのは2009年のこと。最初はたった一人で、山の上の一軒家でパンを焼き始めたそうです。彼女が目指したのは、毎日食べても飽きない、健康的で、心から美味しいと思える無添加のパン。その想いは多くの人の共感を呼び、今では全国にファンを持つ人気店へと成長しました。しかし、その規模が大きくなっても、わざわざの根底にある「正直で、誠実なものづくり」の姿勢は一切変わりません。

わざわざが大切にしているのは、持続可能性。環境に負荷をかけすぎず、作り手も、買い手も、そして地域社会も幸せになれるような商いを追求しています。そんな彼らの哲学が最も色濃く反映されているのが、これからご紹介する看板商品の無添加パン、「わざわざの食パン」なのです。このパンを知ることは、わざわざの哲学そのものに触れることだと言っても過言ではありません。

薪窯が命を吹き込む「わざわざの食パン」

さあ、お待たせしました!「わざわざの食パン」の魅力に、マニアックに迫っていきましょう。この無添加パンの最大の特徴は、何と言っても「薪窯(まきがま)」で焼き上げているという点です。現代のパン作りの主流は、温度管理が容易な電気オーブンやガスオーブンですが、わざわざでは敢えて、手間も時間もかかる薪窯を使い続けています。

なぜ、薪窯なのでしょうか。それは、薪窯でしか実現できない圧倒的な美味しさがあるからです。薪を燃やすことで生まれる遠赤外線は、パン生地の表面だけでなく、内部まで均一に、そして力強く熱を伝えます。この効果により、外側のクラスト(皮)はバリッ!と小気味よい食感に焼き上がり、驚くほど香ばしい香りを放ちます。一方で、内側のクラム(中身)は、必要以上に水分が奪われることなく、驚くほどしっとり、もっちりとした食感を保ちます。このコントラストが、薪窯焼きならではの大きな魅力なのです。

そして、その原材料は驚くほどシンプル。使われているのは、国産の強力粉「ゆめちから」と、長野県産小麦の全粒粉、そして自家製のレーズン酵母、沖縄の塩「シママース」、そして水だけ。卵も乳製品も、もちろん砂糖や油脂も一切使っていません。これ以上ないほどに削ぎ落とされた材料だからこそ、薪窯が引き出す小麦粉本来の力強い風味、そして全粒粉の滋味深い味わいがダイレクトに感じられます。これは、まさに究極の無添加パンと呼ぶにふさわしい逸品です。

「わざわざの食パン」を最高に楽しむ方法

この特別な無添加パン、「わざわざの食パン」を、どうすれば最高に美味しく楽しめるのでしょうか。私が本気でおすすめする食べ方をご紹介しますね。

まず、届いたら(お取り寄せも可能です!)、何よりも先に、スライスせずにそのままの状態で少しだけちぎって食べてみてください。室温のままで大丈夫です。口に入れた瞬間、まず感じるのは、バリっとしたクラストの力強さ。そして、噛みしめると、もっちりとしたクラムから小麦の優しい甘みと、全粒粉の穀物らしい香りがふわりと広がります。派手さはありませんが、体の細胞ひとつひとつに染み渡るような、滋味深い味わいです。これこそが、この無添加パンの真骨頂。

次におすすめしたいのが、何と言っても「厚切りトースト」です。できれば2.5cmから3cmくらいの、贅沢な厚さにスライスしてください。そして、オーブントースターで表面がこんがりとキツネ色になるまで焼き上げます。するとどうでしょう。薪窯ならではの燻したような香りが、トーストすることで一気に立ち上り、キッチンが幸せな香りで満たされるはずです。外はカリッと、中は熱気でさらにふっくら、もっちり。この食感のグラデーションは、一度体験すると忘れられません。バターを少しだけ乗せるのも良いですが、まずは何もつけずに、薪の香りと小麦の味を存分に味わってみてください。この無添加パンがあれば、いつもの朝食が、忘れられない特別な時間になりますよ。

3. 【シニフィアン・シニフィエ/東京】高加水・低温長時間発酵の無添加パン「カンパーニュ」

革命児・志賀勝栄シェフの世界

次にご紹介する無添加パンは、東京・世田谷区にある「Signifiant Signifié(シニフィアン・シニフィエ)」のパンです。このお店を率いるのは、日本のパン業界に衝撃を与え、数々のパン職人たちに影響を与え続けている、まさに“レジェンド”とも言うべき存在、志賀勝栄シェフです。

志賀シェフのパン作りは、一言で言えば「科学」です。長年の経験や勘だけに頼るのではなく、酵母の働きや発酵のメカニズムを科学的に深く理解し、それを基に独自の製法を編み出してきました。その代表的なものが、これから詳しくご説明する「高加水(こうかすい)」と「低温長時間発酵」という技術です。この技術の登場は、それまでの日本のパンの常識を根底から覆す、まさに革命的な出来事でした。

シニフィアン・シニフィエのパンは、決して安価ではありません。しかし、そのパンを一口食べれば、その価格に納得せざるを得ないほどの感動と発見があります。それは単なる食べ物としてのパンではなく、シェフの哲学、探究心、そして技術の粋が結晶した「作品」と呼ぶべきもの。そんな志賀シェフの世界観が凝縮された、おすすめの無添加パンが「カンパーニュ」なのです。このパンとの出会いは、あなたの「パン」という概念を、きっと変えてくれるはずです。

芸術品のような無添加「カンパーニュ」

シニフィアン・シニフィエの代名詞とも言えるのが「カンパーニュ」。フランス語で「田舎パン」を意味する、素朴な大型のパンです。しかし、志賀シェフの手にかかると、そのカンパーニュは唯一無二の芸術品へと昇華します。その秘密は、先ほども触れた「高加水・低温長時間発酵」製法にあります。

「高加水」とは、その名の通り、生地に含まれる水分量が非常に多いことを指します。一般的なパンの加水率(粉に対する水の割合)が60~70%なのに対し、シニフィアン・シニフィエのパンの中には、なんと100%を超えるものまであります。水分が多い生地は、ベタベタとして非常に扱いにくく、高度な技術がなければ成形すらままなりません。しかし、この豊富な水分こそが、焼き上がった時にみずみずしく、口どけの良い独特の食感を生み出すのです。

そして「低温長時間発酵」。10℃前後の低い温度で、18時間以上もの時間をかけてゆっくりと生地を発酵させます。この製法は、イースト菌の爆発的な活動を抑えながら、乳酸菌などの他の微生物が活発に働く時間を確保することができます。その結果、小麦粉が持つデンプンやタンパク質がゆっくりと分解され、旨み成分であるアミノ酸や、豊かな香りを生み出す有機酸がたっぷりと生成されるのです。この複雑で奥深い風味は、短い時間の発酵では決して得ることができません。手間と時間を惜しまず、素材のポテンシャルを極限まで引き出す。これぞ、シニフィアン・シニフィエが作る無添加パンの真髄です。

ワインと共に味わう大人の愉しみ

この特別な無添加パン「カンパーニュ」は、どのように味わうのがベストなのでしょうか。もちろん、そのまま食べても、そのみずみずしさと小麦の深い味わいに感動すること間違いなしです。軽くトーストすれば、表面はカリッと、中はもちっとした食感が際立ち、ライ麦のほのかな酸味と香りがより一層引き立ちます。

しかし、私が心からおすすめしたいのは、「ワインと共に味わう」という、少し大人な楽しみ方です。このカンパーニュの持つ複雑な風味と、ライ麦由来の穏やかな酸味は、驚くほどワインと相性が良いのです。特に、果実味豊かな赤ワインや、コクのある白ワインと合わせると、お互いの風味を高め合い、口の中はまさに至福の状態。パンが持つ旨みとワインの持つタンニンや酸味が絶妙に絡み合い、次の一口、次の一杯へと誘います。

ぜひ、少し良いチーズ…例えば、コンテやミモレットのようなハードタイプのチーズや、ロックフォールのような青カビチーズを用意してみてください。パンにチーズを乗せ、ワインを一口。もう、それだけで立派な一皿の料理が完成します。生ハムやサラミといったシャルキュトリ(食肉加工品)との相性も筆舌に尽くしがたいものがあります。シニフィアン・シニフィエの無添加カンパーニュは、日常の食事を格上げしてくれるだけでなく、特別な日のディナーの主役にもなれる、圧倒的な存在感を放つパンなのです。

4. 【タルマーリー/鳥取】野生酵母でつくる優しい無添加パン

菌を育て、地域を醸すパン屋

次にご紹介するのは、これまた非常に個性的で、マニアックな哲学を持つパン屋さんです。鳥取県の智頭町(ちづちょう)という、緑豊かな山間の町にそのお店はあります。その名も「タルマーリー」。このお店のパン作りを一言で表すなら、「菌を育てるパン屋」。そう、主役はパン職人ではなく、目に見えない「菌」たちなのです。

タルマーリーの渡邉格(いたる)さんと麻里子さんご夫妻は、パン作りに欠かせない酵母や麹菌を、なんとお店の周りの空気中や、地域の植物、収穫したお米などから採取した「野生の菌」だけでまかなっています。一般的なパン作りでは、培養・管理された安定的な「純粋培養酵母」を使うのが普通ですが、タルマーリーではその土地、その場所にいる菌たちと共にパンを作る、という非常にユニークなアプローチを採っているのです。

彼らの哲学は「腐敗と発酵は紙一重」という考えに基づいています。自然界の多様な菌と共存し、その力を借りて美味しいパンやビール(なんと、自家製クラフトビールも醸造しています!)を生み出す。それは、智頭町の美しい自然環境そのものを、パンという形に変えていく作業とも言えます。子供に安心して食べさせられる、本当に安全で美味しい無添加パンを作りたい、という想いから始まったこの挑戦は、今や全国の食や健康に関心のある人々から、絶大な信頼を寄せられています。

「やさしいパン・ド・ミ」の秘密

そんなタルマーリーの哲学が優しく、そして美味しく結晶したパンが、おすすめの「やさしいパン・ド・ミ」です。この「パン・ド・ミ」とは、フランス語で「中身のパン」を意味し、日本の食パンの原型とも言われています。この無添加パンの驚くべき点は、その発酵の仕組みにあります。

なんとこのパン、自家製のクラフトビールを醸造する過程で生まれる「野生のビール酵母」と、自家製の「米麹」という、2種類の菌の力を借りて発酵させているのです。ビール酵母が力強く生地を膨らませ、米麹がゆっくりと生地を糖化させることで、砂糖を一切使っていないにも関わらず、驚くほど自然で、お米を噛みしめた時のような優しい甘みが生まれます。これは、麹菌が作り出す酵素「アミラーゼ」が、小麦粉のデンプンを糖分に変える働きによるものです。

さらに驚くべきことに、この無添加パンには、砂糖だけでなく、卵やバター、牛乳といった乳製品も一切使用されていません。原材料は、国産の小麦粉、自家製の野生酵母と米麹、そして塩と水だけ。アレルギーが気になるお子様にも、心から安心して食べさせることができる、まさに「やさしい」という名にふさわしいパンなのです。菌の力を信じ、自然のサイクルに寄り添うことでしか生み出せない、唯一無二の味わいがこのパンには詰まっています。

子供にも安心な毎日の無添加パン

この「やさしいパン・ド・ミ」は、その名の通り、毎日食べたい、飽きのこない優しい味わいが魅力です。まずは、ぜひ焼かずにそのまま、生の状態で召し上がってみてください。ふんわり、もっちりとした食感の中に、先ほどお話しした米麹由来の、ほんのりとした甘みを感じることができるはずです。これは、砂糖の直接的な甘さとは全く違う、奥深く、体にスッと馴染むような心地よい甘さです。

もちろん、トーストするのも最高です。表面はサクッと軽く、中はより一層もっちりとした食感に。バターやジャムを塗るのも美味しいですが、まずは何もつけずに、この無添加パンそのものが持つ風味をじっくりと味わってみてください。噛めば噛むほど、小麦とお米の優しい甘みが口いっぱいに広がります。

このパンが素晴らしいのは、美味しいだけでなく、心の底から「安心」できる点です。野生の菌という、ともすれば不安定な要素を、長年の研究と観察によって見事にコントロールし、安定的に美味しいパンを焼き上げるタルマーリーの技術には、ただただ脱帽するばかりです。添加物を避けたい方はもちろん、小さなお子様の「パン・デビュー」にも、これ以上ないほど最適な無添加パンと言えるでしょう。自然の恵みそのものをいただくような、そんな豊かな気持ちにさせてくれるパンです。

5. 【ベッカライ・ブロートハイム/東京】ドイツ伝統の無添加パン「フルヒテブロート」

ドイツパンの巨匠・明石克彦シェフ

さて、これまでご紹介してきた無添加パンとはまた少し趣の異なる、伝統と格式を感じさせるパンをご紹介して、この美食の旅を締めくくりたいと思います。舞台は再び東京へ。東急田園都市線の桜新町駅からほど近い場所にある「ベッカライ・ブロートハイム」です。このお店は、ドイツパンを愛する人々にとっては、まさに聖地のような場所。

お店を率いるのは、ドイツで修行を積み、ドイツ連邦共和国大使館の御用達でもあったという輝かしい経歴を持つ、明石克彦シェフです。彼は、日本のパン業界におけるドイツパンの第一人者であり、その確かな技術とパン作りへの真摯な姿勢は、多くのパン職人から尊敬を集めています。ブロートハイムの店内には、ライ麦を使った様々な種類のパンや、ドイツの伝統的な菓子パン、サンドイッチなどがずらりと並び、まるでドイツの街角にあるパン屋さんに迷い込んだかのような錯覚に陥ります。

明石シェフが貫くのは、ドイツの伝統的な製法に忠実であること。流行を追うのではなく、何百年も受け継がれてきた本物の味を守り、日本で再現することに情熱を注いでいます。もちろん、そのパン作りの根底にあるのは、余計なものを加えないという無添加の思想。そんな巨匠が作る、数ある素晴らしいパンの中から、今回はあえて、少しマニアックで、最高にご褒美感のある無添加パン「フルヒテブロート」を熱烈にご紹介させてください。

宝石箱のような「フルヒテブロート」

「フルヒテブロート(Früchtebrot)」とは、ドイツ語で「フルーツのパン」という意味。その名の通り、生地が見えないほど、ぎっしりとフルーツやナッツが詰まった、非常に贅沢なパンです。ブロートハイムのフルヒテブロートは、ライ麦を配合した生地に、洋酒にじっくりと漬け込まれた大粒のイチジクやレーズン、爽やかな香りのオレンジピール、そして香ばしいクルミなどが、これでもかというほどたっぷりと練り込まれています。

スライスすると現れるその断面は、まさに“フルーツの宝石箱”。どこを切っても、必ずゴロゴロとした具材が顔を出し、その美しさに思わずため息が漏れてしまうほどです。このパンの素晴らしいところは、これだけたくさんのフルーツが入っているにも関わらず、決して甘すぎないこと。甘みは、フルーツが本来持っている自然な甘さが主体。そこに、ライ麦生地が持つ、ほのかな酸味と滋味深い風味が加わることで、全体の味がキリッと引き締まり、非常にバランスの取れた大人の味わいに仕上がっているのです。

生地のつなぎの役割を果たす部分が極端に少ないため、パンというよりも、もはやフルーツを固めたテリーヌのようでもあります。一つ一つの素材が持つ味や香りが、口の中で見事なハーモニーを奏でます。イチジクのプチプチとした食感、レーズンの凝縮された甘み、オレンジピールの爽やかな香り、そしてクルミの香ばしさと歯ごたえ。それらすべてを、ライ麦の風味がどっしりと受け止めています。これぞ、ドイツの伝統が育んだ、質実剛健でありながら、この上なく贅沢な無添加パンなのです。

ご褒美にしたい大人の無添加パン

この「フルヒテブロート」は、毎日の朝食にガブリと食べるパン、というよりは、少しずつ、大切に味わいたい、特別なパンです。おすすめの食べ方は、5mmから1cmくらいの薄切りにスライスすること。薄く切ることで、それぞれのフルーツやナッツの風味がより繊細に感じられます。

そのままでも十分に美味しいですが、ぜひ試していただきたいのが、クリームチーズとのペアリングです。フルヒテブロートの甘酸っぱさと、クリームチーズのミルキーなコクと塩気が驚くほどよく合います。まるで、お洒落なレストランの前菜のような一品に早変わり。赤ワイン、特に少し重めのものと合わせれば、最高の夜のお供になります。また、無糖の紅茶やコーヒーと一緒に、午後のティータイムに少しだけいただく、というのも非常に優雅な楽しみ方です。

日持ちがするのも、このパンの嬉しい特徴の一つ。時間が経つにつれて、洋酒に漬かったフルーツの風味とライ麦生地が馴染み、より一層味わいが深まっていきます。毎日少しずつスライスして、その味の変化を楽しんでいくのも乙なものです。仕事や家事を頑張った自分へのご褒美に、大切な人へのちょっとした手土産に。ブロートハイムの「フルヒテブロート」は、あなたの日常に、豊かで、きらきらとした彩りを添えてくれる、魔法のような無添加パンなのです。

6. まとめ:無添加パンで毎日をちょっと豊かにしませんか?

個性豊かな4つの無添加パンを振り返る

いやはや、いかがでしたでしょうか。今回は、私が本気で惚れ込み、あなたにどうしてもお伝えしたかった、個性に溢れる4つの絶品「無添加パン」を、かなりマニアックにご紹介させていただきました。それぞれのお店にそれぞれの哲学があり、パンの表情も全く違うのが面白いですよね。

  • わざわざ(長野)の食パン:薪窯が引き出す、小麦の力強い生命力を感じる無添加パン。究極のシンプルさが、逆に素材の偉大さを教えてくれました。

  • シニフィアン・シニフィエ(東京)のカンパーニュ:高加水・低温長時間発酵という科学的アプローチが生んだ、みずみずしく、パンの概念を変えるほどの無添加パン。

  • タルマーリー(鳥取)のやさしいパン・ド・ミ:野生の菌と共に作り上げる、自然そのものの優しい甘みが体に染み渡る無添加パン。安心という名の、最高の贅沢です。

  • ベッカライ・ブロートハイム(東京)のフルヒテブロート:ドイツの伝統が詰まった、フルーツぎっしりの宝石箱のような無添加パン。まさに大人のためのご褒美でした。

どのパンも、いわゆる「無添加」という言葉だけでは括れない、深い物語と魅力を持っていましたね。

作り手の想いが詰まったパンを選ぶということ

今回ご紹介したパンたちに共通しているのは、作り手の皆さんが、ただパンという「モノ」を作っているのではない、ということです。彼らは、パンを通して、健康的な食生活や、丁寧な暮らし、自然との共生といった「価値観」や「哲学」までも、私たちに届けようとしてくれています。

添加物を使わない無添加の製法を選ぶということは、手間も時間も、そしてコストもかかる、決して簡単な道ではありません。それでもその道を選ぶのは、食べ手の健康を心から願い、素材そのものの本当の美味しさを届けたいという、作り手の強い「想い」があるからに他なりません。私たちが無添加パンを選ぶということは、そんな作り手の誠実な想いを応援することにも繋がるのです。そう考えると、パン一つを選ぶという行為が、なんだかとても尊いものに思えてきませんか?

あなたの明日を彩る無添加パンを見つけよう

毎日食べるパンだからこそ、少しだけこだわってみる。それだけで、いつもの朝が、少しだけ特別なものに変わるかもしれません。今回ご紹介した4つの無添加パンは、どれも個性的ですが、あなたのライフスタイルや好みにピッタリと合うパンが、きっとこの中にあったのではないでしょうか。

力強いパンが好きなあなた、繊細な味わいが好きなあなた、優しい甘みが好きなあなた、そして贅沢な気分を味わいたいあなたへ。ぜひ、気になる無添加パンを試してみてください。そして、あなただけのお気に入りのパンを見つけて、美味しくて健やかな毎日をお過ごしください。この記事が、あなたのパン選びの、そして人生を豊かにする、ほんの少しのきっかけになれたなら、私にとってこれ以上の幸せはありません。

WRITING
西村恭平
西村恭平 Nishimura Kyohei

大学を卒業後、酒類・食品の卸売商社の営業を経て2020年2月に株式会社ブレーンコスモスへ入社。現在は「無添加ナッツ専門店 72」のバイヤー兼マネージャーとして世界中を飛び回っている。趣味は「仕事です!」と即答してしまうほど、常にナッツのことを考えているらしい。